吉田豪 CHAGE and ASKA 飛鳥涼の魅力を語る

吉田豪 CHAGE and ASKA 飛鳥涼の魅力を語る GoodJobニッポン

吉田豪さんがニッポン放送『プチ鹿島長野美郷GoodJobニッポン』に出演。騒動があったCHAGE and ASKAのASKAさんの著作から、ASKAさんの魅力を解説していました。

(プチ鹿島)さあ、スタジオには今夜も豪さんにお越しいただきました。よろしくお願いします!

(長野美郷)よろしくお願いします!

(吉田豪)よろしくお願いします。

(プチ鹿島)どうですか?2週目ですけども。

(吉田豪)先週は長野さんが引かないどころか、ガンガン食いついてきたのに衝撃を受けましたよ。目をキラキラさせながら、もっと聞きたい!みたいなモードで。

(プチ鹿島)だって、もう2人、向き合って話してるじゃないですか。

(長野美郷)いろんなところにもっと聞きたい要素がありすぎて。

(プチ鹿島)あ、そうなんだ。ジャガー横田の話だよ?先週、だって。

(長野美郷)だって初耳のことばっかりで。

(プチ鹿島)(笑)。初耳だから面白いっていう。じゃあ、今日はどんなテーマで?

(吉田豪)まあね、時節柄というかね。CHAGE and ASKAがいろいろ騒動になってますけど。

(プチ鹿島)来ましたねー。いいですか?この時間帯に。

(吉田豪)騒動になってますけど、調べれば調べるほど本当、好きになるんですよね。ASKAっていう人は。

(プチ鹿島)ASKAさんの方ですか。

(吉田豪)もともと、本とか買ってはいたんですけど。

(プチ鹿島)いま、スタジオに何冊ぐらいですか?もう山積み・・・

(長野美郷)すごいんですよ!

(吉田豪)とりあえず、10冊近く持ってきたんですけど。

(プチ鹿島)まあ、本を収集して読み込んで。書評家ですから。

(長野美郷)結構、年代物の本も。

(プチ鹿島)これ、すごい。『時計まわりの青春』。

時計まわりの青春

(吉田豪)はい。これはデビュー時期の本なんですけど。この頃、なにがいいってあれなんですよ。チャゲのビジュアルが、どう見ても初期片岡鶴太郎っていう(笑)。

(長野美郷)(笑)

(吉田豪)完っ全、鶴ちゃんなんですよね。ゴーストブスターズ期の鶴ちゃん(笑)。ひょうきんベストテンの頃のだー!っていう(笑)。これ、83年の本ですね。

(プチ鹿島)豪さんと僕、同世代ですけど。このイメージ、あるますよね?

(吉田豪)ひょうきんベストテン出てる頃。最初のね。万里の河の頃はこれだなっていう。

(プチ鹿島)やってたやってた。こんな感じだった。

(吉田豪)この本を読んでいても、意外だったんですよ。僕、なにがしびれたって、尊敬する男について語ってるんですけどね。『俺が感じている男の理想像』っていうやつで、『尊敬しているのが王貞治である。あの人の物事に対する一途な想い、すごいと思うよ。王貞治物語とか読むと、天性で持っているものじゃないところでがんばってくれた人だから。もう1人、尊敬しているのがアントニオ猪木。笑わないでくれ。本気だよ!』って。丸かぶりじゃないですか!って(笑)。

(プチ鹿島)(笑)。すっごい。長嶋茂雄さんが『好きなのは富士山』って答えたのと同じ清々しさですよね。

(吉田豪)昭和の男はこの2人、好きですけど。ただこのASKAのなにがすごいって、猪木好きが高じて当時、CHAGE and ASKA写真集出してるんですけど、タイトルが『闘魂』で。上半身裸の写真が載っているっていう。完全に、そっちモードなんですよ。

チャゲ&飛鳥 写真集『闘魂』

チャゲ&飛鳥 写真集 闘魂(ザ・チャレンジ)

