星野源さんが2025年5月13日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身のニューアルバム『Gen』についてトーク。6年ぶりのリリースとなった理由やタイトルに込めた思いなどを話していました。
(星野源)そんな感じでですね、いろいろお知らせがありましたが。いや、もう本当、無事にというか、やっとですね、アルバムがリリースして本当に嬉しいですね。それで今、いろいろね、インタビューとかしてもらって、そのたびに話しますけど。「今の気分はいかがですか?」みたいな。で、「ほっとしました」みたいな話をするんですけど。「なんでこのぐらい時間がかかったんですか?」みたいなことを毎回、聞かれるのでここでも話そうかなと思うんですけど。
コロナ禍の影響
(星野源)やっぱりなんだかんだ、一番大きいのはコロナ禍になってしまったというのが一番大きくて。たぶんコロナ禍がなかったら3年前ぐらいには出ていたんではないかと思うんですけど。で、コロナ禍でいろんなものがストップして、やろうと思ったことが全部、できなくなっちゃったんですよね。それは今もできてないですね。
なんですけど、それを機にというか、それをどうにかポジティブにというか、面白くしようっていう思いもあって。家から外に出られない時間を使ってですね、1から作曲の方法を変えて。DAW……自分のパソコンの中で打ち込んだり、自分で生演奏したりして1人で全部音楽を構築できるようにする。そういう勉強を1からしました。
今まではギター1本で録音して作って、それを譜面に起こしたりして、バンドメンバーに集まってもらって。それを1から自分で編曲をして、それで完成させていくっていうやり方だったんですけど。もう今はパソコンの中で全部、自分で作って。で、「これを生楽器にしたいな」って思ったところをプレーヤーに来てもらって録音していったり。
はたまた、今までのように自分でパソコンで組んで編曲はするんだけど、それを全部リハーサルして、バンドメンバーだけで録ったりするっていうのも『LIGHTHOUSE』のEPでやりましたね。なんで、いろんな作曲の方法ができるようになった。そのおかげでですね、自分の曲の作り方が変わって。今までとは全く違う制作環境と制作の仕方、制作プロセスだったので。まあ、一言で言うとめちゃくちゃ面白かったんだけど。
その面白いからこそ、「もっとできる、もっとできる」って。で、日々、曲ができていくんですけど。曲を作って、それを育てていって、完成させるまでにさらに自分のスキルが上がって。「ああ、前にやったやつ、1回もう終わりかなと思ったけど、まだできるわ」っつって。で、また「ちょっとこういうことをやろう。ああいうことできるな」っていうのでやっていって、育ちきった曲たちが集まってやっとアルバムができたという。なんかそんな感じなんですよね。
なので、本当に感慨深いし、今までにない自分の音楽でもあり。あとは「なんでこのタイトルなんですか?」っていうのもよく聞かれるんですけど。うん。なんかね、自分の生き写しみたいなアルバムになったなと思うんですね。アルバムをいつも作る時はだいたい、コンセプトがあったりして。で、そのコンセプトもだいたい途中からでできてくることが多いんです。曲ができてきて、コンセプトが生まれてくるみたいな。
自分の生き写しみたいなアルバム
(星野源)で、今回はコンセプトとか伝えたいこととか言いたいこととかもう何もなくて。もう、ただ面白い音楽を作りたい……まあ作りたいというか、作っているという感覚しかなかった。で、そんな中でふと気づいた時に、まあ詞もそんな気持ちで書いてるわけですね。「別に言いたいことなんか何もないよ」って。
でも、その自分の生理とか、自分の感情とか感覚とか、心の凹凸とか、そういうものを日本語の曲だったらこうあった方がいいかなとか。こういうのが流行ってるからとか、逆に今はこういうのがいいんじゃないかとか、そういう判断が全部自分の外側にあるようなことは一切せず、俺が好きだから、俺がいいと思ってるから。そういうのだけを判断基準に作っていった曲たちをふと眺めてみた時に、自分がもうそのままパンと転写されてるみたいな。
「星野源ってこういう人間だからわかってください」とか、そういうことじゃなくて。そういう言いたいことも別にそれ、言いたくないんで。「言いたくない」っていうか、興味がないので。もうなんかそれがパンと自分の凹凸みたいなものが版画のように転写されている。なんか、そんなアルバムになったなと思うので『Gen』というアルバムになりました。
で、今回、前から言ってますけども。あまり解説しすぎないようにしたいなっていう。で、これを聞いている人は「ずいぶん解説してるな」って思うかもしれないけど。全然ね、解説しないようにしていて。で、今話したようなのとはまた全然別で、このアルバムはテーマが2つあるんですよ。で、テーマが2つあって、それはもうずっと言わないで最後まで行こうかなと思っています。
で、みんなが考えてくれたり……まあ、そもそも考えなくて聞いていいんだよ。「なんかとりあえず、いいね。意味わかんないけど、いいね」みたいなことでもう十分。だけど、考えたい人はたぶん永久に考えられるように作っているので。そういうところを探してくれてもいいし、自分だけの景色を見つけてもらってもいいです。
はい。そんなアルバムができました。なので、たくさん聞いていただきたいし、ぜひフィジカルも手に取っていただきたい。で、初回版2つ、2種類ありますけれども。そのどちらも全然違う魅力があって。深いファンの人は両方、買ってくれるだろうなって思いも込めてですね、全く違うものに仕上げました。
なので、ぜひよろしくお願いします。そんな中でじゃあ1曲、聴いてみましょう。これはもうね、前から流している先行配信曲ではありますが。このアルバムの3曲目ですね。『創造』『Mad Hope』『Star』という並びできますが。3曲目……ああ、そうだ。『Mad Hope』はこの後ですね、お歌詞屋さんのコーナーでね、ちょっとやってみようかな。
先週はザ・ブルーハーツの曲をお歌詞屋さんでやりました。「お歌詞屋さんでやりましたけども」って意味、わかんないね。最初に初めて聞いた人はね(笑)。歌詞のコーナーですね。はい、それは『Mad Hope』にしようかなと思うのでここで『Star』を今一度、改めて聴いていただこうと思います。
日が明けて本日のおそらく夜ですね。夜、ミュージックビデオが発表されますので。いいですか? ひとつ、言っていいですか? めちゃくちゃいいです。はい。MV、めちゃくちゃいいんで(笑)。ぜひ皆さん、大集合でいち早く見ていただければと思いますが。そんな曲をお送りします。星野源で『Star』。
星野源『Star』
『あちこちオードリー』にゲスト出演された時にとても印象的だったキーワード「興味がない」がここでも出てきますね。ずっと作り続けてきた音楽が集まって、気づいたら自分自身が投影されているような作品になってしまったというのはとても素敵だと思います。『Ge』、なにも考えずに聴いてもいいし、じっくり考えて聴いてもいい。いろんな楽しみ方ができるナイスなアルバムだと思います!

LIGHTHOUSEぶりの星野源と若林の組み合わせ
何にも興味湧かないけど幸せ、何にも期待してないけど幸せって境地に数年後の自分がなってそうだなーと思いながら見てたあちこちオードリー
音楽だけでなくラジオや芝居にエッセイ…今夜は4年ぶりに星野源が来店!#TVer https://t.co/oqNSA2gfA6 pic.twitter.com/ZNlBqFmfv2— シロ (@MR_HYBRID) May 14, 2025