吉田豪 ASKA逆指名インタビュー書き起こし

吉田豪 ASKA逆指名インタビュー書き起こし AbemaTV

ASKAさんがAbemaTVのトークドキュメンタリーに出演。プロインタビュアーの吉田豪さんを逆指名しインタビューしていました。

(ナレーション)続いて逆指名したのは日本一インタビューが上手いという肩書を持つ百戦錬磨のプロのインタビュアー。吉田豪。これまで数々の著名人をインタビューしてきたプロフェッショナルがASKAの本音をどう引き出すのか?

(吉田豪)こんにちは。どうもです。お願いします!

(ASKA)お願いします。

(吉田豪)どうも。

(ASKA)はじめまして。

(吉田豪)ああー、会えると思わなかったですよ。

(ASKA)どうぞどうぞ。あ、「どうぞ」って俺が言うことじゃないね。俺、今日はインタビューされる側だから。

(吉田豪)いやいや。

(ASKA)ネットでね、本当に書いていただいて……。

(吉田豪)っていうか、認識されている時点で恐縮ですよ。

(ASKA)いやいや、分析されているから。俺は。それはね……そう。本も読んでくれているみたいで。

(吉田豪)もちろん、もちろん。グッズも見ての通り、いろいろと買って。いま着てるのもそうですけども。

グッズを着用する吉田豪さん

(ASKA)アハハハッ! ああ、そうなの? それは今日、狙ってきたでしょ?

(吉田豪)いやいや、結構日常的に着ているんですよ。テレビに出る時に積極的に着るようにしてて。

(ASKA)ありがとうございます。いやいや、今日は「逆指名インタビュー」ということで。

(吉田豪)逆指名の人選がやっぱり独特ですよね。

(ASKA)なんで?

(吉田豪)亀田(興毅)さんと僕っていう(笑)。

(ASKA)いや、ご両人とも僕はお会いしたいから。

(吉田豪)僕、亀田さんとできればパンチ力対決をしてほしかったんですけど……。

(ASKA)なにを、また(笑)。

(吉田豪)ASKAさん、伝説じゃないですか。パンチ力がすごいの。テレビで2回ぐらい、だって具志堅用高さんと佐竹雅昭さん。ゲームセンターのパンチ力を調べるやつ、あるじゃないですか。あれで2回とも圧勝しているんですよね。

(ASKA)いやいや、まああれはね、まあまあ、もう古い話ですから……。

(吉田豪)ダハハハハッ! ASKA幻想がすごいんですよ。だから、僕の中で。

(ASKA)いやいやいや。

(吉田豪)すごいエピソードだらけじゃないですか。

(ASKA)いやいや、そんな人の人生を漫画みたいに言うの、やめてよ。フフフ。

(吉田豪)ダハハハハッ! いや、尊敬する人も……それこそデビュー当時に尊敬する人を「王貞治とアントニオ猪木」って書いているのを見た時点で、「信用できる!」って思ったんですよ。

(ASKA)あ、お好き?

(吉田豪)もちろん。

(ASKA)なるほど!

(吉田豪)昭和の男子はだいたい2人とも好きですよ。

(ASKA)そうねえ。

(吉田豪)あの、伝えたいことがあったんですけど。いま、若いミュージシャンでスカートっていうポップアーティストがいるんですよ。最近デビューした。ASKAさんの大ファンで。

スカート・澤部渡

(ASKA)ああ、本当に?

(吉田豪)会うたびにCHAGE and ASKAの話をするんですよ。

(ASKA)ありがたい!

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(吉田豪)今日も報告して、ものすごい喜んでいて。だから、いまだに若い世代も慕っているしっていう。

(ASKA)いやいや、っていうのもなんかね、楽曲を書いていて、自分の中では……玉置浩二なんかとも話をするんだけど。俺たちは時代のシンガーだから、どうせ……「歌謡曲」っていう言葉のニュアンスの取られ方とは別として、やっぱりその時代時代の歌を歌う歌謡歌手だっていうところがどこかにやっぱりあって。「歌謡歌手」っていう言葉は使わないにしろ。だから、その世代の中で残っていけばいいと思ったんだけど、若い子たちが聞いてくれているっていうことはね、その楽曲が残っていってるんだなっていうことを、いまの話を聞かせてもらって。うん。もしかしたら、音楽って本当に残っていくものなのかもしれないな。でも、いやいや、そんなことはない。やっぱり新しい人たちには新しい音楽が出てきて。

(吉田豪)ええ。

(ASKA)どうせ生きているこの何十年間を生活を、たとえば生きている人間は共にしているわけで。僕たちの知らない世代が現れた時にはどうせ残らないって思っているから。割とそういう意味では覚めたところもあるんだけど。

(吉田豪)そうなんすか?

