安住紳一郎 日本全国の醤油の地域差を語る

安住紳一郎 日本全国の醤油の地域差を語る 安住紳一郎の日曜天国

(安住紳一郎)特に鹿児島の方に行くと、いちばん甘いんですけども。その甘さもこう、北に行くに従ってちょっとずつ甘くなくなってきて。で、四国に入ると、今度は塩っけ中心の醤油に変わってくるんですよね。

(中澤有美子)あ、塩っぱいんですか?

(安住紳一郎)塩っぱいんですよ。結構。ええ。それで関西になると、今度うすくち醤油。中部地方になると白醤油っていうのがメジャーになってきたり。そして関東はやっぱりこいくち醤油。っていうか、こいくち醤油しか使わないと思うんですけど。たぶんね。ほとんどの方は。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)よっぽどお料理好きの方じゃないとたぶん、たまり醤油とか、さしみ醤油とかを使い分けている人は少ないと思うんですけども。関東は本当にこいくち醤油だけ。しかもその、こいくち醤油だけを使うために、そのこいくち醤油のレベルが関東は非常に高いんですよ。もう、磨きあがっちゃっている。

(中澤有美子)あー、そうなんですね。

(安住紳一郎)でも九州の方に行くと、ほとんどがそのこいくち醤油、うすくち醤油、さしみ醤油っていうのを使い分けるんですよ。

(中澤有美子)へー。じゃあ各家庭に3種類あるような?

九州は3種類の醤油を使い分ける

(安住紳一郎)各家庭に3種類あるような感じ。で、九州に行くと、醤油ミニボトルってあるじゃないですか。よく、あのちょっとちっちゃなペットボトルに入っていたり、お魚の形をした、お弁当にいれるような。は、あれなんですよ。さしみ醤油の小型版のラインナップがすごいんですよ。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)要するになんかこう、携帯していく感じの時は、さしみ醤油を使うことが多いだろうという。刺身につけるような、つけ醤油的な使い方をすることが多いんじゃないかということで。小型パックのさしみ醤油みたいなのがすごい売れ行きをみせてるんです。ええ。

(中澤有美子)へー(笑)。

(安住紳一郎)そうなんですよ。それで、うすくち醤油とこいくち醤油を両方使いますよっていうような地方のところは、こいくち醤油の方はより濃く、うすくち醤油の方はより薄くっていうその二極化が進んでるんですよ。要するに、色があんまりついちゃ困るなって時にはうすくち醤油を使いますから。色が濃くても構わない時はこいくち醤油なんで、要するにどんどんどんどんとその色の濃い・薄いの二極化が進んでるんですよ。

(中澤有美子)なるほどね。

(安住紳一郎)うん。で、一方関東の場合はこいくち醤油一本で、オールインワン。チャン・リン・シャンで済まそうとしてるので。

(中澤有美子)そうね(笑)。

(安住紳一郎)こいくち醤油がオールマイティーになるように、こいくち醤油のクオリティーが色、味、香りともにどんどんどんどんと磨きあがっているの。うん。で、一方今度東北の方に行くと、魚醤。しょっつるがあったりとかしますので、またラインナップがちょっと複雑になるんですけども。

(中澤有美子)イカのお醤油だったりとかね。ええ、ええ。

(安住紳一郎)うおびしおとかね。そういうラインナップが豊富になってくるんですけども。今度、東北の方に行きますとですね、調味液醤油っていう、ちょっと味にすでに工夫が加えられている、日本農林規格では醤油と分類されない、調味醤油というのが主流になってきて。秋田とかでいくと、味どうらくというのがですね、もう醤油メーカーを越える売上をみせてるんですよ。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)こっちで言うとなんだろうな?桃屋のつゆみたいな。そういう使い方をするものなんですけど。要するに、うどんのスープにもなるし、おひたしの上にもかけるし、ちょっとしたお醤油代わりで卓上にものぼるというような。

(中澤有美子)オールマイティーな。

(安住紳一郎)そういう、オールマイティーな、だし入り醤油の度を超えた感じの贅沢なものみたいな。ものがすっごいシェアを持っていて。山形なんかでも、そういう調味醤油みたいなのが人気なんですよ。ええ。

(中澤有美子)へー。味どうらくか。

(安住紳一郎)すごいですよ。なんか、『醤油ください』って言っても、味どうらくが出てくるじゃないですか。

(中澤有美子)ああ、そうなんですね。

(安住紳一郎)で、なんかお店とかも醤油売り場のほとんどを味どうらくが占めてたりするんですよ。ええ。で、みなさんお醤油を使わずに、味どうらくを使ってたりするの。で、なんかお祭りの看板とかも『味どうらく』とか出たりするし。すごいその、味どうらくの独占度がすごいんですよ。秋田県とかは。

(中澤有美子)へー。

味どうらく

味どうらくの里 500ml
Posted at 2018.4.28
東北醤油株式会社

(安住紳一郎)だから秋田県とか山形県は、醤油は一方でより醤油らしくというテーマをモットーに発達した地域だろうなと俺は見てるんですけども。ええ。

(中澤有美子)なるほどねー。進んでますね。研究が。

(安住紳一郎)進んでますよ。5年、6年かけてますから。ただ、研究の結果を発表するまとまりがまだできてないだけで。

(中澤有美子)あ、そうか(笑)。

(安住紳一郎)思いつくままにしゃべってますけど。いや、本当に全国各地に行くと、特にお醤油とお味噌だと思いますが。日本人がすごい誇りに思っている調味料ですけども。すっごいラインナップの違いをみせますよ。びっくりしますよ。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)まあ、だいたいキッコーマンとかヤマサ醤油とかヒガシマルはだいたい全国売ってるんだけれども、その他のラインナップがやっぱり県によってまるで違いますね。特に関東以外は。びっくりします。

(中澤有美子)はー、何も知らずに生きてるんだなっていう感じがします。

(安住紳一郎)特に、大分県のスーパーに行ってください。びっくりします。

(中澤有美子)あ、そうなんですか?

(安住紳一郎)私、大分県の日田市っていうところで、日田天領水で有名な日田市っていうんですが。日田のスーパーで、もう本当大声あげましたもん。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『うわーっ!』って。

(中澤有美子)(笑)。目玉もかっぴらきましたよ。

(安住紳一郎)あと、別府。大分県別府にある、トキハっていうスーパー、特に行ってください。もう、『ええっ!?』って言いますから。ええ(笑)。

(中澤有美子)そんなに?(笑)。

タイトルとURLをコピーしました