田中みな実とDJ松永「ファン」と呼べない心理を語る

田中みな実 ラジオ収録に20分遅刻してヘラヘラするDJ松永を叱責する 田中みな実あったかタイム

田中みな実さんが2023年4月29日放送のTBSラジオ『田中みな実 あったかタイム』の中でゲストのDJ松永さんと自分を見に来るお客さんたちのことを「ファン」と呼べない心理について話していました。

(田中みな実)「うわっ、これが実現できてない。私、ダメなんだ!」って自分を追い込んじゃうから。だから、そういう(人生設計的なものは)のは、やんないんですよ。

(DJ松永)ああ、そうなんだ! それは、昔からですか?

(田中みな実)そうですね。割とそうかも。人生、思い通りにならない。自分が思い描いた通りに自分で操作できる人生だったら、やってると思うんですよ。でも今ってほら、事務所に所属していて。いただく仕事が多いから。

(DJ松永)たしかに。コントロールできないっすもんね。田中さんの働き方だと、特に。

(田中みな実)いや、みんな、そうじゃない? アーティストさんとかって、どうなんだろうね?

(DJ松永)ああ、でもアーティストはね、まだ恵まれてると思いますよ。自発的にできる仕事だから。ライブも自分たちがやろうと思ってやる。CDも出そうと思ったら出せる。だから、全部自発的な仕事だから。そういう常に、誰かから仕事が来ないと仕事は成立しないみたい不安感もないし。あと、干されるみたいな概念もないから。

(田中みな実)へー!

(DJ松永)全部、自発的にできる仕事だから。

(田中みな実)それは、自分が賞を取ったりとか、こういう確固たる地位を確立してなくても、そう思いますも?

(DJ松永)思います。

(田中みな実)干されないみたいな自信はあります?

(DJ松永)その「干す」ということが、構造上無理。だって、ライブをやろうと思ったら、できちゃうし。CDを出そうと思えば、出せちゃうし。

(田中みな実)たしかに。ファンの方がいる限り。

(DJ松永)そうなんですよ。そこってライブに来る人とか、CDを買う人はコントロールできないから。だから、どんなにインディーの人とかも、垣根がないというか。しかも今、余計にそうなってきていて。

(田中みな実)たしかに、それで言うとタレントさんも今は自分である程度、コントロールできるようなメディアがどんどん増えてきたから。YouTubeだったり、インスタグラムたり、自己発信できるプラットフォームがあるから。だから、個人事務所を構えるタレントさんが今、増えてきたんだと思います。

(DJ松永)そうか。

(田中みな実)そうかそういう意味では干されないっていうのはあるけれども……。

(DJ松永)それでも、来ないと仕事jは成立しないですもんね。オファーがないと。

(田中みな実)オファーがないと、仕事はいただけないし。で、私も歌ったり踊ったりとかっていうことができれば……本当に、いつも思うんですよ。自分の存在価値について考えた時に……。

(DJ松永)ああ、それはシビアですね。

自分の存在価値について考える

(田中みな実)なんか、歌って踊れたらパフォーマンスできるから。で、お笑い芸人さんだったら、ネタをやるとか。それで、集客した時にちゃんと皆さんを喜ばせる術が自分にあるわけじゃないですか。

(DJ松永)言わんとしてること、めっちゃわかります。

(田中みな実)わかります? だから、松永さんがいらっしゃったら……ほら、やったじゃん? 『あざとくて何が悪いの?』のイベントをやった時に私、すごい思ったんですよ。お金を取れるイベントって、難しいよねって。松永さんが来てくれたりとか、アンジュルムの子が来てくれたりとか。あと山ちゃんがいるからさ、それで成立してるんだけど。たとえば私1人がなにかイベントをやって、1000人のお客さん集めて。

で、その人たちからお金をもらうっていう場合、私は歌ったり踊ったりもできないし。DJとかも何もできないし。なんか、エンタメ性が私にはないのに……だから自分に何の価値もないと思っちゃうの。こうやって、お話はできるよ? でも、それは芸人さんとか、その話芸をされてる方々からはやっぱり程遠いし。

(DJ松永)たしかに。話芸が本業ですもんね。話芸でやって、話芸で食っているっていう感じですもんね。

(田中みな実)元々はね。

(DJ松永)でもめっちゃ、言わんとしていることはわかります。

(田中みな実)そうなんですよ。だからもし、私がアナウンサーっていう職を持っていたら、朗読とかでお金を取って。お客様からお金をいただいて、舞台上で皆さんを感動させる何かができるかもしれないけど。今、私が舞台上に出されても、ただずっとこうやってしゃべったりとか、美容の話とかしても、専門家じゃないから。なんか……そういう意味では、自分という人間に何か価値があると思えない。自分から何か発信できないから。

(DJ松永)でもそれ、自分たちもむっちゃ思いますよ?

