渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんが2023年10月2日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で1996年に起きたラッパー2Pac殺害事件の首謀者とされる人物が逮捕されたニュースについて、話していました。
(渡辺志保)で、そのお祝いムードの時にすごいびっくりするニュースが舞い込んできて。それがその2パックを殺害したギャングの一味の最後の1人が逮捕されたというニュースだったんですけど。
(DJ YANATAKE)なんか日本のニュースでも普通にやってるんだよね。
(渡辺志保)なんかね、共同通信とかAPニュース通信とかでね。
(DJ YANATAKE)あと、普通になんたらテレビみたいなのでやっていたり。
日本のニュースでも取り上げられる
(渡辺志保)ああ、そうなんだ。すごい。そんだけでかいニュースっていうことなんですね。なんか、ずっと追いかけてる身としてはちょっと麻痺しちゃうっていうか。2パック、ひいてはザ・ノトーリアス・B.I.G.もそうですけども。2パックとビギーの死亡事件に関して、結構いろんな根も葉もない噂とかもたくさんあって。それぞれが仮説を立てて、すごいディープに掘り下げたりとかしていて。一体、何が本当なんだろう?って思っている人も少なくないんじゃないかなと思うんですけれども。
そんな中で今回、キーフィー・Dという、前々からすごく目をつけられていた男性だと思うんですけれども。彼がやっと逮捕されたっていうことで。で、実際LAPD(ロサンゼルス市警察)のシェリフの方の会見の動画とかも見たんですけれども。事件から27年経っていて。ずっと捜査を続けてきたけれども、一旦膠着状態というか、あんまりその捜査が進んでない期間があったが、5年ぐらい前に再び事件の捜査がちゃんと進みだしたみたいなことをおっしゃっていて。
Las Vegas PD officials provide an update on the arrest of Keefe D in the 1996 murder of Tupac Shakur. pic.twitter.com/365G5wGLfB
— 2Pac News (@2pacnews) October 1, 2023
(渡辺志保)で、キーフィー・Dっていうのは元々、クリップス……アメリカではギャングはクリップスとブラッズっていう2大派閥ありますけれども。キーフィー・Dはクリップスの親分だったんですね。対して、2パックとか彼が所属していたデス・ロウレコーズの親分のシュグ・ナイトっていうのはブラッズ側で。
今のところ、LAPDから発表されている内容を追うと、結局はギャング抗争がもつれて。その結果、そのクリップスの親分が2パックとシュグ・ナイトを殺そうとした。で、最終的に2パックだけが命を落としたっていうことらしいんですよね。で、結構その2パックとビギーの死について、いろんな結びつきが……さっきも言ったけど、仮説が立てられたりとかしていて。いわゆるバッドボーイ・レコーズVSデス・ロウレコーズという構図なんじゃないか? とか。東西抗争の果てに、東を代表するビギーと西を代表する2パックが殺された、みたいなストーリーが結構まかり通っていたかと思うんですけど。
なんか私の率直なそのニュースを拝見して思ったことは、その東西抗争の果てに殺されたわけではなくて、結局西海岸を舞台としてクリップスVSブラッズというギャングの対立構造があって。で、そこで2パックが殺されてしまったっていうことなんだなって思ったのね。で、今もちょっといろいろ直近のニュースをディグっている途中なので、私もまだ勉強中というか、捜査段階、ディグり段階。ディグっている途中の段階ではあるんですけれども。でも、このキーフィー・Dが逮捕される1ヶ月ぐらい前に、元々バッドボーイ・レコーズに近しいところにいた人物が、「いやいや、ギャング同士の抗争ってわけではなくて、やっぱり東対西のもつれが原因で2パックは殺されたんだよ」っていうことをインタビューで証言しているものがあったりとか。
で、キーフィー・Dも2018年か19年に出版した自分の本があるんですけど。その中で2パックの殺人事件に自分が関与してるってことはなんかもう、半分暴露みたいな形で世間に伝えていたんですよね。でも、そこからなぜ、実際の彼の逮捕に至るまで5年もかかってしまったのか?っていう、そうしたところも問題視、疑問視しているような記事もあって。一体、何なんだ? みたいな。
