渡辺正行とナイツ M-1 2023を振り返る

渡辺正行とナイツ M-1 2023を振り返る ザ・ラジオショー

渡辺正行さんが2023年12月26日放送のニッポン放送『ナイツ ザ・ラジオショー』に出演。ナイツのお二人とM-1グランプリ2023を振り返っていました。

(塙宣之)一昨日のM-1はリーダーは?

(渡辺正行)これがちょっと忙しくてさ……。

(塙宣之)ええっ?

(渡辺正行)見てるんだよ(笑)。

(土屋伸之)見てるんじゃないですか!(笑)。

(塙宣之)やっぱり審査員されてない時も、ずっと見て?

(渡辺正行)いや、この番組があるからさ。絶対、その話が来るんだろうなと思ってたから、しっかり見た。死ぬほどしっかり見ちゃった(笑)。いつも酒を飲みながら適当に「はー、おもしれーなー」とかって見ているんだけども、今回はしっかりと見ちゃったよ。面白かった。全体として、やっぱり最初に令和ロマンが出たじゃないですか。あのへんが、いいですよね。今回のM-1、レベルが高くて面白かったですよね。

(塙宣之)ぜひ、聞きたいです。

(渡辺正行)ドキドキドキドキ……だって、敗者復活から長かったじゃないですか。敗者復活も全部、見ちゃったんだよ。

(塙宣之)さすがですね、リーダー。あれ、3時からですよ。全部見たんですか?

(渡辺正行)全部見た(笑)。

(土屋伸之)リーダーは敗者復活メンバーとかも含めて、全員知ってます? 見たことある?

(渡辺正行)いや、全員は知らないですよ。

(塙宣之)でも、ネタ見せで見たりとか。それこそナイチンゲールダンスも出てましたし。

(渡辺正行)だから、敗者復活から上がってきたシシガシラなんかは……うーん。だから、今回の敗者復活のルールはすごくいいルールなんだけども。なんで最後だけ、芸人さんが選ぶのか。最後も全員投票でいいんじゃないかと思ったんだけどね。

(土屋伸之)たしかに。3組からはね、結局芸人審査員が。

(渡辺正行)僕なんかは、シシガシラももちろん面白いんですけど。他のグループもね、みんな頑張ってたんで。どこが来るのかな?って。

(塙宣之)それこそ、ナイチンゲールダンスとか。

(渡辺正行)だからシシガシラなんかは逆に言うと、あそこに自分たちの一番いいネタを持っていっちゃったから。あれを出しちゃったから「じゃあ、違うネタを」っていう発想になるじゃないですか。あんな時、俺は同じネタでもよかったと思うんだけどね。

(塙宣之)なんかね、その数時間だからっていうのを気にしなくても。1回、リセットされているわけだから。

(渡辺正行)だって、あれが強いネタなんだから。やっぱり自分たちの自信のあるネタをドンとぶつけていけば、お客さんが違うわけだから。見る人もそういう風に見てくれると思うしね。あそこでちょっと、損をしちゃったなっていう気がしますね。

(塙宣之)2本目とかに用意していたのかも知れないですけどね。その、基準みたいなものっていうのは、今までも審査をされて来たと思いますけども。どういうところを?

渡辺正行的M-1審査の基準

(渡辺正行)僕、だいたい90点を基準点にするんですよ。で、「90よりも面白いな」と思えば、そこから上げていくし。「つまらないな」と思えば下げていくし。だから今回の令和ロマンさん、初っ端からめちゃくちゃ面白かったじゃないですか。「これは平均点よりもちょっと上だな。すごく上だな」って。だからだいたい、面白い時は92点ぐらいなんだけど。「いや、その上をいくな」っていう感じで僕は「94点」をつけましたね。

(塙宣之)トップバッターで94点って、なかなか、ちょっと勇気がいるというか。

(渡辺正行)高いんですよ。でも、それぐらい、やっぱり熱量があるじゃないですか。漫才に対する熱量がワーッと来るし。ボケ数もやっぱりすごいし。あのたたみかけもすごいし。まあ後半、なんかちょっと何をやっているかわかんないところもあるけども。そこはもう、勢いで、笑いのリズムで笑いに持っていっちゃったから。「ああ、この子たちは力があるな」っていう。そういうのはすごく感じましたね。

(塙宣之)初めてですか? 初見ですか? なんか、テレビとかで?