(プチ鹿島)完全に。やっぱりそこまで好きなんですね。

(吉田豪)好きでしょうがないんですね。いいな!って思うじゃないですか。そこで、当時やっていた雑誌の連載で、質問コーナーがあったんですよ。『CHAGE and ASKAの女好きには呆れてます』みたいな。女性ファンからの抗議の手紙が来て。『ASKAはデビュー当時は石野真子ちゃんのファンだったのに、いまは河合奈保子ちゃんのファンだ。チャゲは松田聖子ちゃんだそうですね。どうして男の人はそうして次々と女の子を変えたりするんですか!?』って。怒られてて。

(鹿島・長野)(爆笑)

(プチ鹿島)あー、これtwitter、SNSがない頃の、のん気でいい話ですね。

(吉田豪)で、それを聞かれてどう答えるのかと思ったら、ASKAは『俺は松田聖子の魅力がわからん』って、まずチャゲを否定するんです(笑)。『河合奈保子の方がいいと思わん?あの胸、最高!』っていうね(笑)。

(プチ鹿島)(笑)。ああ、そうなんだ。

(吉田豪)下衆な答え方をしてて。で、チャゲさんのフォローも下手なんですよ。松田聖子の魅力をちゃんと訴えなきゃと思って言ったのが、『あの子はね、石鹸の匂いがする』って(笑)。

(プチ鹿島)(爆笑)

(吉田豪)松田聖子の魅力の説明として、いちばん不適格っていうか。

(長野美郷)石鹸の匂いがする!?

(プチ鹿島)石鹸の匂いでたとえて。そこがいちばん・・・2人揃って面白いですね。

(長野美郷)なんか、噛み合ってない(笑)。

(プチ鹿島)でも、本当に90年代からミリオンでスーパーブレイクしますけど、たしかに80年代後半ってこんな感じでしたよ。ある意味、親しみやすかった。

(吉田豪)フォーク時代。で、ツアーパンフだったと思うんですけど、ASKAの本があるんですよ。それに『忘れられない一言集』っていうのがあって。これのエピソードが最高なんですよ。チャゲに言われた言葉。『お前、ちゃんと見たんか?』って言われたんですよ。どういうことかって言うとね、映画パルプ・フィクションの人物設定とストーリーの流れがいまいちASKA理解できなかったらしいんですよ。クエンティン・タランティーノの。ところが雑誌のインタビューで大好きな映画は?って質問された時に、チャゲが『タランティーノのパルプ・フィクション』って胸を張って答えたんですよ。

(鹿島・長野)(笑)

(吉田豪)だから、思い切ってわからないことを質問してみたらしいんですよ。するとチャゲは説明するどころか、みんながいる前で『お前、ちゃんと見たんか?』って言い放って。『もう1回、ちゃんと見てみろ!』ってASKAを叱責っていうね(笑)。

(鹿島・長野)(笑)

(吉田豪)で、反省したASKAは理解できるまで見てみようと誓った。ところがチャゲはスタッフの話を聞きかじっていただけで、パルプ・フィクションを見ていなかったっていう(笑)。チャゲの『実は俺、見てないんだよ』の言葉もASKAには忘れられない一言になっているって。ASKA、結構恨みがましいっていうか。こういう話がすごい多いんですよ(笑)。

(プチ鹿島)お笑いのコンビの相方的なエピソードですね。

(吉田豪)ですね。アメトーーク!的な感じじゃないですか。相方酷いって愚痴る感じの。いいんですよ。この愚痴シリーズがすごく良くて。ベストテンの頃のエピソードで、チャゲが石川優子と『ふたりの愛ランド』をヒットさせたんですよ。で、当時ベストテンにも入って。CHAGE and ASKA、ツアー中だったんですよ。で、スタジオ出演できないチャゲのために中継が行われて、その時ASKAもいたから、番組の放送作家が『チャゲと優子とともに映ってほしい』って言ったら、それを拒否したんですよ。そしたら、その放送作家が『ベストテンに出れなくてひねくれていると思われますよ』って言い放ったっていうのを、この忘れられない一言として挙げてるんですけど。

(プチ鹿島)うんうん。

(吉田豪)で、これがポイントが、『その後作詞家に転向した彼。仕事先で数回見かけた時は、向こうはそんなことを言ったことを忘れていたらしい』って。ベストテン出身で作詞家転向って言ったら、秋元康しかいないんですけど(笑)。

(プチ鹿島)(笑)。こんな大御所の遭遇がそこで!

