バカリズムさんが2024年1月29日放送のニッポン放送『ナイツ ザ・ラジオショー』の中でドラマ『ブラッシュアップライフ』についてトーク。作品中で登場する様々なお仕事のあるあるを取材するため、聞き取り調査をしたことについて話していました。
(塙宣之)でも本当、面白かったですもんね。『ブラッシュアップライフ』。
(バカリズム)ありがとうございます。塙、ドラマが好きなんだもんね?
(塙宣之)僕、ドラマはもう、ほとんど全部見てますけど。やっぱり『ブラッシュアップライフ』、うちの奥さんもみんなハマったし。面白かった。で、僕は結構やっぱり最近、子供とかが生まれて。ちょっと、なんだろう? グロい描写のやつとかは、あんまり見たくないんですよ。いじめとか、復讐とか、自殺とか。でも『ブラッシュアップライフ』って、それがあんまりないじゃないですか。ほとんど。
(バカリズム)それはたぶん、俺が苦手だから。グロいやつとか、罪もない人が不幸になったりするとかが苦手だから。割と……たぶん、ジャンプで育ってるからかもしれないけども。必ず救いがないといけないとか、ハッピーエンドで終わらないと嫌だとか。たぶん、自然にそんな風になっているんだと思うんだけど。
(土屋伸之)バイオレンスはなるべく描かないように?
(バカリズム)あったとしても、割と漫画的というか。だったりとか。あんまり人を死なせるのも嫌だし。
(塙宣之)それはどんな作品でも、だいたい?
(バカリズム)だいたい……ほぼハッピーエンドだし。そうね。必ず笑いを入れるし。
(塙宣之)だから何回も生まれ変わるっていうドラマだけど、あそこの亡くなるところは全然ね。
(バカリズム)そう。そこも監督さんと「あんまりグロくないようにしましょう」みたいな感じで。うまい具合にああいう見せ方をしてくれて。
(塙宣之)そういう考えって、あるんですか? 普段が徳を積むといいことが起きるみたいな? ああいうのって、昔からあるじゃないですか。
生まれ変わるために「徳を積む」という設定
(バカリズム)よくさ、「人生何周目」とかっていう発想って、誰でもするじゃない? そういうところを考えた時に、その設定だけだと要はどんどんどんどん私利私欲のために。自分が知ってるからっていうことで、自分の人生を有利に運ぶようになるじゃない? で、そうさせちゃうともう、どんどん欲にまみれた人間になるから。それを抑えるためには「徳を積まないと次、生まれ変わるものが希望した生命にならないですよ」っていうルールを作っちゃえば……。
(土屋伸之)そのための設定だ。なるほど。
(バカリズム)そうすると、あまり変な方には行かないから。
(塙宣之)だから、人助けとか。
(バカリズム)そうそう。次に生まれ変わるもののためにやるっていうメンタルになるじゃん?
(土屋伸之)そのために、オオアリクイになるとかを(笑)。
(バカリズム)元々、自分のコントで100回生まれ変わる男のコントをやったんだけど。それはそういうルールがないから、どんどんどんどんもういろんなものを……たとえば小室ファミリーの曲とかを先に自分が作って、とか。完全に自分の欲のためにいろんなことをやる。で、どんどんどんどん成り上がっていくっていう設定だったから。そうすると、さすがにドラマでは成立しないから。次、生まれ変わるものが……って。
(土屋伸之)そうか。そうやって、できていったんですね。『ブラッシュアップライフ』は。
(塙宣之)でも、その悪いことをしてるのも、ちょっと痴漢とか、不倫とかね。そこまでグロくないというかね。
(土屋伸之)身近な軽犯罪で。
(バカリズム)で、必ず成敗されるようにしてるし。だからたぶん、根っこはすごい優しいんだと思う(笑)。意識はしていないんだけど、にじみ出ちゃっているんじゃない?(笑)。
(塙宣之)あのドラマ、集大成じゃないですか。にじみ出ちゃって。
(土屋伸之)ピンのネタが割と毒舌な感じが多いから。そう思われてるかもしれないけども。
