町山智浩『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、サブプライムローン破綻の際に空売りで大儲けした投資家たちを描いた映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を紹介していました。


(町山智浩)ということで、今日もブラピの映画です。今日、紹介するのはブラピの映画です。そっちでは脱いでません。『マネー・ショート 華麗なる大逆転』っていう映画で。これ、いまアカデミー賞のですね、作品賞、監督賞、その他全部で5部門にノミネートされています。はい。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、これ、『マネー・ショート』っていう日本語タイトル、よくわかんないんですけど。原題は『The Big Short』って言いまして。これ、日本で原作本が出てるんですね。文春文庫から。『The Big Short』っていう原題なんですよ。本当は。それで、『世紀の空売り』というタイトルになっていますが。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これ、『ショート(Short)』っていうのはね、『負ける方に賭ける』っていう意味なんですね。普通株価っていうのは、株を買って上がる方を期待するじゃないですか。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そうじゃなくて、空売りっていうのは株価が下がると利益が得られる投資なんですよ。で、これ、2008年にですね、アメリカで金融危機が起こって。いわゆるサブプライムローンが破綻してですね、全世界に影響を与えて、みんなものすごいお金を失ったんですけども。

(赤江珠緒)リーマン・ショックですね。はい。

サブプライムローン破綻で100億円以上儲ける

(町山智浩)その中でですね、わずか、本当に数えるぐらいの人がですね、100億円以上の儲けをあげたというね、事実があるんですよ。

(赤江珠緒)はー!ええ、ええ。

(町山智浩)要するに、金融が破綻する。サブプライムローンが破綻する方に賭けたんですよ。

(赤江珠緒)逆張りして。

(町山智浩)逆張りして。で、100億円以上儲けたんですけど、その彼らについてのノンフィクションの映画化がこの『マネー・ショート』なんです。ショートで儲けたやつらの話ですね。で、主演はですね、『バットマン』のクリスチャン・ベールですね。で、彼はこの映画でアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされてるんですけど。なぜ、主演なのに助演なんだろう?と思うんですけど(笑)。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これ、いろんな人のドラマなんで、誰が主演とも言えないんですね。で、クリスチャン・ベールが演じるのはマイケル・バーリというですね、ヘッジファンドの経営者なんですけど。彼はもともと神経科医だったんですけど、ちょっと僕に似たところがあってですね。人の話を聞かないでね、自分の言いたいことだけしゃべっていて、人と上手くコミュニケーションできない人なんですよ(笑)。

(赤江珠緒)ほほー!

(山里亮太)町山さん、そう分析してるんですね。自分のことを。

(町山智浩)クリスチャン・ベール。僕、自覚がありますが。はい(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)ただ、クリスチャン・ベールはこの映画の中でバーリっていう役なんですけども。パソコンでですね、趣味の金融とか証券とかをいじるのは大好きで。得意なんですね。で、その取引をやっているんですけど。アマチュアで。で、その住宅バブルがどんどんどんどん膨れ上がって、住宅価格がものすごい勢いで上がっていった2005年に、サブプライムローン債っていうのが売りだされるんですよ。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)で、それをバーリがチェックしてるんですよ。『これは一体なんだろう?』ってことで。ウォール街の投資銀行が売ってるんですね。ゴールドマン・サックスとか。で、それを調べていったらですね、『とんでもないぞ、これは!これは詐欺だ!これはとんでもない時限爆弾で、全ての経済がこれで一気に破綻するぞ!』ってことに気がつくんですよ。

(赤江珠緒)うーん。

(町山智浩)そこでですね、突然このクリスチャン・ベールはカメラに向かってこう言うんですよ。『サブプライムとは何か?それを俺が説明しても、面白くねーだろ?みんな、興味ないだろ?だからここは、色っぽいお姉ちゃんにお願いしよう!』って言うんですよ。するとカメラがバッ!っと切り替わって、どっかのお風呂になるんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)そうするとね、金髪のムチムチの美女がですね、お風呂に入りながら、『ハァーイ!これからあたしがサブプライムローンについて、説明しちゃうわよーん』って言うんですよ。

