DJ YANATAKE ケンドリック・ラマーのスーパーボウルハーフタイムショーを語る

オードリー若林 ケンドリック・ラマーのスーパーボウルハーフタイムショーが生で見れる喜びを語る INSIDE OUT
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DJ YANATAKEさんが2025年2月10日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でケンドリック・ラマーがスーパーボウルで披露したハーフタイムショーについて話していました。

※この記事は許可をいただいて書き起こししております。

(DJ YANATAKE)で、そのスーパーボウル、アメリカンフットボールの試合が始まって。ハーフタイムショーだけを見たら今までもさんざん派手なハーフタイムショーっていっぱいあったんで。ひょっとしたら、そういうのと比べると地味でシンプルに……まあシンプルではないんだけど。そう映った人もなんか感想のツイートとかを追いかけると結構、いっぱいいたんですが。これはそんなもんじゃない。ケンドリック・ラマー、とんでもなかったっていう感じっすね。

まだ俺、全然調べ切れてないぐらい、追いかければ追いかけるだけ本当に面白いんで。すごい作り込んだショーだったっていうことを念頭に置いてこの話、聞いてほしいんですが。僕、朝からちょっと仕事終わったんで、仕事をやりながらちょっとずつちょっとずつ調べて。それを時間の許す限り、話してきたんですけど。

最初ね、「これからハーフタイムショー、始まるよ」っていう時にちょっと後ろ姿が映っちゃったんですけど。『GNX』……同じタイトルのアルバムが出ましたね。GNXっていうのは車のビュイック。ケンドリック・ラマーのお父さんが乗っていた車で、それがモチーフになっていたんですが。その同じ車、ケンドリック自身も所有しているらしいんですが、それとは別にこのために探して買ったらしいんですね。

もうケンドリックのアルバム出てから、もともとなかなか無い車だったらしいんですが。見つけるのがすごい大変だったらしいんですけど、どうにか1台ゲトってですね、このショーのために持ってきたっていう。で、それはもう解体されるような車っていうか、このスーパーボウル用に壊しちゃうつもりで車を買ったらしいんですけど。で、ケンドリックがその車の上に乗っていて。それでGNXのドアが開くんですけど、そこからあれは何人かな? ダンサーがとにかくもう何十人も1台の車から出てくるっていう仕掛けになっていて。ワーッとダンサーたちが登場してステージに散らばっていくんですけど。

ダンサーたち、基本的には赤と青と白の衣装でいろんなフォーメーションを組んでうまくやると、アメリカの国旗のように見えたりするような。そんな感じでダンサーが踊ってました。で、いろいろ曲をやったんですけど、話題のところだけかいつまんで話しますと……事前に大ヒット曲の『Not Like Us』をやるのか、やらないのか? みたいなのはかなり大きな話のネタになってたと思うんですけど。で、ちょうどドレイクが正式にケンドリックを訴えました、みたいなこともあって。本当にやるのかな? やらないのかな? みたいなのをずっと言われてたんですが……最初、イントロだけかかるところがあるんですよ。で、そこではやらないのね。

「ああ、やっぱりやらないんじゃん」みたいな感じだったんですね。で、そこからSZAとかが出てきたりとかして。でも結局、やるんですね。そこからの話がまたなかなか面白いんですけど……ケンドリックは1箇所ね、ドレイクについて言っている部分の歌詞は直すんですね。「ドレイクは小児性愛者だ」って言っている『Not Like Us』のライン。で、ドレイクは「それは真実ではない。そんな真実ではないことを曲で広めたことは名誉毀損に当たる」というようなことでユニバーサルミュージックとかを訴えてるわけですけど。その部分に関してはケンドリックも歌詞を変えるということに今回はなっていたんですね。

『Not Like Us』やらない?→結局やる

(DJ YANATAKE)で、ちょっと順番があれですけども。最初にまず、サミュエル・L・ジャクソンがゲストとして出てくるんですね。案内役みたいな感じで出てくるんですけど。その衣装、模している姿がアンクル・サム。アンクル・サムってみんな、知ってると思うんですけどいわばアメリカの政府というか国の全体を擬人化したもの。

その象徴ということなんです。みんな、アンクル・サムについて調べてもらったらわかると思うんですけど。それを模してるサミュエル・L・ジャクソン。彼はそこで結構、皮肉っぽい感じでいろいろ話しながら進めていって、それがなかなか面白いなっていうところなんですね。

