渡辺志保 ビヨンセのカントリー曲『TEXAS HOLD ‘EM』『16 CARRIAGES』発表を語る

渡辺志保 ビヨンセのカントリー曲『TEXAS HOLD 'EM』『16 CARRIAGES』発表を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年2月19日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でビヨンセが発表したカントリー曲『TEXAS HOLD ‘EM』『16 CARRIAGES』についてトーク。カントリー・アルバムだと噂されている『Renaissance ACT II』などについても話していました。

(渡辺志保)それで私、スーパーボウルはアメリカの現地の紙コマーシャルが入る中継……DAZNのゲームパスの中継をね。

(DJ YANATAKE)はいはい。CMが見れるのと、見れないのとあったんだよね。

(渡辺志保)そりゃあもう、USのコマーシャル、見たいじゃないですか。で、そのUSコマーシャルありバージョンで中継を見ていて。本当にもうダラーッと、体調が悪くて動けないっていう感じで見ていたんだけど。それでアッシャーのハーフタイムショーが終わって、ずっとゲームはもちろん続いてますし。面白いコマーシャルが他にもあるかもしれないと思って、ずっとつけっぱにしながらソファーに寝転がって見ていたんですけど。そしたら、ビヨンセのね、ベライゾン。通信会社のCMが流れて。で、一緒に共演してらっしゃった俳優の方が……私は、そのベライゾンのCMにビヨンセが出るっぽいっていうのは知ってたんですよね。

(DJ YANATAKE)ああ、そうなんだ。

(渡辺志保)という、古参アピール(笑)。それはなぜか?っていうと、その声優の方のXだったか、その俳優の方とビヨンセが『Renaissance』の時に自分のモチーフのようにして使っていた、あの銀色の馬。その馬の上半身がちらっと映っていたんですよ。

(DJ YANATAKE)ああ、チラ見せしていたんだ。

(渡辺志保)そう。チラ見せしたんですよ。で、「こんな馬、あれじゃん! 『Renaissance』の馬じゃん!」みたいな。なので、勘のいいファンは「スーパーボウルのCMのいずれかにビヨンセ、出るんだな」ということはたぶん勘づいていたらしくて。それで出たのが……しかも、あんなに盛りだくさんなCMとは思わずに。

(DJ YANATAKE)歴史をさかのぼる系じゃないけども。

(渡辺志保)そう。だし、バービーにも……バービーというか、「Barabey」っていう風になっていたし。で、ちょっとやっぱりビヨンセがファニーというか、コミカルな役にもなっていたし。ああいう、なんかちょっとコミカルビヨンセみたいなのも、最近はなかなか見てなかったので。本当にびっくりしたんですよね。で、その後に「新曲、出すわよ!」みたいなことまでもCMでおっしゃっておられたので。その後に2曲ね、ドカーンとリリースされたことに本当に驚いてですね。たまげましたね。

ビヨンセ・スーパーボウル2024 Verizon CM

(渡辺志保)で、皆さんも聞いてらっしゃるかもしれないですけれども。『TEXAS HOLD ‘EM』という曲と『16 CARRIAGES』という曲の2曲が同時に発表されたわけなんですけれども。2曲ともカントリーミュージックなんですね。で、これまたビヨンセファン的には、ビヨンセとカントリーミュージックといいますと、かつて『Lemonade』というアルバムが2016年に発売された時、『Daddy Lessons』という曲が入っていて。それもめっちゃカントリー系の曲だったの。

(渡辺志保)それでその当時、ビヨンセは結構カントリーミュージックに寄ったパフォーマンスみたいなのもあって。実際、カントリーミュージックアワードでチックス……元々はディクシー・チックスっていう名前で活動していたグループと共演したりとか、なんだりっていうのがあったので。なんかファンの中にはその時の活動と結びついた人もいるかもしれないですね。私はだから、2016年にそういう作品が出ていたので。「その時に一緒に録っていた曲なのかな?」とかも思ったんだけど、たぶん違うんですね。今回の『Act II』のために録り下ろした曲なのかなと思って。

