三条陸『ダイの大冒険』アバンとマトリフのモデル・近藤裕と鳥嶋和彦を語る

三条陸『ダイの大冒険』アバンとマトリフのモデル・近藤裕と鳥嶋和彦を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

鳥嶋和彦さん、三条陸さん、稲田浩司さんが2023年11月27日放送のJ-WAVE『ゆう坊&マシリトのKosoKoso放送局』の中で『ダイの大冒険』についてトーク。読み切りから連載化をするにあたって鳥嶋さんが考えたジャンプ内での作品のポジショニングなどについて話していました。

(三条陸)そうですね。やっぱり狙った通りかそれ以上の表情に、もうネームの段階で上がってくるんで。やっぱり悲しいシーンでダイが泣くってなったら、本当に悲しそうな……悲しさが伝わってくるぐらい悲しそうなものを書いていただいているんで。僕、稲田先生のすごく大きな魅力のひとつは構成力と表情だと思うんですけど。そういうのがやっぱり自分の思った通り以上のものでくると、もうネームの段階ですごい手応えがあるっていうか。

(鳥嶋和彦)やっていて楽しいだろう?

(三条陸)ですね。

(鳥嶋和彦)ドライブ感があるよね。そこはやっぱり、やり取りの面白い部分だよな。やっぱりイメージを越えてこないとね。

(三条陸)そうですよね。狙った通りのセリフ以上の聞こえ方をするっていうのが、すごいよかったりするし。

(鳥嶋和彦)そういう意味で言うとさ、ここに今、アバンいるわけだけど(笑)。アバンがさ、内輪的な言い方をすると僕の後の『ドラゴンボール』の担当の近藤そのものでさ。で、マトリフがどうやら僕そのものなのは、それは原作の指示なの?

(三条陸)原作の指示ですね(笑)。

(Naz Chris)そこをちょっと詳しくお聞きしたいんですけど。どこでピンと来たかっていうか。「ああ、アバンは近藤さん。マトリフは鳥嶋さんだ」っていう。しかも、善のデフォルメじゃないですか。鳥山先生は悪をデフォルメして。それでフリーザ(近藤)とピッコロ(鳥嶋)っていう形でしたが。その善のデフォルメっていうところも含めて、ちょっとお聞きしたいです。

(三条陸)普通にライターとしてお仕事をしてるので。その鳥嶋さんとか近藤さんとかとやり取りをしてると、やっぱりリアクションが面白いっていうか。「A」って言っている時に返してくる「B」とか「C」が面白いんですよね。で、結局作家って自分で書くと、全部リアクションが自分の中で書いちゃうと、同じなっちゃうじゃないですか。自分のリアクションなっちゃうんですよ。Aって言われると。

(鳥嶋和彦)ああ、わかる。頭で作っちゃうのね。

(三条陸)「バカ野郎!」って言われると「この野郎!」って言うキャラばっかりになっちゃうとかね。全部、自分の性格になっちゃうんで。その時にやっぱり違うキャラとか違う性格だから、違う返し方をした方が面白いので。そうすると、やっぱり実際に話していて「こんなことを言われて」っていうので返ってきた言葉が面白いと記憶に残るし。「じゃあ、近藤さんみたいしてみようかな」ってなるっていう。だから入稿とかの時に「とっととやらないと明日、死にますよ」とか言われたりとか(笑)。本人は「俺、そんなこと絶対に言わないよ」って言うんだけれども。「いや、俺は確実に聞いているんですけど?」っていう(笑)。

(鳥嶋和彦)言ってる(笑)。

(三条陸)「僕は『ブリバリやっちゃってください』なんて言いませんよ」って言われたんだけども「いや、めちゃくちゃ言ってますって」っいう(笑)。「ブリバリやらないと終わらないですよ」って(笑)。

(鳥嶋和彦)たしかにアバンとフリーザの口調は彼そのものだよ(笑)。あの怒れば怒るほど、言葉が丁寧になるっていうな。

(Naz Chris)でも、近藤さんがフリーザになるっていうのはわかりやすいですけど。見た目がアバン先生であれっていうのが、よくここに落ちるなっていうその想像力の豊かさを感じて。

(鳥嶋和彦)それはやっぱり、解釈の仕方か。

(三条陸)ですね。

(Naz Chris)すごいですよ。

フリーザ、アバンのモデル・集英社の近藤さん

(三条陸)でも、アバンはニコニコしながらすごいハードなことを言ってくる勇者の家庭教師っていうキャラだったんで。まあ、そこがすごい近藤さん、引っかかったっていうか(笑)。にこやかにキツいことを要求してくるんで。笑ってね(笑)。それはキャラとして面白いなっていうのがあったんで。

(鳥嶋和彦)なんだろうな? その近藤くんに関して言うと、元々彼は少女漫画からジャンプに来たのよ。これは珍しい事例で。だから少女漫画にいるっていうことは、ジャンプに最初からいる僕とかサイトウくんみたいに言葉遣いが乱暴じゃないわけ。

(Naz Chris)ああ、そうなんですか?

