町山智浩さんが2023年10月10日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でアメリカ国内でイスラエル支援者とパレスチナ支援者のデモ隊同士が衝突をしている件について、話していました。
(町山智浩)今日、アメリカは結構大変でしたね。
(でか美ちゃん)ああ、そうなんですね。
(町山智浩)各地でですね、イスラエルを支援する人たちと、パレスチナを支援してる人たちがデモで衝突をしている状態なんですね。
各地でデモが衝突
(町山智浩)で、アメリカは実はパレスチナ難民の人たちが二世、三世の世代に入ってきていて。二世の人は民主党の下院議員にもなっているというぐらい、アメリカ化しているんですけれども。だから前はアメリカではイスラエルを支援する人が多かったですね。ユダヤ系の人たちが多かったんでね。でも今はアラブ系の人たちもすごく増えていますし、ちゃんと社会の中で主流化していますんで。安易に……バイデン大統領とかはあっさり「イスラエルを支援する」とか言っちゃったんですけれども。現在はもう、そういう状況ではないんですね。アラブ系の人が普通に子供がいて、社会の中で会社に行って働いてる状態ですから。もう一方的にというわけには……。
(でか美ちゃん)生まれなくていい衝突みたいなのが、ありそうですね。
(町山智浩)でもアメリカとしてはやっぱり移民・難民の国なので。そういう人たちが作った国なので。この場合に「どっちにつく」とは簡単には言えない状態になってるんですよね。で、特にイスラエルっていう国は元々、2000年前に……ローマ帝国の中でイスラエルっていう国はあったんですよ。で、ローマ帝国の属国だったんですけれども、独立しようとして戦争を起こしたので、ローマ帝国と長い間、ものすごい大戦闘になって。で、結局国を滅ぼされたので、ユダヤ系の人たちはイスラエルから世界中に散らばっていったんですね。国を失ってしまった難民として。だからユダヤ人差別問題っていうのは、難民問題なんですよ。で、ヨーロッパ中で差別されて、ついにはホロコーストで絶滅させられそうになって。「これはやっぱり自分たちの国を作らなきゃなんない」っていうことで、元々住んでたところ、エルサレムのところにイスラエルという国を建国するわけですが。
ただ、2000年間、追い出されていた間に、もうそこはパレスチナ系の人たちの国になっていたんですね。完全に。昔はパレスチナ人とユダヤ人がそこにいたわけですけども。ユダヤ系の人がいない間に、完全にパレスチナの国になっていたわけですが。それでイスラエルを作ったら、最初は「パレスチナ人とユダヤ人、一緒に仲良くやってこう」っていうことで始まって。イスラエルの憲法にもそう書いてあるんですよ。
(石山蓮華)ああ、そうなんですね。
(町山智浩)ところがだんだん、ユダヤ系の人たちの方がパレスチナ人を弾圧し始めて。どんどん壁の内側に押し込めて。で、しかもそのインフラ……水道とかガスとか電気とかをイスラエル側から送ってるから、それの供給を絶ったりね。徹底的な、はっきり言ってユダヤ人がドイツ人にやられていたことをやり返してるんですね。関係ない人たちなのに。で、その一方で実はロシアに守られてたアルメニアっていう国に、アゼルバイジャンが攻め込んでいるんですよ。
(でか美ちゃん)なんか、いろんな歴史とか、そういう移民のこととかがあるってわかった上で、なんかめっちゃシンプルに「なんでこんなに上手くいかないんだろう?」って思いますよね。差別してしまったりとか、弾圧が起きちゃったりとか。
(町山智浩)ただ、アメリカではデモで争ってはいますけれども、殺したりはしないのでね。やっぱり近所の人同士なんで、互いに互いのレストランとかでご飯を食べたりはしているんで。
(でか美ちゃん)だから別に個人間では仲がいいんですよね。
デモで争ってもご近所同士
(町山智浩)そう。一緒の職場で働いてますからね。だから、世界中がそうなればいいのになと思いますね。
(でか美ちゃん)そうですね。
(町山智浩)で、今日紹介する映画ははいそういうひどい世界状況の中でですね、非常に希望を抱けるようなタイトルの……。
(でか美ちゃん)そう。タイトルだけ聞くとだいぶ、パッと明るいような。
(町山智浩)『理想郷』っていうタイトルの映画と、『ヨーロッパ新世紀』っていう、非常に希望に満ちたタイトルの映画を2本、ご紹介したいんですが。
<書き起こしおわり>