<音源スタート>
(愛川欽也)はい。それではね、寒い中ね、髪の毛と歯が冷え切ってる2人を呼びましょう。宏くーん?
(久米宏)はい、こんにちは!
(愛川欽也)寒いの大変ね。レミさーん?
(平野レミ)はーい、こんにちは!
(愛川欽也)はい。また笛吹いて、どうぞ。
(久米宏)今日はまた、あの3日目ですけど。サンコーの新田店でございますけどもね。お店の前に焼き芋屋さんが陣取ってましてね。
(平野レミ)陣取っておりましてねえ。
(久米宏)それで今、お店の中に入ってきたらお店の中が焼き芋屋さんの煙で煙っちゃっていて(笑)。
(平野レミ)本当、モヤモヤね。ずっとね。
(久米宏)というわけでキャラバンのところにも煙が時々、風の向きでパッと……今日は風が強いですからね。
(平野レミ)3個70円で売っておりましたよ。私、買ったの。
(久米宏)3個が70円ですか?
(平野レミ)3個70円。細っこいのが3個70円。
(久米宏)細っこいの?
(平野レミ)ごぼうのヘタぐらいあるのよ。
(久米宏)ごぼうのヘタ? ナスのヘタなんていうのは昔、言いましたけどね。
(平野レミ)ナスのヘタ? それぐらいのが3個で70円。だから皆さん買いに行きたい人は行きましょう!(笑)。
(久米宏)アハハハハハハハハッ! というわけで今日はこの冬に入ってから、また久しぶりの寒さで。マイクロフォンが冷たいですね。
(平野レミ)そうですね。やけに冷えますねえ。
(久米宏)ここがまた、おまけに日陰ですからね。
(平野レミ)そうですねえ。
(久米宏)日陰なのに風だけはやけに来るという、そういうところで今日は始めたいと思いますので行きましょうか。
(平野レミ)はいっ!
(久米宏)まあバカみたいにいつもと同じ男が最前列にいるけれども。いい加減、嫌になっちゃうね(笑)。ちょっと今日は変えましてですね、なんかやろうと思ったんだけども、やっぱりいいや。
(平野レミ)今日は「男が出るか、女が出るか」じゃなくて「女が出るか、男が出るか」でやりましょう。
(久米宏)今日は「女が引っ込むか、男が引っ込むか」。
(平野レミ)はい。じゃあそういう風にやりましょうか。
(久米宏)Bの6番を使ってやりましょう。
(平野レミ)はい、じゃあBを押しました。あと6番を押すと男が出るか、女が出るか? あっ、男が引っ込むか、女が引っ込むか? なさりたい方、手を挙げてーっ!
(観客)わーっ!
(平野レミ)じゃあ、どなたにしーましょうかー?
(久米宏)それではまた例によって若くて美しい方を……。
(平野レミ)ああ、こちらの方ですか?
(久米宏)はい、どうぞどうぞ。
(平野レミ)こんにちは! あ、お姉さんですか?
(久米宏)お名前は?
(観客)イズミです。
(久米宏)イズミ、なんですか?
(観客)マサコです。
(平野レミ)イズミマサコさん。イズミマサコっているんじゃない? どこか、俳優かなんかで。男を引っ込めたい? 女を引っ込めたい? どっちを?
(観客)男の人です。
(平野レミ)男、引っ込めたいの?
(久米宏)そうすると女が出てくるわけですね?
(平野レミ)女が出た方があんた、好きなの?
(観客)はい。
(久米宏)じゃあ6番、行きましょうか。
(平野レミ)あららららららら! 独身でしょう、今ね。ほら、やっぱりそうだわ。わかっちゃった。
(久米宏)みんなレミちゃんみたいにバンバン結婚する人とは限んないんだからね?
(平野レミ)そうかしら? いや、でも1回目よ。結婚……。
(久米宏)まだ1回目なの?
(平野レミ)そうよ! なに言ってんのよ、久米さん。
(久米宏)じゃあイズミさん、6番を押してみてください。
(平野レミ)さあ、押してみて!
(久米宏)女が出れば当たり。
(平野レミ)はい、6番! 6番って書いてあるのが6番じゃないですか。はい。6番を押しました!
(男が出るか? 女が出るか? 男が出るか? 女が出るか?)
(平野レミ)はい、来た! ほい、来た!
(久米宏)どっちかな?
(曲のイントロが流れる)
(久米宏)さて、イズミさん、なんでしょうか?
(平野レミ)これは男が引っ込みましたか?
(久米宏)これはかの名曲ではないですか。あら、男が出っ張ったみたいですね。
(平野レミ)男が出っ張った……痛い! なんでひっぱたくのよ? ひどい!(笑)。
(久米宏)イズミさんにはSBの方から大外れセットですね。聞いてもらいましょう。
(平野レミ)アハハ、大外れー!
(久米宏)北島三郎さん歌うところのかの名曲、北島サブちゃんです。行きましょうか。『函館の女』。北島三郎さん、どうぞ!