(鳥嶋和彦)そう。女性相手だから。丁寧にしゃべれる人間じゃないと、編集部に置けないわけ。だから来た段階では丁寧なんだよね。

(Naz Chris)へー! で、マトリフは?

(三条陸)それはもう、鳥嶋さんそのものですから(笑)。まあ、アバンの後を継いで、アバンを失ってみんなが頑張っている時に第2の、ポップの師匠っていう役なんで。ここは厳しいやつを出そうっていう。言葉遣いが厳しいやつっていうと、鳥嶋さんだなって。鳥嶋さんが一時期、「自分の顔がいっぱい出てるから『Dr.スランプ』はいつか絶版にしてやりたいと思ってるんだ」って言っていたので。じゃあ、こっちでも出させてもらおうかなって(笑)。「鳥嶋さんを漫画にする」という歴史を絶やしてはいけないので。「出してやれ!」って(笑)。

「鳥嶋さんを漫画にする」という歴史を絶やしてはいけない

(稲田浩司)じゃあ、許可は取っていたんですね?

(三条陸)取ってないですよ? 「これは鳥嶋さんで行きます」って。

(鳥嶋和彦)たぶんね、アバンも取ってないと思うよ。

(三条陸)取ってないです(笑)。

(鳥嶋和彦)それで、原作の指示を見て、どうだった? 描いていて楽しかった?

(稲田浩司)でも、アバンが近藤さんだっていうのはあんまり聞いてなかったので。描いている方としては、近藤さんはイメージしてなかったので。

(鳥嶋和彦)だけど、あのキャラはだって……。

(稲田浩司)動きだったりはセリフから派生しているので。たぶんセリフがそうだったから、ああいう、そんな感じの動きをしてたんじゃないですか。

(三条陸)だから僕の脳内でいろんな方に来てもらって。いろんな方をキャスティングして、いろいろ面白いこと言ってもらうっていうあれですよね。

(稲田浩司)「マトリフは鳥嶋さんだ」ってはじめに言われたんで。逆に書くのが大変で(笑)。「鳥嶋さんに似せなきゃいけないのか」と思って、Dr. マシリトを見たりして描いてました(笑)。

(鳥嶋和彦)マシリトを見て描いたの?(笑)。

(稲田浩司)ちょっと寄せないとなって思って。近藤さんの時はなにもなかったから自由に描いてたんですけど(笑)。

(三条陸)で、もうちょっと、バランとかね。椛島さんが元ネタだったりするんで。

(鳥嶋和彦)ああ、たしかに!

(三条陸)そっくりでしょう?(笑)。「めっちゃいい人だけど、怖い」っていう(笑)。

(鳥嶋和彦)アハハハハハハハハッ! 怖いね(笑)。「寄らば斬るぞ」っていう感じだもんね(笑)。

バランのモデルは椛島さん

(サイトーブイ)三条さんはそういう、編集者を正義側に配置するの、いいっすね。鳥山さんは逆にちょっと敵側に配置しているじゃないですか(笑)。そこがお二人の性格が出てるのかなって。

(三条陸)作家さんと担当さんと、ライターと編集だから、そこは違いますよね。

(サイトーブイ)三条さん、始まりはライターさんだからっていう関係性ですか?

(三条陸)作家さんと担当さんだと丁々発止じゃないけども。いろいろやり合いながら作品を作ってっていうね。でもライターに関しては……。

(鳥嶋和彦)ライターで始まると一応、発注作業で。チームで始めるから。

(三条陸)戦友ですから。普通に編集さんは。

(鳥嶋和彦)作家や漫画家だとある種、相対するものだからね。

(三条陸)対決構図じゃないんで。

(サイトーブイ)なるほど!

(三条陸)だから一緒に戦ってる時にポッと言うセリフが面白いっていう。

<書き起こしおわり>

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