安住紳一郎 日本全国の醤油の地域差を語る

安住紳一郎 日本全国の醤油の地域差を語る 安住紳一郎の日曜天国

(安住紳一郎)『ええっ!?ここはインドネシアのスーパーか?』みたいな。自分の知らないラベルが茶色いボトルにいっぱいついてるから。『ええっ!?なになに?なに、これ!?』。

(中澤有美子)日本語なんですよね?(笑)。

(安住紳一郎)日本語なんだけれど、見たことないのが堂々と売られているの。すごいんですよ。あと、長崎のチョーコー醤油とか。これも長崎のトップブランドなんですけどね。なんかね、ラベルの貼られている位置がずいぶん下の方にあって。色がね、より濃い。漆黒。なんか石油みたいな色をしてるんですよ。チョーコー醤油って。これ、長崎の方の誇りなんだけれども。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)なんかね、オイスターソースみたいに思うね。一瞬。で、ラベルもちょっと中国っぽい感じ。中国の影響を受けてて。

チョーコー醤油

(中澤有美子)チョーコーってその、中国の長江なんですか?

(安住紳一郎)違うんですよ。ええと、長工。純粋な日本のメーカーなんですけども。チョーコー醤油っていうのがあるんですね。うん。不思議なんですよね。それで、ラベルをこう、取って。ちょっとコレクションし始めたりしてたんですよ。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)5年くらい前から。

(中澤有美子)すごいですね。ワインのラベルコレクターのびっくりですよ。

(安住紳一郎)あ、お気づきになりました?それであの、ワインのラベルをコレクションして、『○年物の○○はこういう味がした』とか。どこで、あれだとか。ラインナップシートっていうんですか?

(中澤有美子)なんかファイル、売ってますよね。ピターッて貼れるやつ。

(安住紳一郎)それ、私買っちゃって。

(中澤有美子)買っちゃって(笑)。

(安住紳一郎)通販で。結構高いんですよ、あれ。それでその、ワインのコレクターがラベルを貼るバインダーみたいなのがあるのね。専門の。おしゃれな。革の表紙なんですね。そこに私、醤油のラベル貼ってるの。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)ニコニコしながら見てますけど。ええ。で、後ろがそのワイン仕様になっているんで。要するにワインのコメントを書くようなフォーマットになってるんですよね。産地とか、タイプとかビンテージとか、製造年月日とかシャトーとか。

(中澤有美子)ああ、そうか。

(安住紳一郎)で、カントリーとか。それから評価のポイントもあって。ブーケ。香りね。ブーケ&アロマとか書いてあって。テイスト、カラーとかね。味は?色は?とかって書いてある。コメント、トータル、アピアランス。存在感はどうだ?とか。そういうのが書く欄があって。そこにいちいち埋めてるの。

(中澤有美子)(笑)

安住紳一郎の醤油テイスティングブック

(安住紳一郎)『Country:大分県』。『Bought by』ってあるの。『どこで購入したか?』。普通に『Bought by:マルハンスーパー大分日田店』とか。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)『Tasted at』っていうのがあるんですよ。『どこで、なにと一緒に食しましたか?』っていうのがあるんですけどね。普通に『Tasted at:納豆にかけた』とか(笑)。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)本当はなんかね、一緒になにを食べた?って、『鴨肉のテリーヌと一緒に』とか、なんかね。そういう風に書かなきゃいけない。そこに普通に『冷奴にかけ醤油として』とか書いて。万年筆でね。

(中澤有美子)万年筆(笑)。また雰囲気出ますね。

(安住紳一郎)雰囲気出るからね。ええ(笑)。で、場所ね。『場所?』とか思って。『場所:自室アパート』(笑)。

(中澤有美子)多くはそれになる(笑)。

(安住紳一郎)『自室アパート!』。で、アロマ。香り。『アロマ:アルコール臭が若干する。九州ものには珍しいトップノートあり』なんて。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)『重く低く鼻に抜ける香り』なんて書いて(笑)。『アピアランス:黒々として大変な存在感』なんて。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『香り:醤油麹の鼻に抜ける感じ。しかしながら、塩気はあまり伸びず、後半口の奥の方で甘みが伸びる』なんて。

