町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『君の名前で僕を呼んで』を紹介していました。
(町山智浩)それで今日は、『キングスマン』とは逆方向の映画を紹介します。『君の名前で僕を呼んで』という不思議なタイトルの映画ですね。これね、すごく音楽がいいんですけども。ピアノがずっと流れているんですけど。主人公が17才の少年で、エリオくんという男の子なんですが。彼はすごいピアノとかギターとか、なんでもできるんですよ。
(山里亮太)うん。
(町山智浩)この映画の中でもずっとピアノを弾いているんですけども。その17才の少年のエリオくんが1983年の夏休みにイタリアに家族と一緒に住んでいるんですね。で、そこに現れた24才の大学の博士課程の研究生オリバーと彼が恋に落ちるという話なんですよ。
(海保知里)男性同士という。
(町山智浩)いわゆるその、BL物ですけども。「いわゆる」ね。ただ、これがものすごい映像が美しくて、したたるような映画なんですよ。
(山里亮太)「したたる」?
(町山智浩)あのね、具体的に物がしたたっている感じの映画なんですけど。あのね、これね、このエリオくんを演じる俳優さんはいまものすごくアメリカで注目されているティモシー・シャラメくんという男の子です。
ティモシー・シャラメ
(山里亮太)ああーっ、男前ですな!
(町山智浩)これ、写真を見てくださいよ。すっごい美少年で。
(山里亮太)きれいな美少年ですね!
(海保知里)素敵なのに、またかわいい感じもあって。
(町山智浩)そうそう。ちょっと子供っぽい感じで。で、実際に体つきもものすごくなで肩でやせっぽっちで、子供というか少年っぽいんですよ。で、この彼がすっごい才能で。実はまあ、名門コロンビア大学とニューヨーク大学に行っているような超天才なんですよ。
(海保知里)ええっ? 2つ行っているの? すごいな!
(町山智浩)そう。で、映画の中で弾いているバッハとかも全部本当に生で弾いているんですよね。
(山里亮太)なんでもできるんだ。
(町山智浩)だからもう顔がこれでね、それでまあ、才能もあってすごいんで、このティモシーくんはすごい注目されている俳優さんです。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)で、この「したたる」って言ったのは、彼はこの映画でほとんど全部裸です。
(山里亮太)あら? 今日も裸情報があるという噂は聞いていたんですが。
(町山智浩)これ、裸情報じゃなくて、全編裸ですから。
(山里亮太)ああ、全編?
(町山智浩)全編なんで、ちょっと情報として抽出しにくいんですが。
(山里・海保)フハハハハッ!
(町山智浩)はい。っていうのはね、これ、夏休みのイタリアなんですよ。暑いからずっと裸なんですよ。
(海保知里)ああ、自然にね。
(町山智浩)そう。パンツ一丁なんですよ。ずっと。
(山里亮太)ほう!
(町山智浩)で、この相手の24才の青年を演じるのはアーミー・ハマーという俳優なんですが、この人の顔も見てください。
(山里亮太)めちゃくちゃ男前!
アーミー・ハマー
(海保知里)ねえ。イケメン。好きですよ、アーミー・ハマー。
(町山智浩)もう本当に昔のハンサムですよね。この人ね、アメリカの石油王の御曹司です。
(山里亮太)ええっ!
(町山智浩)で、その関連会社の経営者でもあります。この顔で、しかも身長が190ぐらいあるんですよ。で、奥さんはモデルです。
(山里亮太)うわっ、うわっ……なにもかも手にしたな。
(町山智浩)でしょう? ふざけんな、バーカ!って思いますよね(笑)。
(山里亮太)思いますよ、そりゃあ。
(町山智浩)ねえ(笑)。この人は『J・エドガー』っていう映画でFBIの創立者で長官であるフーヴァー長官。ディカプリオが演じていたんですけど、その恋人を演じていましたね。
(海保知里)ええ、ええ。やっていましたね。
(町山智浩)あまりにも完璧だから、ちょっとヘテロセクシャルな役があまり合わない人なんですよ。この人は。
(山里亮太)ヘテロセクシャル?
