町山智浩 ローマ教皇フランシスコを追悼する

町山智浩 クインシー・ジョーンズと楳図かずおを追悼する こねくと

町山智浩さんが2025年4月22日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で亡くなったローマ教皇・フランシスコさんを追悼していました。

※この記事は町山智浩さんの許可を得た上で、町山さんの発言のみを抜粋して構成、記事化しております。

(町山智浩)ちょうど4月1日か。4月の初めに僕、バチカンに行きましてですね。ローマ教皇、フランシスコ教皇に謁見できるかと思ったんですが……その時は病院に入院されていてね、みんなの前に姿を現せなかったんですけど。この間ね、イースターの日に亡くなりましたね。いや、もう本当にね、フランシスコ教皇という人は2000年もあるバチカンの歴史の中で革命でしたよ。とにかく、バチカンってひどいことを昔、いっぱいしてきましたからね。免罪符を売ったりね。つまり、「お金を払ったら天国に行けるよ」っていう商売したり。あとは軍隊を持って侵攻……戦争したりしてたんですよ。昔、バチカンって。

特にナチがホロコーストをやった時はそれを止めなかったりね。まあ、ひどいことさんざんしてきたんですけど、それを全部チャラにするぐらい、この人がたった10年ちょっとでものすごい改革をしましたね。フランシスコさんは。たとえば地球温暖化に対する警告をしたりね。貧富の差の問題、移民とか難民の問題に関して発言するだけじゃなくて、現場に全部、行ってたんですよね。

この人はすごいですよ。アフリカとか、もう世界各地に行って難民の人たちに会って。難民の人たちはずっと歩いてきたわけですよ。たとえばアフリカの方からね、ヨーロッパの方に何万キロも歩いてきたような人たちの足を洗ってあげたんですよ。フランシスコ教皇は。で、その足にキスをしたんですよ。そんなこと、できないですよ。普通の人は。

難民たちに寄り添ったフランシスコ教皇

(町山智浩)で、バチカンっていうのは昔から同性愛の人に「地獄に行くぞ」って言ったりね。あと、女の人を絶対に司祭にしない。教皇になれないという決まりを2000年、やってきたんですけども。それも全部、ひっくり返しましたからね。女性を司祭にするっていうのもね、そっちの方向に向かって現場を整えるべく、事務職の人にどんどん女性を採用して。あと一歩っていうところなんですよ。

で、同性愛に関してはもうはっきりと謝罪しまして。「ずっと差別をして、すいませんでした」と。それでトランスジェンダーの人たちに対しても「差別してきたこと。それは間違っていました」っていう風に謝ったんですよね。みんな、神の子ですと。

アルゼンチン時代の後悔

(町山智浩)これは彼、アルゼンチンにいた時、その頃は軍事政権で。周りのキリスト教徒の人たちが軍事政権と戦って次々と殺されていったんですよ。その時、フランシスコさんは政権と戦えなかったんですよ。政治と戦えなくて。その政権と、権力と。で、その時のすごい辛い後悔があるから「今度は絶対、戦うぞ」ということでやってるんですが。その辺はね、Netflixだったかな? 『2人のローマ教皇』という映画がありまして。その中でアルゼンチンでフランシスコさんがどういう体験をしたか?ってことはドラマで描かれてもいるんで。ぜひ、見ていただきたいと思います。

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