(佐久間宣行)で、「よっしゃ、行くぞ!」みたいなことを言うのかなと思ったらリアムが……これ、英語の感覚ね。俺はその時、わからなかったけど。「よっしゃ、行くぞ!」までは言った。でもその後、「Turn Around」とは言ったの。「ああ、ポズナンをやれってことかな?」と思ったらテンションが違って。「Turn Around……うーん、Don’t ◯✕※△……」って。そしたらその隣の人が「無理してやらなくてもいいって言ってるぞ?」っつって(笑)。「本当!? リアムが無理してやらなくていいって言ってるの?」ってなって。それで後で翻訳を見たら、どうやら1日目にやらなかったことがショックだったのか、わからないんだけど。
「後ろを向け。でも無理すんな。やれるやつだけやればいい」ってリアムは言っていて。「気が向いたら後ろを向いて隣のやつと肩を組んで思いっきり跳ねろ。なあ。兄ちゃんたちもみんな。ふざけるんじゃくて、やれよ? それがポズナンだ。でもな、やりたくねえやつはやらなくていいぞ」って言ったらしいんだよ。で、たしかに英語で俺、その時に「なんか優しく言ってるな? 先生みたいに」って思っていたの。でも、イントロが鳴った瞬間、日本人すげえなと思ったのがXで1日目、できなかったって人たちの声がちゃんと伝わってるんだろうね。アリーナ席からみんな、全員立ち上がって。で、俺はその翻訳してた兄ちゃんと目が合ってガッと肩を組んで。大井さんとも肩を組んで。で、みんなで後ろを向いて「オッ、オッ、オッ!」ってやって。
それで会場中が……後ろを振り返ったら、アリーナも揺れているのよ。で、ブワーッ!ってなって。「イエーッ!」ってなって。『Cigarettes & Alcohol』が始まって。だから日本人、ちゃんと学習するからさ。「親方に恥かかせたくない」っていう一心で。だから去過去最高ぐらい、映像でも見たことないくらいのポズナンになっていて。そしたらリアムが曲が終わった後、みんなを静かにさせてしゃべり始めたの。これ、翻訳ね。「言ってたんだよ。東京じゃ無理だって。日本の観客は席に座ってじっとしてるのが好きなんだってな。ポズナン? やるわけねえだろう? 時間のムダだよってみんな、言ったんだ。お前ら、やったな! ちゃんと証明したな。東京、最高だよ!」っつって。マジで矢沢永吉みたいだなと思って(笑)。もうすごい揺れてたから、びっくりしたんだろうね。すげえグッと来ていて。
Oasis『Cigarettes & Alcohol』
(佐久間宣行)「あと、ちょっと笑っちゃったのは『Supersonic』っていう曲があるんだけど。その最後の方、ノエルが……まあみんな30年間、死ぬほど聞いてるからわかるんだけど、明らかにミスったんだよ。ギターを。ベーンって変な音がして。明らかに……って思っていたら、カメラに映ったノエルが恥ずかしそうに笑ってたの。そしたらリアムがノエルを……これ、今までのオアシスだったら「やばい。これ、リアム帰っちゃうかも?」みたいな。そのぐらいの空気だから。マジで。「何やってんだよ?」みたいな。自分の歌の時にね。そしたらリアムが……それは英語ができる人が言っているのを横耳で聞いたんだけど。
『Supersonic』で明らかにミスったノエル
(佐久間宣行)「だから言ったじゃないか。お前、ライブ前にチキン◯◯麺を食ったから手が滑ったんだろう?」ってとかってリアムがいじっていて。で、ノエルが「まあまあ。あのラーメンのせいにしておいてくれよ」っつって。そしたら近づいていって。その後、たぶんノエルだけの曲だったのよ。で、ノエルだけの曲ってリアム、いなくなるんだけど。いなくなる瞬間、兄貴の頭にチューして(笑)。「やーめーろーよー!」とかっつって去っていくの(笑)。「嘘だろう? 俺たち、何を見てんの? じじいだぜ? えっ、なんか取り戻そうとしてるの? わかんないんだけど?」っつって(笑)。「次はちゃんと決めるわ」っつってノエルが言って。