<音源おわり>
(安住紳一郎)私もね、「男が出るか、女が出るか?」というフレーズと共に平野レミさんが大活躍していたという話は聞いていましたが、まさかここまでだとは思っていませんでした(笑)。
(中澤有美子)とんでもない疾走感ですね(笑)。すごいですね!
(安住紳一郎)すごいですね。ただね、言い訳じゃないけれど。何本か聞いたんだけど、これはまだしっかり聞き取れる方だから(笑)。
(中澤有美子)そうなんですか(笑)。
(安住紳一郎)もっと聞き取れないの、たくさんあったの(笑)。今回はその、なんか現場のノリで「男が引っ込むか、女が引っ込むか」っていうちょっと複雑な構成にしたもんで、2人のトークが少しペース落ちたみたいね。
(中澤有美子)ああ、なるほどですね(笑)。
(安住紳一郎)どうでした? ねえ。むしろ今の料理研究家の平野レミさん、皆さん、知ってると思いますが。当時と比べると今はね、相当ゆっくりしゃべってますでしょう?
(中澤有美子)そうなんですね。スローダウンなさったんだなって。
(安住紳一郎)スローダウンしてるっていうか相当、平野さんが時代に合わせて自分を変えてるっていう。なんかむしろ申し訳ない気持ちになりませんか?
(中澤有美子)ありがたいですね(笑)。
(安住紳一郎)たぶん平野さんは戦場カメラマンくらいゆっくりしゃべってますよ、きっと。
(中澤有美子)ああ、体感としてね?(笑)。
(安住紳一郎)体感としては。すごいよね! そしてやっぱりもうね、時代が時代だから。もうラジオネームなんて生ぬるいこと、言わせてないもんね。本名、苗字から名前まできっちり言わせて。「なんかいつも来てるバカみたいな男が最前列にいますね」なんて言って。
(中澤有美子)本当ですね(笑)。サラッと言ってましたね。
(安住紳一郎)サラッと言ってましたよね? うん、うん。今だったらね、「ああ、いつも見に来てらっしゃる方がいらっしゃいますね。こんにちは」ぐらいな感じになるんですか? そうでしょう(笑)。「いつも来てるバカみたいな男が最前列にいますね」みたいな……ひどい(笑)。この50年間でいかにね、世の中が変わったかという。そしてラジオも聴きやすいものになりましたね。
(中澤有美子)ああ、そうですね。でも、あの速さだと本当に耳をそばだてて聞いちゃいますね。
(安住紳一郎)たぶん全部聞き取るっていう必要はなかったんじゃないかなと思いますね。きっとね、なんとなく雰囲気で……今はなんかもう、一語たりとも言い淀んじゃいけないとか。字幕スーパーがあったりとかするんで、とかあるのかもしれないけれど。もうなんか、雰囲気でやってましたもんね。なんかね。もうなんか、ちょっとわかんなくても振り返らないみたいな。行っちゃうみたいな。「おっとこが出るか? おっんなが出るか?」なんて。「わかんない、わかんない。6番、6番押してよ、6番! もう! もう押したの? 押してる? 6番、押したよ!」なんて(笑)。
(中澤有美子)ねえ。声が裏返りながらね。
(安住紳一郎)本当ですよね。そしてこの放送の2年後に『料理天国』と『ぴったし カン・カン』が始まって、その5年後に『ザ・ベストテン』。そしてフリーに転身して『TVスクランブル』『ニュースステーション』と続いていくという久米さんの履歴になるわけですが。こうやって聞きますと『ザ・ベストテン』での黒柳徹子さんとのやりとりが久米さん、ずいぶんフィーチャーされること多いですけれども。徹子さんの前にこれ、確実に平野レミさんと作り上げた原型、源流があるなという感じがしますよね。
『ザ・ベストテン』黒柳徹子とのコンビの原型は平野レミ
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)時代というかまあ、勢いを感じますよね。
(中澤有美子)勢いを感じました。
(安住紳一郎)中澤さんは正直な、ところどうですか?
