萩本欽一と爆笑問題 ドリフ・たけし・さんまを語る

萩本欽一と爆笑問題 ドリフ・たけし・さんまを語る 爆笑問題の日曜サンデー

萩本欽一さんがTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』にゲスト出演。ドリフターズ、ビートたけし、明石家さんまさんについて、爆笑問題のお二人と話していました。

(太田光)あの時は、どういうあれですか?100%男と呼ばれていた頃っていうのは。

(萩本欽一)100%男って言われてるってことを聞いたことないもん。俺、数字って、僕の周りで『数字、言わないでくれ』って仕事してたから。

(太田光)でも、数字をぴったり当てたって伝説もあるじゃないですか。

(萩本欽一)だから、勝手に言っているだけだから。だから、『ああ、気持ちで言うと、なんか20超えてるかな?』とか。『ひょっとすると30、行ってるかな?』とか。『昨日の本番、なんだかわかんないけど28%行ってる気がする』とか。

(太田光)それが当たっちゃうんだ。

(田中裕二)ことごとく当たっちゃっていたっていう。

(萩本欽一)だから数字は誰も言わない。

(太田光)でもそん時は、自分がもうテレビの頂点にいるっていう意識はあったんですか?

(萩本欽一)それが気がついた時に、やめたんじゃない?

(太田光)ああー、そうなんですか!?もう、それは、いちゃいけないと思ったんですか?

(萩本欽一)いやいや、いけないって、やっぱ活字とかそういう形でこう言われた時に、非常になんか、居心地が悪いというか。居場所がない。

(太田光)そういう人なんだね。いや、俺、絶対にやめないけどね。もう、しがみつくね。

(萩本欽一)(笑)

(田中裕二)普通はね。普通はそうだよね。うん。

(萩本欽一)だって、30%ってなんか知った時にね、『ああ、次、じゃあ40%に挑戦しなきゃなんない』と思った時、『ああ、これは無理だ』っていう。だから、戦って勝つものしか俺、戦わないから。だから、『あ、これは逃げるだ』って。

(田中裕二)あ、逃げる。

(太田光)そこで逃げたんだ。逃げたんですか。じゃあ。

(江藤愛)さっきの大学のお話に・・・

(田中裕二)そっか。100点取れなきゃ、逃げる。

(太田光)あん時、ドリフのことはどう思っていたんですか?ドリフターズのこと。

萩本欽一とドリフターズ

(萩本欽一)ドリフってね、ずっと同じステージで。結構、がんばろうなって言っていたお友達で。で、結構ね、遊んでいたのね。なんか遊ぶ時、一緒に。だからドリフって、なんか友達だから。だからこっちがほら、作り物をやめたのよ。仲間同士でなんか・・・

(太田光)ああー、なるほど!

(田中裕二)そっか。ドリフが作りこんだコントをやるから。

(萩本欽一)どっちが面白いか?ってなるの、なんか嫌だ。

(田中裕二)逆に、欽ちゃんはたとえば素人さん出したりとか。そういうこう、一般のネタで。ハガキネタで勝負するとかっていう。

(太田光)でも、土曜8時で、お互いしのぎを削っていたわけじゃないですか。

(萩本欽一)そうそう。だから、55号やってて、ドリフがやって。で、ドリフの方が全然よくて。で、こっち、やめてるからね。

(太田光)でも、欽ドン!がまた、それでガッと全部客を持ってくるわけじゃないですか。

(萩本欽一)持ってくるってだから・・・だからあの、ねえ。『ドリフに戦うの、嫌だ』って俺、フジテレビに言ったよ。

(太田光)ああ、そうですか?

(田中裕二)やっぱ、言ったんですね。

(萩本欽一)『嫌だ』って。だから、30分のばしてもらって。もうあと30分、上の番組とやってるっていう(笑)。

(太田光)ああ、そうかそうか。

(萩本欽一)その気持ちが嫌だっつったの。ドリフとやるのは嫌だって。それで、1時間半にしてくれたの。

(太田光)そうかー!

(萩本欽一)だから、ドリフと戦ったんじゃなくて。でも、『(お笑い)頭の体操』と戦って。

(太田光)ああ、これは巨泉だ。

(萩本欽一)そうそう。でも、次に『クイズダービー』で張り倒されて。

(太田光)ああー!巨泉は嫌なやつだ!

(田中裕二)いや、だから嫌なやつじゃないでしょ!

(一同)(笑)

(田中裕二)だからその、本当、巨泉さんがいて、で、ドリフがいて。欽ちゃんがいて。

漫才ブームとビートたけし

(太田光)で、その後、漫才ブームが起こるじゃないですか。で、たけしさん出てきます。あれは・・・たけしさん、この前に僕、話した時にね、たけしさんは『もう絶対に欽ちゃんとドリフを引きずり下ろすつもりで出て行った』って言ってたんですよ。

(萩本欽一)うんうんうん。

(太田光)やっつけるつもりで。

(萩本欽一)なるほど。

(太田光)で、実際にやっつけたと。言ってましたよ。あのたけしは。

(萩本欽一)(笑)

(田中裕二)『あのたけし』じゃないよ!