(赤江珠緒)へー!面白い。『説明しよう!』みたいな感じだ。うん。

(町山智浩)『説明しよう!』って言うのは富山敬さんですけども。そうじゃなくて、これは説明してくれるお姉ちゃんはマーゴット・ロビーという女優さんで。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』っていう映画がありましたよね?ディカプリオが投資詐欺をやっていた話ですけど。

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(山里亮太)はい。見ました。

(町山智浩)あれですっごいエロい奥さんをやっていた女優さんなんですよ。

(山里亮太)ああ、2人目の人かな?

(町山智浩)すごいケバい感じの。いかにも金でディカプリオに買われた感じの奥さんがいましたけど。あの人がここで出てきてですね、お風呂に入りながらですね、『あのね、本当は住宅ローンの債権っていうのは昔からあったのよ』と。銀行が要するに、ローンを引き受けるわけですけどね。代わりにお金を払うわけでしょ?住宅ローンって。家のお金のね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、それを証券会社が商品として売って。そうすると、その債権を買った人は住宅ローンの支払いがあると、自分のところに利益が入るわけになるんですよ。代替わりするみたいな感じでね。で、『そういうのは昔からあるんだけれども、住宅ブームの中でウォール・ストリートはこういうものを考えたのよ。全く信用出来ないローンも売っちゃおうと思ったのよ』って言うんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)『それが、サブプライムローンなの』と。で、プライムローンっていうのはすごく優秀な顧客のことを『プライム(Prime)』って言うんですね。『お得意さん』みたいな意味なんですよ。そこに『サブ(Sub)』がつくと、『サブ』っていうのはサブちゃんじゃなくて、サブウェイの『サブ』で。『地面の下』とか『下』っていう意味なんです。『サブ』っていうのは。

(赤江珠緒)ああー、なるほど。

(町山智浩)『キャプテンのサブ』みたいに言うじゃないですか?だから、『サブプライム』って言うと、『優良顧客の下の客』っていう意味なんですけど、それだとよくわかんないじゃないですか。どのぐらい下なのか、わからないじゃないですか。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)だから、言葉のごまかしなんですよ。これは『最低の客』っていう意味なんですよ。『サブプライム』っていうのは。

(赤江珠緒)そうか。返済能力が見込めないのに、どんどん貸しちゃったっていうことですよね。

(山里亮太)危ないところなんだね。

(町山智浩)そうなんです。だからここでマーゴット・ロビーちゃんは言うんですよ。『あんたね、「サブプライム」って聞いたら、それはクソだと思いなさいよ!』って言うんですよ。

(赤江珠緒)うーん!

(町山智浩)で、こんな感じで、映画の中で突然出てくる人たちが、まあ全員実在の人物なんですけど。これ、ドキュメントみたいなもんなんで。ドキュメンタリータッチで、カメラが揺れ動きながら撮影しているにもかかわらず、突然カメラの方を向いてですね、登場人物が『いまの部分のドラマは映画としてわかりやすくしてドラマ仕立てにしたけど、本当は違うからね』とか言ったりするんですよ。

(赤江珠緒)へー!面白いですね。

(山里亮太)なんか『ハウス・オブ・カード』の時もね、そんな演出がね。

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(町山智浩)そう。だからこれね、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の真似なんですね。はっきり言うとね。あれでほら、ディカプリオがフェラーリに乗って走っている時に真っ赤なフェラーリに乗っているんだけど、『あっ、俺のフェラーリ、赤じゃなくて白』って言うと、画面のフェラーリが急に白に変わるじゃないですか。

(山里亮太)はいはいはい。

(町山智浩)あの、ディカプリオがフェラーリでフェラされているところですけど。

(山里亮太)(笑)