(吉田豪)しかし、憎んでいるっていう感じの(笑)。

(長野美郷)すごい!

(プチ鹿島)すごい。これ、アメリカとロシアの戦争みたいな感じですね。危機みたいな。

(長野美郷)こんな馴れ初めがあったとはっていう。

(吉田豪)しかしそれは忘れていませんっていうね。80年代ぐらいのことをっていう。

(プチ鹿島)80年代ってすごかったんですよ。この間もザ・ベストテン特集っていうのを金スマで見たんですけど、まあすごかった。司会者がふたりともおしゃべりっていう。これ、異常じゃないですか。いま、そんなの無いですよ。で、ふたりとも天才なんですから。

(吉田豪)たしかにふたりともおしゃべりだったはずなのに、司会者が変わるとしゃべらない人が司会になるっていう(笑)。

(プチ鹿島)そう。あれ、なんなんですかね?

(吉田豪)なに、コニタン(小西博之)って?っていう。

(プチ鹿島)ベストテンのWikipedia見るの好きなんですよ。でも、明らかに久米さんが辞めた後っておかしいんですよ。

(長野美郷)どんな風にですか?

(プチ鹿島)だから司会者のブッキング。なんでコニタンなの?っていう。コニタンに恨みはないですよ。ただ、久米さんの後釜として逆を使ったってことが・・・

(吉田豪)口下手な俳優さんですからね。

(プチ鹿島)逆張りをしたってことですからね。こんな話で盛り上がっても、誰得でもないですけどね。

(長野美郷)いや、そうなんだなって。ほー!って。

(吉田豪)ASKAさんのいろんなことを忘れないシリーズで言うと、名著で『インタビュー』っていう本があるんです。幻冬舎から96年に出てるんですけど。これ、どういうものか?っていうと、当時とある雑誌に納得がいかないインタビューが載ったことがあって。『Views』っていう雑誌なんですけどね。それが、インタビュー自体はまだともかく、広告で不本意な感じの見出しをつけられて。それに反論したいけどどうしよう?と思った結果、出した本がこれなんですよ。

『インタビュー』

インタビュー

(プチ鹿島)あ、そっか!いまだったらtwitterとかブログとかで表明できるけど、この時は本を出して表明していた。

(長野美郷)意思表示をするわけですね。

(吉田豪)この本のまるまる半分がこのインタビューに対する抗議みたいな感じで。

(長野美郷)えーっ!

(プチ鹿島)なるほど。で、タイトルが『インタビュー』と。

(吉田豪)でもそれだけじゃ・・・ってことで、前半にほのぼのエッセイとかいろいろ(笑)。

(プチ鹿島)取ってつけて(笑)。

(長野美郷)ほのぼのエッセイってところが、またいいですね。

(吉田豪)子どもの頃の話とか。ただ、ほのぼのエッセイかなと思ったら、急に殺伐とした話が出てきて。タイトルで、『僕にはヤクザの友達がいる』って。ハッとしたりするんですけど。

(プチ鹿島)ちょっと・・・いまになってみると、しみじみしちゃうじゃないですか。なんか。

(吉田豪)というね。ドキドキするエピソード多数ですけど。

(プチ鹿島)あ、そのために本を出すんですね。

(吉田豪)ちなみにこの中でいちばん衝撃を受けるのが、『意外と僕は温和に見られるんだけど、そうじゃない』っていう話で。『僕は温厚に見られるらしいが、一度キレると周りの静止がきかなくなる』って。

(プチ鹿島)ほー。

(吉田豪)それが、万里の河がヒットしていた頃で。夜、マネージャーと3人で移動しようと思ったら、タクシーに乗車拒否されたんですよ。3台ぐらいスルーされて。今度車が現れたら道路に飛び出してでも止めてやろうと思って、反対側の車線に行ったらようやく止まったと。やった!と思ったら、乗った瞬間に『逆じゃねーか?あっちで乗れよ!』って、挑戦的な態度で文句を言ってきたっていうね。

(プチ鹿島)(笑)