(町山智浩)「ヘテロセクシャル」っていうのは女性と男性の関係性なんですけども。彼の場合にはあまりにも……まあ、ギリシャ彫刻みたいな感じなんですよ。ローマ時代の彫刻みたいな。で、ちょっと非現実的なんで、まあそういう役柄が多いんですね。この間もジャコメッティっていう彫刻家……まあ、その人もゲイだったんですけども。そのモデルの役とか、そういう役が多いんですよ。だからモデル系なんですよね。彫刻の。で、この2人がずーっとイタリアの美しい自然の中で、プールで遊んだり、日光浴をしたり、ピアノを弾いたり、芸術について語ったり、美味しいものを食べたりする映画です。
(海保知里)ウフフフフフ(笑)。
(山里亮太)ちょっと……いまのところ私、まだ「どうやって見たらいいだろう?」っていう気持ちなんですけども。
(町山智浩)いや、もうずーっと裸ですから。もう。
(山里亮太)そうですか。イケメンが……。
(町山智浩)汗の玉が出てきたり。あと、川とか池とかで2人で泳いでイチャついたりとか。
(山里亮太)それでしたたっている感じが?
(町山智浩)したたっている感じですよ。だから本当に水がしたたっているんですけどね。
(海保知里)ああ、そういうことなんですね。きっとじゃあ、女性が見ていてもすごくきれいな感じなのかしら?
(町山智浩)きれいですよ。だから、本当に古代ローマの研究をしているんですね。この主人公のエリオくんのお父さんがなぜイタリアにいるかというと、彼は大学教授なんですよ。ニューヨークかなんかの。でも、文学とかを研究しているんですけど、古代ローマに非常に興味があって。古代ローマの遺跡とかが発掘されるんで、夏休みにそこに家族で暮らしているんですね。で、この家族がまたものすごくエリートで。このエリオくんはピアノだけじゃなくてありとあらゆる文学を、あらゆる言語で読んでいるんですよ。
(海保知里)ええーっ!
(町山智浩)イタリア語とかフランス語とか。それでペラペラしゃべるんですよ。イタリア語とかフランス語を。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)すごいでしょう? で、彼らの話も芸術的素養がすごく高くて。ハイデガーの話、哲学の話とか、アプリコットの語源についてとか、そういうことをずーっと話しているんですよ。
(山里亮太)おおーっ!
(町山智浩)だから、はっきり言うと貴族ですよ。
(山里亮太)そうですよね。
(町山智浩)これね、お母さんもいるんですね。何もしないです。
(海保知里)何もしない?
(町山智浩)メイドさんがずっとご飯を作ったり、片付けとかしているんです。
(海保知里)そうか。貴族だね(笑)。
(町山智浩)貴族なんです。で、みんなでおしゃれな会話をしながら、美味しいものすごいご馳走を朝から晩まで食べ続けているんですよ。で、これがなぜ、そういうシーンになっているかというと、古代ローマとかギリシャとかの貴族はそうだったですよね。で、古代ローマやギリシャの彫刻っていう話をさっきしましたけど、そういった彫刻って、男の人の裸が多いですよね?
(山里亮太)はいはい。多いです。基本、裸ですよね。
(町山智浩)裸ですよね。あれはなんで男の人の裸の彫刻ばっかり古代ローマやギリシャから出てくるか?っていうと……あれは当時のエロ本なんですよ。
(山里・海保)ええーっ!?
(海保知里)あれがエロ本なの?
(町山智浩)そう。明らかにセクシーでエロチックな目的で作られているらしいんですよ。
(海保知里)でも、そのエロ本が教科書に載っちゃうわけですよね?
(町山智浩)だから教科書にチンコとか載っていますけどね。ちなみに、古代ローマとかギリシャの彫刻を見ると、もんすごくチンコ小さいですよ。まあ、それはいいんですが……。
(山里亮太)あっ! たしかにそうだ!
(町山智浩)それは置いておいて……「ざまーみろ!」とか思いますけども(笑)。
(山里・海保)アハハハハハッ!
(町山智浩)「ちゃっちい!」とか思いますが、それは置いておいてですが。
(山里亮太)ライバル視、していたんですね。ちょっと(笑)。
(町山智浩)古代ローマやギリシャは男性同士の恋愛っていうのは普通だったんですよ。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)全く何も隠していない状態だったんですね。何もタブーでもないんですよ。で、まあ日本もそうでしたけど。明治維新前はね(笑)。そうだったんですが、その感じなんですよ。この映画ってずっと。舞台は1983年なんですけども。それでまあ、17才のエリオくんは24才のオリバーさんを好きになるんですけど、この中にゲイとしての葛藤とか、全くないです。
(山里亮太)あ、へー。
(町山智浩)「僕は男の人が好きになっちゃったんだけど、どうしよう……」みたいな悩みもないんですよ。
(山里亮太)もうスッと?