(バカリズム)そうね。笑いが一番最優先だから。長いドラマを書くとね、そういう人の良さが出ちゃうんだろうね(笑)。
(土屋伸之)自分で言わないでよ(笑)。
(塙宣之)だって、早く着いているのに店を開けないやつとか、いるじゃないですか。ああいうのって、わかりますよね。
(バカリズム)で、結構取材もしたのよ。薬剤師さんに。で、2、3時間ぐらいの取材だとあれぐらいのことって、そんなに出てこないの。でももう、どんどん掘って掘って掘って……「何でもいいんで」って。その向こうがさ、「これはネタにならないだろうな」と思って抑えちゃってるくだらない部分とか。それをずっとしゃべってると、絞り出してくれるんだよ。それを引き出して。だからあれ、実話なのよ。「開けない」っていうのは。
(土屋伸之)薬剤師さんの。
(バカリズム)いろいろ聞いて聞いて聞いて、やっと出してくれたの。
(土屋伸之)本当に細かいところまで聞くんですね。
掘って掘って掘りまくって引き出したお仕事の話
(バカリズム)そうそう。顕微鏡の話とか。「次の人が使う時にその前の設定にしてたら合わなかったりすることとか、あるんですか?」「そう。あるんですよ!」みたいな。「たとえば……」で聞いてみたら、実際そうだったりとか。
(土屋伸之)ドラマの現場のあるあるも……みんなで、チームで一丸になって巻いていくみたいなね。
(バカリズム)あれももう、一斉にアンケートを取って。
(土屋伸之)アンケートを(笑)。
(塙宣之)「二子玉川で降りた方が早い」みたいな(笑)。
(土屋伸之)「塚地さんが向かっています!」みたいな(笑)。
(バカリズム)日本テレビの現場のプロデューサーさんからいろいろ送ってもらって。それをいろいろ吸い出して。あるあるとか、ちょっとした愚痴とかね。
(土屋伸之)聞き取り調査したんですね。
お仕事ドラマは主人公の職業についての入念なリサーチが必須なんだけど、市役所職員、薬剤師、テレビディレクター→プロデューサー、研究医と7話で4業種を主人公に経験させて細かいあるあるを描くの、通常のドラマの作り方じゃきっと不可能で、どうやってるのか気になる。 #ブラッシュアップライフ pic.twitter.com/iiCXSyt47v
— 大島育宙【ドラマ考察/評論/実況/無限まやかし】 (@zyasuoki_d) February 19, 2023
(塙宣之)すごいっすね。コントと全然違いますもんね。ドラマの場合。長さも違うし。だから、升野さんってあんまりその本を読んだり、映画を見ないって言うじゃないですか。
(バカリズム)だから、ドラマを見ない。
(塙宣之)ドラマ、見ないんですか?
(バカリズム)見ない、見ない。いや、コロナ渦の時にさすがに暇だったから、ネットフリックスで『愛の不時着』と『梨泰院クラス』。めちゃくちゃ話題になっていたから、それは見ようって思って見て。面白かったから。でも、それぐらい。あと日本のドラマとか、あんまり見ないね。だから「誰々の作品っぽいですね」とか「誰々の影響ですか」とか言われても「ああ、そうかもしんないっすね」とか言うけど「全然知らねえや」とか、あったりするんですね。
(土屋伸之)そうなんですか。
(塙宣之)じゃあ、漫画なんですかね。
(バカリズム)漫画だね。あとゲーム。ゲーム的じゃん? 『ブラッシュアップライフ』って。
(塙宣之)ああ、リセットみたいな?
(バカリズム)とか、なんか結構ほら、サウンドノベルみたいな。選んでいってさ、間違ったら1回、分岐点に戻ってもう1回やり直して……っていう。で、一番いいエンディングを迎えるっていうタイプの。たぶん、そのゲームの影響じゃないかな。
(塙宣之)Aパターン、Bパターン、Cパターンみたいな?
(バカリズム)そうそう。で、そこに1回、戻って。「こっちにすればよかったんだ」とかさ。で、それが後々に繋がっていって、とか。たぶんゲームの影響だと思う。
<書き起こしおわり>