小沢健二さんが2023年9月30日放送のTOKYO FM『土曜日のエウレカ』に出演。麒麟川島さんとアルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』について振り返る中で、アルバムが完成した際に抱いたある確信を話していました。
(川島明)そしてフリッパーズ・ギターが1991年に解散されて。その2年後、シングル『天気読み』で小沢さんはソロデビューを果たされます。ソロ活動を始めた当時を振り返って印象的に残ってること、なんかありますか?
(小沢健二)『犬は吠えるがキャラバンは進む』はちょっと前に森山未來さん主演の『ボクたちはみんな大人になれなかった』という映画の中でほぼ全曲、かかったっていうのがあって。それもその長年のリスナーの燃え殻さんが会いに来てくださって。その時にお会いして「ああ、この人なら大丈夫だな」と思ってアルバム全曲をお渡したというか。OKっていうことにしたんですけども。
(小沢健二)その時も本当に、なんて言うのかな? 長い時間をかけて……下手したら30年とかかかって、こういう風に映画の中に大きな音楽としてかかっているのは本当に嬉しいと思いました。でもやっぱり作ってる時、「そうなる」っていう風に思っているんですよね。
(川島明)へー!
(小沢健二)めっちゃ自信過剰ですよね?(笑)。
(川島明)いやいや、過剰じゃないですよ。結局、それが正しかったということになりますけども。「これはもう何十年先も、絶対に愛される曲たちだ」と?
(小沢健二)なんか、わかんない。全員に届くとかは思ってないんですよ。僕、聞き手、リスナーの幅が広いっていうことは絶対になくて。少ないんですけど……少ないんですけど、ちゃんと絶対いるんですよ。
(川島明)もちろんですよ。
(小沢健二)で、そこにはちゃんと行くだろうな。『天使たちのシーン』は30年経っても聞いてもいいって思うだろうなっていうのがなんか、あって。だからすごく嬉しかったんですけど。あれは作っていて、「ああ、これはちゃんとできているな。ごまかしてないな」っていうのはあって。「でも、ちゃんと意味はあるだろうな」っていうのをすごい作って、納品した時に……マスタリングして、納品した時にすごい思いました。で、だからその時に、『犬は吠えるがキャラバンは進む』は割と暗いんですよね。
(川島明)そうですね。
(小沢健二)暗い。『LIFE』っていうアルバムと比べると、すごい暗いし。その前のフリッパーズに比べても暗いんですよ。それでだから、変なことを言われたりもしたんですよ。「暗い」とか。「よくわからん」みたいな。
(川島明)まあ、イメージが急に変わりすぎたというか。
(小沢健二)でも、それは変わりたいからやっているわけで(笑)。変わらなきゃ、意味がないっていう。
(川島明)前と同じやったら解散してないよっていうところですよね。
「暗い」と言われても全く気にならなかった
(小沢健二)それで「暗い」とか言われていたけど一切、気にならなかったんですよ。絶対、先にいるから。絶対、先で……森山未來さんかはわかんないけど。誰かがちゃんとやってくれるから全然、気にならなかったんですよ。そこが笑っちゃいました。当時。もちろん、身近でわかってくる人はわかってるし。その後、『LIFE』が出るだろうって思ってる人もいて。で、また『LIFE』が出るわけですが。『LIFE』は明るいアルバムって言われるんですけど、本当はすごい、どす黒いところがあって。
(川島明)まあ、歌詞とかをよく読むと……っていう。
(小沢健二)あと、低音がすごいんですよ。『LIFE』って。低音が「ドゥーン……」って。今でいうサブベースというものを入れていて、その怖い感じみたいなのを作ってるんですね。で、なんかそのもとにあるものみたいなのは『犬は吠える』でやれたので。すごく今でも大事だし、すごい良かったなと思ってて。だからこそ、サブスクに出してないっていうのがあって(笑)。
(川島明)「これは大事にしたい」というところですか?
サブスクに出していない理由
(小沢健二)どうなんでしょうね(笑)。なんか、「あれ、面倒くさいけどCDとかじゃないと聞けないんだよな」みたいな方がよくて。
(川島明)ああー、いわゆるちょっとアナログな方が。
(小沢健二)なんか、そこは面倒くさくていいんじゃないか、みたいな。
(川島明)ああ、でもめちゃくちゃわかりますね。あのアルバム、僕もいまだに……だから30年前とかに買ったアルバムですけど。そのままのケースに入れて。そのまま大事に持ってますから。
(小沢健二)えっ、めっちゃ嬉しい! めちゃくちゃ嬉しいです!
<書き起こしおわり>