2024年11月5日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』で宇多丸さん、日比麻音子さんが漫画家の楳図かずお先生の訃報を紹介。
これまでにも番組内で楳図かずお作品に言及したり、大学時代には楳図作品の中短編を研究するZINEを作っていたりしたという宇多丸さん。そしてそんな宇多丸さんに激推しされて『楳図かずお大美術展』に行き、大きなショックを受けたという日比麻音子さんが楳図作品の魅力について話します。
(宇多丸)僕、中短編がすごい好きで。その中でおすすめだと、たとえば有名な『ねがい』。これは一言でいえば、ドラえもんと自ら別れを告げなきゃいけないのび太の話。要するに「君がいると僕は大人になれない」っていう話です。それに対して……っていう話で。『わたしは真吾』で語られているテーマのひとつの原型でもあるような作品です。
楳図かずお『ねがい』
(宇多丸)それから『ROJIN』っていうね、老人がいなくなった世界。老人がいないことにされている世界で、少年が町外れにいる老人なる生き物と出会うっていう話とか。これも『14歳』とか、そういうところに繋がってくようなテーマ、作りであったり。
楳図かずおの傑作短編「ROJIN」みんな読もう!#老人の日 pic.twitter.com/eWbHQRbSXO
— うずま奇 (@2020_uzumaki) September 15, 2022
(宇多丸)『凍原〈ツンドラ〉』っていう短い、ちょっと恐ろしい短編があって。楳図先生、もちろん時代なりの、たとえば女性の描き方とかは今、見るとちょっとこれは……っていう女性観が作品の中に入っていたりもするんだけど。僕はこの『凍原〈ツンドラ〉』は逆説的フェミニズム漫画だと思う。
楳図かずお『凍原〈ツンドラ〉』
あとは『夏の終わり』。要するに、過去に遡ってやり直すみたいな。タイムループ物でも何でもいいけど、あるじゃないですか。より良い人生になるとか。今、こうだからやり直す。でもそれって、本当にいいのか?っていうことを、そういうものが流行るはるか前から言っている話ですね。
長編だと『洗礼』が好きですね。ホラー映画の『エスター』を見た時に「うわっ、すごい『洗礼』みたい。この人、『洗礼』を読んでいるでしょう?」って思ったりしました。
(宇多丸)ショートショート集の『闇のアルバム』とかも本当に素晴らしいですし。『蟲たちの家』とかも本当に素晴らしい。これ、黒沢清さんが短編で映像化してますけども。とか、私が語るだけでも止まらなくなっちゃう。
楳図かずお『蟲たちの家』
こんな感じでおすすめの楳図作品をどんどん話していく宇多丸さん。近々、『アフター6ジャンクション2』内で楳図先生の功績を振り返る特集を予告しつつ、「楳図先生、お疲れ様でございました。素晴らしい作品の数々、ありがとうございました。ゆっくりお休みください」とトークを締めくくっていました。
宇多丸さんが紹介していた中短編の楳図かずお作品、読んだことがないものもいくつかあったのでこの機会にチェックしてみたいと思います。楳図先生、お疲れ様でした!