稲川淳二 エジプトで自動小銃を持った軍人・警察官に追われた話

稲川淳二が語る 工業デザイナー時代 Uボート事件 たまむすび

稲川淳二さんがTBSラジオ たまむすびに出演。玉袋筋太郎さん、小林悠さんとされていたお話が超面白い!これが最後。エジプトで軍人・警察官・警備員に追いかけ回された話です。
稲川淳二が語る 虎のぬいぐるみで猟友会に撃たれそうになった話 の続きです。

(小林悠)あとこれ、何ですか?虎の次はエジプト。『エジプトで警察官と兵士と警備員に追われた筋』。

(稲川淳二)よく調べてんなー。

(玉袋筋太郎)これ、どうしたの?

(稲川淳二)これね、エジプトでもって・・・要するに単にエジプトに行くだけの話なんです。で、ピラミッドの中に入るだけ。で、まだ当時向こうで待ってらっしゃったのが、吉村作治さん。吉村先生がまだあまり有名じゃない頃ですよ。

(小林悠)早稲田大学の。

(玉袋筋太郎)あー。

(稲川淳二)その昔で。そいで私、海外なんて行ったことなかったんだから。たった1人ですよ。乗ってったの。飛行機。スタッフ先行って待ってるから。その時に、「悪いけど稲川さん、みんな体壊しちゃってるから正露丸もってきてくれ」とかね、「すいません、カメラのレンズもってきてよ」とか。何でそんなこと言うんだろう?カメラのレンズ、取られたんじゃない?きっと。

(玉袋筋太郎)あー、エジプトだから。

たった1人でエジプトへ

(稲川淳二)「カメラのレンズもってきてくれ」とか、「正露丸もってこい」ってみんな言うわけですよ。行くの私1人じゃないですか。で、慣れてないし。

(小林悠)マネージャーさんとかいないんですか?

(稲川淳二)いないのよ。予算なくなっちゃったの。それまでは一緒に行くはずだったの。ウチの当時のマネージャーでね、詐欺師のガンちゃんって有名な。

(玉袋筋太郎)詐欺師のガンちゃん!

(稲川淳二)すれ違った瞬間に人を騙すという。

(玉袋筋太郎)すごい男がいたんだ!稲川さんのマネージャーさん!

(稲川淳二)誰もが知っている。もうね、口では言えない。ある有名な宗教団体の事件になった人からカネ巻き上げた男だもん。

(小林悠)えー!?(笑)

(玉袋筋太郎)すごいんだから。

(稲川淳二)で、「自分の宗教入れ!」って言われなかったんだもん。東南アジア行ったりなんかすると、お坊さんとか警察官にカネやる人はいるけど、東南アジア行って坊さんと警察官からカネもらったの、あの人だけだもん。

(玉袋筋太郎)いるんですよ。田村ガンさんっていうマネージャーさんが。

(稲川淳二)そう。詐欺師のガンちゃん。

(玉袋筋太郎)で、無しで稲川さん1人で。

(稲川淳二)だってガンちゃんね、用意してたんだけど急遽予算がなくなって。向こう使っちゃってて。で、来なくていいってなったの。ガンちゃん、7本も注射打ってフラフラしてたんだけど行けなくなっちゃって。で、私行きましたよ。どうにか。ほいで行ったんだけど、何が不安って言ったって、途中でね、サウジアラビアのジェッダってところでもって、朝方着くんですよ。暗いうち。で、空港からその建物までのところって、えらい時間かかるの。大っきいバスで。たった1人。日本人。牢屋みたいなところにいるわけ。鉄格子の中、ずーっと待ってるの。でも日本人には暖かいんですよ。サウジの人なんか。日本語できた人がたまたまいてね。アメリカ人には厳しかったけどね。やっぱりね。

(玉袋筋太郎)ああー、やっぱりね。

(稲川淳二)うん、厳しかった。上半身裸でもって荷物背負って。私には待遇良かったね。でも不安なんだ。外は銃持った人が歩き回ってるし。

(小林悠)サウジですか?エジプトですか?

