宇垣美里さんと宇多丸さんが2023年5月9日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』について話していました。
(宇多丸)さっきから宇垣さん、お会いしてからだいたい70……いや、80%ぐらいは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の話を(笑)。
(宇垣美里)いや、本当に! 正直、毎日パンフレットを読み返してる!
(宇多丸)お友達に「いい加減、黙って」って言われたと。
(宇垣美里)そう。一緒に見に行った子に「もういいから、黙れ」って言われた。「同じものを見てる」って言われて。「いや、でも伝えたいじゃん!」みたいなね。「あそこ、見た?」「見たよ!」みたいな感じですけども(笑)。
(宇多丸)いや、いいですよ。私もね、見ましたし。でも、さっき聞いていたら、全編IMAX撮影らしいんで。僕、ドルビーシネマで見たんだけども、やっぱりIMAXで見直したいなとは思ってるんで。
(宇垣美里)IMAXで見ました。素晴らしかったです。
(宇多丸)ねえ。もう語り出すとそれはずっと続くという。
(宇垣美里)もう止まらない。「愛じゃん!」って言いながら。「っていうか、人生じゃん!」っていう。
(宇多丸)でもそのために関連のものも結構見返されたようで。結構な鮮度高めにさ、『エンドゲーム』の頭のところでネビュラが……すいませんね。ネビュラって最初は結構悪役的に登場するんだけど。
(宇垣美里)最初は完全に悪役ですよね。
(宇多丸)で、だんだん味方化して。元々、悪い人じゃないんで。それが味方化していく。で、そのネビュラがアイアンマンことトニー・スタークと宇宙で取り残されて。で、2人でね、なんか手作りのゲームみたいなのをしている。で、ネビュラはずっと戦いしか知らない人だったから、トニー・スタークからゲームのやり方を教わって。「負けても怒らないんだよ。これは、遊びだからね。これも楽しいんだよ?」みたいな。「そっか」「どうでした?」「楽しい……」みたいな。
(宇垣美里)もう! そこで泣いちゃうの!
(宇多丸)あのね、そのシーンを鮮度高めに泣き出した時に「ヤバい、こいつ……なんなの?」っていう(笑)。
(宇垣美里)だって、はじめてゲームしたの。だから、今回のシーンでもなんか青い水みたいなのを飲んで「美味しい」とか言って。それだけで泣きそうになるんですよ。
(宇多丸)やっぱりね、本当に戦いだけを……。
(宇垣美里)「ああ、美味しいって言えるようになったんだね!」みたいな。
(宇多丸)言ってみればさ、本当に子供の時から毒親に戦闘マシーンとして育てられた人ですもんね。虐待を受けてさ。だから本当に、あのガーディアンズのメンバーってみんなさ、ちょっと生い立ちがそれ自体はもう笑えないような……。
(宇垣美里)今回のロケットもそうですしね。
(宇多丸)みんな、ひどい目に遭った人たちがそれでも……っていう話だもんね。
(宇垣美里)そう。たぶん親からは選ばれなかった人たちが、自分で選んだ家族を作って、ここまでになったっていうのが。
(宇多丸)そして今度はね、独り立ちするまでと言いましょうかね。家族離れっていう。
(宇垣美里)そう! でもね、別にもう家族になってるから、一緒にいなくなって家族なんだよ!って言いながら、号泣。で、またそれをすごい語って「うるさい」って言われるっていう(笑)。
(宇多丸)でも、素晴らしい。それだけの力がある……さすが、もうジェームズ・ガンがやっぱりちゃんと3作撮って。なんていうの? これ、本当にジェームズ・ガンの作品で。今、言ったようなことも全部、ある意味ジェームズ・ガンのイズムじゃないですか。
(宇垣美里)そうですよね。彼のメッセージだなと思いましたし。それは『ピースメイカー』でも感じたことをたぶん、ここでも語ってるから。ある種、それを挟んだことによって自分の中で増幅されたというか、核になったメッセージをバーン!ってぶち込んできたな、みたいな気がしていて。
(宇多丸)彼の作家性みたいなものもある程度わかってるからこそ、よりガーン!って受け取れるっていうのもありますもんね。
(宇垣美里)なんだろう? もう、「すいません。2023年のベスト映画、決まってしまいました!」みたいな気持ちで見ております。
「2023年のベスト映画、決まってしまいました!」(宇垣)
(宇多丸)でも、その気持ちも非常にわかります。あと、なんかジェームズ・ガンだからさ、すごいぐちゃぐちゃドロドロ。「何なん?」みたいなのを……なんていうかな。やっぱりトロマ映画というね、ぐちゃぐちゃドロドロのところ出身の人なんで。とか、そういう悪趣味だったりとか、そういうことみたいなものをバカにするんじゃねえ、みたいな。「悪趣味、バカにすんな。ナメんなよ!」みたいな人だから。今回のあのね、とある建造物の中……。
(宇垣美里)あれ、最高でしたね!
