東野幸治『漫才協会 THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~』を語る

東野幸治『漫才協会 THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~』を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2024年2月16日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中でナイツ塙さんが監督した映画『漫才協会 THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~』について話していました。

(東野幸治)今週1週間は、人の人生ばっかりを見続けてきました。俺は一体、ドキュメンタリーを何本、見なくちゃいけないんだ? 東野幸治のホンモノラジオ。どうも、こんばんは。東野幸治でございます。今夜も1時間、よろしくお願いします。私の話を聞いてくれるのは、この方!

(渡辺あつむ)渡辺あつむです。

(東野幸治)よろしくお願いします。いや、もうプライベートで誰々とご飯を食べて、とか。そこでなんか変わった店員さんがいて、とか。道を歩いていたら、変な人に絡まれたりとか。電車に乗っていたら、変な人が横に座って、とか。まあ、ないね(笑)。

(渡辺あつむ)根暗は直らないですね。

(東野幸治)まあ、ない。なんで20代、30代、あんなにあったんやろうな?っていうぐらい、まあなんにもないです。びっくりするぐらい。唯一あるのが、家を出て。金曜日ね。昼間に『ワイドナショー』やって。ほんで終わって、飛行機で大阪に入って、ABCラジオを録るっていうスケジュールなんですよ。で、1月、2月前ぐらいからかな? 家の近所……だからマンションなんで、地下もあって。別にタクシー呼んでもいいねんけども。なんかまあまあ、セコさ満開ですから。その呼ぶのがお金がちょっともったいないっていうことで。アプリで呼んでもいいけど、またなんぼかかかるから。野良でタクシーを拾おうみたいな感じで。毎回、AコースとBコースの道があって。気ままにどっちかでタクシーを道で拾う。

Bコースで2月ぐらい前にタクシーを拾ってたら、ちょうどだから14時ぐらい。だから周り、ちょっとビジネスの会社もたくさんあって。ちょっと遅めのランチの帰りとか、行きとかの人もいる中、1人……35歳から40歳になるぐらいかな? ちょっと年齢、定かじゃないけども。1人で、意外とスピードを落とさず近づいてきて。「ラジオ、聞いてるんです」って言われて。「えっ、大阪のラジオ、聞いてんねや」って思って。「このへんなんですか?」みたいに言われて。「ああ、はい。今からちょっと仕事で」「ああ、今日もラジオなんですよね」みたいなことを話してて。で、それから2週に1回ぐらい、その人が俺のスケジュールを知ってるか、知らんけど。そこでよう会うねん(笑)。

(渡辺あつむ)いや、偶然でしょう?

(東野幸治)いや、偶然ちゃうわ。ずっと明治通りをウロウロしてると思うねん。あの女の人(笑)。

(渡辺あつむ)ああ、女性?

(東野幸治)女性なんですよ。ほんで、なんか当たり前みたいにカバンから……別にびっくりもしないんですよ。偶然、その人が歩いてきて。俺がタクシーの道に出てくる時にパッとカバンから「ちょっとこれ、書いてください」みたいな。ちっちゃい紙を出してきて。「サイン、書いてください」とか、なんかグッズ的なもの。言うたら、ドッキリGPの東野の顔犬。あれもなんかガチャガチャで当たったみたいで。すごいちっちゃいですけど、太いペンで「これにサイン、書いてください」とか。「うん?」って思って。っていう人がなんか、2週に1回、会うんですよ。で、今日、会うかな?って思ったんですけども、会わなかったんですよ。だから今日、2週目の日やから。ちょっと寂しい自分がいてるねんけども。それぐらいですよ。唯一、俺の1週間のハプニングって言うたら。ちっちゃいでしょう?(笑)。だから、ラジオでしゃべるほどじゃないんですよ。全然。

(渡辺あつむ)売れている人って面白いものに遭遇するっていうジンクスは?