(町山智浩)ああいう感じのですね、映画の途中で観客に向かって話しかけたりする感じのギャグをどんどん入れていってる、コメディーなんですよ。これ。『マネー・ショート』っていうのは。

(赤江珠緒)ふーん!うん。

(町山智浩)で、これね、監督のアダム・マッケイっていう人はもともとお笑い番組の人なんですよ。で、この人ですね、監督賞にノミネートされてますけど、『俺たちニュースキャスター』とかですね、『俺たちステップ・ブラザーズ』とかですね、『俺たち踊るハイパー刑事!』とか、そういう『俺たち』シリーズっていうのをずっと監督してきた人なんですよ(笑)。

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(赤江珠緒)へー!うんうん。

(町山智浩)バカコメディーなんですけど。で、その中で、『俺たち踊るハイパー刑事!』っていう刑事ものを作る時に、本当に刑事がやっつけなくちゃならない悪って一体なんだろう?って真面目に考えて。『それは普通の人たちみんなに迷惑をかけているやつらだから、それはウォール街のやつらだ!』っていう風に思いついたんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、この『俺たち踊るハイパー刑事!』では最後にウォール街の金融の悪いやつをやっつけて終わるんですけど。この映画って、最後にエンドタイトルが出るところでですね、アニメーションで、このウォール街がいかにインチキな商品のサブプライムローンを売って、いかに儲けて。で、彼らが最終的に罰せられないばかりか、政府から税金で救済されてそれを何億円というボーナスを自分たちに払ったんだってことをアニメーションで見せるんですよ。

(赤江珠緒)わかりやすい!うん。

(町山智浩)これね、You Tubeでも上がっているから見るといいんですけど。DVDでも日本語版が出てますけども。ものすごくわかりやすいんですよ。あの金融危機っていうのは一体なんだったのか?っていうのがすごいよくわかる。どんな解説よりもよくわかるアニメーションがその『俺たち踊るハイパー刑事!』のおしりにくっついてるんですけど。

『俺たち踊るハイパー刑事!』エンドクレジット



(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)それでそれを監督したアダム・マッケイが今度は本当にそのものに挑んだっていうのが今回の『マネー・ショート』なんですね。でね、この途中でいろんな人が出てきて解説するって話をしたんですけど。どうやって、要するにインチキなね、サブプライムローンを売るか?っていう話になってくるんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)彼らは要するに、僕の時も経験したんですけども。僕は家を買おうとした時に、ちょうど住宅バブルだったんで。僕は最初に家を買った時は、年収証明書とかですね、銀行のあれとか、働いているってことを示すものを全部出して。さらに頭金を3割以上入れなければ、家を買えなかったんですよ。

(赤江珠緒)まあ、それが普通ですよね。

(町山智浩)それが普通だったんですけど。バブル状態になった時は、まず頭金がいらなくなったんですよ。

(赤江珠緒)頭金がいらない。はい。

(町山智浩)いらなくなって、貯金も見せなくてよくなって。収入証明もしなくてよくなったんですよ。

(赤江珠緒)いやー、それ、なんの審査もないんだね。

(町山智浩)なんのチェックもなくなって。さらに、それだけじゃなくて。金利までなくなったんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?

(町山智浩)つまり、利息をつけなくてよくなったんですよ。最初の支払いは。だからこれ、お金がない人がみんな買ったんですよ。『いまバブルだから、買わなきゃ!これに乗り遅れたら嫌だ!』って言って。『お金がないけど、これだったら買える!』ってみんなが飛びついたんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、この映画の中で、本当にこのサブプライムが危ないのかどうか?っていうことで、住宅バブルがすごかったフロリダに行くシーンがあるんですよ。で、実際に買っている人とか売っている人に話を聞いていくと、『どういう人に売ったの?』っていう風に住宅ローンで働いている人に聞くと、『うーんと、金のないやつ。職のないやつ』って言うんですよ。『不法移民。ストリッパー』って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?いま思ったら、ひどいことですね。