(萩本欽一)たけしはね、意外とそういうことを、シャレでは言うけどね、言わないやつ。

(太田光)ああ、そうですか。実際に会ったり。

(萩本欽一)うん。実際に会って?あまり会ってないかな?

(太田光)ただ、僕はちょっと前のたけしさんの番組に出た時に、欽ちゃんの全盛の時から今度、漫才ブームに来て、僕、たけしさんに乗り換えたんですよ。

(一同)(笑)

(太田光)要するに、欽ちゃんのヒューマニズムみたいなところ。それは、チャップリンにも通じるんだけど。それが、なんかすごい偽善的なものだっていう風に。

(田中裕二)風潮としてね。

(太田光)いや、たけしさんが言ったんです。で、『そういうものじゃないんだ、お笑いっていうのは』っていうところが新鮮で。僕は1回、そこで転向してるんですよ。実は。

(田中裕二)中学生ぐらいの頃だよね。ちょうどね。

(太田光)『ライムライト』も萩本さんのものも、ヒューマニズムじゃないかと。で、全部毒ガスというね、ツービートがすごく新鮮で。で、ずーっとそれを見てきたんですよ。たけしさんが萩本さんのことをボロクソに言うのをね。

(萩本欽一)言ってた?

(太田光)言ってた。僕はチクりますけども。

(萩本欽一)(笑)

(太田光)言ってたんです。で、そん時にね、去年ぐらいかな?たけしさんと話した時に、『萩本さんがやっぱりでも、テレビを変えた功労者だ。要するに、お笑い芸人の地位をここまで上げたのは、萩本さんじゃねーのかな?』っつって言ったんですよ。お前、そんなこと!

(田中裕二)『お前』じゃねーよ!(笑)。

(太田光)そんなこと言える歳になったのか!?って。うれしかったですけど。

(田中裕二)たけしさんがね、そんなことを言う、たけしさん。

(太田光)そう。で、そん時に僕が覚えているのは、たけしさん、ボロクソに言ってる時に、萩本さんがインタビューを受けてるんですよ。『漫才ブームについて、どう思いますか?』って。

(萩本欽一)あ、なんかインタビューで答えてるの?なんて言ったの?

(太田光)答えてるんですよ。そん時、『たけちゃんっていうのは、あれ、たけしっていうのはいいしゃべりをする。あれね、深見(千三郎)のオヤジさんとそっくりなんだよ。あれ、いいしゃべりだよ』って言ってるんですよ。

(田中裕二)褒めてるんだ。

(太田光)で、なんて器がデカい!ボロクソ言ってるんですよ、自分のことを。

(萩本・田中)(笑)

(太田光)この人、本当にすごいな!と思ったんです。で、僕の中で・・・まあ、もうちょっとだけ。

(田中裕二)そうですね。あの、ゲストがまだ、ほとんどしゃべってないです。よくあるよ。

(太田光)これ、あの、思いの丈をぶつけて。で、僕の中では、その後に、もっと大人になった時に、『ライムライト』とかチャップリンの映画をもう1回、『街の灯』とかを見なおした時に、なんて残酷な人なんだろうってチャップリンのことを思って。

(萩本欽一)チャップリンが。うん。

(太田光)チャップリンが。結局、ヒューマニズムって言ってるけど、『街の灯』のラストシーンなんて、あの盲目の花売り娘が、パッと目が見えた時に、『えっ、この人?』っていう表情。がっかりしている。こんな残酷なことを、実はラストに持ってきている。これはすごくいい、感動的な場面って言われてるけど、実はチャップリンって残酷だって思ったのと同時に、萩本さんがよくよく思い返してみると、24時間テレビの時に、涙を流してないんですよ。

(田中裕二)うん。

(太田光)絶対に泣かないですよね。萩本さんって。

(萩本欽一)ええとね・・・泣かないじゃなくてね、涙を見せたくなかったっていうのがあるね。

(太田光)でしょう?そうなんですよ。冷酷人間なんです。

(田中裕二)いや、冷酷人間じゃないよ!そういうことじゃなくて!

(太田光)いや、っていうかね、絶対に泣いてないの。

(田中裕二)泣いてないですね。それは僕も・・・

(太田光)徳光さんなんか号泣してる。だけど、ところがね、たけしさんはね、泣くんですよ。お母さんが亡くなった時に、号泣したんです。で、その後、『たけしくん、ハイ!』っていう割とヒューマニズムなものも作るんですよ。

(田中裕二)うん、うん。

(太田光)で、そん時に僕の中で、なんだったの?あのたけしさんのあの毒は?で、いまたけしさん、すごくいい人っていうか、いい人っていう言い方も変だけど。すごく、なんて言うのかな?芸人として優しいっていう位置にいるところで、わかんないもんだな、実はっていう。そのお笑いに対する姿勢。両者、どっちも尊敬してますよ。どっちも尊敬してるけど、そのアプローチの仕方?