(東野幸治)それは鶴瓶グループね。こっちのアンチ鶴瓶グループはなんにもない(笑)。なぜなら、じっとしているから。いろんなところで……言うたら、嫁にも言われるんですよ。東野幸治っていう名前。「私の名前、使った方がいいよ」とか。言うたら、宅急便屋さんも俺の電話番号を知ってるから。俺にかかってくるんですよ。家に行って、いなかったら「どうしましょう? 置いときましょうか? 冷凍ですけど。何分後まで」とか。俺、いろんな人に電話番号を教えてるんですよ。でも、いたずらせんな。いたずらせんわ。もっといたずらせえよ、国民(笑)。「またイタ電や」とか「死ね、ボケ。東野!」とか。まあ、せんな(笑)。こっちはもう「来い!」と。鶴瓶さんばりにしゃりたいけど、なんか……「『結婚するからしゃべって』とか、急に言われてな。結婚おめでとうって、なんで言わなあかんねん?」みたいな話、させてくださいよ。誰も電話をいたずらでして来えへん。用事ある以外、一切せえへんねん(笑)。

(渡辺あつむ)ええ人ばっかり(笑)。

(東野幸治)まあ、それだけですよ。だから1週間ずっと……水道橋博士とかからLINEが来て。で、水道橋博士は関係ないんですけれども。ナイツの塙くんが漫才協会のドキュメンタリー映画を週末かなんか、これからロードショーというか。公開するんですよ。ほんで、水道橋博士もそれを見てたぶん面白いって思ったんで。なんか知らんけど、塙くんサイドからそのデータをもぎ取って、俺のところに送ってきて。「ぜひ見て、公開前にコメントください」って言われて。「いや、もうあんた、自分のことやっておきや」って思うけども。

水道橋博士経由で見た『漫才協会 THE MOVIE』

(東野幸治)で、漫才協会の塙くんが、聞いてる関西の人はわからない……要は宮川大助・花子に匹敵する、漫才協会にはそういう夫婦漫才の方がいらっしゃって。その方が離婚して、別れて、コンビ再形成して。いろんなことがあって、今はちょっと謎のピン芸人。理由は今、言えへんけどピン芸人されている。実はこんなことがあった……みたいな、そういう人を追っかけたりとか。たとえばU字工事とか、錦鯉も出てた。だから要は、漫才協会に入ってる方がいろいろインタビューを。プリンプリンとかもインタビューしてて。

まあまあ、中堅と。あとは若手の人も1組、紹介されていて。いろんな方を塙くんが中心にインタビューしに行くっていうドキュメンタリーで。我々、吉本興業はちょっと恵まれてるから。最初に一応、漫才の説明と、関西・関東の違いとか。吉本興業の劇場とか、東京はこうなっているみたいなのは一応、あるんですけども。まあ、全くわからへん。東洋館というところを主戦場にやってるっていうドキュメンタリー見させていただいて、ちょっと勉強になったというか。

で、ナレーションは小泉今日子さんがやっていて。なんか塙くんってすげえなって、単純に思った。そもそも、ウッチャンナンチャンに憧れてこの世界に入って。で、ウッチャンナンチャンの内村さん、南原さんが、言うたら映画の専門学校に行くんですよね。そもそも四国の人。香川の南原さんと九州・熊本の内村さんが映画が好きでそこに行く。ほんで授業で漫才の授業をする。で、内海桂子・好江師匠がそういう授業にやってきて。「それぞれ皆さん、なにか作ったら? 漫才でもコントでもいいから」って、その授業がきっかけで。「あんたら、面白いから、うちに来れば?」っていうことで、マセキ芸能社に入る。入った時はマセキはもう本当に江戸の、東京の老舗の演芸会社で。だからこれ、有名な話ですけど。たとえばウッチャンナンチャン、人気になってブワーッて行った時。『夢で逢えたら』っていう番組をダウンタウンさんとかとやる途中ぐらいまでかな? 要はマセキ芸能社からギャラ、もらったことなかったんですって。

(渡辺あつむ)ええっ?

ギャラではなくお小遣い制だったウッチャンナンチャン

(東野幸治)お小遣い。「頑張ったね。ウッチャン」「ナンチャン、頑張ったね。はい、お小遣い」って。向こうも悪気はないんすよ。っていう時代やったんですよ。それを「なんかおかしいな? あれ?」って内村さんも南原さんもなって。でも、誰に相談していいかわからん状態で。その時に浜田さんがたぶんマネージャーに「なんやねん、これ?」とか「お前、なんでこのギャラ、こんなやねん?」とか言っているのをウッチャンナンチャンさんが小耳に挟んで。「あれ? うちと全然、違うな」って言って。おそらく、僕の想像ですけど。「ダウンタウンってさ、どうやって会社からお金、もらってんの?」「いや、これの仕事したら、なんぼもらうっていう……」「えっ? お小遣いじゃないの?」みたいな。「はあ? それ、騙されてんで?」みたいなんで「ええっ!?」ってなって。そこから会社と交渉して。それで今のマセキ芸能の若手がみんな、たくさん給料をもらえるのは内村さん、南原さんが交渉の結果、勝ち取った権利で。