(稲川淳二)いや、だからそっからが大変なんですよ。だってそれを乗り間違えちゃったらもう、アウトでしょ?飛行機見えないんだから。言葉分かんないし、英語出来ないし。ほいで、どうにか当て勘ですよ。『たぶんここ並べば行けるんだろう?』って。書類も何にも持ってないもん。すでに。書類が無いから乗れないんですよ。その時に隣にアラビアの爺さんがいたの。で、肩叩いてさ、適当なこと言ったら言葉通じないけどニコニコ笑ったわけ。それでそいつのパスポートみたいなの、ちょっと貸してくれってもらって。で、髭つけてるじゃん?当時しわくちゃだったの。で、白いシャツ着てたの。変装出来る格好で。私考えてるでしょ?なかなか。危ないことがあったら逃げようと思って。

(玉袋筋太郎)なるほど!

(稲川淳二)そしたら兵隊が調べに来るときに、俺その爺さんと肩組みながらピッて見せたら通れたんですよ。

(玉袋筋太郎)ええー!?

(稲川淳二)で、セーフだったの。間違ったらとんでもない国いくところでしたよ。で、乗ってさ、ああ着いたって。着いたんだけど、さあどこ行こう?分かんないから。日本人、自分しかいないし。そしたら突然さ、広い階段っていうのがあるんですよ。階段の下で待っているわけ。コートを着た男が待っているわけ。ジーッと私を目で追ってるわけ。

(小林悠)エジプト人ですか?

(稲川淳二)エジプト人でしょう。明らかに一般人じゃないの。反対向いてるんだから。階段の下。『ああ、警察だ』って思ったわけ。空港警察。『うわー、捕まっちゃう!』って思って、逃げるとね、たとえば私が左いくとするでしょ?そいつも左くるの。右いくと右くるの。『うわー、絶対取り締まられる!』って思ったら、そいつが黙ってスッてスケッチブックみたいなの上げたの。紙に日本語で『稲川さん、この人怪しい人じゃありません』って。

(玉袋筋太郎・小林悠)(爆笑)

(稲川淳二)『何だ、バカヤロー!』って。

(玉袋筋太郎)『この人怪しい人じゃありません』と(笑)。

(稲川淳二)で、ついていったわけ。出口行ったら日本人、私しかいないわけ。で、変な普通の田舎の改札みたいなの出たわけ。裏口から。出たらば、向こうでもって「稲川さん、ごめん!ついてすぐなんだけど、実は向こうの棟から望遠でこっちを追ってる。ここ、軍が仕切ってるから撮影すると捕まっちゃうんだ。でも、エジプトエアーは宣伝してほしいって言ってる。だから差し当たって稲川さん、悪いけど今からここで着替えて出てきてくれないか?」って言うの。着替えるのって半ズボンで帽子かぶって探検家の格好あるじゃないですか。あれしてくれっていうの。俺、今出たばっかりで1人だぜ?日本人。いくらいい加減なやつでも覚えてるよ、顔。日本人の。

(小林悠)ああ、そうですね(笑)。一回出て行ったよね?っていう。

(稲川淳二)そこで着替えてくれっていうのさ。そいでもって、「ここ捕まるとぶっ込まれちゃうから稲川さん、うまく逃げてくれ」って。

(小林悠)ひどい(笑)。

(玉袋筋太郎)乱暴だよね。

(稲川淳二)ピンマイク付けて。で、「どこにいるの?」って言ったら、ずーっと向こうの駐車場から撮っているっていうんですよ。それでこっちは知らないからさ、また入っちゃったの。中へ。で、何も言わなかったわけ。中に入って、「行きますよ。行きますよ。」って言って、出てきたわけ。で、着いて「あー、カイロに着いたか!カイロっていうだけあって、暑いなー!」って言いながら歩きはじめたわけ。そいでずーっと行ったら、また走ってきて「稲川さん、ごめんなさい。あんまり距離があるもんだから、稲川さんを撮っている途中で車が入っちゃって画像が切れちゃってる」って。すごいだってずーっと向こうにいるんだもん。途中いろんな車が走ってるんだから。

