みうらじゅん・伊集院光『おかえり、はやぶさ』を振り返る

みうらじゅん 映画『おかえり、はやぶさ』の見どころを語る たまむすび

みうらじゅんさんがTBSラジオ『伊集院光のTSUTAYAに行ってこれ借りよう!』に出演。推薦映画『おかえり、はやぶさ』を見た感想を伊集院光さんと語り合っていました。

おかえり、はやぶさ

(伊集院光)本日の映画には一言も二言もあるゲストは、みうらじゅんさんです。よろしくお願いします。

(みうらじゅん)よろしくお願いします。

(阿部哲子)よろしくお願いします。

(伊集院光)あのー、挨拶が適当ってことは一応突っ込んでおきますけども。みんな、見ました。

(みうらじゅん)スタッフの方も?

(伊集院光)スタッフも全員。

(みうらじゅん)えっ?総勢何人ぐらい?

(伊集院光)ガラスの向こうに、結構この番組、人が多いんで。うちのが5、6人いまして。

(みうらじゅん)5、6人で、ここ3人ですよね。10人ぐらい?

(伊集院光)全部で10人。見ました。

(みうらじゅん)ということは、僕が見に行った時より多いです。

(伊集院光)(笑)

(阿部哲子)ちょっと(笑)。

(みうらじゅん)映画館より多いです。

(伊集院光)えっ?割と封切りの頃、行ったんですか?

(みうらじゅん)僕、封切りすぐ行くのが好きで。しかも、朝イチに行くので。はい。当然、ギリギリホームシアターになっていることがあります。多々ありますけど、10人を切った場合は、やった!が出ますよね。こっちも。

(伊集院光)レアだ!っていう(笑)。

(みうらじゅん)レアですよね。

(伊集院光)あっ、珍しいですよね。やべー、こんな流行ってない映画に来ちゃった!じゃないと?

(みうらじゅん)違います。マイホームシアターですから。こんな豪華なホームシアターが俺も持てたんだ!っていう喜びですよね。

やっぱりすごい『おかえり、はやぶさ』

(伊集院光)なるほど(笑)。あの、今回の『おかえり、はやぶさ』なんですけど。すごいですね。やっぱりね。

(みうらじゅん)でしょ?おすすめしただけ、あるでしょ?

(伊集院光)あります、あります(笑)。いくらなんでも、僕らもみうらさんの勧める修行映画にも慣れてきたから。

(みうらじゅん)はい。『わさお』もありましたしね。『ラストラブ』もありましたもんね。

(伊集院光)少々のことで・・・と思いましたけど、結構なもんでしたね(笑)。

(みうらじゅん)投げてくる球がもう、鉄球だったでしょ?今度は。

(伊集院光)なんかね、すごいのは全体的な感想としては、よく子どもの頃、行きたくないのに、近所の科学資料館みたいなところに学習に行くと、映画でこう、いろんな説明してくれるじゃないですか。もしくは、免許証の書き換えの時に見せられる作品ってあるじゃないですか。あのテイストがすごくないですか?(笑)。

(みうらじゅん)僕、免許の方は持っていないので、ちょっとわかんないんですけども。その前者の方ですよね。科学館で。あと、プラネタリウムとか行った時の。

(伊集院光)それも、最近のデートスポットのプラネタリウムじゃなくて。

(みうらじゅん)じゃないです。

(伊集院光)行かされる方のプラネタリウムの。

(みうらじゅん)勉強の方の感じがプンプンしてましたよね。はい。

(伊集院光)あの、ゴジラシリーズの中で、なんかゴジラのフィルムをアメリカの人が買って。勝手に編集して。

(みうらじゅん)『怪獣王ゴジラ』ですね。

(伊集院光)怪獣王ゴジラ。要するに、ゴジラが東京に来ている日にたまたま来日していたスパイが取材していたみたいな変な映画があるんですよ。あれっぽくないですか?

(みうらじゅん)まあまあ、そうですね。勝手に偽造されて作られたような、イトカワの秘密が明かされていく感じですよね。

(伊集院光)イトカワの真面目な話を、勝手に切って間に足して、2時間にしてやろう!みたいな。

(みうらじゅん)足したっていうのは、そこにココリコとか、まえだまえだを足したっていうことですよね?

