渡辺志保 2Pac殺害事件の首謀者・Keefe D逮捕を語る

渡辺志保とDJ YANATAKE 2Pac殺害事件・首謀者逮捕を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんが2023年10月6日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中で27年前のラッパー・2パック殺害事件の首謀者、キーフィー・Dが逮捕されたことについて話していました。

(渡辺志保)ここからの時間は、私が最近気になったニュースをさらに深掘りしながらお届けしたいと思います。そして、どんなニュースが気になったかと申しますと、これしかないだろうという感じがするんですが。先日、2パックの殺害事件に関わったとして、キーフィー・Dとして知られるるドゥエイン・デイヴィスが殺人容疑で逮捕・起訴されたというニュースが報じられました。私、このニュース自体も非常にびっくりしたんですけれども。このニュースが日本でも結構広く報じられていて。NHKとかもこのニュースを報じていまして。そこにもちょっとびっくりしました。

で、事件が起きたのは1996年というわけで、今から27年前。約30年前にもなりますけれども。当時からですね、2パックが与えた影響というものが本当に大きいんだなということを、変な話だけどちょっと嬉しいというかね。ここまで彼のことが広く、30年経った今も日本って報じられるということに、ハッピーなニュースではないですけれども、ちょっと嬉しさというか、新たな、びっくりというかですね、そうした気持ちを覚えつつニュースを拝見しました。

で、2パックの殺害事件。そしてその後にザ・ノトーリアス・B.I.G.が殺害された事件というのが立て続けに起こって。その両者の殺害事件というのはですね、今日に至るまで明確な犯人が逮捕されておらず、そしてヒップホップファンにとってはもうめちゃくちゃ迷宮入りの事件として広く知れ渡っているところだと思いますし。かつ、非常にずっとモヤモヤした気持ちというのをファンの方は抱えていらっしゃるんじゃないかという風に思います。で、私もその1人で。結構それに枝葉がついた陰謀論みたいなものとかもいろいろ報じられるというか、ネットにいろんな検証動画とか検証記事みたいなものが散乱しているような状態で。「一体何が真実なんだろう?」と思いながら常日頃、過ごしているという感じなんですよね。

で、私はですね、当時はリアルタイムで2パックの音楽とかザ・ノトーリアス・B.I.G.の音楽を聞いていたわけではなくてですね。私は当時、小学校6年生の時かな? ただ、この2人が殺されたっていうニュースを深夜の音楽番組かなにかで知ったんですよ。このうちの1人、2パックが殺されたという事件に関しては、深夜の音楽番組で当時知って。かつ、その人気絶頂にあるアーティストが銃によって命を奪われたっていうこと自体が私にはちょっと想像をはるかに超える事件で。「なんていうことなんだ!」と思いまして、非常にびっくりした覚えがあります。

2Pac殺害事件のあらまし

(渡辺志保)アメリカのヒップホップ業界というか、アメリカのエンターテイメント業界って一体どんなことになってるんだろう?っていう風に、悪い意味でびっくりしたという、そうした記憶もあるんですけれども。今一度、今回この事件のあらましを振り返ってみたいと思います。2パックなんですけれども、1996年9月7日、ラスベガスでナイトクラブへ向かう途中、横付けされた車から襲撃され、4発の銃弾を受け、その6日後に亡くなったということです。ちなみに当時で、その2パックが向かっていたベガスのナイトクラブというのはシュグ・ナイトがオーナーであるクラブで。そしてそこで2パックはライブを行う予定だったという風に報じられております。

で、ロサンゼルスを拠点に活動していた2パックなんですけれども、なんでその日の夜にネバダ州のラスベガスに行っていたかといいますと、2パックの友人でもあるマイク・タイソンの試合を観戦するために当時、2パックが所属していたレーベル、デス・ロウ・レコーズのオーナーシュグ・ナイトと一緒にベガスに入ってマイク・タイソンの試合を見ていたというところです。で、そのマイク・タイソンの試合のアフターパーティーがシュグ・ナイトが持っているクラブで行われるということで。そこで2パックもライブをするということで。そこに向かってる途中に撃たれて亡くなってしまったということなんですよね。

