高田文夫 上岡龍太郎を追悼する

高田文夫 上岡龍太郎を追悼する ラジオビバリー昼ズ

高田文夫さんが2023年6月5日放送のニッポン放送『ラジオビバリー昼ズ』の中で亡くなった上岡龍太郎さんを追悼していました。

(高田文夫)まあ、我々の業界的にはね、上岡龍太郎さんが亡くなっちゃって。ちょっとね、寂しい思いをね、しましたけどね。

(松本明子)上岡さんの立川流?

(高田文夫)そうそう。なにしろ談志師匠のことを敬愛していてさ。要するにね、米朝師匠と談志師匠を尊敬しているんだよ。要するにあの人は本当に博識でさ、芸能の研究というのがすごいんだよ。お芝居から何から、新派から新国劇から大衆演劇からね。それから歌舞伎から。それで落語・漫才ね。歌謡曲。ものすごい莫大な、すごい教養なのよ。それで結構、何冊か本も出しているんだけども。もっと出してほしかったなと思うんだけどさ。それえあの人がさ、もう本当に芸の上での神と思ってたのが米朝師匠と談志師匠なんだよ。本当に。

だから昨日さ、フジテレビの夜の番組でさ、珍しいVTRがあってさ。だから2000年にあの人、引退してるんだよ。58歳で。たった58だよ。ほいで、その年のちょい前。だから99年の暮れのクリスマスかなんかの時に、談志と2人だけの対談の番組が流れたんだよ。

(松本明子)見ました、見ました。流れてました。

(高田文夫)それで「もうすぐ引退します」って言うんだよ。それで談志師匠と2人でさ、対談してるんだよ。「で、どうすんだよ、お前? 引退して」「いや、もうこんなね、世界ではやりたくないんです」って上岡さんが言ってさ。「もう考えてみてくださいよ、師匠。ひばりはいない。裕次郎はいない。エルヴィス・プレスリーはもういないんですよ。もうあとこれで米朝と談志がいなかったら、すぐにあの世に私もついて行きますよ」「一緒にすんなよ、お前(笑)。米朝とは一緒にすんなよ。フフフ(笑)。いいねえ」なんて談志師匠が言ってさ。

「もう米朝師匠と談志師匠がいないなら、この芸能界にいても仕方ないですから」って。言う通りだと思うんだよ。そのぐらい好きでね。もう敬愛っていうか、尊敬というか。いちいちピッとしているんだよ。それで昨日も太田くんがラジオでしゃべっていたけども。談志師匠の会を爆笑問題が覗いて。「勉強させてもらいます!」ってバッと行くと、一番奥に談志師匠がいて。そこに必ず高田先生がいて、上岡さんがいて。時々たけしさんが来て。そこの会話で大人がゲラゲラ笑っている。「あそこの話、聞きたいな」と思うけど、こっちは直立不動で。入口で立ってるだけなんだけど、必ず談志師匠と上岡さんと高田先生がしゃべっていて。そして、たまにたけしさんが来て……っていうね。

だから俺が真打ちの披露目をやってさ。あそこの浅草のところで口上っつってさ、ずらっと並ぶんだよ。で、俺が真ん中で。談志師匠と俺と。それで横にずらっとさ、上岡龍太郎、たけし、景山民夫って、ずらっとすごいうるさいのばっかり。もう圧倒的な……なんか組の挨拶みたいな(笑)。ご挨拶の写真が出てきたよ。俺のところにあるよ。だからあの時も出てきて。わざわざね、大阪から来てくれて。俺のためにね。「談志師匠が認めた真打ですから。高田さんはもうそれでいいんです。私も認めます」って。上岡さんが認めてくれてさ。「私もお祝いの口上に並びます。たけしさんと一緒に並びたいです」って言ってくれてさ。本当にそうなんだよ。

(松本明子)素晴らしいですね!

(高田文夫)素晴らしいよ。やっぱりあの人がいると箔が付くよね。達者だしね。で、あの人はおしゃれなんだよ。着ているものからなにからさ、いつもおしゃれでスマート。ムダがないんだよ。

(松本明子)そうですね。本当にムダがなくて。

2000年に58歳で引退

(高田文夫)本当にそうなんだよな。それで、だから2000年かなんかに引退しただろ? 58で。それで一切、もう世の中に出てこなかった。で、大阪の芸人さんたちに聞くと、必ず芝の客席に、チケットを買って見ているっていうんだよ。ちゃんといい芝居はほとんど……「昨日、上岡さん来てましたね」とかさ。「上岡さん、先週いましたよ」とか。必ず舞台とか、全部見てるんだよ。そのぐらい好きなんだよ。芸能がさ。歌謡ショーとかもちゃんと行っているんだよね。それで、だから2000年にやめたんだけども、2007年にノック先生がさ、亡くなった時。これ、有名な……今回、割といっぱい流してくれたけど。あの弔事な。

