鳥嶋和彦と坂口博信 FF5とジャンプのコラボを語る

鳥嶋和彦と坂口博信 FF5とジャンプのコラボを語る TOKYO M.A.A.D SPIN

鳥嶋和彦さんと坂口博信さんが2024年6月22日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中で『ファイナルファンタジー5』についてトーク。FF5情報をジャンプ誌面に掲載したものの、当初はあまり反応がなかった話などをしていました。

(Naz Chris)で、その後に、『ファイナルファンタジー5』から開発に北瀬さんが入られて。

(成田賢)あれ? 5は途中からだっけ?

(北瀬佳範)シナリオとか、エンディングの絵はもうできてたような気がする。

(坂口博信)だけど僕が飛竜とか作った時は、いたじゃん?

(北瀬佳範)そうですけども。たしか、小久保さんのエンディングの……あの絵は合流した時には。たぶん先行してやっていたんじゃないですか?

(坂口博信)じゃあ、そこだけコクちゃんが先行していたんだね。

(鳥嶋和彦)5から、ジャンプで扱ったんだよね。

(坂口博信)そう。

(鳥嶋和彦)ところがね、全然反響がなかったのよ。

(Naz Chris)ええーっ?

(北瀬佳範)それ、ちょっと聞きたいな(笑)。あの当時のことって、あんまりね(笑)。

最初は全然反響がなかった

(鳥嶋和彦)でね、そもそも4を見せに来て。「一緒にやりませんか?」って言われて「いや、ちょっと途中からは……」って断って。でも、やっているとみんながドラクエかと思ってやってきて。ドラクエじゃないのがわかるとみんな「なんだ」って言って去るんだよね。それでものすごく傷ついて。

(Naz Chris)でも5って、4より売り上げも含めて2.5倍とか、そういう感じで。キービジュアルを出して、ゲーム記事も出していったじゃないですか。

(鳥嶋和彦)それはね、その後なんですよ。結局、5を僕らも3、4で結構話題になっているから。で、ドラクエとの対比で結構話題になると思って出したら、全然反応がないわけ。で、坂口さんと「なんでかな?」ってなって。で、やっぱりビジュアルが……ドラクエには鳥山さんの絵があるから。で、FFにはそれがないんで。「どうするか?」っていうことで結果、もう途中の開発画面じゃなくて、できちゃったものを出そうっていうので。

(Naz Chris)ボス戦の構図とかを出していったっていう。

(鳥嶋和彦)それが結局、その後のクロノの見せ方に繋がってくっていうね。

(Naz Chris)成田さんはクロノをやられてますよね?

(成田賢)クロノはですね、正確にはやってたんですけど。本当に補助的なことで。もうチーム全体、プログラマー全体の面倒を途中から見たとか、そういう感じですね。『クロノ・トリガー』は。

(鳥嶋和彦)6が終わっていたよね。あれはね。6が終わって、僕らがちょっとダメになりかけてたチームにドッと合流したんで。だからそのメインを取り替えるわけにいかないじゃないですか。プログラムをゼロから書くということはちょっとさすがに無理なんで。補助をしてもらって、うまく立ち上がるようになったわけですね。

(Naz Chris)で、その頃がVジャンプ創刊の頃ということですね。鳥嶋さん、どう見てたんですか? だって、私も鳥嶋さんも『ファイナルファンタジー5』に「最高じゃないか」っていう評を今、入れてる立場ですけど。「5は傑作だな」っていうので。

(鳥嶋和彦)3、4、5、6、7ってやって。で、3はさっき、いろいろと言ったけど。4は、やっぱりドラクエの後追いっぽいんだよね。テイストとか見せ方がね。で、5になるとようやく「FF」っていう感じがする。いろんなものがものすごくパンッと立つっていうかね。味とか見せ方とかいろんなものを含めて、もうFFはここだなっていうのが出てきて。

(坂口博信)4でちょっと鳥嶋イズムに振ったつもりなんですね。僕は。で、5で元のFFとの中間受けを狙った感じで。だからたぶん自分たちの味と、一旦鳥嶋イズムに振ったものがうまく5でようやく消化したっていう感じですよね。

(Naz Chris)ジョブチェンジとかアビリティーの、そういう部分が面白かったってことですか?

(鳥嶋和彦)そうそう。やっぱりね、戦闘のシステムとか、そういうところがね。だからちょうどそれで5でドラクエとFFがきちっと成立して立ったっていうね。そういう感じがするんだよね。

(Naz Chris)極端に言うと、レベル1でもクリアできるみたいな。5ってそういうところ、ないですか? プレイヤーのスキル次第みたいな。

(坂口博信)まあ、スキルをつけていけば。まあ、それが揃っちゃえば。あとはそういうバグを使った、そういう技とかありますよね。

(Naz Chris)ありました、ありました(笑)。

(鳥嶋和彦)まあ、だからそういうことで結構、ジャンプの読者に打ち込むのに考えて工夫しながらやって。あともうひとつ今、ナズさんが言っていて思い出したのは、渋谷さんの絵をキチッと……やっぱり鳥山さん上に対して天野さんの絵だと、ジャンプ読者になじまないんですよ。で、その画面を作り込んでもらうけど、どうやってそのビジュアルキャッチを作るか?っていうことで、渋谷さんの2等身の絵がすごくいいから。「これを悪いけど、メインに持って来てくれないか? 天野さんのをちょっと下げて」って。

(坂口博信)だから5のパッケージだけ天野さんの絵じゃないのは、そこらへんのジャンプと組んでなんとかFFをメジャーにしようとする試行錯誤の結果でもありますよね。

(渋谷員子)あれ、元の絵は私が書いてるんですけど。5のパッケージは。

渋谷さんの2頭身の絵を全面に押し出したFF5

(坂口博信)まあ、その後に戻っていくんですけどね。やっぱり、開き直って「僕らは天野さんの絵なんだ」っていう6には戻っていくんですけど。やっぱりジャンプとせっかくここでガッツリ組めるんだから、何とかしなきゃという非常にあがきの見える5の感じはありますよね(笑)。

(鳥嶋和彦)でも結果、5はやっぱり売れたわけですよね?