(田中みな実)いやいや、だってDJがあるじゃないですか。

(DJ松永)いや、思うけども。「なに、DJって?」とも思うっていう。

(田中みな実)いやいや、それはだって……。

(DJ松永)いや、紐解いていくと、本当にそうっすよ?

(田中みな実)で、賞も取ってるしさ。だからあのDJのセットがないDJ松永さんはたしかにわかんない。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! より、そう(笑)。より、そうだけども。でも、なににおいてもそう考えられるなと思うんですよね。たしかにライブをやって、自分の表現っていうか、本業をステージ上で生でやって。それを見に来るお客さんが来て、お金払ってくれるっていうのは、なんかすごい約束された感じ。自分の存在価値が実証された感じはたしかにするんですけども。昔、めちゃくちゃそれが強くて、最近ようやくなくなり始めてるんですけど。昔は「えっ、なにこれ? なに、この謎の現象?」みたいに思っていて。「自分がライブをして、好きなお客さんが来てるっていうこの全員がイカれているこの現場に空間、なに?」みたいなので、入れなかったんですよ。

(田中みな実)ええーっ? だって、それはDJプレイをされてるからみんな、見に来てるわけじゃない? それはたしかに松永さんが野面でそこに立っていて、みんなが集まってきて「なに、この現象?」って思うけど。でもだってそれはパフォーマンス力があるから、それを見に来てるわけじゃない? 「世界一のDJを見たい」って思うじゃん?

(DJ松永)一応、自分のワンマンだし。それを目的に見に来てるはずだから、そうなはずなのに……でも、紐解いたら理由がないんですよね。DJ……なんで、このレコードでこうやって演奏してるんだろう?って思って。そうじゃなくて、楽器にしようと思ったら「えっ、なんでわざわざ楽器を持ち込んで? なんでこの形じゃないとダメなの? このギターの弦の形じゃないとダメなの? この歌声じゃないとダメなの?」ってなって。

で、それを突き詰めていくと謳って、音の振動じゃないですか。音の振動の種類によって、ダサいとか、気持ちいいとか、かっこいいとか。それは何を基準に決まっているのか? それって、めっちゃ感覚的な話だから……。

(田中みな実)たしかに。そのダサいとか、そういうのは本当に感覚的なものだと思う。だからそれは一概に評価できないと思うんですよ。

(DJ松永)ものすごく実体がないと思っちゃって。

(田中みな実)わかります。お芝居だって、そうですよ。芝居だって、上手いとか下手って別にそんなに明確なあれがないじゃないですか。でもだからこそ、賞ってひとつの基準ですよね?

(DJ松永)たしかに、賞はね、わかりやすいですよね。

(田中みな実)だから、お笑いとかもそうですけど。でも、その賞が関係ないとか、全然それを重んじてないって人ももちろんいるんだけれども。でも、やっぱりM-1を取ったら箔がつくし。それで認められた感って、あるじゃないですか。

(DJ松永)たしかに。なんかそれ、たぶんみんな取った人でも、結構そういう人は多いかもしれないですけど。取ったその時とか、その前後とかは満たされるんですけど。しばらく経つと、それが馴染んじゃうから、それ基準で考えちゃうんですよ。でも基準は変わらないみたいな。結果、賞を取る前とあんまり変わんないみたいになっちゃって。ただ、幸福のハードルが上がってるだけで、しんどさは変わらなかったりして。

(田中みな実)そうですね。それはそうだと思う。むしろプレッシャーかかるんじゃないですか? あと、ずっと「王者、王者」って言われ続けるわけじゃないですか。「○○年の王者」ってずっと言われ続けて。松永さんもたぶん「世界一のDJ」っていう風に毎回、そう形容されるわけじゃないですか。

(DJ松永)そうですね。たしかに。そこを下回った時のリスクとかを考えちゃいますね。

(田中みな実)1回、受賞していたら、それは強いですよ。

(DJ松永)でも、本当にあれですよ。なにを持ってして、お金払ってもらっているのか? それは芸術関係全般だなと思いますもん。なんかすごいインフラにまつわる仕事とかじゃない限り、なんで明確にそれをほしい人がいて、お金が発生しているのか?って、自分の中で理屈が立たないですもん。全部。だからエンターテイメント関係って、全部そうだし。こういう仕事はやっぱり全部……もう空気の振動、波形。「波形、ほぼ一緒じゃん?」みたいな。

(田中みな実)フフフ(笑)。それはね、考えすぎだと思いますよ。だから、私はさっしー(指原莉乃)ちゃんとか、仲良しなんだけども。さっしーって、やっぱり自分のことを応援してくれる人のことを「私のファンが」って言うんですよ。それって全然、違和感がないわけ。でも私は、「私のファンが」なんて言えないよ。恥ずかしくて。っていうか、「ファンなんていない」って思っているし。だから私はもう口が裂けても「ファン」なんて言ったことないんですよ。「私のことを応援してくれている人がいるとするならば……」っていう(笑)。

(DJ松永)ああー、わかる、わかるー!

