2025年2月22日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』で『ドラゴンボール』歴代担当の鳥嶋和彦さん、近藤裕さん、武田冬門さんが鼎談。武田さんが近藤さんから担当を引き継ぎ、鳥山明先生と初めて対面した際にいきなり「『ドラゴンボール』連載をもうすぐ終えようと思っている」と言われた話をしていました。
💐号外🕊️
今週=2/22(土)25時過ぎ〜、
鳥山明先生の一周忌を前に、
その才能や魅力を再発見する
鼎談(第1弾・前編)を放送致します。🐉ドラゴンボール🟠
🎤 初代担当編集:鳥嶋和彦
🎤2代目担当編集:近藤裕
🎤3代目担当編集:武田冬門
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— J-WAVE TOKYO M.A.A.D SPIN (@MAADSPIN) February 20, 2025
(鳥嶋和彦)で、そうやって「来れて幸せ」って言われた少年ジャンプ、どうでした? ぐちゃぐちゃでした?
(武田冬門)2年ぐらい、ぐちゃぐちゃだったですかね。そもそも僕、近藤さんから担当を引き継いだ時って……。
(鳥嶋和彦)ああ、どういう風に引き継いだの?
(武田冬門)これは僕、忘れもしません。一番覚えているんですけども。ちょうど週刊が25周年かなんかで後楽園のプリズムホールでイベントをやったじゃないですか。で、それをやり始めた頃に僕、移ったんですよ。で、「バンダイさんで筐体の確認があるから」っていうので近藤さんに「鳥山さんが田舎から出てくる。その時にお前を紹介するからさ」っていうので東京駅にハイヤーで乗り付けて。
で、僕がハイヤーの運転手の助手席に座って、後ろに鳥山さんと近藤さんが座って。それでバンダイの方に行ったわけですね。で、その最中に近藤さんが「僕は今度、月刊に行くことになったんだけれども。その代わりの担当の武田くんです」って紹介してくてもらって。
(鳥嶋和彦)ああ、そうか。近藤くんが月刊に。
(武田冬門)で、紹介してもらって「武田です。よろしくお願いします」なんて助手席で後ろをちょっとチラチラ見ながら挨拶したら鳥山さんが「ああ、そうなんですね。ああ、でもそれは武田さん、申し訳ないことしたな」って急に言い出して。「えっ、なんだろう? 申し訳ないことって」って思ったら……それがちょうど人造人間編、セル編が終わりに近づきつつあって。「あのね、あと4、5話ぐらいでセル編を畳もうと思って。終わろうと思っているんですよ」って急に言いだしたんですよ。それで……。
「あと4、5話ぐらいでセル編を畳もうと思って」(鳥山明)
(近藤裕)それは単純にセル編が終わると思っただけだった? 『ドラゴンボール』の連載自体をやめるという風には受け取らなかったでしょう?
(武田冬門)いやいや、僕はそれを「『ドラゴンボール』をやめる」っていう風に受け取ったんですよ。
(鳥嶋和彦)正しく受け取ったんだ。
(武田冬門)だって見ていればわかるじゃないですか。コミックスでも3回ぐらい「もうちょっとだけ続くんじゃ」ってなっていて。「これ、無理やりやらされてるんだろうな」みたいな。
(鳥嶋和彦)まあ、最初の方は冗談だったけどね。
(武田冬門)というのがあって。当然、僕が週刊に行った時に「お前の使命は『ドラゴンボール』をずっと続けることなんだ」みたいなことを言われたわけですよ。
(鳥嶋和彦)誰に?
(武田冬門)あれは当時の(規制音)さんかな?
(鳥嶋和彦)副編に。
(武田冬門)そう言われて。「ああ、わからないですけど、よろしくお願いします」みたいな感じで……。
(近藤裕)当時、編集長だよ。
(武田冬門)ああ、編集長か。そう言われていたのが頭にあるから。「あと4、5回で、担当が変わったばかりでやめるの?」みたいに思っていたんですね。その時に、しばらく考えて鳥山さんに言ったのが「わかりました。先生がずっとやめたがっているのは知っていますから、終わりましょう」って。
(鳥嶋和彦)ああ、知っていた?