で、そこにナイツが来るわけじゃないですか。そこで漫才とかコントをやってる時に、なんかやっぱりそういう、みんながウンナンさん、ダウンタウンさんがブワーッて行っているから。塙くんはみんなと同じ方向に行ったら目立てへんなっていうことで。もう10何年前なんかな? 20年ぐらい前に、浅草の言うたら東洋館で漫才をやろうっていう。その時、そんなの誰1人もたぶん、いなかったと思うんですよ。で、それをやりだして。ほんで、言うたらビッグビッグボーイズさんとか。俺もようわからんけど。塙くんが言うてる名前を勝手に言いますけど。っていう人とか。東ナントカカントカとか。全くわからへん、文化が全く違う人らが面白いんやっていうんで。当時、『やりすぎコージー』『アメトーーク!』とかで言うたら、浅草芸人みたいな特集をして。自分でアピールしてやったりとか。

あと、東京の芸人で人気出て。ボキャブラで人気者になった。学園祭でたくさんお金、もらった。外車に乗って。でもだんだんだんだん仕事なくなって、ネタやることもなくて、暇してる人らに順番に声をかけて。「東洋館、漫才協会に入らない? 月、なんぼか払ったら会員になって、月1回とか2回、出番があるよ」って声をかけて。それで今があるっていう、そんな映画なんですよ。それが面白いんですけど。一番、僕が個人的に面白かったのが、たぶん見てる人は引っかかると思うんですけど。ある芸人さん。ピン芸人。名前は忘れたんですけど。ずっと漫才協会に所属している。で、年会費だけ払うんですよ。でも誰1人、その人の顔を見たことがないんですよ。で、その人に会いに行くんですよ。

(渡辺あつむ)おおっ!

年会費だけを何年も払い続ける謎のピン芸人

(東野幸治)面白いやん?(笑)。ほんなら、なんかとある団地にいてて。で、鉄の扉の団地、あるやん? そこに行って。「ああ、ここだ」って。で、師匠のいろいろ、そういうのを聞いたりとか。10何年前にチラッと見た人に「どんな人? たぶんこのへんだ」みたいなんで、ブーッて鳴らして。そしたら、その70歳か60代後半ぐらいの眼鏡かけた、七三分けのちょっと長めの人で。「ああ、はじめまして。漫才協会の今、会長をやっています。塙です」「ああ、そうなんだ」「ずっと会費だけ払っていて、舞台は出てないですけども。ちょっとまず、お話を聞きたいんで。ちょっと家に上げてもらって、いいですか?」「ああ、それはダメ」って。

「あ、ダメっすか……。ちょっと込み入ってお話を……」「ああ、なに?」「漫才協会、ずっと年会費だけ払っていますけども。舞台とか、全然来ないですけど。何をされてるんですか?」「うーん……ちょっと今、言えないな」って。その団地の踊り場で「ちょっと今、言えないな」「いや、ちょっとだけでいいんで。何をやっているんですか?」「いやー、言いたいんだよなー」って。顎を触って。「ここまで出てきているんだけど、言えない。これ、終わったら言うから」「ああ、そうですか。聞きたいですね。ちょっと中、入っていいですか?」「ダメ」っていうくだりの1分半、めっちゃおもろかったんすよ(笑)。

(渡辺あつむ)絶対に見よう!(笑)。

(東野幸治)フハハハハハハハハッ! いや、俺、塙に会って聞きたいですよ。「あれ、なに? あの人?」って。めちゃくちゃ興味あるっていうことでございますから。3月1日公開ですけども。たぶん関西はそんなに劇場、やってないと思うし。ちっちゃいところかもわからんけれども。その関西の芸人、吉本の芸人、松竹の芸人になりたい人がいたら、「東京ってこういうところ、あんねんな」っていうのが面白いドキュメンタリーですから。ぜひぜひ見てほしいと思います。

<書き起こしおわり>

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