堀井雄二「なりたいドラクエの職業は遊び人」

堀井雄二「なりたいドラクエの職業は遊び人」 TOKYO M.A.A.D SPIN

堀井雄二さんが2023年8月28日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中で「ゲームだったらどんな職業に転職しますか?」という質問に対して「遊び人」と即答していました。

(Naz Chris)この間、平さんがちらっと橋野さんからお聞きしたのか、感じたのかっていう、その「エンタメって何なのか?」みたいな話ってちょっと、ぜひ。

(平信一)橋野さん、作っているゲームもジュヴナイルというか。ああいう葛藤がある感じですけど。橋野さん自身もそういう葛藤がある雰囲気っていうのは常に話してると感じていて。で、ペルソナもそうだし。橋野さん自身がそういったゲームを作ること。あるいはそのエンターテイメントを人に届けることについて、どう考えてるのかな? とか。あるいは、堀井さんも含めてゲームとは、とかエンタメとは、みたいな。ちょっと青春白鳥的な問いで申し訳ないんですけども。1回、聞いてみたいなと。

(鳥嶋和彦)いや、でも大事なことだよ。

(橋野桂)エンタメとは……仕事柄というか。ペルソナとか、いろいろやってきたからこういう結論になっちゃうかもしれないですけど。やっぱり、未知なものを感じたい。「まだ決まってないよ」って言われたみたいなところ、あるんですよね。可能性かな? 一見、無理に思えても、アイディアひとつでもしかしたら……とか。堀井さんの名言とか。「人生はロールプレイング」っていうのも「動かなかったらその場所のままだよ」っていうようなメッセージを発信されてますけども。

(鳥嶋和彦)その読み解き方ね。

(橋野桂)動いてみて、何が先に待ってるかはわからない。悪いこともあるかもしれないけど、違うこともあるかもしれないよっていうことなのかなと思って。なんか、それをずっと感じていたいみたいな。

(鳥嶋和彦)動いて、その先に行ってみないと見えないものがある。

「人生はロールプレイング」

(橋野桂)と、思いますよね。だから「このゲームはこういう話かな?」と思って「ああ、思った通り。期待した通り、こういう話だった。終わり。じゃあ、次のゲーム消化しよう」みたいな感じだと、あんまり自分の位置が変わらないので。ちょっと驚かせてほしいっていう。あんまり驚かされすぎても、ちょっとついていけないんですけど(笑)。そこは堀井さんの言っている、いたずら心じゃないけども。裏切りじゃないけれども。そういうことなのかなとかって。そういう刺激がほしいなと思うんですけどね。

(堀井雄二)エンタメっていうか、一番の娯楽って、今の人生とは違う人生を体験することじゃないかと思うわけ。ゲームもそうだし、映画もそうだし、主人公に感情移入して、違う人生を体験することだと思うんだよね。それが一番楽しいかなって。違う体験をゲームの中でできること。それがエンタメかなと思うね。

(鳥嶋和彦)今、この段階で違う人生って試してみたい?

(堀井雄二)現実で? 現実はわからないけどね、ゲームの中でなら……(笑)。

(鳥嶋和彦)バーチャルリアリティだったら、やってみたい?(笑)。

(Naz Chris)堀井さん、ゲームだったらどんな職業に転職しますか?

(堀井雄二)遊び人?(笑)。

(鳥嶋和彦)遊び人ね(笑)。

(堀井雄二)遊び人だよね(笑)。

(Naz Chris)遊び人は悟りの書なしで賢者になれるっていう設定は堀井さんのいたずらですか?

(堀井雄二)そうそう。なんとなく、そうかなって。

(Naz Chris)あれもだいぶ哲学的ですよね。

哲学的な遊び人の仕様

(鳥嶋和彦)「遊ぶ」って難しいからね。やっぱりみんなほら、意義や意味を見出そうとするから。そこで見出さないっていうのも、ひとつの悟りだからね。難しいよね。この仕事やるまで、考えなかったけども。子供の反応っていうのはいつも、ものすごくビビッドに返ってくるから。やっぱり子供ってすごく不自由なものだと思うわけね。だからやっぱり、僕は子供ってさ、家にいれば親がいて、いろいろ面倒くさい。学校に行けば、先生がいる。おまけに学校に行っても成績や運動能力、見た目の良し悪しで結局、報われない人間は報われないじゃん? そういう子供の、そのつらい時間を救ってあげたい。だから僕はね、想像の翼をね、そういう不自由な子供たちに与えてあげたい。

昔、お便りをもらったことがあるんだけど、登校拒否の子供がいて。だけど、カバンの中に『ドラゴンボール』の何巻かが入っていて。それを学校の校門のところでね、何冊か読むとようやく勇気を持って、校門をくぐれるんだっていうお便りをお母さんからもらってね。すごく、この仕事をやっていてよかったなって思ったの。

(堀井雄二)いい話だね。それはね。

(鳥嶋和彦)だからやっぱり、悟空の背中に乗っかれば、ちょっとは勇気が持てる。そうすると、この仕事をやっていてよかったなとは思うね。だからやっぱり、少年漫画のひとつの……さっき、堀井さんが「キャラクターを立てる」っていう話をされたけど。少年漫画のひとつのテーマは、いかに登場人物の背中に乗ってもらって、登場人物自体が自分だと思ってもらえるか?っていうのがキャラクターを立てるっていうことで。それが、なんだろう? 世界に没入させるテクニックなんですよね。だからそういう意味で言うと、どの背中に乗りたいか?っていうね。それがキャラクターの提示だからね。

(Naz Chris)ドラクエで言うと、プレイヤーは自分は勇者だっていう設定ですよね。完全に。

(堀井雄二)でもね、脇役が意外と人気が出たりするんだよね。ピサロだったりとか、ホメロスだったりとか。

(鳥嶋和彦)わかるわかる。主人公は語らないしね。漫画でも主人公を立てるのは、実は難しいことだからね。

<書き起こしおわり>

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