松尾潔と菊地成孔 SIMI LABを語る

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松尾潔さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』に2012年4月22日に出演した際のトーク書き起こし。松尾さんと菊地さんがSIMI LABについて話をしていました。

(松尾潔)いや、けどね、僕これ本当ね、リスナーとして、いつも楽しませてもらっている番組なんで。

(菊地成孔)ありがとうございます。恐縮です。はい。光栄の至りです。

(松尾潔)僕、今日ね、そもそもスペシャルウィークのゲスト、僕でいいのか?っていう、一リスナーとしての疑問もあるんだけど。リスナー代表の気分で、ここ数週間の粋な夜電波。夜な粋電波?まあ、いいですね。あの・・・(笑)。ちょっとあの、振り返って見たんですけど。

(菊地成孔)すんごいですね。そんな構えでいらっしゃったんですか?すごいな。

(松尾潔)ええとね、魚民の話をこの前、されてましたよね?ええと、魚民の飲み会っていうのが・・・

(菊地成孔)だんだん集まってくる。

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ウータンの飲み会

(松尾潔)だんだん集まってくる。ねえ。あれ、僕は、そん時に例によって酔っ払いながら聞いていたものですから。あの、『魚民の飲み会』っていうのを、『ウータンの飲み会』って僕、聞き間違っちゃって。

(菊地成孔)(笑)。いや、私の滑舌が悪いんですよ。それは。

(松尾潔)で、僕ね、『あっ、これは菊地さんは・・・』。これ、本当ごめんなさい。初めから言っておきますが、自意識過剰ですよ。僕。『22日に僕がゲストに出るっていうんで、前振りをしてくださっているんだ』と。

(菊地成孔)ああ。

(松尾潔)僕が、ええと15年ぐらい前にウータン・クラン(Wu-Tang Clan)にインタビューしたことがあって。その時、1時間の予定だったのに、6時間かかったんです。それはなぜか?って言ったら、みんな三々五々で集まるから、時間がかかっちゃうんですよ。

(菊地成孔)かかっちゃうのね。はい。

(松尾潔)『たしかにウータンの飲み会ってそんな感じだよな!』って思って。

(菊地成孔)(笑)

(松尾潔)『菊地さんってわかっている人だな!』と思って。それ、生で聞いた後に、もういっぺんポッドキャストで聞いたら、『魚民って言ってらあ』っていう。

(菊地成孔)(笑)

(松尾潔)『俺、3日間ぐらい騙されていたよ!』みたいなね。

(菊地成孔)ああー、まあ一応ね、全国ネットですからね。ウータン・クランの飲み会を想定し、松尾さんが来る前々から準備して振るというような芸当はね、無理ですね。全国ネット的には。

(松尾潔)誇大妄想なんですけど。

(菊地成孔)(笑)

(松尾潔)あっ、わかった!僕ね、今日番組出させていただくっていうことで、『一応松尾さん、これは予習してください』って言われて。番組スタッフの戸波さんからSIMI LABを送ってきたわけですよ。

(菊地成孔)あ、はいはい。

(松尾潔)せっかくだけど、僕、持ってますよ!と。ね。あっ、わかった!と。ウータンの時は、あれですよ。ウータンっていうか、魚民なんだけど(笑)。『SIMI LABを日本のウータンってことで菊地さん、話してるんだな!』って僕、3日間思っていたの。

(菊地成孔)ああ、ああ、ああ。

(松尾潔)ちょっと、いまごめんなさい。時系列がグジャグジャですけど。

(菊地成孔)とんでもないです。すんごいですね。やっぱり、なんて言うか、プロデューサーの脳内を覗いたような話ですね。

(松尾潔)本当ですか?けど、SIMI LABはよくよく考えてみると、ウータンじゃないですね。ウータンっていうのは基本的に男性原理だから。むしろイギリスのソー・ソリッド・クルー(So Solid Crew)とか、いまのあれですよね。ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)とか、あっちの方は女性も入っているから。SIMI LABってそういう意味では、すごいコンテンポラリーだなと思ってて。

(菊地成孔)コンテンポラリーですし、あの、オールドスクーラー回帰もちょっとありますよね。

(松尾潔)しかも、なんか、もちろんあの、マリアさんとかのフロウとかも素晴らしいんだけど。なんかあの打ち込みって変ですよね?

(菊地成孔)うん。打ち込みは変なんで、一緒にやろうとしたんですよね。

(松尾潔)リズム、ズレてますよね?

(菊地成孔)ズレてますよ。ズレてますね。

(松尾潔)で、僕ね、ニコラス・ペイトン(Nicholas Payton)のアルバムとかで、これは、なんかこう、キックの位置とベースの位置をちょっとあえてズラしてるのかな?みたいな。ちょっと理詰めのね、ものを感じるんだけど。だけどなんかSIMI LABは、なんかすっごい、偉大なる天然の人たちっていうか。考えてやってるのか、無意識でやっているのかわかんないところが、それこそまあ、本当釈迦に説法だけど、まあ映画の世界で言うところの『サウダーヂ』のあの、こうマージナルな感じっていうのをついに日本の音楽にも来てるんだなと思って。