(渡辺正行)令和ロマンさんは2020年のNHKの新人演芸大賞で優勝してるんですよ。僕、その時に審査員だったんですけども。その時はすごく、ちょうどコロナ禍の大会だったんで。お客さんが無観客だったのね。で、今回みたいなワーッていう熱のある感じじゃなくて、淡々とした、すごくトーンを落とした笑いなんです。で、それがうまかったんですよ。それで、優勝になってるんですよ。だから、いろんなパターンを持っていて。彼らもだから、そういう学生のお笑いサークル出身じゃないですか。だから、いろんなお笑いのパターンを持ってるんでしょうね。だから磨いて磨いて、計算して計算しての今回のネタなんでしょうね。

(塙宣之)ヤーレンズなんかは……ヤーレンズって、ラママとか絶対に出てますよね?

(渡辺正行)ヤーレンズさんは、出ていない?

(塙宣之)いや、もう出たことにしておきましょうよ。リーダーが育てたことにして。捻じ曲げましょうよ。

(渡辺正行)捻じ曲げてどうするんですか(笑)。

(塙宣之)じゃあ、ヤーレンズ。ケイダッシュですけども。「こんなにおもしろいとは」っていう感じですか?

(渡辺正行)素晴らしいですよね。ボケ数がすごく多いし。あいつ、ボケる方がさ、ちょっと古坂くんに似てるじゃん?

(塙宣之)適当な感じの。

(渡辺正行)古坂大魔王に。ちょこちょこちょこちょこ言って。くだらないことをポロポロポロポロ言ってさ。で、古坂はちょっとワルなやつだけども。すごく気のいい古坂みたいな。ちょこちょこちょこちょこ言ってさ。すごい小ボケが多くて。小ボケをスポンスポンスポンとはめていくよね。落ち着きがなくてね。でも、なんか平場とかでもあの子、すごい面白いじゃないですか。

(塙宣之)そう。ずっとボケてますもんね。

古坂大魔王的なヤーレンズ楢原

(渡辺正行)すごい、そのネタじゃなくて平場で使える子だなっていう感じがして。だから、漫才じゃなくて、普通のバラエティで使えるように出てくるんじゃないかなと思いましたね。ヤーレンズもだから、すごいいいグループですよね。すごいです。

(土屋伸之)だからこの中で、モグライダーとかは知っている?

(渡辺正行)そうですね。モグライダーさん、よくラママにも来て。この間、来てくれて。で、やっぱり芝くんがさ、ツッコミがすごく的確でうまくなっていて。ラママ、お笑いのライブだから、時間を気にしながらやるじゃないですか。で、ちょっと時計を見るわけですよ。そしたらちょっと時計見ただけなのに「いい時計、してますね」とかさ(笑)。もうさ、すごいうまいんだよ。で、そのうまくなっているのを傍で見えるじゃん。それがもう、嬉しくてさ。「ああ、すごくうまくなってる! こいつ、的確に突っ込んでくる!」って思って。それが嬉しいんだよね。

(塙宣之)でも「嬉しい」ってすごいですね。

(渡辺正行)だからそういう風に突っ込んでもらえるじゃないですか。それでともしげくんが……今回のネタに関しては、ともしげくんがちょっといっぱいいっぱいになってない感じで。そこが、そのグループの難しいところだけど。あそこの妙なねところが、アドリブっぽく見えるっていうか、ぶっつけ本番っぽく見えるのが、ここの持ち味だけども。やっぱり練習してきちゃうんだろうね。

(塙宣之)なんかね、練習しないっていうのもできないから。難しいですよね。

(渡辺正行)ちょっと、置きに行っちゃった感がね。そういう感じがちょっと見えるのがね。難しいね。お笑いって、そういうところはね。

(塙宣之)こういう漫才が好きだとか、そういうのってあるんですか? 「しゃべくりが好きだ」とか。

(渡辺正行)僕は憧れるのはしゃべくりの漫才ですよね。

(塙宣之)昔、誰かそういう人を?

(渡辺正行)やすきよさんとかやっぱり好きだったし。だからやっぱりさや香なんか、うまいですよね。最高峰の感じでしたけどね。だからさや香がなぜ今回、決勝の時にあのネタを持ってきたかっていうのが。そこが僕はわからないんで。どう思います?

(塙宣之)いや、もう……見せ算をしてもわからないですね。

(渡辺正行)土屋くんはどう思います?

(土屋伸之)聞いたのは、あの見せ算がどうしてもやりたかったっていう。で、それをやるために1本目のネタも考えたっていうぐらいだから。

(渡辺正行)どうですか?