アンクル・サムに扮するサミュエル・L・ジャクソン

(DJ YANATAKE)あとはこの『Not Like Us』の後半、テニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズが出てきてCウォークを踊っていたところ。セリーナはですね、ドレイクの元恋人なんですね。
ということでこれ、なかなか意味深なんですけど。実はセリーナ、2012年のロンドンオリンピックの時に金メダル取っていて、その時は当時、すごい強かったマリア・シャラポワを倒して金メダルを取ってましたね。で、その時も金メダルを取った後、Cウォークをしていたんですよ。それが話題になっていたから、そんなことも込みでここにセリーナを呼んで一瞬……ちょっとしか映らないんですけど。それがすごい大きいバズになっておりますね。

セリーナ・ウィリアムズのCウォーク

でですね、ステージ全体が「◯、△、✕、□」みたいなのが書いてあったんですけども、これはゲーム、プレイステーションのコントローラーみたいのを模していて。これはケンドリック・ラマーの人生みたいなことをビデオゲームにたとえたりしてる感じだそうです。それで一番最後、棺桶みたいにステージを見立てて、そこの真ん中に杭を打つっていうのがパフォーマンスとしてあるんですけど。それはつまり「これでゲームオーバーだ」っていう。それはアメリカに対してのメッセージもあると思うし、ドレイクに対しても「これでとどめを刺してやったぜ」みたいな意味で。それで「GAME OVER」っていうのが最後、でっかく出て終わるという感じなんですね。

もう全然、これだけじゃ伝えきれない。もっとすごい政治的なメッセージもすごくたくさんあったんですが。「革命はテレビに映らない」っていうギル・スコット・ヘロンの詩があったりしますけど。それとかを逆にもじっていたり。あと「Forty acres and a mule(40エーカーの土地とラバ1頭)」っていう、南北戦争の後、黒人奴隷たちが解放された後に国から補償として40エーカーの土地とラバ1頭をもらうと約束されたのに、それが結局実現せずに嘘をつかれたみたいな、そんなことがあったんですけど。それとかも『Not Like Us』の前にメッセージとして伝えていったりとかしていましたね。

あと、ステージを作った人たちも本当に凄かったみたいですね。ビヨンセやレディー・ガガのステージとかを作ってきたアートディレクターのシェリー・ロジャースっていう人がやっていて。リアーナの時のハーフタイムショーでエミー賞も取ってるような人が今回も手がけたらしいんですが。あそこまでのセットを作って、6分以内だっけな? その間に完全撤収しないと試合の後半が始められないっていう。そういうところまで考えられてステージを作らなきゃいけない。それをね1億何千万人の人が見てるっていう状況の中でやんなきゃいけないっていうので、なかなかしびれるハーフタイムショーだったなという風に思います。

あと結構話題になってたのはケンドリックの衣装。スニーカーがNIKE AIR DT MAX 96。「a」のチェーンはあれ、(『Not Like Us』のパンチラインの)「Aマイナー」を表しているということらしいですね。あとブルーとホワイトのジャケット、胸に「GRORIA」ってでっかく書いてあって。これはアルバム『GNX』の最後の曲のタイトルですね。これ、マーティン・ローズっていうロンドンのブランドの人が作っていて。背中には(自身のレーベル名の)「PGLANG」って書いてましたけどね。で、あのブーツカットのジーンズがとにかく話題になってましたけど、これはセリーヌだそうです。

で、客演で参加したSZAはBorn x Raisedっていうブランドの真っ赤な衣装で上下固めてましたけど。Born x Raised、ロサンゼルスのブランドで。これは結構ストリート系でも人気があるブランドを着ていたっていうことですね。

(DJ YANATAKE)ということで全然まとまらなかったんで本当、申し訳ないんですが。とにかくハーフタイムショー、掘れば掘るほどいろんなメッセージが隠されてたりするすごいショーなんで。ちょっといろいろディグりながらもう1回、2回と見てくれればなという風に思います。

ケンドリックのショー、いろんな文脈が織り込まれていてめちゃめちゃすごかったですねー。いろんな人の解説を聞いたり読んだりするので1週間ぐらい、楽しめそうです。

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個人的には1回、『Not Like Us』をやりかけて「でもあいつら(ドレイク)、すぐ裁判するって言い出すからなー」と言ってやらなかった部分で爆笑しました。あとはアーセナルファン的には『HUMBLE.』をやっていたのもアツかったり。

「Aマイナー」「マスターーード!」の部分はやっぱり一緒に歌いたくなりますよね。現地で見ていたケンドリックファンのオードリー若林さんも大興奮だったんじゃないでしょうか。オールナイトニッポンでの振り返りトークも楽しみです!

ケンドリック・ラマー スーパーボウルハーフタイムショーフル動画

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