(小林悠)そりゃそうですよ。

(稲川淳二)「もう一回、お願いします」って。おかしいでしょ?そいつ。俺を睨んでるんだよ?おっさんが。で、しょうがない。また探検家の格好して「ごめんなさい」って入っていって。

(玉袋筋太郎・小林悠)(爆笑)

(稲川淳二)同じ事言って着いたって。で、来た瞬間でしたよ。向こうから黒い服着た警察と自動小銃持った軍と、それから私服の警察が出てきたの。3人がパーッ!ってこっち来るの。だんだんだんだん。それで俺が歩いたわけ。でも、歩いているけど、右も左も・・・今、着いたばっかりだから。しかも表玄関じゃない裏玄関みたいなところだから。どこ行っていいのか分かんないからさ。で、みんなもどこか知らないもん。だって広い駐車場の向こうだから。で、出口。あそこに逃げ込もうと思って出口に向かって歩くの。だんだん早足になって、向こうも早足になるの。だんだん早くなるの。向こうも。だんだんだんだん早くなっていって、走ったら向こうも走ってくるの。

(小林悠)怖い怖い!

軍人や警官に追われる

(稲川淳二)自動小銃持って。構えて。それでさ、入ったわけ。駐車場。そのまま、這って伏せたわけ。地面に。そいで車の間、ぬっていったわけ。ずーっと。で、向こう分かんないじゃない?どこにいるか分かんないもん。で、どうしたかって言うと、おそらくきっと足が見えるだろうと思ったの。スタッフの。で、ずーっと追ってくるわけ。向こうも。探して。そしたらあったの。足が。『あれは日本人の足だ』と思って、ガーッ!って行ったので助かってさ。

(小林悠)見つかって。

(稲川淳二)うん。「いやー、よかった稲川さん。これで見つかるとね、2日は出れないですよ」って。バカヤロー!

(玉袋筋太郎・小林悠)(爆笑)

(稲川淳二)うん。すごかった。そいでエジプトのピラミッド、そのまま連れてかれて。時間がないから。で、「明日は入るんだけど稲川さん、今日悪いけど上がってもらえないか?」って。ただこれ、上がってるところ見つかると2日ブチ込まれるっていうんですよ。

(玉袋筋太郎・小林悠)(爆笑)

(稲川淳二)誰が見たってピラミッド、ぶっ壊れるに決まってるじゃないですか。上がりましたよ、私。ただ言っておきますけど、ピラミッドっていうとみんな大きい大きいと思うじゃん?石。あれ、下だけなんですね。上は小さいの。でもね、角っこから顔出すと4500年の風がピュー!っと吹いた瞬間に涙流れましたよ。感動で。あの長い4500年の風、あれはいいですねー。

(玉袋筋太郎)来たー!

(稲川淳二)で、てっぺんまで上がると平地になってクフ王のピラミッドはね、棒だけ立ってるんですよ。ここまであったよ、146メートルあったよっていう棒が立ってるんだけど、周り、みんな上がってるんですよ。もう当時上がっちゃいけないんだけど、お巡りさんもいてね。で、上がっているところ。俺も既に見つかって、「あそこだ!」って言われてたの。

(小林悠)見つかってるんじゃないですか!

(玉袋筋太郎)「いた!この野郎!」って。

(稲川淳二)でもこっちはもう、今さらいいや!って思ったの。で、見たらみんな名前彫ってるんですよ。これ、いけないなーって思ってさ。で、僕はどうしたかというと、ナイル川見える、向かって左端、いちばん端、そこにね、横文字で「JUNJI」って入ってたら、それは私です。

(小林悠)だからダメです!(笑)

(玉袋筋太郎)入れちゃった(笑)。

(小林悠)もう、すごい体験の数々でした。

<書き起こしおわり>

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