みうらじゅんさんが2023年4月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で『タモリ倶楽部』の思い出を宇多丸さんと話していました。
(宇多丸)前回、このアトロクブックトークにいとうせいこうさん、お越しいただきまして。なので、その次はみうらさんということで、大先輩が続いている感じで。
(みうらじゅん)ああ、そうですか。ありがとうございます。メガネ繋がりで。
(宇垣美里)ねえ。「メガネ率、高!」って今、思ってますよ(笑)。
(宇多丸)まあ、そうだけども。メガネの中でも、うちらの場合は黒メガネ率ですからね。僕とみうらさんは。
(みうらじゅん)そうですよ。それこそ『タモリ倶楽部』でね、3人サングラスっていうのが揃いましたからね。
(宇多丸)社史、会社の歴史をまとめた本を紹介するみたいな回で。
(みうらじゅん)そういう特集でしたよね。
『タモリ倶楽部』3人サングラス回
タモリ、みうらじゅん、宇多丸
サングラスおじさんが並んでる pic.twitter.com/puewt9obUm— ひゃくきゅうじゅうよん (@sekai_cookie) January 10, 2016
(宇多丸)川崎の、後に浸水でちょっと大変なことになっちゃった図書館のところで集まって。私ね、『タモリ倶楽部』の思い出で、あの時ちょっと1時間ぐらい、何かのスタンバイ待ちみたいなってなって。
(みうらじゅん)なりました。それで、ウダウダしていて。
(宇多丸)で、その館長室みたいなところが我々の控え室で。館長室に我々3人、軟禁されて。
(みうらじゅん)タモリさんとね、3人でね。
(宇多丸)それで1時間、なんかしなきゃいけないっていうんで。そしたら、その中にあるいろんなものをタモリさんとみうらさんがいじり出してですね。もうなんていうの? 生『タモリ倶楽部』っていうか。
(宇垣美里)フフフ(笑)。
(みうらじゅん)もう館長室っていう段階でおかしいからね。響きが。
(宇多丸)しかも館長室にサングラスしたおじさん3人、何やってるんだ? みたいな感じで(笑)。でも僕、あの時がやっぱり……『タモリ倶楽部』って出させてもらうだけでも幸せなのに。「もう夢のようだ。なんなんだ、この特等席は!」みたいな。
(みうらじゅん)あれはでも、スタジオっていうか。3人並んでから、気がつきましたよね。3人ともサングラスだったっていうのをね。
(宇多丸)「はっ、これは!」って。しかも別にサングラスは関係ない回ですもんね。
(みうらじゅん)サングラスの回じゃないですからね。
(宇多丸)で、最終的に社史もあんま関係なくなって。なんかすごろくみたいのがあって。で、タモリさんが連続して腕立て伏せをするという。これが盛り上がりになったっていう。
(みうらじゅん)そうそう。ありました。
(宇多丸)僕はもう、本当に鮮烈な思い出でございました。あれは。結構な炎天下でね。本当にね。そんなこともありましたが、『タモリ倶楽部』、終わっちゃいましたよ。どうですか? みうらさんだって、それはもういっぱいご出演されていましたし。
(みうらじゅん)ずいぶん出させていただいたと思うんですけど。やっぱり「ザシタレ」っていうのがね。
(宇多丸)ザシタレ?