ゲイとしての葛藤は全くなし
(町山智浩)スッと。で、このエリオくんもオリバーくんもこんな顔でモテモテですから。女の人ともちゃんとエッチしているんですよ。
(山里亮太)あれ?
(町山智浩)エリオくん、すっごい美女の彼女とかいるんですよ。同じ年の。で、普通にセックスとかしてるんですけど、このオリバーさんを好きになっちゃうんですね。でも、別に悩まないんですよ。「俺はゲイなんだ」とか全然悩まないんですよ。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)っていう、古代ローマ的な状況を1983年に持ってきた映画なんですね。だからすごく、いままでのいろんなゲイ映画とか同性愛を扱った映画と決定的にそこが違うところなんですよ。でね、すごい果物とか食べ物をいっぱい食べているという話をしたんですけど、桃を食べるシーンがあるんですよ。17才のエリオくんがね。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)桃ってよく見ていると、なにかみたいですよね?
(山里亮太)いや、小学校の山里亮太だったら完全に「おしり!」って言っていますけど。
(町山智浩)お尻とかいろんなものに見えますよね? で、思わずその中の種をエリオくんはくり抜いて取り出して捨てて、中を空洞にして、ホールに使うシーンがありますね。
(山里亮太)フフフ(笑)。桃ホールに。はー!
(町山智浩)そう。だからそういうね、食欲とか性欲は同じものなんだっていう映画なんですよ。普通なんだよって。
(山里亮太)これ、だから町山さんに見方を教えてもらってなかったら、「えっ? エロい映画?」っていう感じだったと思う。ただただ。
(町山智浩)だから、男も女も何もないんだ。食欲も性欲もみんな同じなんだよっていう映画なんですよ。
(山里亮太)根底に流れているのはそういうちゃんとした文学とか芸術とか文化とか……。
(町山智浩)そうそう。だから「昔はそうだったでしょう?」っていう映画なんですけど。ただ、これは原作がアメリカでまずベストセラーになって。ゲイの人の間とかでもすごく売れていたんで映画化されたんですけども。これ、原作はね、アンドレ・アシマンっていう人で。この人は1951年にエジプトで生まれた大学教授です。で、現在もニューヨーク大学で教えていて。イタリアに少年の頃に住んでいて、その思い出を元にしているみたいなんですよ。
(山里亮太)ふーん。
(町山智浩)ただ、この人はインタビューされた時に、この原作者が「私は一度も同性愛の経験はない」って答えているんですね。で、彼自身、実際に奥さんもいて、息子さんもいるんです。もう成人の。で、それなのに、あきらかに少年の思い出として描かれているんですよ。これ。
(山里亮太)ほう!
(町山智浩)すごく奇妙な映画なんですよ。だからこの映画を見ただけだと、わからないんです。いったいこの映画は何を言っているのか?っていうのが。これね、非常に近い映画があるんですよ。この映画って、監督はルカ・グァダニーノっていうイタリア系の人なんですけど、脚本はね、ジェームズ・アイボリーっていう人が書いています。この人、巨匠なんですけど。『日の名残り』とかの監督なんですが。この人の映画で『モーリス』っていう映画があるんですよ。『モーリス』って1987年の映画で、まあいわゆる同性愛映画の金字塔と言われているんですが、ご存知ないですか?
(海保知里)いや、ちょっと知らないです。『モーリス』。へー。
同性愛画映画の金字塔『モーリス』
(町山智浩)これはだから19世紀終わり、20世紀はじめぐらいのイギリスを舞台に同性愛の青年たちの成長を描いた物語なんですね。『モーリス』というのは。これが問題だったのは、イギリスでは1967年まで同性愛は犯罪だったんですよ。で、これは原作者がE・M・フォースターという、この人も大作家なんですけども。『インドへの道』とかを書いていた人なんですが。この人が、1967年のゲイが犯罪だった頃に、誰にも読ませるわけじゃなく、自分のために書いた小説がその『モーリス』の原作なんですよ。
(海保知里)ふーん!
