東野幸治さんが2023年6月2日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で亡くなった上岡龍太郎さんを追悼していました。
(東野幸治)で、そんな(中田敦彦の)話もしなきゃいけないんですけど。いや、もう今日、びっくりしましたよ。上岡龍太郎師匠が実はお亡くなりになっていたっていうところを聞きまして。『ワイドナショー』も先ほど、撮りましたけども。やっぱりゲストの方の組み合わせでいうと、リアルタイムとかで見てる方も少なかったり。何となく知ってる方がほとんどで。なんか、まあそれは引退してもう20何年、経ってるから。寂しい話なんですけど。
いや、だから一応僕が知ってるお話を少しさせていただくと、いろいろ上岡師匠とは思い出というか。一方的に中学校、高校。この世界に入ってからも、関西にいてる頃はずっとテレビをつけたら、週末は金、土、日はなんか上岡龍太郎さんがいてるとかいうイメージがすごいあったし。昔は『EXテレビ』で2曜日、やってましたから。上岡龍太郎さん1人の曜日と、上岡龍太郎さんと島田紳助さんの時があって。
で、『ワイドナショー』でしゃべったんは視聴率……テレビの上に視聴率を測る機械があって。「ほんまかいな?」みたいな話で。なんか紳助さんと「ラスト、エンディング1分。全員、チャンネルをNHK教育に変えてください。もう放送終わってますから。それでもしも、その放送が終わっているそのNHK教育の視聴率がパッて上がったら、そういうもんなんやろうな」みたいな。そんな実験企画みたいなのをするって言って。で、「3、2、1……どうぞ。NHK教育に変えてください」って。
で、後日、数字見たら2%、NHK教育が上がっていたっていう、そんな話があって。そういう実験的なこともしたし。あと、あれ知ってます? 紳助さんと2人でエロ。
(渡辺あつむ)はい。
(東野幸治)あれ、面白かったよね? 要はあれ、生放送よね? おそらく生放送。要はハの字に座っていて、今で言うバラエティのひな壇みたいなのが2段あって。1段目の下のところに上岡師匠。で、8の字で紳助師匠。で、そのお互いの後ろに全裸の若い女の子が足を広げて座っている。で、ちょうど上岡師匠、紳助師匠の頭ぐらいに女性の股間が……ですよね?
(渡辺あつむ)はい。
(東野幸治)あれ、乳首見えてたっけ? それは俺、わからんけども。
(渡辺あつむ)下ばっかり見てました(笑)。
(東野幸治)俺も下ばっかり見てて。上岡師匠が放送で「紳助くん。これ今、こんな感じでテレビをつけた人はびっくりすると思うけど。俺らも緊張するよな」「そうですよ。ちょっとでも頭をずらしたら映るかもわからん」っていう。俺、それをすごい覚えているのよ。ああいうことをやってくれたりとか。あと、なんかわからんけどテレビを見てたら急に、烈火のごとく怒っていて。「なにかな?」と思ったら、今やったらわかるんやけども。フロアディレクターの指示みたいな感じに対して、もう烈火のごとく、急に見てる方は関係なく、お構いなく、めちゃくちゃ怒ったりとか。
あと『パペポTV』でオープニング。曲が流れて。センターのところから(上岡龍太郎・笑福亭鶴瓶の)2人が小さい上下やねんけど。そこから階段を上がってきて。ほんで正面を向いて降りてくる。で、フリートークを1時間するという番組なんすけど。ある日、見てたら曲が流れて。客がワーッて拍手して。で、上がってくる。なぜか鶴瓶さんしか上がって来えへん。で、上岡さんが出るところに向かって、なんか見てニヤニヤして。で、1人で降りてきて。ちょっと遅れた感じで上岡師匠も……もう曲も終わって。タタタタタッて急いで降りてきて。ほんで「いや、兄さん。どないしたんですか?」って。なんかニヤニヤして。