(中澤有美子)すごいじゃないですか。

(安住紳一郎)『口の中に残る醤油らしさはそれほどでもない』なんて書いて。『この存在感が九州ものの、大手産の醤油メーカーの特徴なのか?』なんつって。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)もう書いているうちにどんどんどんどん楽しくなっちゃって。止まらない、止まらない(笑)。

(中澤有美子)このフォーマット、ぴったりなんですね。お醤油テイスティングにもね。

(安住紳一郎)そうなんですよ。その、ワインの評価を書くためのバインダーが、実は醤油にもぴったり合うということが私、わかったんです。で、とてもうれしい。っていうか、実際にちょっと真面目な話なんですけども、醤油をきちんと評価するような品評会の時は、醤油も香りと、色と、味。それから食べ物との相性とかを当然、見るんですね。醤油だけをそのまま食べる、飲むっていう人はいませんからね。ええ。そういうことで、実は、そうなんですよ。

(中澤有美子)へー。醤油マイスターになれますね。

(安住紳一郎)醤油ソムリエ。

(中澤有美子)醤油利き師。

(安住紳一郎)それで、私5年間やったじゃないですか。そしたら、ちょっとこれ自慢になっちゃうんですけども。利き醤油がね、できるようになったんですよ。

(中澤有美子)あ、そうですか。

利き醤油ができるようになった

(安住紳一郎)事前に5種類から8種類くらい出されて、で、ラベルを見て、メーカーを見て覚えたら、目隠しであっても、だいたい当たるようになりましたね。

(中澤有美子)そうですかー。

(安住紳一郎)ちょっとね、自分でもこの才能にいま、惚れ惚れしているんですよ。

(中澤有美子)本当ですね。酔っちゃいますよね。

(安住紳一郎)すごいの。そのかわり、ものすごく喉が渇くの(笑)。白湯飲みながらやってるの。家の台所で。

(中澤有美子)(笑)。でも、あれですよね?お醤油いっぱい味わってみたくても、その都度ボトルで買ってきたら、一人暮らしでなかなか消費できないですよね?

(安住紳一郎)私はいま、家の台所にお醤油がね、1リットル入りのペットボトルで12本くらいありますね。それで、まあここまで話をしてなんなんですけども。最近ね、ちょっとやっぱり飽きちゃったのね(笑)。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)それでね、でもほら、お醤油って一人暮らしだからなかなか減らないじゃない?

(中澤有美子)そうでしょうね(笑)。

(安住紳一郎)でさ、大分のスーパー行ってさ、『うわーっ!』ってテンション上がってさ、3本4本買ってくるわけ。『どんな味がするんだろうな?』っつって。大興奮して買ってくるわけ。で、重いさ、取っ手が引きちぎれるぐらいの紙袋になっちゃって。重い、重いなんつって帰ってくるんだけども。もうちょっと、そんなに使うもんじゃないからね。減らないしさ。うん。

(中澤有美子)ねえ。そのうち、塩が固まってきちゃったりね(笑)。

(安住紳一郎)そう。もう賞味期限は切れそうになるし。でも、ちょっとね、憂鬱なんですけどね。

(中澤有美子)応援してます。はい。

(安住紳一郎)ぜひあの、熊本・大分あたりに行った際には、ちょっと観光地もいいですけどスーパーの醤油売り場に行ってみてください。

(中澤有美子)そうですねー、はい。

(安住紳一郎)たぶんびっくりするような、目の覚めるような、そんなラベルがキラキラしてますから。『ええっ、なに!?』っていうようなラベル、ありますよ。

(中澤有美子)(笑)

<書き起こしおわり>

安住紳一郎 宮崎県日南市大堂津 醤油の旅を語る
安住紳一郎さんが2009年9月にTBSラジオ『日曜天国』の中で話したトークの書き起こし。醤油マニアの安住さんがお休みを使って宮崎県日南市大堂津まで醤油の買い付けに行った際の模様を話していました。 (安住紳一郎)さて、一方休んだ方の私なんです...
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