「私のファンが」とは言えない

(田中みな実)それぐらいに遠回りしないと、恥ずかしくて。さっしーはほら、歌って踊っていて。アイドルっていうのもあるし。今、自分でもプロデュースとかもやってるし。だから、ファンがいるっていう。アイドルにはファンがつきものじゃないですか。それはもう、ニコイチというかさ。

(DJ松永)指原さんの仕事の場合、アイドルっていうので言うのはすごい自然ですもんね。わかります。

(田中みな実)そうですよね。だから二人三脚でファンの方ってやってきたから、ファンっていう風に大切にしてるんだけど。私は、なんかどれだけ応援してくれている人がいても、それを決して言えないんですよね。だから「ファンミーティング」みたいなことがもしも……やんないよ? 絶対にやんないし。恥ずかしいからね。で、ファンクラブなんて、もう無理よ?

(DJ松永)ああー、なるほどね。勇気、いりますよね。めちゃくちゃ勇気いる。

(田中みな実)だったら、オンラインサロンするわ(笑)。

(DJ松永)わかります。そっちの方が違和感ない。まだ……。

(田中みな実)でもさ、Creepy Nutsじゃないですか。Creepy Nutsのファンは、いるでしょう?

(DJ松永)そうですね。でも俺も、「ファン」っていう単語を出すまで、だいぶ勇気がいりました。

(田中みな実)ちょっと、恥ずかしくないですか?

(DJ松永)俺、ずっと「お客さん」って言ってました。

(田中みな実)「俺のファン」って言うの、恥ずかしいですよね?(笑)。

(DJ松永)めちゃくちゃ勇気いる! 「俺のファンって、何?」みたいな。ファンクラブがコロナ中にできたんですけど。ファンクラブもすごい抵抗ありましたもん。「ファン、クラブ……集う場所?」って。

(田中みな実)「お客様の集い」でいいんじゃない? Creepy Nutsお客様の集い。

(DJ松永)俺も、そういうのを考えたんすけど。そうすると、ファンクラブに照れながらファンクラブをやってやつになっちゃうから。そこを全部、引き受けて。普通にCLUB Creepy Nutsっていう、すごいストレートに。そこから逃げない、シンプルな名前にしてるんですけど。

(田中みな実)それは、いいと思います。だって、皆さん本当にファンなんだから。Creepy Nutsの。突き放されちゃうと、かわいそうよ。

(DJ松永)わかる。結構「突き放し気味」ってファンから言われます。

(田中みな実)ダメ、ダメ。松永さん、嫌われたくないでしょう?

(DJ松永)それは、周りの人?

(田中みな実)世の中に。

(DJ松永)世間? 世の中? あ、世の中はどうでもいいな。

(田中みな実)ああ、そうですか。

(DJ松永)そう。その対世の中とか、対世間はぼんやりしすぎていて。実体がなさすぎて。しかも、関係性もないから、どっちでもいいんですよね。

(田中みな実)意外です。結構なんか、守りに入るじゃないですか。発言とか。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! 守りに、入る……たしかに。

(田中みな実)それは、なんでですか? どういう忖度で?

(DJ松永)忖度……(笑)。でも、たしかにそういう守りに入るのとかが……っていうことをやり始めたから、もう全部メディア系もやめようかなと思っちゃったのも、あるかもしれないですね。

(田中みな実)ふーん。また戻るかもしれないですもんね?

(DJ松永)そう。全く決めずに。決めるっていうのが大変だなと思って。

(田中みな実)今は、アーティスト活動に専念したいから一度、そういうバラエティとか、表に出るメディアから1回、ちょっと引いて。それで、たぶん何かを生み出している途中で、もしかしたらまた何年後かに、「ああ、なんかちょっとバラエティ、もう1回あの空気感を味わってみたいな」とか思った時にね、もしかしたら……っていうこともあるし。

(DJ松永)そうですね。本当そんな感覚ですね。

<書き起こしおわり>

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