(吉田豪)で、『普通はこういうキレそうになった時にカウントが聞こえるのだが、この時はいきなりだった。ブチン!完全になってしまった』って。『「どういうことですか?」。これをちょっとだけ乱暴な言葉で言った。「だから逆だって言ってんだろ?」。「言ってんだろ?」とても失礼な人だ。そんな僕の目の前に、偶然にも運転手の背中があったものだから、足が前に触れる程度に軽く動いてしまった。ドカッ!あれっ?この野郎!』って。ぜんぜん軽くじゃないですよ!っていう(笑)。

(長野美郷)結構な力が・・・。

(吉田豪)すごいんですよ。これがずっと続くんですよ。

(プチ鹿島)これ、みなさん、本ですからね。で、書いてるわけですよ。

(吉田豪)『「君、そんな言い方はないだろう?」を少しだけ適切ではない表現で言った。そうすると彼は僕に「なんだ、この野郎!」と立ち向かってきた。アントニオ猪木の真似なら俺のほうがずっと上手いなと思いつつ・・・』って(笑)。

(プチ鹿島)あ、猪木信者だな。本当に。

(吉田豪)『振り向いて威嚇する運転手の背中に、もう一度足がフワリとかすってしまった。ドカッ!撫でた程度だと記憶しているが、彼は不思議と前につんのめった』って(笑)。文体は上手いんですよ。

(プチ鹿島)上手いから、その描写すごいですよ。

(吉田豪)文章力、あるんですよ。面白コラムニストとしての技術があるんですよ。キレている話をこうやってポップに表現できる。

(プチ鹿島)(笑)。なるほどねー。この頃って、まだ知らないでしょ?

(長野美郷)80年代後半ってことは、私86年生まれなので。

(プチ鹿島)そっかそっか。じゃあぜんぜんだわ。やっぱり、スーパースター。ミリオンを出すチャゲアスをやっと覚えているぐらい?

(長野美郷)はい。それぐらいですね。

(プチ鹿島)どうですか?こういう男の人って。なかなかいま、いないでしょ?

(長野美郷)あんまり自分の周りにはいないので。

(吉田豪)まあ、昭和はいっぱいいますからね。タクシーとかでこうやってキレる人はいっぱいいたんですよ。昭和の芸能人って。それで休業になる人がいっぱいいたんですよ。

(プチ鹿島)あの、某アナウンサーだってそうだったんですよ。

(吉田豪)某大物漫才師の方とか。いろんな人が。

(長野美郷)タクシーの中でってことが多かったんですか?

(吉田豪)多かった。後ろから蹴る事件が多々あったんです。当時。

(プチ鹿島)とんでもない事件が多数あったんですよ。

(長野美郷)あら。なんでタクシーなんでしょう?

(プチ鹿島)なんででしょう?って、蹴っちゃう人だからですよ。

(吉田豪)よくあったんですよ。そういうことが。ところが、ASKAもそうだったという。

(プチ鹿島)ASKAもじゃあその一連の流れに乗っているわけですね。運転手さんもおちおちしてられないんですよ。

(長野美郷)そうですよ。後ろからの・・・ものに。

(吉田豪)いまはね、プレートとかあったりとかでね。安全にはなってますけどね。昔はもっと自由な感じで。そうなんですよ。これ、マネージャーがフォローを入れるんですよ。『マネージャーは、アーティストにこんなことをさせてはいけない。事件になってしまう。ここはすり替わらねばと思ったらしく、「この野郎!口の聞き方に気をつけろ!」と運転手の肩口を掴んでいる。僕は、なんて暴力的なマネージャーなんだろうと思い、そしてこれは僕が先に見つけたお話なのにと取り戻した』っていうね(笑)。

(プチ鹿島)ぜったいだからしちゃいけませんよ、タクシーで。運転手さんとかいま、聞いてますから。もしかしたらもっと嫌だった芸能人もいるかもしれないので。こっそりメール送ってください(笑)。

(吉田豪)『僕もASKAさん、乗せました』みたいな(笑)。

(プチ鹿島)『僕も蹴られそうになりました』みたいなね。

(長野美郷)GoodJobニッポンまで送ってください。

(吉田豪)それ、すごい読みたいですね。

<書き起こしおわり>
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