菊地成孔とヴィヴィアン 韓国HIPHOPとアメーバカルチャーを語る

菊地成孔 日韓合作ラップ Keith Ape『It G Ma』の意義を語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』第9次韓流最高会議で韓国HIPHOPシーンや、アメーバカルチャーについてヴィヴィアンさんと語り合っていました。

(菊地成孔)ですから一方、シンクタンクのヴィヴィアンさんがなさっていることは、まあ音楽をギリギリ隣接っていうか。K HIPHOPっていうものの位置自体がどういう位置で、で、K-POPの位置とどういう風に位置関係が転倒したのか?っていうのが。私のように昭和の情報の取り方だとわかんないんですよね。

(ヴィヴィアン)はい。

(菊地成孔)『ああ、いいなー。アメーバカルチャー』とかって思っているだけなんですよ。そこらへんはどういう感じなんですか?

日本と韓国のHIPHOPの土壌の違い

(ヴィヴィアン)ええと、基本的にまずは韓国ではどうか?っていうと、K-POPアイドルファンとはぜんぜんかぶってなくて。で、HIPHOP自体がすごく人気があるジャンルなので、普通にHIPHOPファンの・・・

(菊地成孔)そこが日本といちばん違うんですね。

(ヴィヴィアン)ぜんぜん違う。

(韓東賢)日本の昔のバンドブームの時のロックみたいな感じだよね?

(ヴィヴィアン)そんな感じです。本当、そんな感じ。

(菊地成孔)なるほど。

(韓東賢)だからアイドルとコラボ、いろんなこと含めて、だからいまはアメーバがメジャーになっているのとかも含めて、バンドブームの、日本だったらバンドをやるところが、いまの韓国だったらマイクを握るみたいな。そういう意味で、ね。

(ヴィヴィアン)そう。だから10代、20代の男の子たちも憧れて自分もラップを始めるし、あと、10代、20代の女の子たちがライブを見に行くっていう感じで。本当、昔のバンドブームに似ています。

(菊地成孔)うん、なるほど。

(ヴィヴィアン)で、そういう感じなんですけど。日本の場合は、もうそもそもHIPHOPがそんなに人気がないっていうのもあって。で、日本人でK HIPHOPを聞いている人たちはみんな最初韓流とかK-POPから入ってるんですよ。で、K-POP聞いているうちに、なんかちょっとしたきっかけで、たまにアイドルとラッパーのコラボがあるじゃないですか。そういうのがきっかけでK HIPHOPに流れてくる人が多いんですね。

(菊地成孔)なるほど。いや、まあ産業としては完全にディヴァイスドされているってことですか?

(ヴィヴィアン)だけど最近、ちょっとくっついてきたんですよ。

(菊地成孔)(笑)。なるほど。

(韓東賢)だけどバンドブームと似てるなとすごく思ったのは、なんて言えばいいのかな?日本だと、バンドブームとか、もうちょっと前のニューミュージックのブームみたいな時に、そういう人がアイドルの曲を作って。そういう音楽がメジャーなものになるみたいなのがあって。韓国もいまのアイドルの曲って、まあコラボとかも最近増えてきたけども。そうじゃなくて、アイドルがやっている音楽自体がそういうものじゃない?割と。アメリカ洋楽っぽいっていうか。

(ヴィヴィアン)うんうんうん。

(韓東賢)だから土壌が、そこがメジャーっていうか。音楽の方向として、その感があって。

(ヴィヴィアン)実は音楽性もそんな大きな差がなかったりとかして。

(菊地成孔)まあ、そうですよね。特にまあ、そのアメーバカルチャーなんかが、まあ私なんかが漠然と、アメーバカルチャーのチャンネルをですね、『あなたの管』。直訳すると(笑)。というような世界のアメーバカルチャーのチャンネルをブックマークして。で、まあ毎日、『さあ、今日も仕事が終わったし、聞くぞ!』っていうような感じで聞くと、素敵な曲がたまに転がっていたりして。『ああ、いいな』と思う。といって1日が終わるというような、非常に牧歌的な、お父さんめいた暮らしが続いているわけなんですけども。

(韓東賢)(笑)

(菊地成孔)とは言え、それでもね、アメカルも、あんなにこう、洋楽・・・こっちから言う洋楽ね。つまり、アメリカ音楽志向だったものが、ちょっとアメリカ・ヨーロッパ音楽志向だったものが、なんかこう、またぞろアイドルっぽくなってきちゃったりなんかして。この動きはどうなんだろうな?っていう・・・

(ヴィヴィアン)どうなんでしょうね?やっぱ、だからアメーバカルチャーファンもちょっといま、戸惑っている段階ですね。

(韓東賢)あ、やっぱりそうなんだ。

(菊地成孔)戸惑いですか。戸惑いを表明しましょう。私も表明したいと思います。

(韓東賢)それはなに?明らかに戦略的に売れようと思ってやっていることなの?