(町山智浩)フォースターという人も1回も、死ぬまでゲイであることはカミングアウトしなかった人なんですよ。そういう時代じゃなかったんですね。できなかったんですよ。刑務所にブチ込まれたんですから。
(海保知里)逮捕されちゃいますもんね。
(町山智浩)だから、誰にも読ませるわけでもなく書いたのが『モーリス』だったんですよ。それが映画化されたんですけども。1987年に。こういうものっていくつもあって、たとえばアカデミー賞で去年、アカデミー賞をとった『ムーンライト』っていう映画がありますね。
(山里亮太)はいはいはい。
(町山智浩)あれは脚本というか原作を書いたタレル・アルヴィン・マクレイニーという人の子供の頃の思い出を元にしているんですけど、あれももともと誰にも読ませる目的もなく、自分のために思い出をまとめるために書いたものだったんですよ。
(山里亮太)へー!
(海保知里)そもそも、そうだったんだ。
(町山智浩)そう。あれは自分がずっとゲイであることがすごく苦しくて、悩んでいたこととか好きになった男の子のこととかを書いた話だったんですけども。誰かに読ませるんじゃなくて、自分のために書いたんです。それが『ムーンライト』なんですよ。
(山里亮太)そうなんだ。
(町山智浩)この『君の名前で僕を呼んで』もこのアンドレ・アシマンっていう人の、たぶんそういうものなんですよ。
(山里亮太)なるほど。自分のことを。
(町山智浩)そう。それで、彼は大学教授で、このお父さんも大学教授なんですよ。で、1980年代に博士号を取ろうとしていたこのアーミー・ハマー演じる人というのは、実はこのアンドレ・アシマンはその頃、博士号を取ろうとしているんですよ。
(山里亮太)ああ、じゃあもう完全に自分と照らし合わせているんだ。
(町山智浩)いや、これは変ですよ。だって、少年の頃にイタリアに住んでいたエリオくんと、83年に博士号を取ろうとしていたオリバーと、その大学教授のお父さんっていう3人の登場人物が全部、この作者1人なんですよ。
(山里亮太)全部自分のことだ。
(町山智浩)全部自分のことなんですよ。非常に奇妙な小説です。これ。で、こういう誰にも読ませるわけでもなく書くものっていうのは、僕も漫画とかを書くんですけど、あるんですよ。
(山里亮太)はいはい。わかります。僕も書いたりしますんで(笑)。
(町山智浩)あのね、手塚治虫大先生が引き出しに鍵をかけたまま亡くなったんで、娘さんが……悪い娘ですね。引き出しを亡くなってから20年ぐらいたってから開けちゃったんですね。そしたら中から出てきたのは、エロチックな動物のヌード漫画だったんですね。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)手塚先生ご自身がお書きになった、ヘビとかネズミとかがセクシーな女の人として書かれている、女体として書かれている絵だったんですよ。それは、誰に見せるためでもなくて、手塚先生ご自身のためにお書きになったものなんですよね。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)そこには真実があるんですよ。手塚先生はアメリカでも、「Furry(ファーリー)」と言われている、日本では「ケモナー」って言われている、動物を人間として描くエロチシズムの巨匠とアメリカでも言われているんですけども。あの、『ジャングル大帝』とかみんなそうなんですよ。『W3(ワンダースリー)』とかエロい動物がいっぱい出てくるんで。
(山里亮太)ああー、たしかに。
(町山智浩)そうなんですけども。だからこういうね、誰にも見せない自分のための物語って、すごく面白いと思いますよ。僕。
(山里亮太)たしかに。なんの遠慮もなくね、自分のほしい表現とかをバンバン使えますもんね。こういうことをしたいとか。
(町山智浩)そうなんですよ。だからね、この『君の名前で僕を呼んで』っていうタイトルもすごい、そこと絡んでくるんです。さっき言ったんですけど、出てくる人たちがみんな、その原作者の分身なんですよね。で、『君の名前で僕を呼んで』っていうのは、まあこの17才のエリオくんと24才のオリバーさんがエッチをするんですけど。エッチをしながら、こう言うんですよ。オリバーがね、「エリオ、君の名前で僕を呼んで」って言うんです。そうするとエッチしながらエリオがオリバーに対して、「エリオ、エリオ……」って言うんですよ。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)「エリオ、好きだよ」って言うんですよ。これ、山里さんだったらどういうことになるんですか? これは。
(山里亮太)いやいや! 町山さんね、僕もきれいな男性2人を当てはめて、「ああ、これだったら芸術的な画になるのかな」って思ったんですけど、町山さん。ご提案で顔を山里に変えた瞬間に、目も当てられなくなりましたよ!