で、ノエルの歌が終わってそこまではリアムが「ありがとう」とかって言っている時、ノエルは黙ってたんだけど。ノエルの曲が終わったらノエルが「ムーチョグラシアス」っつって。「えっ、ちょっと待って? なんで? なんでお前はスペイン語なの? ありがとうって言えばいいじゃん? 絶対に知ってるじゃん? 弟がありがとうとか言ったから言えないとかじゃないだろ?」って(笑)。
で、「ありがとう。いい感じだな」っつって戻ってきて。次の曲。「Next……◯※△※、What……」って言った瞬間に隣のお客さんが「Ever!」って言ったから「ええっ? 『What-Ever』ってそんな掛け声、あるの!?」って思っていたら本当に『Whatever』が始まったから。「えっ、そうなんだ? くそー、それはXで回ってこなかったな。『Whatever』。悔しいな!」って思っていて。でも後で調べたら、本当にただ「次の曲、なんだと思う?」って言っただけだったんだって。だからそれは隣の人もただの勇み足だったんだけど。まあ別にいいんだけど。よく考えたら、そいつしか「Ever!」って言ってなかったなと思って。
Oasis『Whatever』
(佐久間宣行)で、まあまあ、それで本編ラスト。「東京のビューティフルな野郎ども。今夜は最高だったよ。本当にありがとう! これがラストの曲だ」っつって。もう俺からしたらだってね、ラストの曲だって言ってるので代表曲の中のどれかなんだろうなと思ったんだけど。これは翻訳、後で調べたら「この1曲をここにいるすべてのロックンロールスターたちに捧げるぜ」って言っていて。その後に「You」って言っていたからなんだろうって思っていたら「今夜の客席がロックンロールスターだらけじゃねえか。お前らのことだよ」って言った後、『Rock ‘N’ Roll Star』っていう曲を歌ったのよ。
Oasis『Rock ‘N’ Roll Star』
(佐久間宣行)「えっ、サービスしすぎじゃない? 泣いちゃうんだけど!」っていう。で、その「デーン、ダダダダ♪」ってイントロが流れた瞬間、もう体中で鳥肌が立っちゃってさ。かっこよすぎるっていうか。客あおりがうまくなりすぎないんだけど? そんなバンドだったっけ?っていう。で、本編が終わって。で、鳥肌がまだ収まらない中、まだやっていない代表曲というか、とんでもない曲が残っているから。まあアンコールはあるだろうなと思っていて。でも俺、セトリを知らないからどうなってるのかな?って思ったら、体感5分ぐらいでオアシス、すぐに戻ってきたんだよ。
「えっ、こんなにすぐアンコールやってくれる人たちなんだ?」っていう。もう感覚的には、昔だったらもう酒を入れちゃって、みたいな感じだったんだけど。物販のTシャツこそ着てこないけど、そういうバンドぐらいのスピードで戻ってきて。で、まずはノエルだけが戻ってきて、メンバー紹介よ。それもなかったと思うんだけど、メンバー紹介をバーッとして。1人ずつ紹介して。「最高のバンドだぜ!」って。それで『Don’t Look Back In Anger』っていうね、本当に有名な曲。それを歌ってるぐらいから徐々に会場を盛り上がっていった時、たぶんサビ前ぐらいに「一緒に!」みたいなことを言ってノエルが歌うのをやめて。
そしたら今日イチというか、俺がライブで聴いた史上一番の合唱。大声の。イギリスの映像とか、海外の映像で見たよりもすごいやつ。「うおー!(ドーン!)」って。もう世界のアンセムだから。ブワーッとなって。日本人、たぶん誰も歌詞の意味とか細かいところはわかんないけども。もう音で覚えてるから。俺たち全員。「So…♪」って言えちゃうからさ。そこでもう我慢できなくなっちゃって、涙が出ちゃって。全部の音に包まれて。
