2025年2月22日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』で鳥嶋和彦さんがジャンプ副編集長時代を振り返り。ジャンプ購読者の年齢層を下げるための施策として三条陸さんのすすめでカードダス情報を扱うようになった話をしていました。
(Naz Chris)その80年代後半のジャンプ編集部において、副編集長の立場になって。鳥嶋さんはその時、ジャンプをどうしようとしてたんですか?
(鳥嶋和彦)あのね、二つあって。ひとつは年齢層を下げたい。どうしたって、この前も言ったけど『男塾』『ジョジョ』『北斗の拳』みたいなね、劇画タッチの漫画が多くて。編集部のメインの志向がそこにあったから、年齢層を下げたいというのがあって。『ドラゴンボール』しかなかったから。で、自分がファミコンとかグラビアページをやった経験からして、もう漫画だけで企画を押す時代は終わったなって。
この後、子供が何に関心を持ってるかを見て、リサーチしながら記事で打って反響を見て、探っていく。で、ゲームっていうのはひとつのジャンルとしてあるけど、ゲームだけなのか? 他にもあるのか、ないのか? 三条くんたちのグループから提案があったカードとかね。そういうものが出てくるわけ。
読者の年齢層を下げるための施策
(三条陸)カードダスですね。たまたま僕、『ドラゴンボール』の一弾を集めたんですよ。実際に買って。僕、カードダス自体、買っていたんで。ウルトラマンから始まってるんですけど。
(Naz Chris)ああ、ウルトラマンからでしたっけ?
(三条陸)ウルトラマンとか、その時のスーパー戦隊だったライブマンとか、そういうバンダイさんのキャラクターのものから始まってて。で、『ドラゴンボール』がちょうど出たばっかりだったんすね。
(Naz Chris)20円のやつが。
(三条陸)最初のやつが。
(鳥嶋和彦)そうそう。で、それを詳しく知らないんで聞いて。「ああ、これはもっとちゃんと誌面に組み込んでバンダイと展開した方がいいだろうな」って。
(三条陸)その場ですぐにバンダイさんに電話してくれましたから。いや、でも質問の意図としては「『ドラゴンボール』をこれからもっと膨らましていきたいんで。メディア的にもいろいろやって。幸、ファミコンのゲームが結構売れたから、これからゲームには頑張ってもらう。アニメも(Zに)リニューアルして、一新して面白くしていく。もう1個、なにかアイテム的にないかな?」っていう風に聞かれたんで「今、こういうの出てるんですよ。たまたま僕、集めていたんですけど」って懐から出して。
「これ、カードが自動販売機から出てくるんですよ。ガチャガチャって20円入れて、出てくるんです」っていう話をして。「へー」ってなって。「わかった。ちょっとバンダイに連絡してみる」っていうので。「これの担当者さんは誰ですか?」っつって(笑)。バンダイさんにその場で担当さんに連絡して。もう、だから二弾目からうちが作ってるんですよ。カードダス。
(Naz Chris)そうですよね。そうか。これも88年なんだ。カードダス。
(三条陸)一弾はバンダイさんが自分で出したやつで。それを買っていたうちらが提案したら、二弾目からはうちがずっと作るようになっちゃったっていう(笑)。
(鳥嶋和彦)面白いのは「カードがランダムで出てくる」っていうね。「アソート」っていうんだけども。それが当たり外れがある。でもさ、全部キチッとカードは出るのね。で、そのバリエーションがあって、その時のドキドキ……でも弱いカードは弱いカードなりにそのルールの中でうまく使えば遊べるっていう。僕らの子供の頃、斉藤くんに言ってもわかんないよね。軍人将棋とか、あったわけよ。
(サイトーブイ)わかりますよ。
(鳥嶋和彦)ああ、知ってる? 本当に? あれはやっぱりスパイが最後、大将に勝てる可能性があるっていう。ああいう逆転の目もあるし、トレードもできるし。「ああ、これは面白いね。1枚当たりの単価も子供を集めるには……」っていうのでね。それでほら、カードだから誌面で紹介するにはいいのよ。見やすいし。
(Naz Chris)カードダスが鳥嶋副編集長が立てたジャンプ編集部の中でのひとつトピックだったってことですね。企画としては。
カードは誌面で紹介しやすかった
(鳥嶋和彦)で、その結果、三条くんたちがカードの設計に関わって誌面で密接に展開するようになって、やっぱり売り上げがどんどん伸びていって。ついに……それまではほら、ゲームでもそのセガ系、任天堂系っていう風にハード別に。「これの商品化を許諾するからスポンサードで一枠、持ってね」っていうようなことだったんだけど、いつの間にかカードが一枠になったね。それだけのボリュームになったの。
(Naz Chris)そうか。その時って、ファミコンだと『神龍の謎』の後……天下一武道会のやつですか? ピッコロが出る。
(三条陸)そうですね。初っ端の『神龍の謎』が結構出たっていう話ですね。
(鳥嶋和彦)だからちょうど、そのちょっと前ぐらいから『ドラゴンボール』のゲームはバンダイに任せておいちゃダメなんで。「中身をチェックさせて」ってっていう風になって。それまでアクションゲームだったものをRPG風に変えたんだよね。売れるように。だからちょうど今、三条くんが言ったように『ドラゴンボール』を含めてもう1回、子供たちに対して仕掛けるとか何かないか?っていうことを考えて。やり始めた時かな?
(Naz Chris)でも『ドラクエIII』の裏で、そういうことも進めていたっていうことですよね。前回の放送で「ジャンプにいる漫画家さんの層の厚さは千段ぐらいの組体操だ」みたいなたとえを鳥嶋さんはされていて。他社に比べて。でも、企画のその厚みっていうことでも、やっぱりちょっと群を抜いてるわけですよね。
(三条陸)普通だったら「これとこれとこれで」っていう三つぐらいのプランを用意しておくところを、ジャンプは「3」では飽き足らないので(笑)。たぶんジャンプの企画会議は「三つしかないのか?」って言われますから。まあ、組体操的っていうのはすごくわかりますよねも。
「絶対これが生きるだろう」っていう一発を先頭に置いておいて。次にそれを土台になる2個、3個っていうのを多く作ってっていう。それでバーッと波状攻撃みたいに仕掛けていくっていう。まあ1ヶ月で4回、ジャンプは出るわけですから。だから四段攻撃ぐらいになっていないと威力がないんで。
鳥嶋さんがジャンプ購読者の年齢層を下げるためになにかいいものはないかと三条陸さんに相談したところ、ちょうどその頃に出始めて三条さんが集めていたカードダスを提案。鳥嶋さんがその場でバンダイに電話をして結果的にジャンプとカードダスのコラボが始まり、ジャンプの監修もあってカードダスが大人気になったという流れ、とても興味深く聞いていました。カードダス、めちゃ集めましたからねー。懐かしい!