(町山智浩)で、『どうしてそんなデタラメなことしちゃうの?』って言ったら、『だってこのローンを組んだら、その後、そのローン自体をウォール街を通して、そのローン丸ごと買ってくれるから』って。さっき言ったでしょ?商品として売ってるから。『だから、絶対に返せる見込みのないやつにも、片っ端からローンを組んじゃうんだよ。だから、後は知らないよ』って言うんですよ。

(赤江珠緒)はー・・・

(町山智浩)でもそれを、じゃあウォール街はそれを商品として売らなきゃならないわけじゃないですか。投資する人に。そんなインチキなものをどうやって売るか?っていう説明が出てくるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、これで出てくるのがですね、『キッチン・コンフィデンシャル』というベストセラーを書いたセレブシェフがいるんですね。アンソニー・ボーデインっていう人がいるんですけど。この人はね、要するに『高級レストランでも月曜日のお昼とか夜のメニューっていうのは売れ残りだ』とかそういうヤバいことを全部書いちゃった人なんですよ。

(赤江珠緒)は、はい・・・(笑)。

(町山智浩)そう。だから『余った食材を出すから、月曜日のスペシャルメニューは食べない方がいいぜ』とか、そういうことを書いちゃった暴露シェフなんですけど。そのアンソニー・ボーデインさんがですね、腐った魚とかを見せるんですよ。画面に向かってね。出てきて。で、『これがサブプライムだよ。でも、これを売る方法があるんだ。こっちにすごく新鮮な魚があるよね?この2つを一緒にシチューに入れちゃえばいいんだよ』って。

(山里亮太)わかりやすい。

(町山智浩)『このシチューを売ればいいんだよ。これが「CDO」ってやつさ』って言うんですけど。これを売ったんですね。ウォール街は。

(赤江珠緒)そういうことですね。紛れ込ませちゃってね。

(町山智浩)紛れ込ませちゃったんですよ。で、しかもそれだけじゃ、非常に不安ですからね。普通、何が入っているかわからないわけですよ。それは。シチューだけど。これを持って、ゴールドマン・サックスとかの連中は今度ね、ムーディーズとかS&Pとかの格付け会社に持っていくらしいんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、『これを見てください』と、ものすごい量の書類なんですけど。これ、アメリカで不動産とか投資とかやる時の商品のカタログっていうか、中身の証明書ってものすごい、電話帳ぐらいの厚さで。ちっちゃい字でびっしり書いてあって。もう全部読むことなんて、不可能なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、それを持っていって、いきなりムーディーズとかに持っていって。格付け会社の人に『これに格付けしてください』って言うんですよ。

(山里亮太)ああー、なるほど。

(町山智浩)で、その時のものすごくおだてまくるらしいんですよ。ご馳走したりして。ウォール街の連中が格付け会社の人をね。で、実は格付け会社に入っている人はウォール街の一流の投資会社に入れなくて、入りそこなった、はっきり言うと二流、三流の金融会社志望の人たちらしいんですよ。給料もすごい安いんですよ。ウォール街に比べると。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、おだてて接待されると、全員が『これは信用度最高のAAA』っていうのをつけちゃうらしいんですよ。喜んで。

(赤江珠緒)うわー、そうだ。格付け会社が。そうそう。暗躍してたってことになりましたもんね。

(町山智浩)そう。それで結局、議会で追求されて。『どういう基準で格付けをしたんですか?』っていう風に追求されて。要するに、全部破綻しましたからね。で、『実は、根拠はありません』って証言しちゃったんですよね。格付けの連中が。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)どんなものでも、格付けしているやつは絶対に信じちゃいけないですね!だから僕、映画とかに星をつけないんですよ。

(赤江珠緒)ああー、そうか。うん。

(山里亮太)つながった。そこに。

(町山智浩)格付けすると人間、ダメになりますよ。自分は権力者になったと思って。点数とかをつけると。それ、僕は絶対にしないんですが。それはいいんですが(笑)。で、そのいい格付け。『AAA』とかをもらった商品を世界中に売ったんですよ。