「上岡さん、なんで遅いんですか?」って言ったら「いや、聞いてや。鶴瓶ちゃん。我々芸人っていうものは、出囃子っていうのがある。それぞれの出囃子がある。出囃子がかかる。お客さんが拍手する。その言うたら感覚とか間を自分で考えて登場するわけよね。さっき『本番、始まります』ってなったら、どこぞの大学を出た若いADかなんか知らんけれども。上からの指示で言われてるわけや。『曲が流れたから上岡を出せ』って。『はい!』って言って。ほんで、それに向かって『おのれ、誰に向かって口を聞いとるんじゃ? なんでお前の間で出なあかんねん? 俺は俺の間で出る!』ってこんこんと言ってやったんや」って。ものすごいわかるやん?(笑)。
ものすごいわかるけど……めちゃくちゃ怖いなと思って(笑)。すごいよね? そういうところ。だから、たぶん怒られてる人は、なんで怒られてのるか、ほんまにわからんと思うけど。それが経験することによって、後にすごい番組を作ってくれたらいいけど。でも、その日を境に二度と来ることもなかったとか(笑)。っていうこともあったりもしますけれども。
で、そうですよね。有名な話。上岡師匠が引退を決意したのはテレビを見ていて。一流の方がちょっとね、言うたら人生坂道、下り坂の感じでテレビに出ていて。「こんな風にななってまで、テレビに出ていたらあかんな。俺ももし、こんな風になっていたら周りは止めてくれへんから。いつでも言うてや」って言っていて。「今ですよ」って言われて、それで引退を決意したっていう。これ、ほんまかどうかわかんないんですけど。
ほんで、急にはやめられへんから。仕事の整理をせなあかんから。1年とか半年とか、区切りつけて。それでおやめになられたっていう風にして。本当にピタッと、一切表舞台に出てこなくて。ほんで、たまにそのご自身が好きな歴史……卑弥呼。邪馬台国は北九州か、近畿かみたいなのとか、そういうことを話すとか。赤穂浪士のなんか一節をしゃべるとか。ぐらいしか出てなくて。
ほとんどね、誰か先輩芸人さんとか、仲間の師匠、仲間の芸人さんがお亡くなりになった時のお葬式の引きの映像で上岡師匠もいらっしゃっていたっていうので。当時よりも頭が真っ白になって。なんかお葬式に参列しているとか、お通夜にやってきたみたいなぐらいしかなかってん。だから最後は本当にノックさんのお別れ会で。みんな集まって、お別れの挨拶を代表して、久しぶりに上岡龍太郎さんがやってきて。まあ、噛まずにきれいに感動する話、おもろい話を上手にして。で、最後、みんなが心の中でノックさんよりも「上岡さんってすごいな」って思って帰っていったっていう(笑)。あれを舞台やと思って1週間、なんか決めにいったみたいな感じだともおっしゃっていたし。
『パペポTV』最終回
(東野幸治)あと、あれですよ。『パペポTV』の最終回。だから紳助さんとさんまさんが登場するっていうので。それを最終回でっていうので。最初に紳助さんがいらっしゃって。ほんで「上岡さんのことを目標にしながら、僕も頑張ってきて。やめるんですか? 残念ですね。どうするんですか?」みたいな話をあれ、俺ね、今やから言うけど。完パケでもらったんですよ。3時間。3時間、しゃべったんですよ。で、紳助さんがね、1時間半しゃべったんですよ。
で、もうドカンドカン、ドカンドカン受けて。で、上岡さんとの思い出とか、自分の話とか。で、ちょっと鶴瓶さんをいじって。「おい!」とか言いながら1時間半、しゃべって。で、打ち合わせでは、吉本的には紳助さんが戻って。帰っていってその後、さんまさんと寛平さんとショージさんみたいなんが来て。「上岡さん、お疲れ様でした」みたいな演出やったんですよ。で、紳助さんがそういういろんなたとえとか、おもろい話とかを延々して、ドカンドカン、めちゃくちゃ受けていて。
で、1時間半。それで紳助さんが帰ろうかなってしたら、鶴瓶さんが言うたら「さんま、紳助が同じ舞台に立ってるところ、最近見てへんから。上岡師匠が今日をもって『パペポTV』終わりで引退されるっていう、ここがチャンスや」とばかりにダマで。紳助さんには内緒で。スタッフさんにも内緒で。さんまさんを呼ぶんですよ。
ほんならさんまさん軍団が「ワーッ!」ってやってきて。言ってた「ギャー!」ってなって。ほんでさんまさんが最初、冒頭でなにを言うんかな思って。「上岡師匠、お疲れ様でした」って言うんかと思ったら、「紳助、お前の話はもうええねん。お前、堅苦しい、なんかもうややこしい話しやがって。そんなんで受けたかどうか、知らんけどな。笑いってそんなんやないねん。ねえ。寛平兄やん?」「ふぇーっ!」言うたらドカン!って受けるっていう。だからさんま師匠の笑いと紳助さんの笑いを1時間半、1時間半と見れて。