Oasis『Don’t Look Back In Anger』
(佐久間宣行)で、たまらず2番のところだけ的には撮影はOKなんだけど。あんまり俺、映像って残さないんだけど。もうノエルは一瞬で、客席を撮っちゃったもんね。で、客席を撮っていたらみんなさ、もう万感の思いなんだけど。俺の目の前にいたビールを飲んだイギリス人2人がいねえんだよ。絶対にトイレに行ってるんだよ。アンコールのタイミングで。たぶん(笑)。
もうビール飲み過ぎて、あいつらはたぶんトイレで歌ってるよと思いながら。残念だな。小便しながらたぶん「So…♪」って歌っているんだよ(笑)。間に合わねえだろ、お前っていう。2人、いなくなっていて。で、リアムが戻ってきて今度は『Wonderwall』っていうね、みんな知ってる世界的に有名な曲を歌って。それも大合唱。
Oasis『Wonderwall』
(佐久間宣行)2曲連続大合唱になって最後、リアムが……これは翻訳からなんですけど。「東京のお前ら、これが最後の曲だ。もう30年もここに通ってきたけど、お前ら、いつだって最高だったぞ。東京は特別な街だ。長い間、俺たちを支えてくれてありがとうな。感謝している。俺たち、最悪なこともたくさんあったよな?」っつっていて。「そうだよ。特にお前だぞ?」と思いながら(笑)。
「俺たちはこんな扱いを受けるに値しないほど愛されている。言いたいこと、わかるだろう? 本当にありがとうなってことだよ。『Champagne Supernova』。またな!」っつって。で、『Champagne Supernova』をブワーッとやって終わって。
Oasis『Champagne Supernova』
(佐久間宣行)それで演奏が終わってステージの中央でリアムとノエルが抱き合って、ハグして。それをみんなで拍手して。で、そこからみんなふわふわしたまま、ニヘラニヘラと笑ったまま、もうなんだかよくわからないままに大井さんと「すごかったですね」「夢見てるみたいでしたね。あと、人って成長するんですね」って言いながら。「俺たちもなんか、成長しているんですかね?」とかって言いながら、ふわふわしたまま。
「大井さん、俺、この後、焼き肉を予約してるんで。2人で感想戦しましょう」っつって。ふわふわ雨の中、15分から20分ぐらい歩いて焼き肉屋に着いたら時間を間違えていて。「まだ入れません」って言われて。それで大井さんと2人でバーガーキングに行ったんだよね。フハハハハハハハハッ! バーガーキングで熱い話して、焼き肉屋に行く頃にはもう話すこと、なくなっちゃったんだけど。まあ、最高の夜でした。生きててよかったですね。一生忘れないと思います。
(中略)
(佐久間宣行)メールです。「『Don’t Look Back In Anger』を聞きながらおしっこをしてみたら、めちゃくちゃ気持ちよかったです。佐久間さんが見たイギリスの人は狙ってトイレに行ったのかもしれません」(笑)。
「So…♪」でするっていうこと? そんな気持ちいいか?(笑)。そんなこと言ったら別になんだって気持ちいいじゃねえかよ(笑)。通の楽しみ方か? まあでも、たくさんね、YouTubeにいろんなライブの映像が残っていて。全部撮影可なのでぜひ見てみてください。日本の合唱も素晴らしいなと思いますしね、感動しました。そういうアーティストが人生にいてくれるっていうのは本当に素晴らしいことですよね。
あと、オアシスですらこのぐらい待ったんだから今、好きなバンドがね、いつそうなるかわからないからたくさん見ようかなと思いましたね。まあ、もちろん番組とかもそうですけどね。そう思いました。
佐久間さん、オアシスの東京ドーム公演、めちゃ楽しんだみたいでよかったですねー。来日公演前に喧嘩別れするリスクも高そうだと言われていましたが、ギャラガー兄弟も人間的に成長していたんですね。素晴らしい!