で、これもちょっと自分のラジオ番組で先に話してしまったんですけれども。『16 CARRIAGES』のリリックの中には「38歳」っていう言及がある。で、ビヨンセは今、42歳なのかな? で、あとはティナ・ノウルズ。ビヨンセの母親がInstagramのキャプションで「この曲、何年もずっと好きだったから、やっとみんなに聞いてもらえて嬉しい」みたいなことを書いていたから。たぶん3、4年前に録った曲……4、5年ぐらい前にはあったのかな?って。

(渡辺志保)で、カントリーミュージックって私は本当にはっきり申し上げて、あまり馴染みがないジャンルなんですよね。だがしかし、日本のロックファンの方とか、往年のベテランのロックファンの方とかはカントリーミュージックがどっぷり、大好きですという方、たくさんいらっしゃると思うんですけれども。で、ちょっとアメリカのカントリーってどちらかというと、保守的で。白人の人が多くて。かつ、男性の人が多いというジャンルとされているわけなんですよね。で、本当に有名なところだと、あのテイラー・スウィフトも元々はカントリーシンガーとしてデビューしていて。ギター弾き語りして自分でシンガーソングライターとして活動をスタートしたっていう背景があるんですけれども。だからカントリーのファン層って、主に南部白人の男性とか、白人の保守的な方が多いんですよね。

だからこそ、テイラー・スウィフトも自分のリベラルな……アメリカだと共和党と民主党の二つに大きくわかれていますけれども。カントリーミュージックの基盤というのはだいたい、共和党支持の人たちが多いんですよね。でも、テイラー・スウィフト個人は民主党寄りであるという。なので、テイラーも自分が民主党を支持しているということを本当に長らく、ずっとずっと隠しておかねばならなかったほど、それくらい、なんだろう? 溝が深いというか。ちょっと、やはり特殊なシールドに守られているような……外から私は見ていて、そういう風に思うのがカントリーミュージック界なんですよ。

なので、翻って黒人ミュージシャンが非常に少ないとか、黒人ミュージシャンがちょっと虐げられてしまっているというのがカントリーミュージック。でも、そこのルーツを紐解いていくと、やっぱり使っているバンジョーという楽器もありますけれども。そうしたものもアフリカン・アメリカンの方々に元々のルーツはあるものですし。そのブルースが由来になっていて、ブルースはもちろんアフリカン・アメリカの人々が作り出した音楽ということで。この間、ビヨンセは『ACT 1』の『Renaissance』では「アメリカの黒人が作り出したハウスミュージック、アメリカの黒人が作り出したダンスミュージックを再び自分たちの手に!」みたいなところをレペゼンしていたわけですけれども。今度はビヨンセはカントリーミュージックでそれをやろうとしてるんだなということが非常に強く伝わってくるようなアティチュードだなって感じました。

(DJ YANATAKE)僕もなんかで記事を見かけたけど。で、「パート3はロックなんじゃないか?」とかね。

(渡辺志保)私が見た噂では「パート3はR&Bに戻ってくる」説っていう。

(DJ YANATAKE)ああ、そうか。僕が見たやつは、なんだっけな? ハウスをやって、カントリーをやって、最後はロックをやって。元々はその黒人音楽として、黒人の人たちが作り出した音楽。にもかかわらず白人の人たちの方の手に渡ってしまったものを取り戻すっていうのを3つ、全部やって完結するみたいな。

(渡辺志保)とかね。でも、そういうことなんですよね。本当に今、やっていることはね。で、実際に今回、2曲リリースされて。で、2曲ともにやはりというか、黒人のカントリーミュージシャンがちゃんとフィーチャーされている。で、たとえばですね、『TEXAS HOLD ‘EM』の方にフィーチャーされているのがRhiannon Giddensさんという女性の黒人のカントリーミュージシャン。で、彼女はこの曲ではバンジョー……たぶん一番最初に鳴る独特のギターみたいなサウンドの弦楽器。そのバンジョーっていう楽器があるんですけれども、そのバンジョーの音色と、あとは最後の方にバイオリンみたいな弦楽器の音が鳴っているんですけども。それがヴィオラなんですが。そのバンジョーとヴィオラはどちらともこのRhiannon Giddensさんが演奏しているという。で、彼女もずっとカントリーミュージック界で活躍してきた数少ない黒人女性の1人ということで。その彼女をわざわざ招いて、LAで録音した曲ということらしいですね。

