安住紳一郎 テレビ・ラジオの選挙報道姿勢の変化を語る

安住紳一郎 テレビ・ラジオの選挙報道姿勢の変化を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中でここ10年ほどで大きく変化したテレビ・ラジオの選挙報道の姿勢について話していました。

(安住紳一郎)それから、今日は都議会議員選挙の投票日ですね。東京都の都議会議員選挙の投票日。東京にお住まいの方はもちろんですけども、全国的にも注目されている地方議会議員選挙が行われますが、42の選挙区で定数が127ということですが。259人が立候補していまして、今日が投票日。夜8時まで投票できると思いますが。これから選挙という方もいらっしゃると思います。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)ここ10年ぐらい、選挙……特に告示されてから、選挙運動が始まってからのテレビやラジオの選挙に関する伝え方がずいぶんと様変わりいたしまして。放送法の4条ですかね? 「政治的に公平であること」と「意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という、そういう決まりごとがあるんですけども。それをかなり厳しい運用の仕方が世の中から求められているという環境の変化がありまして。

(中澤有美子)ええ、ええ。

放送法第4条の厳しい運用が求められる

(安住紳一郎)本来ですとね、選挙の前日とか投票日こそ最も選挙に対するいろいろな情報が知りたいなと思うところなんですけども。選挙の大勢に影響を与えてはいけないし、公平でない場合が多いという反省をもとに、最近は選挙がないが如く振る舞うというのがスタンダードになりつつありまして。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)なんでいま私がね、「今日は東京都議会議員選挙の投票日です」って言うと、もうそれすら、ちょっとドキッとする。「なにをこの人、言おうとしているんだ!?」みたいな。

(中澤有美子)「そこまでにしておいてください」みたいなね。

(安住紳一郎)私、まだ何も言っていないですよね? 不公平なこと何も言っていないですね。どっちにも、何も言っていないですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)いや、本当にここ10年ぐらいで私も、働き始めて20年ですが。ずいぶんと変わったなと思いまして。本当に。ちょうどね、選挙運動が始まる前まではさんざんやっているんですけども、選挙運動が始まった途端にもう「そんなことは知りません」みたいな。選挙が全くないが如く振る舞うっていうね。

(中澤有美子)そうなんですよねー(笑)。触れてはいけない。

(安住紳一郎)そうなんですよ。で、私、昨日みたニュース番組でうっかりなんか他のニュースにその該当する選挙に立候補する人の顔なのかポスターなのか垂れ幕なのかが映った場合はそこにモザイクがかかるんですよ。すっごいですよね。映ってもならないという。

(中澤有美子)背景として映るのも?

(安住紳一郎)背景として映ってもいけないし、そういうちょっとしたなにかバラエティー番組などで塀に貼ってあるポスターなども当然ね、モザイクがかかるということなんですよね。しかも、最近はいろいろな人の顔が出ているポスターなんかがありますから。もう、「なんでこのシーンは後ろがモザイクだらけなんだろう?」ってよくよく考えてみたら、選挙のポスターがいろいろと貼ってあったのでモザイクがかかっているということなんですね。

(中澤有美子)うんうん。

(安住紳一郎)放送法が適用になるのがラジオとテレビなので、その点新聞や雑誌などはもう、いろいろな情報があるということになりますからね。何かその、そこにちぐはぐさもちょっと面白いものがありますよね。

(中澤有美子)うーん。8時からはね、一斉にまた触れることが。

(安住紳一郎)そうなんです。その反動っていうんですか? 投票締め切り後になるともう、各放送局の人たちの腕がもう、手首が捻挫したのか?っていうような「手首クルン!」。手のひら返しがなんか、急にね。「やりすぎだろ!」っていうぐらいな行動の仕方になるっていうね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

ものすごい手のひら返し

(安住紳一郎)面白いですよね。見ていてくださいね。本当に。本当、すごいですよ。ええ。本来ですとね、今日こそいろいろな選挙に対するみなさんが知りたい情報をお伝えするべきだと思うんですけども。なかなかそういう環境ではないということですね。ただ、今回の場合は東京都議会議員選挙ですから。国の政治、国政に関することはやってもいいんですけどね。その、国政の感じのものを東京都議会議員選挙の方とに関連づけるような、そういうようなことがダメなんですよね。なので、そういうやり方があるんですね。うん。ですって。みなさんはどう思いますか?

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)私はもう新たな手段として、「私自身が迷っている」ということをお伝えするみたいな、そういうスタイルが面白いかなと思って。

(中澤有美子)そうですね(笑)。正直なところを。

(安住紳一郎)そうですよね。なんでも正直に言えば済むっていうものでもないですけども。ええ。海外なんかだとね、伝え手がまず自分がどこの政党を支持しているみたいなことを先に伝えちゃうということで、ある程度の公平性っていうか。もう先に言っちゃうんで。要するに「私はジャイアンツファンである状態で伝えるスポーツニュースだよ」みたいなことを先に言っちゃうみたいな。

(中澤有美子)ええ、ええ(笑)。

(安住紳一郎)で、「こいつはジャイアンツファンだからな。どうしてもジャイアンツ贔屓にやるよね」みたいなことで、逆にそれで公平性を保つというやり方もあったりするわけですけどもね。私自身、都議会議員選挙。東京都にいま住所がありますんでね。どこに投票するか迷っているということでいいですか?

(中澤有美子)大丈夫です(笑)。

(安住紳一郎)(笑)。それはそれで「大丈夫かよ?」っていう話になるかな? 普段から何も考えてないんだねっていうことになっちゃう? どうですか?

(中澤有美子)そうかもしれない(笑)。

(安住紳一郎)新しいスタイル?

(中澤有美子)もうどうしよう?(笑)。

(安住紳一郎)「どうしたらいいんだろう? 誰か、教えてください!」みたいな。「来ました!」みたいなね。

(中澤有美子)そうなんですよー。難しくて。

(安住紳一郎)どうでしょう? 送り手の方に情報弱者が回った、新しいストロングスタイル。

(中澤有美子)どうしましょう(笑)。

(安住紳一郎)どうしましょうね。「どうしたらいいんだろう……?」なんて。「誰に投票したらいいんだろう?」みたいな。

(中澤有美子)嫌だ(笑)。

(安住紳一郎)ちょっと嫌ですよね。面白い!

(中澤有美子)ですね(笑)。

<書き起こしおわり>

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