(伊集院光)そう(笑)。まえだまえだのお母さんが病気で大変だ、みたいなストーリーを急に足したりとかすると、出来上がる感じの。

(みうらじゅん)出来上がるんですよ。それで、ちゃんと尺が足りたっつーんだから、大したもんですよね。

(伊集院光)(笑)

(阿部哲子)でもこの監督、本木克英さん?すごい監督ですよね。過去の作品を見ても。

(伊集院光)そうですね。釣りバカとか。いろんな映画を撮っている。

(みうらじゅん)僕ね、監督の履歴は見ないようにしてますんで。そういうのってやっぱり、仏像を見る時に、『これは国宝だ』と思って見ちゃう場合ってあるじゃないですか。重要文化財だからいいとか悪いとか言っちゃうから。そこは一切、パンフレット買いますけど、見ませんから。なにを撮られたか。

(伊集院光)あ、なるほど。不純な見方になりますよね。そういう先入観はダメだと。

(みうらじゅん)ダメです。せーの!で、ダメなものはダメだ!という判断をするっていうことですから。

(伊集院光)(笑)。こっちの見方が正しいかどうかは別ですけど、たしかにそうです。『監督がこの人だから、面白いに決まっている』って支配されるのは絶対におかしい話。

(みうらじゅん)映画の見方としては、いちばん良くないことですよね。

(阿部哲子)(笑)。でもこれ、ダメな映画っていう話で進んでますけど、大丈夫ですか?

(みうらじゅん)いえ、ダメじゃないです。

(伊集院光)そこが!

(みうらじゅん)そこがいいんじゃない!

(伊集院光)そこがいいんじゃない!後ほど、この理論に行きますけど。そこがいいんじゃない!つまんないなんて言ってませんよ。

(みうらじゅん)言ってない。つまんなくないです。はい。

(阿部哲子)すいませんでした。

(伊集院光)僕、見ていちばん最初にグッと来たところが、杏さんが子どもたち向けの催しで、『はやぶさってどういうものなのか?』って説明するアトラクションみたいなのをやっている時にかぶっていた帽子です(笑)。はやぶさの形の被り物なんですけど。

(みうらじゅん)いや、あれ相当でしたね。

(伊集院光)これ、絶妙にいいのは、手作りイベントをやっていますっていう映画だから、チャチな帽子をかぶっていていいんだけど。それを映画の大道具さんが作っちゃってるから、ちょっとクオリティーが高いんですよ。なんかよくわかんないんですよ。要するに、チャチなデザインなのにクオリティーが高い帽子を、またモデル体型の・・・

(阿部哲子)そうそう(笑)

(みうらじゅん)スラっとした人がね。絶対いない人ですよ。

(伊集院光)絶対にいない杏さんがかぶっちゃっているのが。

(みうらじゅん)そこが、いいんじゃない!

(伊集院光)そこがいいんじゃない!

(みうらじゅん)そこがいいんじゃない!最高ですよね。

(伊集院光)かぶりたいっすよね?

(みうらじゅん)かぶりたいですもん。俺も、売ってるのかな?とすら思いましたよ。売店で。なかったですよ、あれ。かぶりたいです。それは。俺だってかぶりたいです。

(伊集院光)あそこ、グッと来たんだよな。帽子!っていう。で、みうらさんポイントにも挙げてらっしゃった、キャスティングに、特にお笑いが多すぎる。

(みうらじゅん)多すぎる。すぎましたね。

(伊集院光)多いのもすごいですけど、いきなり集中して出ちゃう。

(みうらじゅん)出ましたね。1シーンに何人も映っている場合、あったでしょ?お笑いが。

(伊集院光)はい。

(みうらじゅん)滋賀県の飛び出し坊やが1ビューの中に6体いるみたいな状態ですよ。

(伊集院光)どういう意味!?たとえられてないです!