(海保知里)そう(笑)。
(町山智浩)これ、だって山里さんが「亮太、亮太、かわいいよ、亮太……」って言うんですよ。言いながら、エッチするんですよ。
(山里亮太)はい。ええと……ちょっと映画のジャンルがホラーに変わりましたね。
(町山智浩)ねえ。これ、「亮太……あ、亮太、こんなになっているよ」とか言うんですよ。
(山里亮太)怖い怖い!(笑)。怖い映画になっちゃったよ!
(町山智浩)ねえ。すっごい映画に。この映画、すっごい変な映画なんですよ。ものすごい奇妙な映画なんです。で、いままでこれだけ言って、いったいどうなるの?って、ちゃんと最後にオチが付きます。
(山里亮太)へー! あ、オチがあるんだ。この話に。
(町山智浩)これね、すごいのはこのアンドレ・アシマンっていう人はこの映画の中にゲイのカップルとして登場するんですよ。
(山里亮太)ご本人が?
(町山智浩)ご本人が。歳を取ったゲイのカップルとして出て来るんですけど、本人は「私はゲイの経験はない。一度もないんだ」って言っている人がそういう役で出ているんですけども。いったい、さっきから言ったこと、全部僕が言ったことはパズルになっていますから。
(山里亮太)えっ?
(町山智浩)パズルなんですよ。僕が言ったことって。断片をつなぎあわせる一言が最後に出てきます。この映画は。
(山里亮太)ええーっ!
(町山智浩)「ああ、そういうことか!」っていうのがわかるんですよ。
(山里亮太)そうか。もう……見たくさせるわー!(笑)。
(町山智浩)というね、もうしたたるような、シズル感あふれる映画ですから。1個だけ問題があるとしたらね、このアーミー・ハマーっていう人が24才の役をやっているんですけど、ちょっとそれはないですね。
(海保知里)ちょっとそれ、年齢が合っていないですね。ちょっとね(笑)。
(町山智浩)そう。ドテッとしているんですよ。この人。ちょっと体が。いちばんこれはないなと思ったのは、ディスコでこの人が踊るシーンがあるんです。完全に踊りがオヤジのディスコなんですよ。
(山里亮太)ああ、若い人のディスコじゃないんだ。
(町山智浩)そう。わかるでしょう? それ。松田優作さんの『探偵物語』っていうドラマの最終回でヤクザの親分がディスコで踊っているシーンのような踊りなんですよ(笑)。たとえが難しいですかね?
(山里亮太)オヤジ感が出ている?(笑)。
(町山智浩)オヤジ感が出ちゃっていてね。そこだけなんとかしてほしかったなと思いました。
(山里亮太)でも、そこだけ。
(町山智浩)そこだけですね。あとはね、もうお尻見放題。お腹見放題。体見放題ですからね。全部見えます。
(海保知里)全部見える(笑)。でもね、アカデミー賞にノミネートされるんじゃないかっていま、かなり話題になっているという(笑)。
(町山智浩)そうなんですよ。宝物のような映画でした。
(海保知里)宝物のような(笑)。
(山里亮太)いろんな裸が入っているという。
(町山智浩)そう。『君の名前で僕を呼んで』。「亮太、亮太……かわいいよ、亮太……」って(笑)。
(山里亮太)いまね、俺と町山さんがずっとベッドの中に一緒にいるのよ(笑)。
(町山智浩)ああ、そうか(笑)。
(山里亮太)メガネがカッチャカチャ当たっちゃって。町山さんと(笑)。
(海保知里)お願い、お腹が苦しくて……アハハハハハッ! もうダメ……(笑)。
(町山智浩)日本公開はいつですか?
(海保知里)4月公開予定だそうです。
(町山智浩)ああ、そうですか。長いですね。みんな、待ちきれないですね!
(山里亮太)今日だってちゃんとRadikoなどでもう1回、聞き直して。パズルのピースを1回みんな書き出しておいた方がいいかもしれないですね。
(町山智浩)そうですね。
(海保知里)ということで、『君の名前で僕を呼んで』。町山さん、ご紹介いただきありがとうございました(笑)。
(山里亮太)ありがとうございました。
(町山智浩)どうもでした。
<書き起こしおわり>