(赤江珠緒)そうだ。

(町山智浩)それで、日本なんかもいろんな企業や団体が年金の運用をそれでやって大失敗して。大変な事態になったんですよね。

(赤江珠緒)そうですね。だからその、商品の最初から最後までを全部、責任を持っている人が誰一人いなかったってことですよね。

(町山智浩)誰一人いなかったんです。

(赤江珠緒)パーツ、パーツで自分たちがいいと思うところまでやって。で、あとは責任は次へ、次へ・・・って回していった結果、とんでもないことに。

(町山智浩)だからどんどんどんどん送って回していくから、それぞれの人が誰も責任を取らないから。一体何が売られているのか、中身もわかんなくなっちゃうんですよ。途中から。誰も。

(赤江珠緒)ということですよね。うん。

どうやってサブプライムローン破綻で儲けるのか?

(町山智浩)で、ところがそれでどうやってお金を儲けるか?っていう話になるんですよ。このバーリっていう、クリスチャン・ベールがね。これは破綻することはわかったんだけど。2005年の段階で。どうやって儲けよう?と思って。『よし、わかった。これが破綻すると儲かるっていう商品を作らせればいいんだ!』って思って、ゴールドマン・サックスに行くんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、『おたくが売っているサブプライムローン込みのCDOが破綻したら僕がお金が儲かるっていう商品を作ってください』って言うんですよ。

(赤江珠緒)へー!うんうん。

(町山智浩)で、『破綻しなかったら、どうなるんですか?』って聞いたら、『破綻しなければ、僕はずーっと毎月、それをものすごい額のお金を払い続けますから。あんたたちはそれを受け取ることができます。破綻したら、破綻して出た損害の分だけ僕が支払いを受けるっていうバクチですよ』って言うんですよ。

(山里亮太)はー!ええ、ええ。

(町山智浩)『このバクチ、乗りますか?』って言うんですよ。クリスチャン・ベールが、ゴールドマン・サックスに。で、ゴールドマン・サックスは、まさか破綻すると思ってないから。全部このバカがどんどんお金をくれるんだなと思って。『いいですよ。それ、売りましょう!』っつって、作っちゃうんですよ。その商品を。

(赤江珠緒)『奇特な人だな』と思って。

(町山智浩)そうなんですよ。それがCDSっていう商品になるんですけど。ねえ。で、まあとんでもない話でしょ?だって、ゴールドマン・サックスはサブプライムローンを売りながら、それが破綻するっていう商品も売っていたんですよ。

(赤江珠緒)もう、どこまでもいろんな形で儲けようとしてたんですね。

(町山智浩)そうなんですよ。っていうのがね、この『マネー・ショート』っていうとんでもない恐ろしい映画なんですけどね。はい。いま、さっきからずっと説明しているように、コメディーとして作ってますからね(笑)。

(山里亮太)いや、だからコメディーで楽しみながら、結構説明できなかったものも説明できるようになりそうですよね。サブプライムローンのあの・・・

(町山智浩)そうなんですよ。説明で、難しい説明だなと思うと、かわいこちゃんとか出てきて。ちょっとエッチに教えてくれたりするっていうので。そういう接待がちゃんときいている映画なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(山里亮太)いろいろシリーズ、やってくれないですかね?監督(笑)。いろんなわかんないやつ。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)そう。テレビでね、NHKとかもこういう風にやればいいんですよね。だから、『うっふーん』ってやるといいと思うんですけど(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)で、これね、原作者が前に書いた作品が『マネーボール』っていう野球ものでね。メジャーリーグの僕の地元のオークランドA’sのケチケチ経営術を書いてベストセラーになった本なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、あれ、ブラッド・ピットが主演だったでしょ?制作も。だからね、この『マネー・ショート』はブラッド・ピットがそのつながりで、やっぱり制作をやっているんですよ。