(ヴィヴィアン)それもあると思うんですけど、まずあの、シュープリームチーム(Supreme Team)がいなくなったじゃないですか。アメーバカルチャーから。そもそもアメーバカルチャーってダイナミックデュオ(Dynamic Duo)とシュープリームチームで人気を稼いでいたようなもんなんで。その大事な稼ぎ頭がいなくなって。でも、ダイナミックデュオだけで押していくっていうのはちょっとやっぱり大御所の人たちだし。若い風を吹かせなきゃっていうのもあって。で、リズムパワー(Rhythm Power)っていう3人組もいるんですけど、ちょっといまいち・・・

(菊地成孔)リズムパワーはアイドルですよね。かなりアイドルですよ。

(ヴィヴィアン)そうですね。『アメーバカルチャーの中のアイドル』って言われてるんで。

(韓東賢)ボンドガールのやつだよね?

(ヴィヴィアン)そうですね。ルックスは別にアイドルっていう感じじゃないんですけど。やっていることがアイドルで。

(菊地成孔)そうですね。今回は、まあ(韓東賢)書記長がHIPHOP不感症なのだと。ロックとアイドルポップが好きですという書記長に、アメーバカルチャーから、とにかく間口を全部広げちゃうと、数がもう膨大ですから。アメカルから、何曲か聞いていただいたんですね。で、結局、今日のオープニングにかけた『See Trough』はアメカルの曲で。

(菊地成孔)まあ、こんな風に振り返るのが、自分の心が痛いですけど。アメカルの黄金期っていうかね。いちばん絶頂期に。音楽もPVも、あらゆるものが絶頂にあった頃の曲のひとつ。いまが下がってきたというわけでは、軽くありますけども。

(韓東賢)PVはちょっとダサいですけどね。

(菊地成孔)まあ、曲によってはすごいのもありますよ。ムルンピョのPVとか、あれはヤバい。

(ヴィヴィアン)あれはいいですね。

(韓東賢)曲、ムルンピョはいいですよね。

(菊地成孔)だから、ああいったものの中から、まあ『じゃあ書記長。いちばん好きなものはなんですか?』って言ったら、もう、情け容赦ないバツが(笑)。

(韓東賢)ああ、わかった。バツの話ね。

(菊地成孔)ダメ出しの嵐が飛び交ってですね。あの、いまヴィヴィアンさんと私で凍りついていたところですけども。まず、アメカルの清水翔太くんこと、クラッシュ(Crush)。

(ヴィヴィアン)もう全否定でしたね(笑)。

(韓東賢)いや・・・これ、いいのか?クラッシュ、でもめっちゃ押しですよね。私でも知ってたもん。

(ヴィヴィアン)いま、いちばん押しです。

(韓東賢)すごく、ラジオとかも出てて。

(ヴィヴィアン)だからそのシュープリームチームに代わる新人として、クラッシュを全面に打ち出してるんですよ。アメーバカルチャーが。で、歌って踊って曲も作れて。マルチなんで。で、まだ若いし。

(韓東賢)一応、2曲聞いてみたんですよ。たぶん、新しい。クニャン・・・クニャンだから・・・

(ヴィヴィアン)あ、Zion.Tとやったやつ。ああ。

(韓東賢)そう。Zion.Tとやったやつだ。と、ソファ。で、ソファが、バツ。

(菊地・ヴィヴィアン)(笑)

(菊地成孔)どうしてバツなんですか?

(韓東賢)仰々しい(笑)。なんか、大げさ?なんか、仰々しい見たいな。

(菊地成孔)はい。あの、ちょうどね、日本のJブラックミュージックもあるわけじゃないですか。で、それに乗れない人っていっぱいいるんですよ。あの、まあまあ、エグザイルはもう国民的な存在ですけども。それでも、やっぱり乗れないっていう人はいて。で、エグザイルっていう特別なものを除いても、やっぱりなんかこう、ブラック系のものに乗れないっていう人。オーバーグラウンダーに乗れないっていう人がいる理由ってあると思うんですね。その理由と、全く同じ理由だと思うんですよ。

(韓東賢)あ、やっぱりそうなんですか?仰々しい?

(菊地成孔)うん。おそらく。なんかね、ぜんぜん違う理由があるとは思えないんですよね。だから、同じじゃないかな?っていう気がしてるんですよ。で、まあその理由を取っ払っていけば、取っ払って、違う美味しいものを入れていくとですね、まあネガティブになる理由がなくなるわけですから、ポジティブに好転していくという風に私は単純に考えていて。まあ、日本だと、あんまり興味ないかもしれませんけど。

(韓東賢)(笑)

(菊地成孔)三代目J Soul Brothersとかね、あと、あの、私がアイドルに投票するとしたら・・・投票するって言って名前忘れてますけども。Flowerを含むあの人たち。ええと、E-girls。そっから使いますけど。私が『アイドルのどこに投票するの?お前はVoteするの?選挙権を放棄するのか?男なのに?』『いやいや、投票しますよ』と言われたら投票するE-girlsですよね。なんかは、音楽があると思うんですよ。それで、ちょっといままでいろんな理由があって、ちょっとこう敬遠していた人々も、『あ、ちょっといいんじゃないの?』って思わせる音楽的な力を持ったかな?と思うんですけど。韓国が逆コースになっているような気がするんですよね。

(韓東賢)うんうんうん。

(菊地成孔)あそこまで良かったアメーバカルチャーが、こうちょっと、『仰々しいから嫌だ』っていう人が出てしまうような部分を持ち始めているような気もちょっとしてるんですよね。

(韓東賢)うんうん。

<書き起こしおわり>

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