渡辺志保とDJ YANATAKE『THE HOPE 2023』を語る

渡辺志保とDJ YANATAKE『THE HOPE 2023』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんが2023年9月25日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でヒップホップフェスティバル『THE HOPE 2023』の模様を振り返っていました。

(渡辺志保)ちょっと先週、いろいろと大きなイベントがありすぎて。ちょっと私のSNSのタイムラインとかもすごい忙しい感じだったんですけど。何はともあれ、9月23日(土)にお台場の特設会場にて『THE HOPE』が開催されまして。出演者の皆様、ご関係者の皆様方、本当にお疲れ様でした。ご来場されたお客様もみんなみんな、お疲れ様でしたという。もう本当にあそこでしか見ることのできない景色を見せていただきさあという感じですね。3万人集まったということで。

で、開催日前にその3万枚のチケットがソールドアウトしたっていうことで。私もレポートを執筆するという名目で、頭からケツまでじっくり見させていただいたんですけれども。すごかったですね。ヤナタケさんも今回、LANAちゃんのバックDJとして参加されていて。やっぱりDJブースも今回、一段高いところにあったじゃないですか。ステージの構成的に。だから、あそこからの景色ってすごいんだろうなと思いながら見てました。

(DJ YANATAKE)そうですね。人生で一番の人前に立ったんじゃないかなって感じですね。これまでも、人数的にはさいたまスーパーアリーナがあるんですけれども。同じぐらいなのかな? でも、スーパーアリーナってスタンド席とかもあるけど、今回は野外だからさ、ずっと一面にお客さんが広がっているわけじゃないですか。だから体感としては、今までで一番多い人数の前に立たせてもらったんですけど。なんかね、すごすぎて現実味がないのよ。なんか。だから逆に緊張とかも全然しなくて。まあ、普通に楽しんだんですけど。その前後も、ブースとかに準備とかでいたりして。みんなと普通に話したり、ワイワイして……だから夢のような時間でしたね。

(渡辺志保)すごかった。本当にすごかったよ! で、最初、オーディションが開催されていて。優勝したのが横浜のCarzくんだったんですよね。で、Carzくんもう本当に一番最初からバチバチにかましてて。そのCarzくんのエネルギーもすごい熱かったわけですよ。オーディションを勝ち抜いて、その何万の人の前に立つっていう。だからすごいフェスのスタート、本編のスタートとしては非常に申し分のないスタートだったなという風に思って。その後も本当にドーン!っていう「本編が始まります!」っていうアタック映像の後にeydenさん出てきて、CYBER RUIさんが出てきて、Bonberoさんが出てきて……みたいな。で、あの去年もそうだったけど『THE HOPE』って1組の時間がすごいタイトなんですよね。5分とか10分とか。

(DJ YANATAKE)いろんなフェスみたいに、ステージが何個もある感じじゃないんだよね。Dブースとライブのメインしかないっていう感じで。DJブースは結構場所も離れていて、あれだから。あくまでも1個のステージにみんながずっといるっていう感じで。

(渡辺志保)そうそう。で、最初の方は本当に1組の持ち時間が5分ぐらいで。全部で10個ぐらいのブロックにわかれていて。第1ブロックで3組、ワーッとラップする。第2ブロックまた3、4組がバーッとラップするっていう構成なんですけど。でも逆にそれがもう、すごく心地よいというか、その興奮が途切れないみたいな。

(DJ YANATAKE)あれ、お客さんは楽しいだろうけど。大変だっただろうけどな。

(渡辺志保)まあね(笑)。だからお客さんも大変だったと思うけれども。なんか逆に「ああ、ここではこういう盛り上がり方をするんだな」みたいなのがすごいダイレクトに感じることができて。そういうのを逆に見ているのも、ちょっと面白かったなっていう感じだし。で、個人的にめちゃくちゃいいな、素晴らしいなって思ったのが、最初のラインナップで発表されていたアーティストの中だと、たとえば女性アーティストがRIEHATAさんとか、ちゃんみなさんとか、CYBER RUIちゃんとか、数えられるぐらいだったんですけど。シークレット的に、DJ CHARIくんのところにNENEちゃんが出てきたり。舐達麻のステージにAwichさんが出てこられたり。

DJ RYOWさんのところにもまたCYBER RUIちゃんが出てきて。あと、MaRIちゃんが出てきたりってことで。結構さ、だから蓋を開けてみたら女性のラッパーがたくさん出てたんですよね。で、たまたまLANAちゃんが……もちろん最初のラインナップにLANAちゃん、入ってましたけど。LANAちゃんのステージをたまたま私はMaRIちゃんと一緒に見てて。で、ちょうど『Bad B*tch 美学』をLANAちゃんが自分のバースだけキックしてて。で、もうMaRIちゃんがそれめっちゃ、もちろんいい意味でキャーキャー言いながら応援してて。「かわいい! かわいい!」とか言いながら隣で応援してて。で、もちろんバックステージでもみんな、すごいもう元気づけ合っているというか。「最高だったよ!」みたいなやり取りがあって。