(宇多丸)とある建造物の設定からしてもう、爆笑じゃない? 「なんなの、それは?」みたいな。
(宇垣美里)好き! 好きだし、なんかその、『スリザー』ってあったじゃないですか。『スリザー』のことを思い出して、ニコニコしちゃった。
(宇多丸)『スリザー』というジェームズ・ガンの過去作があって。それとも通じるよね。
(宇垣美里)ちょっと似てますよね? あの、なんか出てくる怪物たちのキモさっていうか、肉み?
(宇多丸)そうね。肉み……スライムみ? 全体的にスライムだよね?
(宇垣美里)なんか、ベトベトしてるの(笑)。
(宇多丸)「アメリカ人、スライム好きなん?」みたいな。そういう感じ。それはやっぱりありますよね。
(宇垣美里)いや、本当に好きでしたね。みんな成長してんのよ!
(宇多丸)ぜひ、改めて言いますよ。もう何度も何度も言ってますけど。MCU云々は置いておいて、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』三部作は本当に素晴らしい。
(宇垣美里)というか、ある種ちょっと独立した三部作にもなってるかなという風にも思いますよ。
(宇多丸)特に今回の3というか、まあ3つともそうか。全然独立した話でしたもんね。
(宇垣美里)だし、あんまり影響を受けてないっていう言い方が正しいかは、わからないですけども。もう彼の物語になってるというか。
(宇多丸)逆に言うと僕、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の1、2まではそんなに関係なく進んできて。その後、あっちのMCU、地球組と合流するって聞いた時に、「いや、嘘だろ?」って。だって、そのしゃべるアライグマとかどうやって……ウィンター・ソルジャーなんかさ、結構70年代調ポリティカルアクションとかやってたような人と、どのツラを下げて絡むんだよ? みたいに思ったんだけども。まあ、そこはなんとか……。
(宇垣美里)いや、でもなんか戦闘シーンでトニーがドン引きしていたシーンを今回、見返して。「ああ、やっぱりドン引きするんだ。地球で一番ヤバいやつすら、宇宙のこのはみ出し者たちのことをドン引きしてるわ」って思って。ニコニコしちゃった(笑)。
(宇多丸)ということで、ありがとうございます。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』……。
(宇垣美里)あっ、そうだ。おすすめがあるとすれば、パンフレットは2つ、買った方がいい。
(宇多丸)その心は、シールがついてるんですよね?
(宇垣美里)そうなんです! キラキラの超オシャレなシールがついてるんですけど、剥がしたら二度と戻せないじゃないですか。
(宇多丸)要するに、貼る用と保存用と2つがおすすめという。そういうことをする人がいるから、最近すぐパンフが売り切れんのよ。パンフ売り切れ映画が多くてね。
(宇垣美里)シールだけ売ってくれないかな?
(宇多丸)まあ、シールはシールで売っていると思いますけどね。
(宇垣美里)あれと同じのは、売ってなかったんです!
(宇多丸)でも、こんなに宇垣さんがねガーディアンズを好きになって。嬉しいですよ。
(宇垣美里)ガーディアンズも好きだし、ジェームズ・ガンが好きになったのは宇多丸さんにおすすめいただいて。私、初めて正直ジェームズ・ガンの作品を今回、映画館で見たんですね。今まで、知らなくて。おすすめいただいてから配信で全部見て。「全部、見忘れた……」っていう。
(宇多丸)ああ、初ジェームズ・ガン作品か。そうか! でも、だから僕が思った以上に宇垣さんに深く気に入っていただいて。すごく嬉しいですね。
(宇垣美里)これを見ない人生があったと思うと、なんか肝が冷えます。正直。
(宇多丸)そういうものって、ありますよね。肝が冷えるって、本当だよね。だから、いろんなものを触れておくにこしたことはないですよね。
(宇垣美里)いや、ありがとうございます。本当に。
(宇多丸)いや、とんでもないです。宇垣さんからもいろんなものを教わって。
(宇垣美里)命の恩人です。
(宇多丸)「命の」?(笑)。まあ『鎌倉殿』とかさ、私が教わったものもいっぱいありますのでね。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』予告
<書き起こしおわり>