渡辺志保 Eminem『Houdini』を語る

渡辺志保 Eminem『Houdini』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年6月3日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でEminem『Houdini』について話していました。

(渡辺志保)ここで早速……早速というか、ちょっと前置きの後にですね今日の1曲目をかけようと思うんですけれども。ちょっとこの曲をオープニングでかけるか、どうしようか、すごく悩んだんですけれども。とは言え……ということでエミネムの新曲『Houdini』をかけようかと思います。で、『The Death of Slim Shady』というタイトルのアルバムを今年の夏にリリースするということをアナウンスしていまして。そこからのリードシングルとして『Houdini』というシングルを先週、リリースしたわけですね。『Houdini』って「魔術師、イカサマ師」みたいな意味で。ヒップホップファン的には「Whodini」の方が馴染みが深いんじゃないかと思うんですけれども。今回、カバーアート、アートワーク見れば一目瞭然だと思うが。ちょっと怪しげな魔術師に扮したエミネムがアートワークにもなっているという。

ミュージックビデオがとにかく話題で。この曲もですね、そのリリースされてからYouTubeとGoogleの両方のトレンドの1位がこの『Houdini』のミュージックビデオになったんですって。で、アメリカのXにおいてもトレンドワードにバーッとエミネムの関連ワードが1から10まで、いくつも並んだというような現象がありました。で、この曲のミュージックビデオ見ていただいて、かつ私とかと同い年ぐらい。ギリギリ昭和生まれみたいな人たちは「懐かしい!」って身悶えするんじゃないかと思うんですけども。楽曲もそうだし、ミュージックビデオの作りもベースになってるのはエミネムの2002年のヒット曲『Without Me』なんですよね。で

『Without Me』をモチーフにしたミュージックビデオ

、今回のアルバムのタイトル『The Death of Slim Shady』っていうことなんですけれども。「スリム・シェイディの死」っていう。で、スリム・シェイディというのはファンにとっておなじみだけど、エミネムのオルターエゴ。なんかもっとサイコパスで、ちょっとクレイジーで、コントロール不可能みたいなハチャメチャなキャラクターがスリム・シェイディってわけなんですけども。で、だからそのスリム・シェイディが今回のアルバムをもって死んじゃう。ピリオドを打つってことなんですよね。

で、この曲の中にもスリム・シェイディがすごいバリバリに悪態つきまくっていたデビューの98年、99年ぐらいから2002年ぐらいまでのエミネムのエッセンスがめっちゃ詰まってるので、楽しんで見ることができる人もたくさんいると思いますが。しかし、ちょっと私としては今回の『Houdini』のリリックの中にはちょっといくつ「うん?」っていう、ちょっとよろしくないというか、私は純粋に楽しめないなと思う表現がいくつかあって。そのうちのひとつが、メーガン・ザ・スタリオンのことをネタにしてるんですよね。

「俺もメーガンにコラボを頼みたいから、彼女の足を撃てばいいのかな?」みたいなリリックがあって。それはメーガンとトーリー・レインズの事件のことを揶揄しているわけですけれども。あとはですね、R.ケリーのことをネタにしていたりとか。あとはトランスピープルの人たちをちょっとギャグっぽくして、かつ、そこに「Siamese」っていう単語があって。これは「シャム猫」ってことなんですけど。

プラス、ちょっとアジア人蔑視みたいなリリックも入っていて。なのでめっちゃトレンドには上っているが、その分、バックラッシュ……叩かれるというか、炎上もしているという、そんな曲なんですよね。でも本当に90年代後半から2000年代前半にかけてのエミネムって、本当に本当に今以上にお騒がせ野郎だったし。その後、彼はリハビリに行って、いろんな嗜好品を断つわけなんですけれども。それまでのエミネムって本当にハチャメチャだったし。それこそスリム・シェイディ時代はことあるごとに、当時のポップスターのブリトニー・スピアーズとかクリスティーナ・アギレラのことをケチョンケチョンに叩いていたんですよね。

なんで、そういうエミネム構文みたいなものに照らし合わせると、今回の『Houdini』にはかつてのエミネムの通りなので。私みたいな人がですね、目くじらを立てても「いやいや、エミネムのジョークだからいいじゃん」みたいに感じてらっしゃる方も……そこの是非は置いておいて、たくさんいるんだろうと思うんですけれども。ただ、そういうことをまるっと含めてもですね、その『Without Me』とか、あのへんの時代からも20年以上が経ってるんだなっていうことをちょっと改めて感じて。

で、ミュージックビデオもその昔のエミネムがその2002年のポータルが開いたみたいな感じで。タイムワープ……2002年のエミネムが今の時代にタイムワープしてきたみたいな。で、当時、エミネムのミュージックビデオにおなじみだったドクター・ドレーのカメオ出演とか。今回のビデオはドレーもそうだけど、スヌープ・ドッグとか、50セントとか、そういう面々も出てきておりますし。個人的にはオービー・トライスも出てほしかったなとか、思うんですけれども。

あとピート・デヴィッドソンとかも出ていて。めちゃめちゃ凝っていて。エミネムも本当に愉快犯みたいな感じでこういう作品を作っているとは思うんですけれども。なんかそのトランス差別のくだりとか、ちょっと嫌だなと思いながらちょっと、ミュージックビデオ見て、リリックを拝見したという感じでございます。ここまで、またしっちゃかめっちゃかに業界というか、ファンたちをかき乱しているエミネムですから。実際、じゃあその『The Death of Slim Shady』、一体どんなバケモノアルバムになるのか、今から半分楽しみ、半分怖いみたいな感じでおります。という感じで今日の1曲目をここでお届けしたいと思います。エミネムで『Houdini』。

Eminem『Houdini』

<書き起こしおわり>

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