(DJ YANATAKE)なんか俺が見てたやつだと、最近になって結構SNSとか、配信みたいなのでベラベラと自分でしゃべっちゃったみたいな、ねえ。それが自ら、証拠になっちゃったみたいなのが逮捕のきっかけだ、みたいなのを見て。
(渡辺志保)あ、そうだ。私、さっき一点、すごい大事なことを間違えちゃったバッドボーイ・レコーズに近しかった人間がインタビューで語っていたのは「2パックはLAPDに殺された」っていうことだったんですね。で、去年か一昨年、私も宇多丸さんと対談させてもらった映画があって。この事件を扱ったジョニー・デップの映画があるんだけども。そこでもやっぱりLAPDが腐敗してて、LAPDとシュグ・ナイトのギャング集団が仲が良すぎて。そこで、賄賂だったり、お金のやり取りがあって……っていうところも事件の一因として描かれていたんですよね。結構、その線で自分の仮説を立ててる方とかもたくさんいて。結局、じゃあLAPDはこの事件においてどういう立ち位置で関わっていたんだろうか?っていうことをちょっと私も今、同時に考えているというか。「どういうこと?」っていう風にちょっと疑問に思っているところですね。
(DJ YANATAKE)まあ本当にまだ、これから明かされていくこともいっぱいあるんでしょうけど。でも結果、本当にロスのギャング同士の抗争で2パックが殺されちゃったとしたら、その次に亡くなってしまったビギーというのはどういう風にそこに影響しちゃってたのかな?っていうね。
(渡辺志保)そうそう。そうなんですよ。
(DJ YANATAKE)変な感じよね?
2Pacの死はビギーの死にどのように作用したのか?
(渡辺志保)ねえ。変な感じなんですよね。あんおで、もしLAPDが関わっているというか、西海岸の腐敗したギャングと警察の関係ということがもし裏にあるのであれば、その辺もちゃんと洗いざらい、公表してほしいなとか、明らかになってほしいなという風に思いましたね。だし、今ヤナさんがおっしゃった通り、今からいろんなことがまた明らかにされていくんだろうから、その裁判の行方だったりをね、見守っていきたいなと思いますね。
(DJ YANATAKE)ただ、今回逮捕された人ともう1人、亡くなっちゃってる人が実行犯って言われているんだよね? 今回、逮捕された人っていうのは実行犯のその後ろにいた人みたいな感じなんでしょう?
(渡辺志保)そう。実際に引き金を引いた人っていうのはもう、亡くなっていて。で、今回逮捕されたキーフィー・Dはその引き金を引いた人……2人いるんだけど。その2人に拳銃を手渡した人。なので、ガチの実行犯というよりかは、その殺害計画を企てた張本人っていうことらしいんですね。で、事件が起こったのはLAじゃなくてラスベガスだったから、ネバダ州なんですよね。でも捜査は……そのカリフォルニアの人間がネバダ州ラスベガスで殺されたわけだから、やっぱりそのネバダ州とそのカリフォルニア州の州をまたいだ捜査というものが難しかった。ゆえにこんなに逮捕に時間がかかってしまったっていう。キーフィー・Dは最終的に逮捕された時はネバダ州に住んでいたわけなんですけれども。なんかそれも、また逮捕に時間がかかってしまった一因だという風にも書かれておりました。
(DJ YANATAKE)それで今、60歳まで来てさ、逮捕されちゃって。なんでここに来て、ペラペラいろいろしゃべっちゃったのかな、とか。わからないんですけども。
(渡辺志保)なんかそれも、だから何かの司法取引があってそうなってるんじゃないか、みたいなそういう記事なんかもあって。
(DJ YANATAKE)またここから先も映画化されていくのかな?(笑)。
(渡辺志保)ねえ。どうなんですかね?
(DJ YANATAKE)ただ、もう何年もこの話をしていてさ。絶対、解決も進展もしていかないもんだと思ってたからね。そういう意味で、びっくりしたってことだよね。
(渡辺志保)そうね、そうね。そうそう。なので、わかんない。私はちょっと「やっと事件が解決しましたね!」って手放しで喜ぶような気分ではないかなって。
(DJ YANATAKE)そんな感じじゃないよね。
(渡辺志保)なのでなんかモヤッと……みたいな。一体どういうことだったんだろう?っていう謎が残るっていう感じですね。これも続報が入りましたら……。
(DJ YANATAKE)ねえ。今回、捕まった人の証言でね、どういったことが本当の動機だったのかみたいなことが明かされてくれば、もうちょっとはっきりするのかな?っていう気もしますけども。
(渡辺志保)そうそう。そうしたニュースで、ちょっと驚きましたっていうところです。
<書き起こしおわり>