赤坂アカ アニメ版『推しの子』初回90分放送を動画工房から提案された話

TOKYO M.A.A.D SPIN おすすめ音声コンテンツ

『かぐや様は告らせたい』や『推しの子』の赤坂アカさんが2024年11月23日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』に出演。大ヒット作品『推しの子』のアニメ化の際、いくつかオファーがあった中から動画工房に制作をお願いした理由や、アニメ版の初回を90分にするという前代未聞の提案を動画工房側からされていたことなどを紹介していました。

(鳥嶋和彦)で、あれですよね。さっき、その『かぐや様』の取材現場があって『推しの子』が生まれたって言ってるけど。直球でいろいろと聞くけど、ほら。小学館でいろいろあって。そのアニメの時とか、実写化の時に原作者のそのイメージと制作側のイメージがずれたりとか。いろんなことが起きるじゃない?

(赤坂アカ)ありますね。

(鳥嶋和彦)それで今回、1回『かぐや様』でもやった後に『推しの子』でいろんな話が来て。その辺のところはクレバーな赤坂さんはどういう風に考えて、どういう風にセレクションしてったの?

(桂正和)聞きたいね!

(赤坂アカ)どこでやるかっていう?

(鳥嶋和彦)どこでやるかっていうことと、そこと実際にやり始めてから、どういうことに気をつけていったか、とか。

(赤坂アカ)そうですね。やっぱり『推しの子』になると「アニメ化したい」っていうお声とかも複数社、いただけるようになって。

(鳥嶋和彦)来たでしょう? 来るよね。絶対、だって旬だもん。作品が。

複数社から来たアニメ化オファー

(赤坂アカ)それで僕も好きなスタジオとか、あるんですけども。でも、その中でも僕がやっぱり一番好きな作品を作ってくれたところにお願いしたんです。動画工房さんに。という流れになってまして。

(桂正和)選べたんだ。それはいいなー!

(赤坂アカ)こちらはそのポテンシャルを知ってますし。で、あちらが本気で作ってくれるって言うんだったら、そのクオリティー感も見えるんですよ。

(鳥嶋和彦)ああ、その段階でね。

(赤坂アカ)そうです。そこは僕とメンゴ先生のオタク質な部分がセレクションに関わってると思いますし。

(鳥嶋和彦)じゃあメンゴ先生とも意見が一致したんだ。

(赤坂アカ)そうですね。そこは結構……でも、悩ましかったんですけどね。たくさんあって。みんな素敵だったので。

(桂正和)まあね。そうだよね。

(鳥嶋和彦)嬉しい悩みだな。

『セクシー田中さん』実写ドラマ化で起きてしまった問題など、作品をアニメ化や実写化する際には原作者と制作者のイメージがずれてしまったりして、結果的に残念な状態になってしまうことは多々ありますよね。

赤坂アカ先生と横槍メンゴ先生はそれぞれのオタク気質によって、ある程度アニメ制作会社の力量というものを把握しており、「ここが本気を出してくれるのだったらすごいものができそうだ」というクオリティー感が見積もれたため、いくつかのオファーの中から動画工房さんを選ぶことができたというのは素晴らしいことですね。そしてそんな動画工房さんが『推しの子』アニメ化に際し、前代未聞の手法を提案してきたんだそう。

(赤坂アカ)そうですね。そこででも一番、大きかったのはもしかしたら「1話を90分でやりましょう」っていう。

(鳥嶋和彦)それはね、僕もAmazonプライムで見た時に仰天して。「ありえない。この作り方は!」って。

(赤坂アカ)そうなんですよ。

(桂正和)90分やったんだ。1話だけ。はー!

(鳥嶋和彦)だから、いいところで切らないで済んでるんだよね。

90分の第1話

(赤坂アカ)そうなんです。そこが一番、不安だったところだったんですよ。これ、絶対に1話だけ見たらちょっとそのアイドルの子供に転生して終わりっていう、一番そのオタク的な掴みの部分ではあるものの、気持ち悪い要素が含まれている部分で終わってしまう。でも、大人になるところまでちゃんと描けたら、そこまでのことがちゃんと考えられてるっていうのが分かってもらえるっていう。

(鳥嶋和彦)その90分っていう前例のない尺でやるっていう提案は……?