(DJ YANATAKE)なんか、すごいね。1曲、そして1個のアルバムを作る、重みというか、気合とかがもう本当に……コンセプトとかがもう、なんかちょっと次元が違いすぎますね。

(渡辺志保)次元が違いすぎますですね。それででビヨンセの地元ってテキサス州ヒューストンなんですけど。テキサス州ヒューストンもまた、そのカントリーミュージック……アメリカの南部ってヒップホップ好きにはもちろんヒップホップ好きの南部の、アトランタとかメンフィスとか、いろいろありますけれども。「南部といえば、これ!」っていうのがありますけれども。アメリカ南部って、それと同じぐらいというか、それ以上にやっぱりブルースの聖地だったりもしますし。あとはカントリーミュージックもやっぱり、その南部でデカいんですよね。だから私、行ったことないんだけど。テキサス州にもでっかい、ロデオ。テンガロンハットをかぶって馬に乗るみたいな。そういうのが有名で。そうしたところって、カントリーミュージックもめちゃくちゃ盛んで。なので、ビヨンセがテキサス出身で、こうした形で今まで彼女がテキサスっていうと、『Renaissance』の映画にも地元のラッパーのバン・Bとかが出てきたし。テキサスのヒップホップシーンのこともレペゼンしてきたれども、今度はそのテキサスのカントリーミュージックサイドをこうしてレプリゼントしていくということで、非常にわくわくっていう感じがしますね。

(DJ YANATAKE)なんかちょっと……これももう1個、見かけただけなんで、闇深感が出ちゃうんですけど。このビヨンセの曲、チャートはすごいんだよ。結構、チャートアクションはしてるんですけど。なんか、カントリーのラジオ局ではあんまりかかっていないみたいな。

(渡辺志保)そうそう。実際、地方のカントリーラジオ局ではUリスナーの人がこの曲をリクエストしたら「私たちはカントリーラジオ局としてビヨンセの曲はかけません」っていう、その拒否するレターが返ってきたとか。もう既にいくつかの局でそういう、この楽曲のオンエアーを拒否する動きっていうのがあるということで。このへんは今後、どうなっていくのかしら?っていう風に思いますね。

(DJ YANATAKE)それはすごい難しいですよね。たとえばさ、テイラー・スウィフトがさ、ケンドリック・ラマーとやりましたってなったら、それがヒップホップラジオ局のHot97でかかるか?っていったらなかなか難しいと思うし。でも、どっちが正しいのかはちょっとわかんないですけど。なんかそういうことも今、現実として起きちゃってるんだなって。

(渡辺志保)そうですね。で、本当に忘れてはならないのは、そのカントリーミュージックはマジョリティーである白人の人たちの土壌に今、なっていて。その白人のマジョリティー側がマイノリティーを排除するというのがまたやっぱりね、よろしくないねということで話題になっておりますし。

(DJ YANATAKE)なんか早くもそのグラミーのカテゴライズの話とかね、出ていますけどもね。

(渡辺志保)そうですね。で、なんかさ、この間もグラミー賞でジェイ・Zがああいういうスピーチをしたじゃないですか。で、ああいうことがあってなお、グラミー賞のそのレコーディングアカデミーが「新しいビヨンセはカントリーだ!」みたいな、のんきなXのポストをしていて。なんかファンとしては「えっ、どういうおつもりなの?」って。

(DJ YANATAKE)でも本当にさ、『Renaissance 2』が出て。それが素晴らしいアルバムで大ヒットしたとして。で、完全なカントリーミュージックアルバムだとして。それがグラミーでアルバム・オブ・ザ・イヤーを取ったら取ったってなんか、複雑な気も……。