(ASKA)だけど、その若い世代がいま聞いてくれているっていうのは非常にありがたいかな。

(吉田豪)やっぱり子供の頃から見ていて、なんとなく本当に失礼な言い方をしちゃうと、ちょっとナメた部分もあると思うんですよ。みなさん、昔から見ていて。で、実際に見るととんでもないと思うのがそのへんの人たちっていうか。玉置浩二さんもやっぱり生で見て「とんでもないわ、これ!」って思うし。

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(ASKA)まあ、玉置はね、あれはすごいからね。あいつはね。

(吉田豪)2人の関係も面白いなと思って。

(ASKA)ああ、ねえ(笑)。あいつは本当にね、もう……毎日遊びに来ていた時期があるから。朝7時、8時まで家にいて、それから仕事に行くんだけど。「今日は俺は金が無い!……どういう意味か、わかるか?」「わかった。じゃあ俺がタクシー代、出すよ」って。で、渡す。「これは借りたんじゃない。もらったんだからな」「わかった!」って。それで、そんな距離じゃないのに、乗ったタクシーの運転手さんが玉置と同郷の旭川だったらしいの。で、着いてから旭川のことをそのタクシーの運ちゃんと話し込んで。距離的にはそんなにないのに、あとは全部チップで渡したって。「やめろよ、お前! なんで……お前さ、返せよ、お金!」っていう。

(吉田豪)人のお金をっていう(笑)。

(ASKA)面白いやつですよ。

(吉田豪)そうですよね。飛び入りで歌ったりとかもされて。近年もね。

(ASKA)やつはね、そういうところは男気があって。「男気」っていう言葉は使っちゃいけないな。あの時の状況だからね。玉置が呼んでくれたことに返したんだから。

(吉田豪)大変な状況の時に声をかけてくれて……っていう。

(ASKA)そうね。あの、なかなかなやつですよ。

(吉田豪)いつまでも歌いたいっていう気持ちはすごい伝わるんですよね。ASKAさんが。

(ASKA)そうね。まあでも、それでも一時は事件のことがあった時にはやっぱり歌えないなと思っていて。もうきっと、人前じゃ歌っちゃいけないし、歌うことに対して堂々と歌えないんだったらもうすっぱりと辞めなきゃって思う時期もあったりして。ちょっとの時間なんだけどね。もう歌うことは無理なんだっていう諦めに入った時があって。まあ、その時にね、「なにをほざいているんだ」っていうような言い方をしてくれたんで。「やりますよ、ほら!」って言われたんで、あれにハッとして、また歌うことができるようになったんだけどね。

(吉田豪)それは、どういう風に言われたんですか?

(ASKA)うん。まあ、連絡をしてもらっていたんで。「もうとりあえず、記者会見でいま引退の発表をすることで動いてもらっているんで。まあ世話になったな」っていうことを何人かに伝えて回っている時に、「なにを言ってんすか? やりますよ!」って言われた一言で。うん。なんか……なにかに占領されていたんだね。心の中がね。それがパッといきなりはがされた感じがして。まあ、単純っちゃあ単純なんだけど。急に。そうだね。

(吉田豪)それは、スタッフの方が?

(ASKA)いや、メンバー、メンバー。仲間内に。それも1人じゃないからね。同じようなことを言ったのは。だから、まだまだやらなきゃいけないなと思っているんだけどね。

(吉田豪)だけど、それぐらいまでは追い込まれていたみたいですね。もう辞めなきゃって。

(ASKA)うん。追い込まれていたっていうかね、「もう歌えない」って思ったから。自分で、やっぱり堂々と歌えないものは、お客さんには伝わらないから。自分で、やっぱり堂々と歌えないものはお客さんには伝わらないから。お客さんってすっごい敏感だから。お客さんがどういう精神状態で、どういう空気か?っていうのをずっと感じながら歌うわけでしょう。で、なにか一言を発した瞬間に、空気はファッと変わるから。変わった空気をすばやく察知して、それに対応しなきゃいけないわけでしょう。だからね、本当によく「ステージは生物だ」ってみんな言うし、「毎日が生物で別物だから」っていうのはあの頃はわからないで使っていたけど、いまはすごくよくわかっている。もうライブっていう空間はその日その日の一瞬しか起こらないから。ずーっとお客さんっていう1人の精神状態が揺れている中を、最後は同じ出口で出ていくわけでしょう? そこに誘導するのが、自分たちステージ上の役目であり。だから、そういうことを考えているんだけどね。

(吉田豪)じゃあ、事件の後にお客さんの前に出るのってかなりプレッシャーとかあったんじゃないですか?