ただですね、試合が終わった後、地元のギャング、そしてシュグ・ナイトと敵対しているギャングのクリップスのメンバーと鉢合わせしてしまって、そこで乱闘騒ぎが起こってしまいます。その鉢合わせしてしまったギャングこそが、この今回、逮捕されたキーフィー・Dがボスとなっておりましたサウスサイド・コンプトン・クリップスという、こちらもLAのギャングなんですよね。そこで2パックが試合の後にボコボコにしてしまった相手というのが、このクリップスのメンバーであるオーランド・アンダーソンという若者で。そのオーランド・アンダーソンさん自身、このキーフィー・Dの甥っ子でもありました。で、キーフィー・Dはこの乱闘騒ぎを聞きつけて、自分の甥っ子に手を出した2パックが許せないということもあり、このキーフィー・Dがより具体性を持って2パックを殺してやろうという風に、その殺害の計画を企てたということです。

で、このキーフィー・Dなんですけれども、結構謎多き行動といいますか、謎めいた行動というか。なんでそんなことをするんだろう?っていう風に思うんですけれども。「自分はこの2パックの殺害事件に深く関与している」ということを、これまでにいろんなインタビューであるとか、ポッドキャスト番組であるとか。あとはBETが制作したデス・ロウのドキュメンタリー映像なんかもあるんですけれども。そういうところであったり、いろんなところで自分の口から語っちゃっているんですよね。

かつ、2019年には自らが書いた自伝本がありまして。そこでもうめちゃくちゃ詳細にこの日の夜、何があったかということを書いております。なので一方的に自分が自白をし続けているというような、そういった特異な状況にあったという感じですね。で、なぜ今になってというか、2018年とか2019年ぐらいにキーフィー・Dが自白をバーッと始めたわけなんですけれども。なぜ、そうした行動を取っているのかというと、当時キーフィー・Dはガンに侵されていて。「自分には失うものは何もないから、真実を全て話してしまいたいんだ」ということで、その日の夜のことを詳しく語り始めたという、そうした経緯があります。

で、キーフィー・D本人が明らかにしている内容なんですけれども、元々キーフィー・Dっていうのはパフ・ダディと近しい関係だったそうなんですね。で、パフ・ダディといえば、まさにザ・ノトーリアス・B.I.G.が所属していたレコードレーベル、バッドボーイ・エンターテイメントのリーダーでもありましたし。90年代半ばから「東西抗争」という風にも言われますけれども。西対東、2パックvsビギーみたいな構図がどんどんどんどん深くなっていったんですよね。で、2パックがニューヨークに来た時にはレコーディングスタジオのビルの中で襲撃されたりとか。で、2パックもバッドボーイのメンバーをディスる痛烈なディス曲『Hit ‘Em Up』っていう曲があるんですけれども。そうした曲を出して、もう明確にビギーたち、パフ・ダディたちを目の敵にしていたという状況でもありました。

そんな中、そのパフ・ダディ、ディディと仲の良かったキーフィー・Dはですね、元々ディディの方から「シュグ・ナイトを殺してほしい」というディールを持ちかけられていたそうです。で、パフ・ダディも最初はシュグ・ナイトだけを殺害してほしいという風にキーフィー・Dに依頼したそうなんですけれども。さっきも述べた通り、2パックがめちゃめちゃ辛辣な実曲『Hit ‘Em Up』を発表した時に、パフ・ダディも「こんなの、ありえねえ!」ということでシュグ・ナイトだけじゃなくて、2パックもまとめて2人をやってしまってほしいということをキーフィー・Dにディールとして持ちかけたということです。

そうした指示も元々あり、かつ先ほど話したように実際にその9月7日のラスベガスの夜に2パックがキーフィー・Dの甥っ子を攻撃したということもあって、そこでキーフィー・Dも「これはやるしかない」となって殺人事件を企てたという風に話しています。ただ、パフ・ダディ本人はこの噂を否定しておりますし。「そんなバカげた話、あり得ない」という風に反論はしています。で、2パックは殺された時にBMWに乗っていて。で、キーフィー・Dたちは白いキャデラックに乗ってたんですよね。で、この白いキャデラックから何者かによって発砲されて、その弾丸が2パックに命中し、その数日後に亡くなってしまったということはもちろん前から言われていたことなんですけれども。