(松本明子)すごかったですね。

(高田文夫)TBSがあれ、全編、4分半流していたけれども。松村くんも真似するけどさね。「ノックさん、ノックさん、あなたは私の太陽です」っていう。あれもいいんだよ。「最後は被告人にまでなりましたね」って。もう爆笑のうちに、泣けてくるんだよな。どんだけ敬愛してるかっていうさ。人をね、尊敬する。で、男が男を尊敬するっていうのは、ああいうことなんだよね。きちっと……だからノックさんと談笑師匠の前じゃあ、きちっとしているんだよ。あの人は。やっぱりさ、本当に尊敬してるんだなっていうのがわかるんだよな。それで、あれが2007年じゃないかな。ノック先生が亡くなって。その時、久々に7年ぶりに現れて。

それでまた、もう大阪に帰られてから、俺らも情報がなくて。「上岡さん、どうしたんだろう?」「いや、なんかゴルフやってるよ」とかさ。「走ってるよ」とか、「お芝居見てるよ」「歌舞伎ばっかり行ってる」とかいう話は聞いたんだけど。そしたら、それからまた3、4年経って、家元。談志が亡くなって。2011年の11月にね。それで12月に送る会をやったんだよ。ホテルで。そしたらさ、上岡さんが来てくれたんだよ。

で、俺らがワーッと働いてたんだよ。いろんなことをやって。お客さんがいっぱいいるから。談志を送る会で、石原慎太郎さんが来るからさ。それで働いていたら、上岡さんがスッと現れてさ。「ご苦労様」って俺、言われたんだよ。「いろいろ、ご苦労さんでした」ってさ、来てくれてさ。大阪から。それで師匠にお線香をあげて、手を合わせて帰ってくれてね。だからああいうところは義理堅いっていうかさ、やっぱり筋が通っているんでよね。何をやる人もさ、1本。

で、俺も嬉しくてさ。「上岡さん、来てくれましたよ」みたいな。そういうのもあるしね。そういう時も。そうだね。だからその後、どうなったかなって、いろいろ気にはなっていたんだけど。そしたら、一番信奉している、尊敬している島田紳助がね、同じようにやっぱり引退してね。こうやって、割と仲良くやってたっていう噂は聞いていたけれどもね。だからどうなのかなって思ってさ。だからいろんなことを考えるね。

だからダウンタウンの松本くんがさ、今回のいろんなことで……あれもすごい尊敬してるじゃない? 上岡さんと紳助さんをさ。だから同じようにパッと引退しちゃうんじゃないかなって思ってさ。なんかさ、心配しちゃうよね。

(松本明子)なんかちらほら、バラエティでは言ってますね。ご自分でね。

(高田文夫)「なんちゃって」って?

(松本明子)「なんちゃって」って。「やめようかな」って。「えっ、なんでですか?」って。

(高田文夫)「帰ろうかな」みたいに言うなよ。「帰ろうかな、よそうかな」って(笑)。でもね、あんだけ尊敬してるとさ、男が男を尊敬するって、やっぱり生き方を全部真似するじゃん? やっぱりね。だから紳助さん、えらいよな。それを全うして、ピタッと出てこなくなったしな。まあ、いろんなことを感じるなと思ってね。だからそう思うと、昔の人は貫禄があって、教養があって、いろいろとすごいなと思ったけど。俺が真打になって披露目をやった時、40歳なんだよ。40で。その時に並んだのが、上岡龍太郎が46歳なんだよ。あんだけの貫禄で。で、談志がまだ52なんだよ。計算したら。それであの貫禄だからね。みんな。すごいよ。たけしさんが41かな? それでズラッと並んだからね。怖いよ。今、思うとな。

(松本明子)今、考えると貫禄が全然違いますね(笑)。

(高田文夫)すごいなと思ってね。こうやって状況、時代が変わって。テレビが一番いい時代とは変わっちゃったから。今はさ、それこそガーシーじゃないけど。そういうネットだとか、YouTubeだとかっていう時代になっちゃって、わからなくなっちゃったけども。でも、やっぱりまだまだテレビとかさ、信じられるしね。もっともっとテレビでやっぱりね。だから本当に託して。

本当に最後のインタビューでね、上岡龍太郎がね、「どうですか。上岡さん、これからのお笑い界、テレビ界、どうなるんですか? 上岡さんが引退するのはいいですけど、どうするんですか? これからのお笑い界は」っつったら上岡さんが「爆笑問題がおるやないか」って言ったんだから。20何年前に。みんな託しているんだよ。談志もそうだよ。俺に言っていたんだよ。「太田を頼むぞ」って言われたんだよ。太田、プレッシャーが大変だよ(笑)。

(松本明子)上岡さんからも(笑)。

「爆笑問題がおるやないか」

(高田文夫)でもさ、そういうことだと思うよ。伝統っつーのはな。きちっと受け継ぐべき人が受け継いでいかないと。ある程度、リーダーシップを握ってね、やっていかないといけないと思うしね。まあ、いろんなことを考えさせてもらいましたよ。本当に。

<書き起こしおわり>

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