(みうらじゅん)その、雑誌出身のタレント。それを僕、ザシタレって呼んでいるんですけども。ザシタレの登竜門みたいなところもあったじゃないですか。他のバラエティ番組と違うところは、そういう一般のタレントの人にザシタレが多分に混じっていたっていうことですね。
(宇多丸)多分に。ザシタレ、最終的には雑誌編集者とかまでいましたからね。だから雑誌職でしたね。
(みうらじゅん)そうそうそう。
(宇多丸)そうか。雑誌カルチャーがまんま持ち込まれる感じがあったんだ。
(みうらじゅん)そうなんですよ。だからザシタレの居場所がもう、ないですよね。ザシタレの中でも……雑誌の中でもまあ、姿をさらしているやつらじゃないですか。
(宇多丸)見た目が知られてる側ね。
(みうらじゅん)ルポとかの時に顔出しを喜んでやるような人をザシタレって呼んでいたんですけども。そういう人たちの一番の行き場っていうところが『タモリ倶楽部』でしたからね。
(宇多丸)本当ですね。みうらさん、どうしましょうかね。もうないですよ。我々はもう、民放はちょっと出代がないですね。
(みうらじゅん)まず、サングラスのスリーショットってのはもうないでしょうね。あれがないですね。
(宇多丸)もう、あの頃のテレビしか許されなかったことですね。たしかにね(笑)。特に理由のないサングラスのスリーショットね。
(みうらじゅん)そうですね。理由はなかったですね。
(宇多丸)「今日はサングラスだからこうだ」ってことじゃないですもんね。別にね。あと、自分の身分を言わなくていい番組っていうのもなかなかね、そういうのもないですよね。誰だから誰、みたいな。「そういうのはやめてくれ」って言われましたから。
(みうらじゅん)まあ、それをタモさんがうまくね、進行していただいてたんで。
(宇多丸)タモリさんが一番ね、説明が難しい人でもありますからね。
(みうらじゅん)僕は特に他の番組に出ても違和感専門の役だったんですけども。あそこでは違和感がないんですよね。だから他局の朝とか昼とかの番組に呼ばれると、「あっ、『タモリ倶楽部』の人だ!」とかって。ちょっと天然記念物みたいな扱いを受けて。
(宇多丸)「『タモリ倶楽部』の人」って言われるの、ありますよね? 僕もこの間、豪徳寺のラジオロケをした時、やっぱり飲み屋の連中が「ああっ! あの人! 『タモリ倶楽部』の!」って。
(みうらじゅん)やっぱりそうですよね。
(宇垣美里)へー! そっちが出るんですね。
『タモリ倶楽部』の人
(宇多丸)そっち。で、次にもう1個、出るとしたら「ああっ! あのテレフォンショッキングに出てた!」って。だからどっちもタモリさんですから。どうにもなんない。で、もう1個あるとしたら「『ミュージックステーション』だ!」って。もう全部、タモリさん。
(宇垣美里)本当だ!
(宇多丸)だからもう、タモリさん頼りっていう。
(みうらじゅん)俺、よく空耳やってた安齋さんっていうのと、勝手に観光協会っていうのをやっていたんですけども。もう日本各地、いろいろ行くんですけど。もう『タモリ倶楽部』の『倶楽部』がつづめてあるんだよね。地方では。「あっ、タモリだ! タモリだ!」ってなるんですよ。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ! それ、サングラスだからっていうことじゃないですよね?
(みうらじゅん)いや、「タモリだ! タモリだ!」って。
(宇多丸)みうらさんをタモリさんと勘違いはしないもんね。
(みうらじゅん)だから勘違いはしてないと思うんですけども。安齋さんにご婦人が近づいていって。で、俺が横の方でタバコを吸ってたら、「あの人、空耳の人だよね?」って、安齋さんに聞いているんですよ。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ! こっち、こっち!(笑)。
(みうらじゅん)安齋さんと僕の差とか、世間にはどうでもいいみたいで。
(宇多丸)うん、まあ……そうね。もしくはその2人がなんかベン図的に重なっているのかな?
(みうらじゅん)まあ、僕もよく「空耳ですね」って言われてたんで。タクシーとか乗ると。だから「ああ、また良いネタがあったら、送ってくださいね」って俺もやっていたんですよ。
(宇多丸)まあまあまあ、ねえ(笑)。
(みうらじゅん)別に説明するのも、面倒くさいじゃないですか。
(宇多丸)まあ、その同じ匂いがするんでしょうね。俺もだから、あれだね。そこまでは出てないもんな。「倶楽部」が略されて「タモリ」って言われて。話しかけられるぐらいになりたかったなー。
(みうらじゅん)そうでしょう? いきなり「タモリ」ですからね。俺、よくありましたよ。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ! でも絶妙っすね。安齋さんに聞いているっていうのがね(笑)。でも、ちょっとわかる気がするのが嫌なのよ。なんか2人のベン図、ちょっと重なっているんですよ。お二人、ちょっと長く一緒にいろんなこと、やりすぎた。雰囲気が。
(みうらじゅん)そうですかね。まあ、だから世間的にはもう「タモリ」っていう名前のグループで。
(宇垣美里)アハハハハハハハハッ!
(宇多丸)だからザシタレがある種、「タモリ」っていうことかもしれない。我々、「タモリ」だったっていう。
(みうらじゅん)そうですね。
(宇多丸)タモリさんが聞いたら「ええっ?」ってなりそうだけど(笑)。
(宇垣美里)タモリさんが概念みたいになって(笑)。
(宇多丸)概念。概念ですよ。でもサングラスをして、こうやって表に出ているだけで、それはもう概念ですから。
(みうらじゅん)そうですよね。まあ、それはしょうがないですよね。
(宇多丸)サングラスの話はお会いするたびになにかしら、その話になりますけどね。
<書き起こしおわり>