(赤江珠緒)あ、今回も。へー。

(町山智浩)ブラッド・ピット、すごいですよ。アカデミー作品賞に毎年毎年ノミネートされてるんですよ。プロデューサーとして。

(山里亮太)すごい。いい作品に関わっているんだね。

(町山智浩)すごいな!と思う。ただ、いまこの映画を、2008年の問題をここでやるっていう理由っていうのもちゃんとあってですね。結局、さっき言ったみたいにこれを実際にやった連中。サブプライムローンで儲けた連中っていうのは、それを破綻させたけども、罰せられてないんですよね。誰一人ね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)で、それを二度とできないように法律も作られてないんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?

(町山智浩)そう。だからいまも似たような商品があって。また新しい形で儲けようとしてるんですよ。みんな。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)しかも、その時に税金で救済されたじゃないですか。みんなね。ブッシュ政権が税金を出しちゃったから。銀行を立て直すのに。で、それ、結局自分たちにボーナスで払ったんですよね。首謀者たちは。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)で、どうしてそうなったか?って言うと、これは具体的には、それを取り締まるべき政府の財務長官がウォール街出身だからなんですよ。で、その当時のブッシュ政権の財務長官のヘンリー・ポールソンっていうのはゴールドマン・サックスの元CEOですよ。

(山里亮太)ああー、ズルズル(笑)。

(町山智浩)これ、取り締まれるはずがないんですよ。

(赤江珠緒)そうか。

(町山智浩)だから、オバマ政権になってから財務長官はウォール街出身者じゃない人になったんですね。でもまた政権が変われば、またそうなるかもしれないんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)ねえ、ほら。この間、次期大統領候補の共和党のテッド・クルーズがゴールドマン・サックスから1億5千万円もらっているっていう話をしましたけど。あれ、奥さんがゴールドマン・サックスの役員だからですよ。

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(赤江・山里)うわー!

(町山智浩)そんな人が大統領になったら、また繰り返しだから!

(赤江珠緒)ええー、そうなんだー・・・

(山里亮太)でもまだ、有利じゃないですもんね?たしか、その人。

(町山智浩)いや、テッド・クルーズはいま、共和党のトップになっちゃっていて。マズいんですよ。

(赤江珠緒)わー!

(町山智浩)カミさん、ゴールドマン・サックスですよ。あとね、この映画、ブラッド・ピットが出演もしてるんですけど。そのショートでみんなが儲かるじゃないですか。出てくる奴らがみんな。市場が崩壊したから。みんなが喜んでいるとね、『浮かれてるんじゃねーよ!』ってブラッド・ピットが言うんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)『何千万人もが家を失って、大事な貯えを失ったんだぞ!』って言って、説教するんですけど。ブラピが。

(山里亮太)いいやつ。

(町山智浩)っていうかこれ、プロデューサーだからいい役とってるよね?これね?

(赤江・山里)(笑)

(赤江珠緒)そうですね。いちばんいい役ですね。これね。

(町山智浩)いちばんいい役ですね。この人ね、『それでも夜は明ける』でも1人だけいい白人の役をやったりね。ちょっとズルッちいなって(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)そこんところ、ちょっと『ファイトクラブ』入ってるんですけどね。はい。という映画です。

(赤江珠緒)これはでも本当、リーマン・ショックの中身がよくわかるということですね。

(町山智浩)そうなんです。3月頭に日本で公開だと思います。

(赤江珠緒)はい。3月4日ということですね。今日、ご紹介いただいたのは『マネー・ショート 華麗なる大逆転』という映画でございました。さあ、町山さん。来週はですね、スペシャルウィークということで。よろしくお願いします。

(町山智浩)はい。アカデミー賞大予想をやります。2月末にアカデミー賞がありますので。

(赤江珠緒)はい。そうですね。直前予想。お待ちしております。それではまた来週。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>