町山智浩『キル・ボクスン』を語る

町山智浩『キル・ボクスン』を語る こねくと

町山智浩さんが2023年4月18日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『キル・ボクスン』を紹介していました。

(町山智浩)でね、今現在ね、それに対して韓国が『ジョン・ウィック』にぶつけてきたのは『キル・ボクスン』というタイトルの映画で。これはNetflixで3月31日から配信してて今、トップなんですよ。1位なんですよ。人気が。

(でか美ちゃん)おお、1位!

(町山智浩)これはやっぱり全く話が同じで。韓国のナンバーワンの殺し屋に、韓国中の殺し屋が挑んでくるっていう話なんですけど。

(石山蓮華)ああ、似てますね。

(町山智浩)ほとんど同じですよ。ただ、ちょっと違うのはそのキル・ボクスンというナンバーワンの殺し屋が、お母さんなんですよ。で、15歳の1人娘を育てていて。その娘が思春期なんでね、いろいろ苦労して。で、そのキル・ボクスンさんが「殺しはね、簡単よ。殺すか殺されるかだから。でも子育てはそうじゃないから、大変だわ」っていう……なんというか、子育ての苦労話です(笑)。

(石山蓮華)うわっ、これ見たいなー。

(でか美ちゃん)すごく哀愁あるセリフですね。

(町山智浩)ただ、彼女はものすごい大金持ちですよ。

殺しよりも子育ての方が大変

(石山蓮華)これ、どういう仕事をしてる人なんですか?

(町山智浩)殺しです。

(石山蓮華)メインの仕事が殺し?

(町山智浩)殺し屋です。

(でか美ちゃん)でも、なんだろうな。世で生きていく上で、「私、殺し屋です」とは言えないわけじゃないですか。

(町山智浩)言えないんですよ。だから娘は「お母さん、何してるのかしら?」って探りをかけていくんですよ。

(石山蓮華)ああ、知らないんだ。

(町山智浩)知らないんですよ。なんかね、一応、芸能プロで働いてることになっているんです。「MKエンターテイメント」っていう、なんかK-POPの会社みたいなところで働いてるんですけど、そこに所属しているタレントはみんな殺し屋なんですよ。

(石山蓮華)うわっ、かっこいい! じゃあ、その歌って踊れる殺し屋とかがたくさんいるってことですか?

(町山智浩)歌って踊れる人もいればよかったんですけどね(笑)。そこまではいないんですよ。まあ、芸能プロを隠れ蓑にして殺しをしてるという話でね。今日の放送では何回「殺し」と言うかね、ちょっとね、記録なんですけど。もうかなり、20回ぐらい言ったと思いますけども(笑)。これね、すごいのはね、キル・ボクスンさんを演じている女優さんなんですよ。この方も現在50歳で、チョン・ドヨンさんって人なんですけど。この人、アクション映画はたぶん初めてなんですよ。

この人ね、『シークレット・サンシャイン』っていう映画でカンヌ映画祭で主演女優賞を取った世界的な演技派女優なんです。その方に50歳で初めて、すさまじい格闘アクションをやらせてるんですよ。

(でか美ちゃん)アクションとかをされる俳優さんって、結構もう若い頃から舞台でバリバリ殺陣をやっていて……って方とか。若い頃から、そういう感じじゃないですか。50歳で始めるって、たぶん相当の苦労とかがありますよね?

(町山智浩)はい。撮影中、大怪我してますよ。やっぱり。

(でか美ちゃん)ええっ? ちょっとなかなか美談にはしづらいですけど……。

(町山智浩)ちょっとしづらいんですけど。まあ、やったことがない人にいきなりやらせてるんでね、すごいことになってますけど。でもね、映画としては結構楽しくてね。その殺し屋たちが次々と襲ってくるんですけど。みんな、ナンバーワンのキル・ボクスンを尊敬してるんですよ。だから「ボクスンさん、お願いします!」って言いながら襲ってくるんですよ。殺し屋が、次々と(笑)。「ファンです!」とか言いながら(笑)。

(でか美ちゃん)なんか、道場破りみたいなノリなのかな?

(町山智浩)そうですね。みんな、ファンなんですよ。

(石山蓮華)そういうことか。これ、面白そう!

(でか美ちゃん)でも、向かってくる相手との人間関係……キュンとしそうなところ、いろいろとありそうですね。

(町山智浩)これもね、たぶん『ジョン・ウィック3』がヒントになってるんですよ。『ジョン・ウィック3』での最大の敵が、ジョン・ウィックの大大ファンの、追っかけの人が殺し屋として来るんですよ。マーク・ダカスコスが。で、「ファンです!」とか言いながら襲ってくるんで、キアヌ・リーブスがしょうがないからナイフで刺したりするんですけど。刺したりするために「ああっ、いいな! ウィックさん、いいっ! いいっ、最高だ!」とか言うんで。ものすごく気持ちが悪い殺し屋なんですよ(笑)。

(でか美ちゃん)なんか愛ゆえに、追いかけたい、追い越したい存在だけど。やられたらやられたで「こうやってやってたんだ!」みたいな?

(町山智浩)そう。それも嬉しいというね。さすがにその時だけはね、いつも無表情のキアヌ・リーブスも「うわっ、気持ち悪い!」って顔していましたけどね。

(でか美ちゃん)本当ですね。でもちょっと気持ち、わかるな。

(町山智浩)だからコメディがちょっと入っているんですね。それが『キル・ボクスン』で。これが、韓国映画なんで制作費が結構あって。10億円ですね。8.8ミリオンドルなんでまあ、すごいんですけど。で、今日紹介する殺し屋映画の3本目がですね、日本映画です。来れ、『ベイビーわるきゅーれ』というタイトルで。これ、既に2021年に公開かな? なんですけども。これがアメリカでやっと最近、見れるようになったら僕見たんですよ。で、すごい面白かったんですよ!

(でか美ちゃん)今ね、2がね、日本だと公開されてるんですよ。その1作目ってことすよね?

(町山智浩)1作目です。はい。

『キル・ボクスン』予告

<書き起こしおわり>

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