女性アーティストたちの連帯

(渡辺志保)なんかそういうのって、今までのヒップホップのイベントとかフェスとかではあんまり見ることができない光景だったから。なんかそれを見てるだけですごい嬉しくなっちゃいました。あたたかい、みたいな。

(DJ YANATAKE)そうですね。裏側もみんな、ワイワイしてて。よかったですよね。本当に。まとめてみんなに会えるのはすげえいいなっていう感じで。

(渡辺志保)本当に本当に。なんか、めちゃめちゃ久しぶりにお会いした方とかもいるし。なんか裏方大集合みたいな感じもありましたし。で、鎖の小林さんと私、お話をさせてもらったんですけども。小林さんも「さんぴんCAMPから26年だよ」みたいなことをおっしゃっていて。やっぱりその、OG世代っていうか……。

(DJ YANATAKE)あれは3000人で「こんなに日本語ラップで人が入るんだ!」って言ってたわけだからね。

(渡辺志保)そうそう。そうですよね。そこから20何年経って。「四半世紀が経過して、3万人か!」みたいな。

(DJ YANATAKE)そうですな。なかなか、さんぴんもリアルタイムで行っていた身としては感慨深いですけども。僕的にはね、『THE HOPE』。去年もそうだったんですけど。もちろん、規模もデカくなってきて。ライブもみんなさ、かましていて素晴らしかったんですけど。やっぱりこのDJにフォーカスしてくれている場面がたくさんあるフェスっていう意味では……僕はDJの時間はなかったですけど。すごく見てて嬉しいなと思う反面、やっぱりまだまだDJがああいう場所で、主に日本語ラップのお客さんが盛り上がってきてる中で、果敢にDJのみんなが合間とかにやったり。あとはDJステージっていうところもあるんですけど。果敢にみんながアメリカのヒップホップをいっぱいかけて、チャレンジしているっていうことに……もちろん正直、みんながみんな、ワーッと盛り上がったわけじゃないし。なかなか厳しいんだが。それをDJのみんなが本当にやってたっていうのにすごく打たれたよね。

(渡辺志保)使命感を持って、たぶんやってるよね。で、私はその話を今日、ぜひこの『INSIDE OUT』でしたいなと思ったんですけど。ちょうどXを朝から開いてると、DJ KEKKEくんがトラヴィス・スコットの『FE!N』をかけていて、お客さんがちょっと棒立ちみたいになってるポストが……なんかすごい、いろんな方々がリポストしてるからなんだろうけど。すごい私のタイムラインが流れてきて。で、まさに私もその瞬間、客席にいたんですよ。普通に。

DJ KEKKEがTravis Scott『FE!N』をプレイ

(渡辺志保)で、その前がたぶんRIEHATAさんのステージだったかな? で、私の後ろにいた男女で来てらっしゃるお客さんがね、すごい「RIEHATAさん!」って女の子の方がすごい応援していて。めっちゃハイテンションで見てて。そっからKEKKEくんのDJタイムになって。で、『FE!N』がかかった時にね、「あっ、なんか聞いたことあるね。この曲。誰の曲か知らないけど、聞いたことあるね」みたいなことを話していて。なんか「ああ、いいぞ、いいぞ!」って思ったの。「誰の曲かは知らないけど、でもいい曲だね!」みたいになっていて。「いいぞ、いいぞ!」って思っていて。で、その次に何をかけたかは忘れたんだけど。

(DJ YANATAKE)その後に『Just Wanna Rock』をかけたんですね。で、もしこれ、今しゃべってるのを聞いてよくわかってない人に説明をすると、『FE!N』っていうのは今、トラヴィス・スコットっていう……みんな、ナイキのスニーカーとかで知っていると思うけども。そのトラヴィス・スコットの、今一番クラブでみんながモッシュしたりワーッと盛り上がる曲の1位で。KEKKEはまず、それから始めたんです。それで今、ジャージークラブっていうビート、日本語ラップでもみんな、ジャージークラブの曲を作っているけれども。それの走りを作ったリル・ウージー・ヴァートの『Just Wanna Rock』っていう曲を2曲目にかけたわけ。

(DJ YANATAKE)これは今、夜のクラブで遊んでたらもうこの2曲で間違いなくドッカンドッカンするっていう、そんな2曲を日本語ラップが大好きなお客さんに対してかけたKEKKEにまず、拍手だし。で、3曲目にDJキャレドの『All I Do Is Win』を……。

(渡辺志保)いや、ちょっと待って。違う。その後に、なんとセクシーレッドの『SkeeYee』をかけて。

(DJ YANATAKE)ああ、そうだ。『SkeeYee』をかけたね。

(渡辺志保)そうそう。私は『SkeeYee』がかかったから。「おっ、KEKKE、攻めるな!」って思って。

(渡辺志保)そしたらね、その『SkeeYee』のところで男女の「なんか知らないけどかっこいい曲だね」って言ってた女の子が座っちゃったの(笑)。で、「ああっ、座っちゃった! ここで踊ってくれ!」って思いながら。私は「SkeeYee♪」って歌ってたんだけど。

(DJ YANATAKE)『SkeeYee』はLANAちゃんもこの間、インスタのストーリーで使ってましたよ?