キーフィー・Dはですね、かねてからその白いキャデラックの中でどこに誰が座っていたかということも非常に詳細に語っております。キーフィー・D自身は助手席に座っていて。あともう1人、運転席に座っていた人がいた。そして後部座席に2人、座っていた。うち1人が自分の甥っ子でもあるオーランド。で、後ろから発砲されて2パックがなくなったっていうことなんですけれども。キーフィー・Dは2パックが亡くなった時に使われた銃を手渡した本人という風にも報じられているし、自らそういう風にも明かしているんですね。「これでやれ」ということで後部座席に座っていた甥っ子に銃を自ら渡したと。

で、さらにその中をどこから入手したか?っていうことまでも、彼はもう既に話しておりまして。ジップと呼ばれる男性からその銃を調達した。で、そのジップという男性はフォクシー・ブラウンと仲がいい男性だったということも明かされているんですね。で、フォクシー・ブラウンも言うたらそのパフ・ダディ一味ですから、そこから銃を調達して、それが結果、2パックの命を奪うことになってしまったというのは、そこも非常に状況のもつれを感じるところでもあるんですけれども。数年前に日本でも公開された『L.A.コールドケース』という映画がありまして。原題は『City of Lies』というタイトルなんですけれども。で、この『L.A.コールドケース』って何を扱った映画かというと、その2パックとビギーの事件について扱っているんですけれども。主役になっているのはプールさんという、この2人の殺害事件をずっとずっと地道に調査してきて、今は退職した元LAPDの職員という方なんですね。

なのでヒップホップ的な角度からこのビギーと2パックの事件を追ったというよりかは、元々その事件を深く調査していたプール元刑事の視点から、この事件を扱ったという、そうしたちょっと面白い視点の映画になっておりまして。ただ私は非常にすごく興味深くこの映画を拝見したんですね。で、それを見ていくとその2パックの殺害事件は元々、その地元のギャングとLAPDの癒着が原因になっていて。そうした状況のもつれもあって、2パックが殺害されてしまったというストーリーになっているわけなんですけれども。この映画の中にアーティストたちが実際にマイク・タイソンの試合を見た後という設定だったかな? 建物からぞろぞろとセレブリティたちが出てくるみたいなシーンが描かれているんですけれども。その中にフォクシー・ブラウンが出てくるんですよね。

で、別にフォクシー・ブラウンがそこで何かしゃべるとか、何かを言うっていうわけじゃないんですけども。その数いるセレブリティの中にフォクシー・ブラウンもいた。で、「フォクシー!」とファンの方から声をかけられるシーンがあって。本当に一瞬だけ、パッと映るだけなんですけど。私はその時に「なぜフォクシーブラウンが出てくるんだろう?」って思ったんですよね。なんか当時のそのバッドボーイ系の花形のラッパーといえば、リル・キムがいましたけども。「リル・キムじゃなくて、なんでここでフォクシー・ブラウンが出てくるんだろう?」って風にちょっと思ったんですけれども。

実際にそのキーフィー・Dが銃を調達した相手、男性というのがそのフォクシー・ブラウンと仲が良かったっていう、そもそもそういった事実があるのであれば……ここで後から「あっ!」って思ったんですけれども。ここにフォクシー・ブラウンが出てきたというのも、非常に実際の情報に基づくことだったんだなみたいなことをちょっと……「なんでわざわざフォクシー・ブラウンが映画の中に出てきたんだろう?」っていうのが今回、またさらにキーフィー・Dの発言を振り返る中で、私の中で点と点が繋がった瞬間でもありました。

2019年に自伝を出版して洗いざらい話す

(渡辺志保)で、2019年にこのキーフィー・Dが自分の本を出版して、そこで洗いざらい語っているわけなんですけれども。だったらその時、すぐに令状かなんかを出して、逮捕すればよかったじゃないかとも思うんですけれども。この件に関してグレッグ・ケイディングさんという、彼もずっとこの事件に携わってきた中心人物なんですけれども。グレッグ・ケイディングさんという元ロサンゼルス死刑(LAPD)の刑事で、2000年代半ばにはこの2人、2パックとビギーが殺された事件を捜査する複数の法執行機関の特別委員会に携わったという、本当にその名の通りこの事件を解決に導く中心人物だった方がいるんですけれども。このグレッグ・ケイディングさんがおっしゃることによりますと、なぜこんな時間がかかったかっていうことなんですが。「十分な証言をしゃべるまで、ある程度の期間、このキーフィー・D自身泳がせていたのではないか」という風にも話していました。