「わかりました。終わりましょう」
(武田冬門)いやいや、だって有名じゃないですか。いつでも、早くやめたいっていうのは。「やめるのはわかったんですけど。先生、今、書いてるキャラクターは本当に書きたくて書いてるキャラクターですか?」って聞いたんですよ。そしたら「いやー、近藤さんってね、『かっこいいキャラじゃないとダメだ』って言うんですよ」って(笑)。
(鳥嶋和彦)アハハハハハハッ!
(近藤裕)その通りだよ。
(武田冬門)それでセルがいくつか形態、変わるじゃないですか。その都度、「これはただのジジイですよね?」とか。なんかいろんなことを近藤さんに言わるらしくて。で、最終的にちょっといやらしい感じのかっこいいのになるんだけど途中、いろいろ変わっていく時にジジイだのなんだの。「これ、変態ですよね」みたいな……(笑)。
(鳥嶋和彦)それって俺が言ったっていうことになっているけども。実際は近藤くんが言ったわけだよね?
(武田冬門)おそらく、そうだと思います。
(近藤裕)ほとんど記憶にないよね(笑)。
人造人間編・セル編でダメ出しをしたのは誰?
(鳥嶋和彦)はい。俺の容疑がここでひとつ、晴れました(笑)。人造人間編の時にいろいろと言ってセルが出てくることになったのは僕がダメ出しからだってことになっていますが。そんなことはないっていうのが今、これで明らかになりましたね。
(武田冬門)セルは最初、セミみたいな感じでね。で、「これはかっこよくないですよね」みたいな。
(近藤裕)それは言いました。というのは、非人間的な形になっていけばいくほどダメだと思ったんです。
(鳥嶋和彦)ダメだね。その通り。
(近藤裕)「だからできるだけ人間型で。どうせ人間型で行くんだったら、いかにも悪そうなやつよりも、かっこいいやつが敵の方が絶対に戦った時に面白くなるから」って言って。「もっとかっこよく」って、それは言った。
(鳥嶋和彦)ナズさんね、近藤くんが言っているのは実は経験則があって、正しいんですよ。『ドラゴンボール』は途中でいろんなことがあって。満月になって大猿になったりする。で、結構あそこは満を持して、ある種の山で。これでアンケートが盛り上がると思ったら、全く反響がなくて、逆に下がる。それで今、近藤くんが言った通りの分析に僕も鳥山くんも行き着いたわけ。要するに、モンスターと戦っても見ていて楽しくないんだよね。人間型のそれなりの大きさ、サイズが合うところで戦ってる方が見ていて面白い。反響がある。
(武田冬門)っていうのがあって。「じゃあ、わかりました。責任を持ってうちの上の編集長たちにはもう『ドラゴンボール』はあるところまで行ったら終わるって言いますけども。先生、今書いてるこのキャラクターは本当に書きたいキャラクターなんですか?」って聞いたら「いや、そうじゃなくて。本当は僕は……」って。
まあ、そういう言い方はしませんでしたけども。「本当は丸っこくてかわいらしくて、ちょっと小憎たらしいみたい、そんな感じのキャラクターが好きなんですよね」っておっしゃったので。「じゃあ、どうせ最後だから、それを最後にして畳みましょう」という話になって。それで鳥山さんが考えたのがブウだったんですよ。
人造人間編・セル編までで連載を終えようとしていた鳥山明先生に「本当に書きたいものはなんですか?」と問い、魔人ブウ編を作り上げた武田さん。たしかに魔人ブウ編はいろいろポップになっていて、そこが魅力でしたよね。人造人間編・セル編でダメ出しをしていったエピソードも実際の担当の方々がお話をされていて経緯がよくわかりました。ちなみにこのダメ出しエピソードについてはNaz Chrisさんがフォローのツイートをされていたので、そちらも貼っておきますね。
【先週末の放送について】… pic.twitter.com/1pgJo1y6am
— Naz Chris (@NazChris_dj) February 25, 2025
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