(坂口博信)それぞれ順調に上がってきましたね。いや、やっぱりジャンプと組むというのはもう絶大な威力なので。はい。

(渋谷員子)特集号を私、持ってます。いまだに。Vジャンプの。5をちょっと特集してくださっていて。

(鳥嶋和彦)ああ、5だけね。

(渋谷員子)で、私と坂口さんが2人で対談してるんですよ。

(坂口博信)ああ、対談したんだっけ?

(渋谷員子)はい。5で対談してるのを。

(坂口博信)物持ちいいですよ、すごい。全部持っているんですよ、渋谷さんは。どんだけしまっていあるの?っていう(笑)。

(渋谷員子)まあ、見開きで。要は「ジョブ、これだけ書いて大変でした」みたいな、そういう会話をずっとしてるんですけど。それですごく印象深いのが、ああいう見開きでここのページの端っこに縦書きで「渋谷さんに励ましのお便りを出そう」ってかあったんですよ。で、宛先はVジャンプで「渋谷さん励まし係」みたいなのがあって。

(鳥嶋和彦)お手紙、来ました?

(渋谷員子)そう。「うわっ、こんなのがある!」と思ったら、すごいハガキをいただいたんです(笑)。それね、すごい感動して。それをいまだに持ってるんですけど。

(鳥嶋和彦)えっ、持っているんですか?

(坂口博信)えっ、ハガキを? すごいなー!

今でも持っている読者からの応援のお手紙

(渋谷員子)お手紙も持ってるんですけど。お手紙、すごいですよ。便箋にぎっしり、3枚ぐらい書いてあったりとか。「FFが大好き」っていうので。もうみんな、FFとキャラクターへの思いがびっしり書いてあるお手紙が。

(坂口博信)渋谷さん、偉いよね。僕、こんなことを言うと本当に嫌われるけど、捨てちゃうからね(笑)。

(渋谷員子)ええっ?

(鳥嶋和彦)あなたは捨てるのね(笑)。

(渋谷員子)でもね、女の人が多かったんです。お手紙をくださったのは。

(坂口博信)やっぱり当時、特にだけど開発に女性が携わってるっていうのは、珍しかったんだよね。

(渋谷員子)そう。それで「将来、ゲームに携わる仕事がしたいです」っていう人もすごいいっぱいいてて。

(鳥嶋和彦)やっぱり組んでよかったのは、坂口さんの理解もあって、スクウェアの理解もあって。開発の人を出させてもらえたじゃないですか。渋谷さんを含めて。だから、オフィスの中とかね、スタッフの顔とかね。やっぱりそういうメーカーがなかなかなかったから。

(坂口博信)そうですね。僕らは積極的に出していこうっていう路線で。なんだったら社内で、社内報も顔写真付きで出してましたからね。はい。で、それを配ったりして。

(鳥嶋和彦)だって、スタイリストをつけて、カメラマンで写真を撮った時、坂口さんらしいんだけど。「娘が生まれたから、娘も一緒に撮っていい?」ってなって。「プロに撮ってもらうなんて、なかなかないから」っつって(笑)。

(坂口博信)撮ってもらいましたね(笑)。

(Naz Chris)6度から94年とかですね。

(坂口博信)あ、すいません。ちょっとプライベートのご報告していいでしょうか? ここで、娘の話が出たので。ええと、今年の9月に、出産いたします。いよいよ、おじいちゃんとなりました。2人にもまだ話してないので(笑)。

(一同)(拍手)

(鳥嶋和彦)で、男女どっち?

(坂口博信)男の子です。今日、発表しようと思って(笑)。

(鳥嶋和彦)じじい?

(坂口博信)じじいです、はい(笑)。

(成田賢)ヒゲのおじさんじゃなくて、ヒゲのじじいに(笑)。

(坂口博信)グルッと回ってそうですよ。あの頃、鳥嶋さんに撮っていただいた娘がもう、お母さんですよ。

(鳥嶋和彦)今、いくつなの?

(坂口博信)31ですかね。娘は。

(鳥嶋和彦)そうだね。約30年前だからね。

(Naz Chris)それで、6のエンディングがちょ変わったとか。

(坂口博信)そうですね。娘が生まれたので。「やっぱり子供が産まれなきゃダメなんじゃない?」っていう(笑)。「この世にそれに勝ることはない」っていうことで。

(鳥嶋和彦)公私混同も甚だしい(笑)。

(北瀬佳範)本当に坂口さん、作品に公私混同が……(笑)。

(鳥嶋和彦)女々しいんだよね。一言で言うと、女々しいんだよ。だって坂口が書いたセリフとかキャラ、すぐわかるもんな。「これ、坂口だな」って(笑)。

(Naz Chris)だからFFがこんなにいいんじゃないですか。鳥嶋さん、嫌いそうですけどね。

(鳥嶋和彦)まあちょっとね、ザワッとするからね(笑)。

<書き起こしおわり>

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