で、紳助さんはちょっと後ろに下がって。どうしてええのか、わからへんから。「一緒に共演せえへん」ってなんか、マネージャーから、吉本から言われていたから、どうしていいかわからん感じになっていて。で、さんまさんと鶴瓶さんとかと上岡さんの思い出を話する。そしたら、なんか鶴瓶さんがちょっとけったいなことをする。さんまさんはそれをちょっと無視して、しゃべってる。
ほんなら紳助さんが「さんま、鶴瓶兄やんがちょっと変なことしてる」みたいなことを言って。気づいてないと思って。「突っ込めや、さんま」っていう感じで言ったら「紳助、お前はもう漫才をやめてるから。消しが早いねん!」みたいな(笑)。それはもう、さんま・紳助じゃないとできないようなおもしろやり取り。
(渡辺あつむ)おもしろ殴り合い。
(東野幸治)おもしろ甘噛み(笑)。そんな感じ。だから有名な話で、あれは朝日放送ちゃいます? 『ポップ対歌謡曲』。俺、紳助さんからこの話を5、6回聞きましたけど。『ポップ対歌謡曲』って帯番組が昼間にあって。ほんで司会者。ポップス側。歌謡曲側でクイズを出す。勝った方……だからポップス側だったらポップス側の曲を流す。歌謡曲側なら歌謡曲側の曲を流すっていう番組があって。
ある曜日が奇跡的に半年間か1年間、そのMCが上岡龍太郎。で、ポップス側かな? 歌謡曲側かな? 島田紳助さん。で、もう一方が明石家さんまさんっていう時があって。それはもう3人でワーワーしゃべって。結局、曲を1回も流せへんみたいなのがあるっていう、伝説の曜日があったって聞いていて。でも3人、それぞれ忙しい。ほんで3人、それぞれに時間にルーズやっていうところで。
ある日、生放送。だから言うたらスタッフも、もう天才3人やから。スタッフも何の緊張感もないし。別にちょっとね、言うたらクイズだけ1本、ペラの紙の1枚置いてたら、あとはずっとスタンバイして待ってるだけ。で、いつもだいたいもうギリギリに来るから。で、ある日見たら上岡さんと紳助さんしか来ず。さんまさんは遅刻で来なかった。「さんまちゃん、何やってんの?」とか言いながら。「タクシーの運転手さん! 見ている方! さんまさんを見かけたらABCの方に来るように言ってくださいね」とか言いながら、2人でワーッて盛り上げて。おもろいなって。
で、またある時はさんまさんと上岡さんしかいなくて。紳助さんはトチって、全然来えへん。で、またワーワー言う。ある時は上岡さんが来んと、さんまさん紳助さんだけでやって。それである日、3人とも来なかったがあったっていう(笑)。
(渡辺あつむ)おおー!
(東野幸治)それも2、3分前まで誰もスタッフ、気づけへんねん(笑)。「誰か来るやろ。あれ? 来えへんな? 3人とも来えへんのかいな!」ってなって。急遽、だから昔のABCのところで、タレントクロークに行って。誰かいてる人を捕まえてきて。「ちょっとしゃべってや」みたいなんで繋いだとかっていうそんな3人ですから。で、その『パペポ』の最終回も1時間半、1時間半やって。ワーワー言って。最終的にさんまさんと紳助さんがおもろいことを言い合う、やり合う。そこに鶴瓶さんが入っていく。ほんで鶴瓶さんが蹴られる(笑)。で、さんまさんと紳助さんがやり合う。鶴瓶さんが入っていく。鶴瓶さんが蹴られるみたいな、ええ具合のトリオができていて。
で、最終的に上岡さんが「君ら、僕のことを何とも思ってないやろ?」って言って最後、ドカーン!ってなって終わっていくっていう回。それがもう、編集したらすごいタイトになるから完パケでもらえませんかね?っていうんで、読売テレビかなんかに裏で手を回して。だから裏ビデオよ。お笑い裏ビデオとして。「誰にも見せたらダメですよ」って言われて。「いや、もう誰にも見せません。僕だけに見せてください」「わかりました」って言って。「これは秘密ですからね」って言って、お笑い裏ビデオをもらって。もう3時間ですよ。3時間のおもしろトークバラエティ。それを見て「うわっ、めちゃめちゃおもろいな」と思って、そのビデオをテレビの下の棚の奥の奥に置いてたんですよ。