(菊地成孔)そうですね。はい。

(松尾潔)ついに来てるっていうか、その、ヒップホップの世界に来てるんだなと思って。それこそ、昔のブッダ・ブランドっていうのは、あれはあくまでも帰国子女センス。

(菊地成孔)まあ、そうですね。

(松尾潔)で、僕からすると割と想定内のことだったんだけど。

(菊地成孔)アメスクと帰国子女が英語がしゃべれるが故にエリートだっていう時代ですよね。

(松尾潔)そういうことです。あの、ブッダ・ブランドとかm-floっていうのは割と想定内。

(菊地成孔)宇多田ヒカルさんですらね。

(松尾潔)そうです。そうです。なんだけど、そうそう。だからヒカルちゃん、僕、デビューの時にブレーンでついてたけど。

(菊地成孔)出た!ヒカルちゃん。はい(笑)。

(松尾潔)けどヒカルちゃんが、森鴎外が好きだとか・・・

(菊地成孔)そうね。国文学がね。

(松尾潔)そうそう。っていうのは、あくまでもオリエンタリズムに惹かれる帰国の子のメンタリティー。割と類型的な感じなんだけど。あの、これ語弊あるかもしれないけど、SIMI LABって、そのストリートワイズだけど、決してワイズではないっていうね。いわゆるアカデミックな教養を感じないってところに、ものすごい得体の知れないエナジーを感じますね。

(菊地成孔)そうですね。

(松尾潔)音楽の話になってます?

(菊地成孔)なってますよ!っていうか、これSIMI LABに聞かせらんないですよ。松尾さんと俺でSIMI LABがどうだって話をしてるっていうのは(笑)。

(松尾潔)けどね、SIMI LABの・・・僕はご多分に漏れず、最初YouTubeとかで知ったクチなんだけど。あのアルバム聞いてるとね、まあ本当、それこそ、僕のね、部屋のリビング。まあ本当にあの・・・

(菊地成孔)噂のね。伝説の。日本のカール・ヘフナーパーティーだと言われている(笑)。

(松尾潔)本当、ご冗談はやめてください。ですが、まああの、東京タワーとかミッドタウンが・・・

(菊地成孔)あ、カール・ヘフナーじゃない。失礼。ヒュー・ヘフナー。カール・ヘフナーはベースだ(笑)。

(松尾潔)プレイボーイマンションですか。

(菊地成孔)プレイボーイマンションですね。

(松尾潔)なんですけど、あの・・・そういうあからさまな間違いは僕、訂正しなくていいって毎回聞きながら思ってますよ(笑)。

(菊地成孔)いやいや、そういうあからさまな間違いを訂正しなくていいって生きてるんですけど。SNSとAMラジオの世界の中に迷い込んだら、もうすっごいんですよ。

(松尾潔)チクリ文化ですからねー。

(菊地成孔)一言間違えると、ものすごい勢いで来るの。昔、寺山修司がね、『間違い電話こそ、都市のコミュニケーションだ』って言ったことがあって。

(松尾潔)寺山修司の言葉は全部アフォリズムですからね。

(菊地成孔)アフォリズムですよね。

(松尾潔)『天気予報はいつも嘘をつく』っていうね。まあ一応、さっきの僕、オマージュで。さっき、『人生晴れたり曇ったり』って言ったんですけど。

(菊地成孔)(笑)

(松尾潔)トリビュート・トゥ・寺山ですよ。

(菊地成孔)そうですね。もういま、間違い電話もできないじゃないですか。すでに。

(松尾潔)なるほど。

(菊地成孔)行動的に。指で打たないから。

(松尾潔)たしかにそうですよね。だって自分の電話番号覚えてない人が、いまほとんどでしょ?

(菊地成孔)そうですよ。だから、訂正せずに楽しく生きてきたんですけど、訂正せざるを得なくなってきてから、白髪が増え始めましたね。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)ええ(笑)。

(松尾潔)うーん。結構ディープな話ですね。

(菊地成孔)いやいや(笑)。

(松尾潔)それで、なんの話だっけ?そうだそうだ。そう。だから、SIMI LABのCDを部屋でかけたりしてると・・・ねえ。僕の、まあまあバブリーな部屋に住んでますよ。

(菊地成孔)(笑)。バブリーなんて一言も言ってないじゃん!(笑)。

(松尾潔)自虐的に・・・

(菊地成孔)ものすっごい趣味のいい(笑)。しかも、予算がしっかり投下された、投下しがいのある部屋でしょ?

(松尾潔)もう薄っぺらい、そんなあの、東京タワー見ながらグラスをグルグル回しているような、そんな部屋ですよ。

(菊地成孔)いやいやいや(笑)。

(松尾潔)それがね、SIMI LABを聞くと、なんか部屋中ガソリンでビタビタにされたみたいな感じになってくるんですよ。

(菊地成孔)ああ、はいはい。

(松尾潔)それをあえて火をつけられずに、そのガソリンの匂いを嗅ぎながら、『ああ、俺がやっていることっていうのは音楽業界のまだ一部分なんだな』ということをSIMI LABを聞いて感じますね。

(菊地成孔)すごいですね。

(松尾潔)もともと俺、出がサブカルなんで(笑)。

(菊地成孔)(笑)。大丈夫なんですか!?(笑)。今日は。

(松尾潔)根がサブカルなんでね。その、なんかいろいろね・・・

(菊地成孔)今日、バリアフリーモードで来てますけど、大丈夫なんですかね?私、責任取りきれませんけども(笑)。

(松尾潔)いや、老後は菊地さんに寄りかかって生きていこうと思っているんで。

(菊地成孔)そんなバカな話が!いちばんおかしな倒錯ですよ、それは(笑)。

(松尾潔)川勝さん亡くなっちゃったんで、もう菊地さんしかいないかと思ってるんだけど。

(菊地成孔)いやいやいや!いや、それはだからいま、俺が内心で思っていたけど口に
出せなかった計画が逆転して飛び出した(笑)。

(松尾潔)ちょっと待ってくださいよ!これ、互助組合みたい。これ(笑)。

(菊地成孔)(笑)。互助会ね。

(松尾潔)で、いまなんの話なんでしたっけ?

(菊地成孔)いやいや、SIMI LAB。SIMI LABね。まあまあまあ。

<書き起こしおわり>

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