(中澤有美子)もしこの時代だったら私はとても、一言も発せずに終わっていたかもしれませんね。
(安住紳一郎)そうですよね。もう、今のラジオをやってる人間がこの現場に行ったら瞬殺ですよね。たぶんね。
(中澤有美子)そうですね(笑)。「あっ、あっ、あっ……」って言っている間に(笑)。
(安住紳一郎)「あ、あ、あ……」っていう感じですよね。まあ、どっちの時代がいいか?っていうのは皆さんの判断にお任せしますけれど。メールを一通、ご紹介します。鴻巣市からいただきました。「久米さんの突然の訃報に驚きました。朝の番組で安住さんが昔、お世話になった林美雄さんの名前などを出していて、そういえば10代の頃はラジオをよく聴いていたなと懐かしくなりました。一挙に記憶の波が押し寄せ、久米さんがパーソナリティをされていた『土曜ワイドラジオTOKYO』がとにかく面白かったこと。今、思うと際どい内容も多かったような。久米さんとおすぎとピーコさんですごく盛り上がっていたこと。私は当時、昭和の平凡な高校生。土曜日の夕方、壮大なエンディング曲が流れ始めると『ああ、土曜日が終わってしまう』と寂しくなったこと。取り出すことのなかった記憶が鮮やかにというか、セピア色によみがえった気がいたしました。
もちろん、テレビでも大活躍。『ザ・ベストテン』も『ぴったし カン・カン』も大好きでしたが、私の中では何といっても『土曜ワイドラジオTOKYO』の中の久米さんの声が燦然と輝いているのです。偉大なパーソナリティの久米宏さんのご冥福をお祈りいたします。若き日に好きだった土曜ワイドのエンディングテーマ曲。タイトルもわからず、飛行機が大空を飛び立っていくような壮大な感じという記憶だけなのですが、リクエストできないものかとメールいたしました」。たぶんね、この曲じゃないかなと思います。筒美京平さん作曲『Love Adventure』。演奏は紅の翼。久米さんの番組のエンディングテーマです。
紅の翼『Love Adventure』
(安住紳一郎)当時は完全週休二日ではないので土曜日の午後っていうのはたぶんまた今とは違った華やぎがあったんじゃないかなと思います。軽快なエンディングテーマ、フュージョンに乗せて交通情報なんかもね、この曲に乗せてお送りしていたそうです。なんか久米さんのね、早口な声が重なって聞こえてきそうですよね。
(中澤有美子)本当にそうですね。
(安住紳一郎)筒美京平さん作曲、紅の翼『Love Adventure』をお聴きいただいています。久米さんは1967年、昭和42年からTBSでアナウンサーとして活動を始めまして。私、安住紳一郎が1997年、平成9年スタートなのでちょうどその差がジャスト30年と離れています。久米さんの67年から10年離れて77年に古舘伊知郎さん。そして私の師匠格である三雲孝江さんが10年遅れ。そして10年、さらに空いて87年に宮根誠司さん。10年空いて私。で、2007年に今、夕方ワイドをやっている井上くんと朝、やっている杉山くんが来るということで。ちょうどね、10年飛びでこういう顔が並んでいるということで。皆さんもなんとなく立体的に年齢構成がわかったのではないでしょうかね。うん。面白いですよね。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)うん、そうなんですね。そしてこの1週間、久米さんの残された功績などはたくさんの皆さんが紹介されていますのでもう、私がする話などは出尽くしてしまっているんですが。何か話せることがあったかなと思って考えていたんですけれども。とにかくね、もう久米さんは優秀な方だったんで。久米さんの通った道っていうのが30年、離れてますけども、はっきり残っていましたね。「久米の前に久米なし、久米の後に久米なし」なんてね、言われて。「TBSの男性アナウンサーは久米さん以外は……」というような、そういうような論調もあってずいぶん悔しい思いをした先輩も多かったようですけども。
一方で久米さんの残してくれたもので私たちがその後もまあ、滑空していたみたいなこともあったわけでね。やっぱり久米さんには頭が上がらないというところがありますよね。『ぴったし カン・カン』という番組を久米さんがやっていて。そしてそのリメイク版ということで私が『ぴったんこカン・カン』という番組が始まったんですけども。最初は完全にリメイクだったんですよね。ただ、最後はもうどう見てもロケ番組になって。2時間番組でも最後にクイズをなんか間に合わせで1問やるだけみたいな感じ、おかしなことになってましたけども。それはまあ、久米さんの『ぴったし カン・カン』のリメイクっていうことを最後まで踏襲するということだったんですよね。
(中澤有美子)そうだったんですね。
(安住紳一郎)そして『ザ・ベストテン』も後年、11年後かな? 『復活!ザ・ベストテン』というものを2007年からかな? 2000年から2005年か。6回かな? 私が担当することになって。私も当時26歳だったのかな? ちょっとね、まだよくわかってなかったんでできたんでしょうけれども。まあ大変な大役をいただいて、プレッシャーの中、もがいていたという感じがしますね。いやー、ちょっとね、自分語りが長くなってますけれども。『Love Adventure』をお聴きいただいていますけどもう1曲、有名な『土曜ワイドラジオTOKYO』のテーマ曲がありまして。これは初期の永さんがエンディングで使っていたと思いますけれども。『American Melody』という曲がありますので、お聴きください。
The John Scott Orchestra『American Melody』
(安住紳一郎)永さんの初期の『土曜ワイドラジオTOKYO』のエンディングテーマということで。いずれにせよ、やっぱり当時のラジオ番組の勢いを感じますよね。なにかこう、壮大な映画のエンディングのような曲になってますけれども。先ほどの話の続きですけれども、『ザ・ベストテン』をおこがましくも私が後継ということで少し、復活の特別番組を担当させてもらうことになって。当時、プロデューサーの山田修爾っていうね、名物演出家がいて。「お前、きょうだいは?」なんて言われて「二つ上に姉がいます」なんて。私、安住紳一郎のことなんですけども。「じゃあ、お前でいいよ。決まりだな」なんて言って。久米さんもお姉さんがたしか2人、いらっしゃって。そういうなんかきょうだい構成をヒントに私にそういう役を与えてくれたというようなこともありました。