で、今回このキーフィー・Dの自宅がネバダ州にあるということで、家宅捜査が入ったわけなんですけれども。そこで押収されたのが2019年にに出版したご自身の自伝のコピー。それが押収されたという。で、「コピー」というのは紙で1ページ1ページ刷られたコピーというよりかは、その本になった形のものが何部か押収されたってことなのかなって思うんですけれども。でも今年、行われた家宅捜索で改めてその本が重要な証拠になっているってことであれば、その出版された時になんで家宅捜索をしなかったんだろうとか思っちゃうんですけど。なんかね、いろんなLAとネバダ州で警察もね、地域をまたいでいろんなことをやり取りせねばならなかっただろうから……とか思いながら、このニュースを見てたわけなんですけれども。

で、あとこのキーフィー・Dの逮捕を受けてですね、ベテランラッパーのアイス・Tがですね、取材に答えていたんですが。アイス・Tも「なんでこんなにしゃべっちゃうんだろうな」ということをおっしゃっていました。キーフィー・Dが本当にその事件の夜に車の中に誰が乗っていたかというのを実名を出して、既にもう証言しているような形だし。今後、彼はそのギャングとの関わりということも罪に問われて、20年ぐらいの懲役刑をくらうんじゃないかという風にも言われているんですけれども。「それはもう自分でもうしゃべっちゃってるんだから自業自得なのではないか」ということをアイス・Tは話しておりましたね。

で、さっきも話しましたけども、キーフィー・D自身もガンに侵されて余命何年かというようなタイミングで、そうしたことを自分で感じ取って、洗いざらいしゃべったっていうことなので。おそらく、ご自身もある程度のことは覚悟はしているのではないかと思うんですけれども。現在60歳ということで、この後にどうなっちゃうんだろうという風に感じております。で、私としても非常にこの逮捕は喜ばしいニュースだなとも思うんですけれども。この逮捕がきっかけになって、じゃあ果たしてビギーを殺した犯人も逮捕に至るのか、という風にも……そこに関してはちょっとどうなんだろうという風にも思いますし。同時に、このキーフィー・Dを逮捕したのであれば、こっちのビギーの事件の方も全力で再捜査をお願いしたいなという気持ちもありますし。

ここからまた新たにね、暴かれる真実というか、事実というものもたくさんあるんだろうなという風に思いますし。どんな方向にこの事件というか、結末が転がっていくのか。「逮捕された。事件が解決した。よかったね!」と手放しで喜ぶような気持ちではないですね。なんかちょっと半分、まだモヤモヤもありますし。「どうなっちゃうんだろう?」という不安な気持ちもありますし。それこそね、パフ・ダディ周辺がまたさらに事情聴取されたりとか、当時のあんな証拠、こんな証拠がこれから出てきて、さらに彼に対しても疑惑が深まっていくんじゃないかという、そうした……まあ余計な心配ではあるんですけれども。そうした思いもあります。

というわけでこれからキーフィー・Dの裁判も始まるということで、ちょっと注視していきたいなという風に思っています。で、今日は2パックの曲をここでかけたいと思うんですけれども。Spotifyで2パックの曲を聞こうと思ったんだけど、一番再生されてる2パックの曲が『Hit ‘Em Up』になってたんですよね。元々、『Hit ‘Em Up』が最も再生されている2パックの曲だったのかはちょっと定かではないんですけれども。もしこの逮捕劇を受けて、また『Hit ‘Em Up』がたくさん聞かれているのだとしたら、それはそれで非常に皮肉なことだよなという風に思いました。

(渡辺志保)というわけで、ここでお届けするのはその『Hit ‘Em Up』ではなく2パックの『Do For Love』をお聞きください。どうぞ。

2Pac『Do For Love』

<書き起こしおわり>

渡辺志保とDJ YANATAKE 2Pac殺害事件・首謀者逮捕を語る
渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんが2023年10月2日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で1996年に起きたラッパー2Pac殺害事件の首謀者とされる人物が逮捕されたニュースについて、話していました。
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