(江藤愛)うん。

(太田光)萩本さん、絶対そういう理屈を言わないですけど。絶対に涙を見せなかったですよね。

(萩本欽一)ああー。だいたい、出そうだと後ろを向いちゃうとか。あん時、ね、ラストでね、涙がバッと出たところ、ある。それはあのね、ウワーッ!っとみんなが押し寄せて来て。バーッ!っとなった時、ちょうどね、前に車いすの子がいたのよ。その子が前につんのめって倒れるんだよ。

(太田光)うんうん。

(萩本欽一)したらその時に、『バカヤロー!なにをすんだ、お前ら!』っつってさ。で、なんか文句言おうとしてね、そういう文句言うっていうの、失礼かと思った時に、涙がね、ボロッと出そうになって。後ろを向いて、黙った。だから、あれはね、なんか言いたかったね。

『欽ドン!』明石家さんまとの共演

(太田光)あー、でもただ、その美意識なんですよね。萩本さんの美意識って。で、1回、『欽ドン!』にさんまさんが出た時があるの、覚えてますか?

(萩本欽一)うん。あれがもう、最後。

(太田光)最後の方ね。あん時、どうでした?

(萩本欽一)どうでした?うーん。どうでしたって、どうでした?

(太田光)僕は、視聴者として見てて。

(萩本欽一)さんまちゃん、もう、あ、これはこれからの。なんかものすごい、こう・・・

(田中裕二)勢いがある。

(萩本欽一)そうそうそう。勢いっていう。

(太田光)僕はね、あれ、さんまさんには確認してないんですけど。僕は見てて、さんまさんは完全に欽ちゃんをやっつけに行ったっていう風に。つまり、いつもの『欽ドン!』のやることを全部スカして。自分の方に持っていくんですよ。さんまさんが。これはね、僕は見ていて、震えましたね。なんて恐ろしい人なんだ!って。

(田中裕二)(爆笑)

(萩本欽一)ちょっと待って。その時は、漫才やってたの?やってないの?

(太田光)やってないです。

(萩本欽一)あ、まだやってない時?

(太田光)やってたかな?やってないと思う。やるかやらないか・・・

(萩本欽一)でも、もうそういう考えができるっていうのは、なんかやらないと。これを読む素人っていうのは恐ろしいだろ?

(田中裕二)そうですね。

(太田光)いや、でも僕は子供の頃から割とそういう。

(田中裕二)そういう風に見てたんだろうね。きっとね。

(太田光)あん時、萩本さん、どういう気持だったのかな?っていう。

(萩本欽一)ええとね、初めて会ったんで。まあ、楽屋に。打ち合わせもあるし、ちょっと顔だけ・・・ってんで、行って。で、割と俺もね、なんだろう?最初、ダメなところがあんだね。

(田中裕二)人見知りっていうか。

(萩本欽一)そうそう。だからバッと部屋行って。『あ、ああ・・・』っつったら、さんまちゃん『あっ』っつーんで。『ええ・・・』『あっ、ねえ。えー・・・』って。

(太田・田中)(爆笑)

(萩本欽一)それが5分たってね。『あっ・・・』っつったら、ディレクターが『本番だけにしましょう』って。それで下がって。

(田中裕二)なるほど。いまここでね。

(江藤愛)話すよりも本番で。

(田中裕二)本番で。その時の、出たとこ勝負で。

(萩本欽一)『あっ・・・』『えっ、あっ・・・』って。

(太田光)ああ、そういうのあったんですね。

(萩本欽一)ですから、その時に、ああ、この人の気遣いみたいな。申し訳ないみたいなね。

(太田光)ああ、そういうのあったんだ。

(萩本欽一)ですから、ウワーッ!っとしゃべってきた時、『負けるもんか!』ってなるのね。それをね、さんまちゃんの場合、『ああ、こいつに負けてもいい』っていう気がしたっていうのは。

(太田光)ああ、そうなんだ!

(萩本欽一)うん。だから俺、ウッと黙って。もう徹底的にさんまちゃんやって帰ったっていう。でもね、そういうことが嫌じゃないっていうのは、これ、さんまちゃんっていうのは大した・・・

(太田光)すっげー!ああー、それはすごい話!

(萩本欽一)これは、後が楽しみだっていうところには。

(太田光)へー!ああ、それはぜひ、今度さんまさんに会った時に。

(田中裕二)(笑)。なんなんだよ、お前は!

(太田光)伝えます(笑)。

<書き起こしおわり>

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