ほんで、それからね、1年後、2年後ぐらいなんかな? なんか千原ジュニアがバイク事故を起こして。入院してるっていうのがあって。ほんで「退屈やろうな」と思って。これ、千原ジュニアがよくよく言うてんのは、「いろんな人がお土産くれて。見舞いに来てくれて。東野さんだけ、その病院にあった本屋で急遽、顔が腫れて歯もボロボロでメシが食われへんのに。メシどころじゃないのに『美味しんぼ』を東野さん、買ってきて。それも適当に並んでるから1巻、3巻、3巻、5巻、6巻、6巻とか、そんな変則的なやつを買ってきた」みたいな漫談をしてるけど。
その『美味しんぼ』も買ったけど。なんかおもろいのを見て、笑った方がええやろうなと思って。そのお笑い裏ビデオ。『パペポTV』最終回のさんま・紳助のやつの激闘3時間をちょっと添えて、お見舞いに持っていって。心の中で読売テレビのくれた方に「本当に申し訳ございません。僕はやっぱり嘘つきです」って……(笑)。
(渡辺あつむ)これは人情でスルーです。人情セーフ(笑)。
(東野幸治)人情セーフなんですかね? それで渡したことなんかもちょっと思い出したりもしたんですけども。こんな『パペポTV』の最終回の話、『ワイドナショー』でしたら全員、嫌がるでしょう?(笑)。こんな長尺(笑)。
(渡辺あつむ)言いたかったんや(笑)。
『ワイドナショー』でできなかった長尺トーク
(東野幸治)言いたかった! めちゃめちゃ言いたかったけど。この長尺。いやいや、でもそういう意味で言うといろんな楽しい思い出というか。だから一緒に……『いろもん』でゲストに来たこともありますし。あと『上岡龍太郎にはダマされないぞ!』っていうフジテレビの関東ローカルの番組、やっていたんです。それにもゲストに行ったことあるし。TBSの『上岡龍太郎がズバリ!』っていうので、「上岡龍太郎 VS 50人」みたいなテーマで。
そのテーマで50人……たとえば、今やったらないですけど。当時「ニューハーフ」っていう言葉があって。ニューハーフの方を50人呼んで、質問してスイッチを押してもらうとか。なおかつ1番から50番まで全員に話を聞く。で、そこのおもろいところだけタイトにするから。「ゲストの皆さん、長時間ですから最初、飛ばさないでくださいね」って言って。「高田純次さんは前回来て、オープニングではしゃいで。あとの2時間、黙ってました」みたいなのをちょっとやりながら。そういうのもなんかゲストに行ったりとかしたのも覚えているし。ちょっとね、寂しい限りでございますけれども。
あと『ナイトスクープ』もね。やっぱり、なんか『ナイトスクープ』のこだわりというか、面白いところのこだわりと、しょうもないVにはめちゃくちゃ怒るしっていう緊張感でしょう? なんかそのへんのジャッジというか。なんか、偽物を持って行ったら怒られるし、みたいな。なおかつ、一番嫌われたくない人やし。あと、いいところはあれですよね。言ってることと全然違うことをするのもいいですよね。
だからマラソンとゴルフを「あんなしょうもないことをするやつはクズや。あんな体に悪い……マラソンなんて、一番体に悪いことして。なにをしてんねんな?」って言うてて、マラソンをして。なんやったら『オールスター感謝祭』で紳助さんが司会の時に笑顔で走ってたから(笑)。「嘘やん? 散々『パペポTV』でボロカス言うてるやん?」とか(笑)。「ゴルフなんてしょうもない。ちっちゃい穴に入れて。何がおもろいねん?」って言っていて、一番ドハマりしたりとかして。言うてんのに、なんか全部やるっていうところもなんか面白い芸人さんというか。素晴らしい方だなとは思います。
本当に心よりね、お悔やみ申し上げます。たくさんのね、面白い上岡師匠のおしゃべり、YouTubeにありますんで。ぜひぜひそちらの方もですね、見て聞いて楽しんでほしいと思います。
<書き起こしおわり>