(山崎ケイ)でも本当にやりたかったんだろうなっていう感じもしますし。あと、劇場ではすごく受けたのかなって。もしかしたら。だから、思ってたのと違かったっていう感じだったのかなとは思いましたけど。

(渡辺正行)だからあれ、すごく新しいスタイル、今までと違うスタイルの漫才ではあるじゃないですか。それがお客さんに「うん?」って思わせちゃったっていう。だから、説明が長いですよね。説明が長い分、そこで新しいところにお客さんが……「えっ、決勝ネタでこれを持ってくる?」みたいな。「説明されるよりも、もっと笑いがほしい」っていうのがあったのかな? 単独とかでやったら、皆さんね、ファンだから。笑いに来てるから、そういうところも笑っていこうというスタイルになるのかもしれないけども。

(塙宣之)彼ら、これでM-13回目なんですよね。だから全部で1、2、3、4、5回目のネタだから。ちょっと違うパターンもやりたかったのかなって。

(渡辺正行)笑いってさ、自分たちの中で進んでいっちゃうじゃん? 自分でやっているこの笑いっていう、お客さんはそのお笑いを見たいのに。でも自分の中では「もうこれは1回、やったネタだから次のお笑いに行きたいんだ」っていうので次のお笑い、また次のお笑いって進んでいっちゃうんだよね。そうすると、マスの人が笑わなくても、マニアな人が笑ってくれる。そういうところに行きがちじゃないですか。そこをやっぱり、ちゃんとマスの方に笑ってもらう、そういうところに持っていくっていう。まあ、そっちへ行ったのかどうか、わからないけど。さや香がもったいないなって。なぜ、あのネタをチョイスしたんだろうな?っていう。

(塙宣之)じゃあ、もしリーダーたったら、この中だったら誰に入れていましたか?

(渡辺正行)俺、この中だったら令和ロマンかヤーレンズ、どちらかですね。

(塙宣之)やっぱりそうなっちゃうんですね。

(渡辺正行)今回の大会だったらね。

(塙宣之)ということですよね。まあ今、M-1もそうですし、賞レースがあって。昔から、そういう大会とかはあるんでしょうけど、ここまではないじゃないですか。だから、お笑い芸人を目指して、その売れ方とかが時代的にちょっと違ってきてるんじゃないかなって思うんですよね。

(渡辺正行)そうですね。今年、M-1をやっていたじゃないすか。ちょうどその裏でフィギュアをやってたんですよ。そうすると、僕らはプロっちゃなんだけども、見る側が採点するじゃないですか。で、基本、僕はお笑いだから、受けたものが一番勝ち。笑いを取ったものが勝ちであるっていうのが基本的な考えなんだけども。フィギュアを見ていて、その飛び方がきれいとかさ、回転不足だとかさ、そんなので点数を付けていくじゃん? そうすると、昨日のM-1を見ていて発想力であり、漫才のしゃべりの技術であり、展開の仕方であり、構成の仕方であり、音と音の噛み合わせの仕方であり、そういうのに点数を付けていかないと。なんか、そこが何点、何点で……みたいな。でも、そういう風なことになっていっても、つまらないじゃん?

(土屋伸之)そうですね。

M-1の審査がフィギュアスケート的になったらつまらない

(渡辺正行)だからなんか、すごくそういう風な見方になっていっちゃうな、みたいな。でも、要は面白ければいいんだよね。

(塙宣之)そうなんですよね。そうすると、だいたいみんな93点とかになっちゃうんですよね。僕も結構、そうなっちゃうんですけど。

(渡辺正行)だからさ、審査をやってるとさ、あれじゃない? まあ、みんなに受けてほしいじゃん? で、早くずば抜けて人が出てほしいのよ。

(塙宣之)ずっとそう思いながらやっています(笑)。大爆発が。

(渡辺正行)そう。「早く大爆発してくれ! 『もうお前らしかいない』って言わせてくれ!」っていう。

(土屋伸之)気持ち良く、高い点数をつけたいんですね。やっぱり、審査員をやるならば。

(渡辺正行)そう。「98点、98点……そう! もうここだよ! ここ以外にいないじゃん!」って。で、あとは2位、3位ぐらいがポンポンとあってね。すごくやりやすくて。なんか切磋琢磨、競い合っちゃうっていうのはすごく大変でね。だいたい今回なんかさ、令和ロマンだ、ヤーレンズだ、さや香だって、だいたい中盤ぐらいまで出てきちゃうじゃないですか。そうするとさ、塙くんとかさ、「だいたいここの三つで決まったな」と思わない?

(塙宣之)まあ、そうですね。今回はね。これ以上の人はね。

(渡辺正行)そうするとさ、後の方はさ、「うーん。まあ、91とか92とか、そのへんをつけておけば嫌われもしないし……」みたいなさ(笑)。

(塙宣之)いや、そんなことないですよ! 俺はモグライダーに95をつける準備、いつでもできてましたから。爆発してくんないとっていう感じでしたけどね。

<書き起こしおわり>

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