(みうらじゅん)飛びなすな!って促している看板が、一緒の画面の中に6体ぐらい飛び出してたりするんですよ。滋賀県では。多すぎるだろ!と。

(伊集院光)風景としておかしいだろっていう。

(みうらじゅん)おかしいだろ?っていうぐらい、お笑いが飛び出してましたよね。あそこは飛び出してくるところですよね。3Dと引っかけて。飛び出せ、お笑い!ですよね。そこで。

(伊集院光)だからテンションの高い岡田くんから入った時点で、もうちょっと無理じゃないですか。

(みうらじゅん)まあ、無理ですよね。竹山さんがだいぶ控えてたけど、無理ですよね。もう。スーッて漏れる音、してましたよね。なんか。お笑いの。

(伊集院光)ぜんぜんでしたよ。しかし、教訓だなと思ったのは、いくら演技が上手くて俳優仕事しているお笑いさんでも、複数1個のカットに出したら、それは絶対面白いことが始まる感じになっちゃうんだと思って。で、そのお笑いがそれだけ集まってやるいちばん面白いところが、まえだまえだのお兄ちゃんが急にオナラをするっていう。

(みうらじゅん)ああ。あれはどうかね。あれは。

(伊集院光)しかも、オナラのことで、風太っていう名前なのに、『プー太』って呼ばれているっていう話をやたら丁寧にするんだけど。なんにもかからないまま終わるっていう。

(みうらじゅん)そうですね。なんか、最終的にイトカワとかかるのかな?と思いますよね。

(伊集院光)なにか、イトカワの大ピンチがプー太のオナラによって。『ちょっと待って?オナラっていうことは・・・?ガスじゃないか!?』みたいのが、いままでのパターンですよね。ぜったいに。

(みうらじゅん)いやいや。それで、イオンエンジンをつなげかえるっていうのはパターンですよね。

(伊集院光)以降、オナラを一切しないって、なんのためなんですか?あれとか。

(みうらじゅん)それだったらもう、イトプー惑星とか言ってるとかね。初めから。もともとイトプー惑星だったとかね。

(伊集院光)やってないと、あそこのオナラの意味と、プー太って呼ばれていることの意味もわかんない・・・で、みんなだいたい取ってつけたようなことがボンボン起こるんだよね。

(みうらじゅん)あの頃ね、千葉の動物園の風太くんが立った頃なんですよ。だからあれとね、ちょっとかぶっていると思うんですよね。風太かぶりはきっと。

(伊集院光)なるほど!

(みうらじゅん)ええ。だからなんかそこをちょっと笑いに持って行こうと思って失敗している例だと思いますよ。ええ。

(伊集院光)あと、みうらさんの勘違いも1個、ありましたよ。

(みうらじゅん)あ、そうですか?

(伊集院光)ポイントの中に、夜の公園のシーン。

(みうらじゅん)僕、夜だと思い込んでます。違いました?昼でした?

(伊集院光)昼でしたね。で、あと、藤原竜也さん。ブーツ履いてないっす(笑)。

(みうらじゅん)全身映りましたか?引きで。

(伊集院光)一発、映ってるんです。最後のエンディングの。俺、あんまりああいうの好きじゃないんですけど。スタッフロール流れて、流れた流れた最後にもう1シーンあるパターンってあるじゃないですか。

(みうらじゅん)アメリカン・グラフィティ的なね、あれが。

(伊集院光)あれをやられると、どんな自信だ?と思うわけですよ。この映画であれをやられちゃうと、お前、誰も立ってないと思うなよ!っていう(笑)。ねえ。

(みうらじゅん)あ、そこに出てきました?

(伊集院光)結構、エンディング流れてから、2ショットで立って歩いてるところ、出てくる。

(みうらじゅん)あ、もうそん時、俺、劇場を去っていたかもしれないです。

(伊集院光)(笑)

(阿部哲子)ひどい(笑)。

(みうらじゅん)ちょっと見逃してますね。それ。すいません。訂正しておきます。すいませんでした。

(伊集院光)訂正するほどのこともない(笑)。3つ目、なんでしたっけ?あ、筋がわかっている(笑)。そうなんですよ。

(みうらじゅん)筋がわかっている上で見るっていうことのすごさですよね。

(伊集院光)絶対に帰って来るって知ってるんですもんね。

(みうらじゅん)もう、帰ってきかたも、落ちるところも全部わかってるんですよ。オーストラリアに落ちたでしょ?