(ASKA)いや、それはなかったかな。なんか福岡の友達がいきなり、そういう場を設けてくれたので。もうお客さんの多さは関係なかったから。呼んでくれて、そのままパフォーマンスとなったんだけど。まあ、でもそれは普通にできたかな。うん。だから、それはあるんだけど。まあでもいま、今回僕はこの逆指名をすることによって、僕のことも少しは調べてもらったと思うんだけども。いま、自分がそこまで追い込まれていた状態があって、とりあえず音楽というものを自分の中から1回なくしてしまわなきゃって思った時から、なんかすごく強い思いっていうのがあって。実はね、もう20年ぐらい前からね、いまのような音楽業界になることがわかっていて。

(吉田豪)ああー、音楽バブルの頃に、もう?

(ASKA)もう音楽業界はおそらく、このまま行くと衰退するな。その衰退する原因は僕らのみあるんだろうけど、あまりにも世の中に迎合している音楽業界はこのまま終わってしまうなと思ったわけ。で、まさにそうで。それに対していま、自分なりに動いている最中なんだけど。やっぱりほら、どんだけ……まあ苦労とは言えないよ。楽しんで作っているし、音楽をやっているから。だけどやっぱり、それに注ぎ込んだ時間とか自分の精神状態の中でやっぱり引っ張り出してきたものだとか。それなりに自分は作品を作っているんだけど、それをね、「聞き放題」っていうね……。

(吉田豪)はい。海外ではもうそれが主流になって。

(ASKA)うん。その枠の中で、自分の音楽が聞き放題にされていくことの懸念があって。俺はその中には入っていないのね。絶対に入らないですよ、だって。それは、無理。聞き放題にされるのは。だから、今回僕は『Weare』っていう名前をつけて、アーティストのための配信サイトっていうのを……まあ、僕は広報みたいなもんだから。別に中心人物じゃなくて。仲間の中でもまだ名前が出てこれない人がいるから。

音楽配信サービス『Weare』

Weare
「Weare」は、ミュージシャンという作り手と、その作品を愛する人々を繋ぐ架け橋となり、共に歩む存在でありたいと考えます。

(吉田豪)ええ。

(ASKA)まあいま僕はとりあえずどこにもいま、制約がないから。束縛がないから。なんでも発信できるということで今回、発信させてもらったんだけど。やっぱり、アーティストがいまね、活動しようにも活動できなくなっていて。もちろん、時代の中でちゃんと活動できる人は常に現れるので。でも、そういう人にスポットを当ててもしょうがない。一部の人だから。音楽をやっている人が、音楽で食べられない状況にどんどん追い込まれていることはね、これは危機感だと思わなきゃいけない。音楽業界は。

(吉田豪)CDが売れない時代にどうやっていくのか?っていう。

(ASKA)そうそう。で、それをね、「売れないからどうしようか? じゃあもっと世間が喜ぶように。もっと喜ぶように。もっと喜ぶように……」って。結局最後に出てきたのは「タダで聞かせる」っていうことになっちゃったの。そんなことしたら、もうミュージシャンは出てこないでしょう。だから今回僕は配信サイトを立ち上げて、ここで配信音源を買ってくれたら70%をミュージシャンに還元する。このサイトは一切利益を追求しないと。本当にそのつもりなのね。だから、「公開しろ」って言われたらいつでも数字は公開できるしね。

だから、いまやらなきゃいけないのは、とにかくたくさんアーティストがここに集まって、ここから配信して。だからこの会社は全然利益も、お金をプールする会社じゃなくて、アーティストがいっぱい集まるごとにこの会社が大きくなっていく。大きくなっていくけど、この会社自体には何もお金はない。アーティストがここに集まってくればくるだけ大きくなるっていうだけの話。で、そういうことをやって。これはずっと前の
構想なんだけど、やっと発表できるところまで来たので。まあ、それもこれもね、いま自分が縛られるものがないからできていることなんで。まあ、これに対してはいろいろと考えることはありますね。

(吉田豪)たぶんだから、事件がきっかけになっている部分も大きいと思うんですよ。レコード会社はたぶん、契約はもう難しいだろうし……っていう。

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