(渡辺志保)複雑ですよね。それでたとえば、アルバム・オブ・ザ・イヤーとカントリーアルバム・オブ・ザ・イヤーの両方ノミネートされて。カントリーの方は取るけども、ベスト・アルバムの方は取らないとかなったら「こいつら、わかってんのか?」みたいな、ねえ。

(DJ YANATAKE)どう転んでも物議を(笑)。

(渡辺志保)どっちに転んでも……っていうね。で、今年は4月にテイラー・スウィフトさんも新しいアルバムを出すという風にもおっしゃってましたから。

(DJ YANATAKE)いや、テイラー・スウィフトは本当にすごいと思うんですけどね。

(渡辺志保)そうそう。なんかそんなこんなでね、びっくりしちゃうわっていう週の始まりでしたね。

(DJ YANATAKE)でもとにかく、チャレンジしていったりする姿勢は本当に素晴らしいですね。ビヨンセさん。

(渡辺志保)本当にそうですね。だから前年、2023年にあれだけのツアーを回っていたけれども。この『Act II』の仕上げの作業とかも同時進行でいらっしゃったのかなと思うところもありますし。で、この『TEXAS HOLD ‘EM』と『16 CARRIAGES』の2曲が同時に発表されて。2曲ともラファエル・サディークがめちゃめちゃ深く関与してるんですよね。で、ラファエル・サディークは『Renaissance』も『CUFF IT』……あの大ヒットした曲。あそこでナイル・ロジャースとかと一緒にラファエル・サディークはプロデュースにも関わっていて。

(渡辺志保)で、実際に今回の『16 CARRIAGES』に参加した黒人ミュージシャンも、彼はニュージャージーに住んでいるんだけど、LAに「もう、お前しかいないんだ!」っていうことで、選ばれて。で、LAのとある一室に行ったら、もうビヨンセとラファエルとあと2人ぐらいのミュージシャンがいて。いそこでジャムセッションみたいな感じで進んでいったということで。

(DJ YANATAKE)へー! でもたしかになんか、Tony! Toni! Toné!の曲とかでも、なんかそう言われてみるとちょっとそういう雰囲気のある曲、あるもんな。

(渡辺志保)かな? まあ、でもラファエルさんはいろんな楽器も弾けますから。クレジットにすごいラファエルさんの名前が入っていて。で、なんか『Renaissance』から最初に『BREAK MY SOUL』が出た時も「こんなネタ使いでいいのかな?」みたいな。ちょっとわかんないなみたいな戸惑いもあったので。おそらくまたね、アルバムという形でこの『TEXAS HOLD ‘EM』と『16 CARRIAGES』を聞く頃には、またいろんなことが明らかになっているのだと思いますし。おそらく映像作品とかも一緒にあるのかなとか思いますし。いろいろ楽しみが尽きないなという感じですかね。

(DJ YANATAKE)なるほど。最近また……今週のビルボードもそうでしたけど。またカントリー勢の勢いもすごいので。

(渡辺志保)そうそう。だから去年もね、本当ルーク・コムズとかね、カントリーイヤーで。

(DJ YANATAKE)もうずっと1位だったよね。

(渡辺志保)そうそう。モーガン・ウォーレンとかだったから。

(DJ YANATAKE)そこにビヨンセがこのサウンドでどう食い込んでいくのか?っていう。

(渡辺志保)あとカントリーとヒップホップっていうとね、数年前にはリル・ナズ・Xとかもありましたし。その地ならしみたいなのはできてるのかな、みたいな風にも感じますよね。というわけで、ちょっとここで『TEXAS HOLD ‘EM』。ビヨンセの新曲をお届けしましょう。

Beyoncé『TEXAS HOLD ‘EM』

(渡辺志保)はい。ただいまお届けしましたのはビヨンセの新曲『TEXAS HOLD ‘EM』でした。いかがでしたでしょうか? というわけで期待が高まって……3.29にリリースするっていうのはもう明らかになっておりますので。またその日を……『Act II』。彼女の新アルバムがリリースされる日がもう明らかになっておりますんで。引き続きドキドキして参りたいなと思います。

<書き起こしおわり>

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