森下孝三『聖闘士星矢』から『ドラゴンボールZ』へ移った理由を語る

鳥嶋和彦『ドラゴンボールZ』・タイトルに「Z」がついたきっかけを語る TOKYO M.A.A.D SPIN

東映アニメーション会長の森下孝三さんが2023年9月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊&マシリトのKosoKoso放送局』で鳥嶋和彦さんに請われて『聖闘士星矢』から『ドラゴンボールZ』に移った理由を話していました。

(鳥嶋和彦)それで『聖闘士星矢』を小山さんとおやりになられていて。で、僕が『ドラゴンボール』のお願いに行ったんですけど。お願いに行って会った時の印象って、どうでしたか?

(森下孝三)あのね、『星矢』はチーフディレクターだったんだね。あの時、ちょうど38ぐらいかな? でもね、やっぱり演出っていうのもいつかは抜かれちゃうわけですよ。で、わりかし早くやってきたから、もう潮時だなと。で、「今更ローテーション演出は嫌だな」と思ってたわけ。そこにそういう声があったから、あれだよね。両方だよね。「ちょうどいいな」っていうのと「潮時だな」っていうのの。

(鳥嶋和彦)じゃあ、森下さん的にはもう仕事にちょっと、やや飽きてた感じだった?

(森下孝三)「飽きていた」っていうよりも結局、「今更、もうチーフディレクターがチェックするような演出みたいなことはできないな」と思っていた頃で。だからそういう意味ではちょうどいい時かなって。で、演出っていうのは……映画の監督って演出もできるじゃない? 「テレビはもう、これでいいな」と思ったの。

(鳥嶋和彦)なるほどね。テレビっていうのは、毎週毎週作るっていう?

(森下孝三)そうそう。もうこれ以上、やることはないかもしれないなと思っていて。だから、プロデューサーのあれになって面白かったですよ。今度は逆に。

(鳥嶋和彦)だから、あれですよね。演出・監督じゃないだけじゃなくて、プロデューサーも兼任で。

(森下孝三)そうそう。プロデューサーになると基本的に結構ね、そういうプレッシャーはないから。当たるか当たらないか。視聴率と興行だけだから。

じりじり落ちていた『ドラゴンボール』の視聴率

(鳥嶋和彦)だからそれで言うと当時……今だから言いますけど。『ドラゴンボール』のテレビの視聴率ってじりじり落ちていて。で、内容も僕からするとさっき話があったように『ドラゴンボール』の格闘がだんだんシビアで重くて痛いものになってるのに、アニメーションがそれを描いていなくて。それで森下さんと小山さんに入ってもらって、そこが変わったんですけど。そのへんってお願いして森下さん、すぐにパッと「ああ、『ドラゴンボール』はじゃあ、こうやればいいんだ」っていうイメージって、浮かびました?

(森下孝三)元々『ドラゴンボール』と『星矢』って両極だったじゃない? 集英社のジャンプでも。で、そこからこっちに移るっていうのは結構やっぱりさ、会社の中でも抵抗がすごいのよ。「なんで『星矢』をやめるんだ?」っていう人と「なんで『ドラゴン』に入ってくるんだ?」っていう人と。

(鳥嶋和彦)ああ、やっぱり言われるよね。それは本当に申し訳なかった。

(森下孝三)それはだって、人を押し出すわけだから。僕自身よりも、今までやってたスタッフを全部変えるんだから。シナリオから何から、演出も。そうすると、今まで無印でやってきた人たちは……。

(鳥嶋和彦)「無印」っていうのは『Z』の前ですね。チビ悟空の頃の。

(森下孝三)そういう人たちはやっぱり……だから僕は『Z』に切り替わった時にほぼ、ザーッとやっちゃったでしょう?

(鳥嶋和彦)だからその時、プロデューサー兼任だから現場スタッフも森下さんのイメージで変えたんですよね?

(森下孝三)そう。すごかったですよ。あの頃、抵抗は。『ドラゴン』チームも長いから。『アラレちゃん』からずっと……「鳥山班」っていうんだけど。

(野沢雅子)そうだよね。

(森下孝三)ずっと続いていたから。

(中略)

奇跡的な視聴率のV字回復

(鳥嶋和彦)それで結果、視聴率はV字回復していくんですよ。で、「テレビアニメの視聴率が1回、落ちたら戻ることはほぼない」っていう風にね、当時のプロデューサーで今、フジテレビでえらいさんをやっている清水賢治くんがそう言っていて。「鳥嶋さん、やっぱりこれ、『Z』に切り替えてよかったですね。ほぼ奇跡です」って言っていて。

(森下孝三)よかったよね。

<書き起こしおわり>

鳥嶋和彦『ドラゴンボールZ』・タイトルに「Z」がついたきっかけを語る
鳥嶋和彦さんが2023年9月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊&マシリトのKosoKoso放送局』で声優の野沢雅子さん、東映アニメーションの森下孝三さんを迎えてアニメ『ドラゴンボール』についてトーク。『ドラゴンボールZ』とタイトルを変更してリニューアルした理由について話していました。
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