(伊集院光)落ちました。

(みうらじゅん)落ちましたよね?もう、予想するまでもなく。で、それを自分が知った上で見て、右往左往している研究員のことを見るってないじゃないですか。神の目線ですよ。それ。神目線の映画はもう、この映画に尽きるなと思ったんですよね。わかっていることを見るわけですから。

(伊集院光)すっげーなー。

(みうらじゅん)でもまあ、この機会がなかったら、一生見る機会が、ひょっとしてなかったんじゃないでしょうか。

(阿部哲子)なかったと思います。はい。

(伊集院光)みうらさんの持ってくる修行映画のジャンルは、本当に映画に無駄はないっていうか、みんなで見れば、一周して面白いですね。

(みうらじゅん)映画ってね、やっぱり名作って呼ばれているもんだけじゃなくて、それを取り巻いているイトカワ惑星があってこそ、面白いんですよね。

(伊集院光)その1個1個にて、なにかを採取してくるっていう。

(みうらじゅん)ポーン!ってやるだけでしたけどね。あれ。

(伊集院光)エンディングのじゃあ、あのタイトルロールの後に、本当にちょこちょこっとやったりするの・・・

(みうらじゅん)あ、見てないです。

(伊集院光)あの中で、急に竹山くん結婚するの、知ってます?

(阿部哲子)そうそう!

(みうらじゅん)知ってます。そりゃ見てますよ。知ってますよ。

(伊集院光)意味わかんない!

(みうらじゅん)いや、わかんないでしょ。でもその竹山さんが結婚するところは、やっぱり2を考えてますよね。当然ね。2は出ますからね。

(伊集院光)ってことは、プー太も?(笑)。

(みうらじゅん)プー太は、ものすっごいオナラをこく、ものすごいことで、ジェットエンジン積めるぐらいの伏線はあるのかもしれないですね。

(伊集院光)化ける可能性が(笑)。

(みうらじゅん)化ける可能性がありますね。資本金さえ出せばね。こっちが。

(伊集院光)(笑)。そう考えたら、ちょっと、もう映画に無駄はない。

(みうらじゅん)1個もないですね。

(伊集院光)初めて、修行映画を食らった感想は、阿部さん、どうなんです?

(阿部哲子)いやー、私の頭の中では、もう駄作だっていうのがあったから。最初から。

(伊集院光)そう。俺たちはみうらさんがああいうのぶつけてくるよって言ってるからね。

(阿部哲子)はい。だから、そう聞いていた割には、私は楽しめたんですよ。

(伊集院光)ちょっとそれはわかる。その感じは。

(阿部哲子)でも、そのエンディングで、先ほど伊集院さんがおっしゃったように、もう気持ち悪いエンディングだったっていう。

(みうらじゅん)そんなことは、おすすめしてないですよ。俺。

(伊集院光)あ、それあれじゃん?藤原竜也さんが急に肩に手を回したりする・・・

(みうらじゅん)ありましたね。

(阿部哲子)それも気持ち悪かったし、婚約指輪も気持ち悪いし・・・

(伊集院光)ごめんごめん。俺たちを超えて辛口になるの、やめてくれる?ねえ(笑)。

(みうらじゅん)映画批判ですね。それは。

(伊集院光)そうですね。そう(笑)。うん、じゃあCMに逃げ込むことにするよ。

(阿部哲子)(笑)。

(CM明け)

(伊集院光)引き続き、ゲストのみうらじゅんさん。そして、毒舌アナウンサーの阿部さんと一緒にですね。

(みうらじゅん)びっくりしましたね。いまね。

(伊集院光)びっくりしましたよ。

(みうらじゅん)びっくりしました。もう。

(伊集院光)たぶんあれ、CMいくまでフェードアウトされていったと思いますよ。あの後、1時間は怒ってましたから。

(阿部哲子)(笑)

(みうらじゅん)カンカンでしたね。もう止められなかったですよね。

<書き起こしおわり>

おかえり、はやぶさ
Posted at 2018.4.16
金子ありさ
みうらじゅん 映画『おかえり、はやぶさ』の見どころを語る
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