(渡辺志保)そう。だから『SkeeYee』で「ああ、『SkeeYee』はダメだったか!」って思って。でも、その後にキャレドの『All I Do Is Win』にKEKKEが持っていったから。ああ、KEKKEくんもたぶん何か、感じ入ることがあったのかなって思って。

(渡辺志保)で、その後にミーク・ミルの「Dreams And Nightmares」だったかな? かけて。で、KEKKEがマイクを握ったんですよ。で、KEKKEくんも「こういう日本語ラップがメインのフェスだけど。俺はみんなにUSのヒップホップも聞いてほしいからかけ続けるぜ!」みたいなことを自らマイクパフォーマンスして、そうおっしゃってたの。

(DJ YANATAKE)ブースを出て、前に行って言っていたもんね。

(渡辺志保)そう。それに結構ね、「うわっ、KEKKE! マジで戦ってくれてるじゃん!」って思って。だからその『FE!N』ですごい今、「シーン……」みたいな、そこだけ切り取られちゃってる感がすげえ歯がゆいと思って。ちょっと一言、言わせていただきたかった。

(DJ YANATAKE)だからまだまだ、やっぱり……今、日本語ラップも盛り上がっているけども。やっぱり本当にヒップホップ全体として、カルチャー全体として盛り上がってるか?っていうと、まだやっぱり難しいところはたくさんあるような気がするし。

(渡辺志保)ちょっと頑張らなきゃいけないところもね。

(DJ YANATAKE)でも、なんかDJのみんなが「自分がやるべきことはこういうことだ!」みたいなのをすごい提示して見せてくれて。これがまた、来年のその『THE HOPE』、再来年の『THE HOPE』って。まあ他のフェスでもそうですけど。もっと変わっていくことになればいいと思うし。『All I Do Is Win』問題っていうのもあるんですよ。すごい昔の曲……10年、15年前ぐらいの、昔の曲なんだけど。これもオールタイム的に、もうどこでかけてもみんなが手を挙げる。全国、どこに行っても夜のクラブなら、そこにいる全員が手を挙げる曲なんだが……まだやっぱり、そこの難しさがね。

(渡辺志保)そう。でもAKさんのMCとか、¥ellow BucksくんのMCとか、みんなその「ヒップホップを伝える」みたいなことを命題にしてらっしゃるっていうのはすごい感じたんですよね。D.O.さんとか漢さんのステージでも。それで、めっちゃ感動したのがPUNPEEくんが「お隣さんより凡人」っていう曲のリミックスバージョンをラップしてらっしゃって。で、その「彼女の実家にも行けない」みたいなところもちゃんと「奥さんの実家にも行きました」みたいな感じでフレーズを変えて歌ってらっしゃって。

そこでその「バイオレンスから逃げるためのヒップホップがまたバイオレンスに戻ってきちゃってる日本。それじゃ俺もラップ、やめられないよ」みたいなことをラップしてらっしゃっていて。それが本当に響いた。私は。それを夜、しかもPUNPEEくんのエモい時間のところでそれを聞いて。「さすがだな!」と思って。なのでやっぱり、その出られているアーティストさんとかDJの方は本当に、普通の我々とかが思う以上に、自分が何を背負っているのか? 何を提示したいか? 何をレプリゼントしてるのか?っていうのをめちゃめちゃバシンと打ち出したフェスだったし。なんかそういう気概みたいなものはめっちゃ感じたなという風に思って見てましたね。最後まで。

アーティストやDJたちが提示したもの

(渡辺志保)最後のBAD HOPのバンドセットもすごい素晴らしかったけど。あと、同じ日に野音では5lackさんのワンマンライブもやってらっしゃって。PUNPEEくんはどうやって瞬間移動したのかしら?って思うぐらい最後、滑り込んで5lackさんの方のステージにも……しかも、自分のたちのお父様も一緒にステージに上がってらっしゃったっていうのをこれまた、ソーシャルメディアでいろいろ動画など拝見しまして。すごいなって。

(DJ YANATAKE)ちょっとね、時間がなくなってきちゃったあれなんですけども。BAD HOPが最後、東京ドームでやるっていうことで。たぶん明日、ツアーの最後。クラブチッタでいろいろ詳しい発表がありそうなんでね。みんなで注目して、これは何としても行きたいなと思っております。

(渡辺志保)本当ですね。

<書き起こしおわり>

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