町山智浩『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』を語る

町山智浩 クインシー・ジョーンズと楳図かずおを追悼する こねくと

町山智浩さんが2025年3月11日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』を紹介していました。

※この記事は町山智浩さんの許可を得た上で、町山さんの発言のみを抜粋して構成、記事化しております。

(町山智浩)でね、ちょっともう1本、今週公開される映画を紹介したくて。『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』っていう映画が今週、14日から公開されるんですが。これ、アメリカ映画なんですけど。これは非常に美しいコメディで、インディペンデント映画の低予算映画ではあるんですけども。これね、1人の女の子、高校生が首都ワシントンに修学旅行で行ったら、そこからアメリカの表面に出てこない、政治的に非常に極端な人々のグループに次々と巻き込まれていくというコメディなんですよ。

アメリカの「極端な人々」

(町山智浩)で、ネオナチの人がいるでしょう? それから白人至上主義者もいれば、その反政府運動をしているアンティファと言われてる人がいたりね。いろんな人たちがいるわけですよ。表には出てこない、非常に政治的に偏った人たちと言われてる人たちですね。あとQアノンと言われている、陰謀論にとりつかれた人たちですね。銃で武装している。そういった人たちがいっぱいいて、訳のわかんない行動を次々としてるわけですけど。

その人たちの間をこの少女がですね、なんていうか軽やかに、ふざけながら駆け抜けていくという非常に奇妙なコメディですね。これ、すごい変な映画なんですけど。それで『不思議の国のリリアン』っていうタイトルがついてるように『不思議の国のアリス』が元になっていますね。でね、この映画は監督に僕、インタビューしていて。その政治的なギャグの意味とかも全部、聞いて。というのはね、たぶん日本の観客はこれを見ても何が何だかわからないと思うんですよ。

で、それを説明したビデオが上映後に流れることになっていますんで。わかんなくても、僕が最後に出てきて解説しますから。これ、3日間限定で上映されるんですけども。監督と2人でね、「これ、わかんねえよな」って言いながらいろいろと……「ここはどういう意味なんですか?」とかを聞いていったのがあるので。ぜひ、ご覧くださいということですが。ただ監督もね、「この頃はそういう過激派の人たちがちょっと怖いね、みたいな話をしてたんだけども、今はアメリカ、それどころじゃないよね」って言ってましたね。トップの人が一番怖いというね。そういうことも含めて、これも今でしか見れない映画だなと思いますね。

『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』予告

アメリカ流れ者『Flow』『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』

タイトルとURLをコピーしました