(赤坂アカ)向こうから。

(鳥嶋和彦)向こうから、あったんだ。

(桂正和)っていうことは、その向こうも制作側もきちんと理解してアニメ化しようとしてるってことだよね。

(赤坂アカ)そうなんです。いやー、もう本当にこれに関しては是非もなしという。

(鳥嶋和彦)ということは、幸せな関係だね。普通、それはすったもんだがあって。いくつかトラブルがあってそこに行くか、行かないかっていうことが多いのに。

(桂正和)そうですね。普通だったらね。

(赤坂アカ)僕はやっぱりアニメの現場が大好きで。ちゃんと、リスペクトが存在しますし。僕の現場の人たちはもう各々がちゃんとリスペクトがあるっていう、そこの関係性とかもやっぱり……「ああ、ここなら僕も本気を出せる」みたいな感じで。

(鳥嶋和彦)ということは、スタジオに足を運んだりして?

(赤坂アカ)毎週、行ってます。

(鳥嶋和彦)毎週、行ってる。スタッフともやり取りがあって。

(赤坂アカ)欠かしません、絶対に。行けない時はリモートでちゃんと、みたいな。

(鳥嶋和彦)すごいね。えらいね。編集者を内蔵してるね!(笑)。

(桂正和)うん、完全に。

毎週、アニメ制作スタジオに足を運ぶ

(赤坂アカ)絶対に現場で僕のエッセンスは必要になる時があるって思ってるんで。信じてるんで。

(桂正和)いや、だからそれは作品にとってもいいことだもんね。

(鳥嶋和彦)でも普通はさ、うまく関わらないと邪魔にされるっていうか。

(桂正和)そう。邪魔にする空気があるんだよ。

(鳥嶋和彦)原作者が来るってなったら、やっぱり原作者が一番だってみんな、知ってるから。その一番の人が来ちゃうと、じゃあ自分たちは単に使われてるだけか、みたいな感じにならないのかなって。

(赤坂アカ)でももう毎週、いるんで。さすがにもう今、僕は空気です(笑)。

(桂正和)ああ、もうスタッフとして認められてるってこと?

(赤坂アカ)はい。馴染んでると思ってます。自分の中では。

(鳥嶋和彦)じゃあ原作者の形をした1スタッフなの?

(赤坂アカ)そうです。僕はそうでありたい。

(桂正和)いや、それはベストだと思う。俺もそこを目指したいんだよなー。

(赤坂アカ)いやー、ちょっとレジェンドすぎですねー(笑)。

(桂正和)なあ。俺が行くとみんな、ピリッとするんだよなー(笑)。

(鳥嶋和彦)それはキャラクターの違いだな(笑)。なるほど。それで、そういう形で始まってアニメーション、どうでした? 実際に上がったのを見て。

(赤坂アカ)あの、最高ですよ、本当に。「誰がここまでやれと言った?」って感じで。

(鳥嶋和彦)要するに原作者・赤坂アカさんの思っている以上だった?

「ここまでやってもらえるなんて幸せ以外の何者でもない」(赤坂アカ)

(赤坂アカ)まあ、そうですね。もちろん漫画という媒体に対してはプラスの面、マイナスの面……見開きが使えないとか、音楽がある・なしとか、そういうのをトータルで見たとしても、すごいいい。で、「ここまでやってもらえることは幸せ以外の何者でもないのは自覚した方がいい」ってまず、胸に叩き込んで。

原作者とアニメ制作会社の本当に幸せな関係性が構築されているようですね。あの90分の第1話も動画工房さん側からの提案だったなんて……作品をしっかり読み込んで、それをアニメ化するに当たってベストな手法を考え、前代未聞のやり方であるにもかかわらず提案してくるなんてなかなかできることではありませんよ。

そして毎週のようにアニメ制作現場に足を運んで、すでに制作スタッフの一員のような感じで溶け込んでしまっているという赤坂先生も素晴らしいですね。気軽に確認ができる状態を作り上げることでイメージのずれなどを最小限にし、結果的に制作作業も効率化できているんだと思います。

そしてこのような幸せな関係性を「ここまでやってもらえることは幸せ以外の何者でもないのは自覚した方がいい」と自覚しているところも素晴らしい。こんな絶妙な関係性の上であのアニメ版『推しの子』が成立しているのだとわかる、非常にしびれるトークでした!

『TOKYO M.A.A.D SPIN』2024年11月23日放送回

タイトルとURLをコピーしました