町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』と『ザ・シークレットマン』を紹介していました。
(町山智浩)今回、2本紹介するんですが。この2本、続けて両方見ないとわからない映画なんですね。1本はアカデミー賞の現在、作品賞候補になっている、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』です。
(山里亮太)はい。
『ペンタゴン・ペーパーズ』
★第90回アカデミー賞ノミネート作品★
★作品賞・主演女優賞メリル・ストリープ★
「#ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」3/30(金)公開
1971年政府がひた隠す真実を明らかにすべく立ち上がった実在のジャーナリストたちがいた。報道の自由を統制し記事を差し止めようとする政府との戦いが始まる。 pic.twitter.com/s1PaKfzUQn— ディノスシネマズ札幌劇場 (@satsugeki_) 2018年1月25日
(町山智浩)この『ペンタゴン・ペーパーズ』というのは、1971年に流出したアメリカ政府の機密文書です。これはランド研究所というシンクタンクにアメリカの国防総省……だからペンタゴンがあるところですね。が、依頼をして研究をさせた研究結果の報告書なんですけども。どういう内容か? といいますと、ベトナム戦争前に行われたシミュレーションなんですが。「もしアメリカがベトナムに攻め込んだら、この戦争に勝てるか?」というシミュレーションなんですよ。
(山里亮太)はいはい。
(町山智浩)で、ランド研究所は徹底的に調査・分析をした結果、「これは勝てねえよ」っていう結果を出したんですね。
(山里亮太)もう結果が出ていたんですね。はい。
(町山智浩)それなのに、1964年に民主党のジョンソン大統領はベトナムに攻め込んじゃったんですよ。勝てないとわかっているのにですよ。どうやっても勝てないと。で、それはその時の国防長官のマクナマラが「ベトナムから攻撃された」というでっち上げまでして攻め込んでいるんですよ。で、その結果、どうなったかといいますと、泥沼にハマりまして。アメリカ側は58万人死亡。ベトナム側はもう100万人以上死ぬという大惨事になりました。で、このランド研究所の研究をしていた本人が、「俺は研究していて『勝てない』って言ったのに、なんで戦争してんだ?」っていうことで頭に来て、研究所からそのペンタゴン・ペーパーズを盗み出しました。
(山里亮太)ほう!
(町山智浩)ダニエル・エルズバーグという人が。で、それを新聞社に送りつけました。一部ですけども。それが、ニューヨーク・タイムズに1971年。ベトナム戦争の真っ最中に記事が出ました。これは大変なことですよね。勝てないとわかっていたのにいま、戦争をしているんだと。ところが、その時に大統領はニクソン大統領だったんですけども。1968年に大統領になる時、「ベトナム戦争を徹底的に継続して勝つ!」っていう風に言っていたんですよ。だから、このペンタゴン・ペーパーズを記事に書いたニューヨーク・タイムズを機密漏洩罪で訴えるんですよ。
(山里亮太)はー。
(町山智浩)だから、要するにこのペンタゴン・ペーパーズに触れたやつはみんなスパイとして刑務所にブチ込むぞっていうことですね。この法律は日本で言う特定機密保護法みたいなものなんですよ。軍の秘密を新聞とかに載せたり漏らしちゃいけないということですけども。ところが、この『ペンタゴン・ペーパーズ』っていう映画はそう聞くとニューヨーク・タイムズの映画かと思うじゃないですか。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)ところがこれは原題は『The Post』って言いまして。ニューヨーク・タイムズのライバル紙であるワシントン・ポストっていう新聞がタイトルになっているんですよ。
(海保知里)ええっ?
(町山智浩)そう。だからね、「あれっ?」って思うんですよ。映画を見ると。で、いまワシントン・ポストっていうのはニューヨーク・タイムズと並ぶ全国紙なんですね。アメリカっていうのは基本的にはローカル新聞しかなくて。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストとウォール・ストリート・ジャーナルとUSAトゥデイだけが全国紙なんですよ。ところが、この頃のワシントン・ポストっていうのはまだ首都ワシントンのローカル紙にすぎないぐらいなんですね。レベルとして。
(山里亮太)うんうん。
(町山智浩)しかもね、社長さんがちょっと精神がおかしくなって自殺しちゃって。その未亡人が会社の経営を引き継いだんですね。その未亡人の名前はキャサリン・グラハムさんっていう人で、それを演じるのがメリル・ストリープさんです。
(海保知里)おおっ、大御所。
(町山智浩)アカデミー主演女優賞にこれでノミネートされています。ところがこのキャサリンさんは全く子供の頃から新聞社のお嬢さんとして育っていて、全く仕事もしたことがない人なんですよ。なんの経験もない人なのに、いきなりアメリカの主要新聞の史上初の女性発行人になっちゃったんです。で、ところがそこにペンタゴン・ペーパーズがニューヨーク・タイムズに出たということで、腕利きの編集長がいまして。ワシントン・ポストにね。これがトム・ハンクス演じるベン・ブラッドリー編集長なんですね。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)で、頭に来ちゃうわけですよ。ニューヨーク・タイムズをライバルと思っていたから。「俺たちもペンタゴン・ペーパーズを探すぞ!」って探して、手に入れるんですよ。ところが、それをもしワシントン・ポストに載せたら、自分たちも機密漏洩罪で刑務所にブチ込まれる。だけじゃなくて、会社の経営も危なくなるかもしれない。要するに、反体制側の新聞なんだということで、政府の圧力をかけられるからいろんなところの広告が出なくなったり、その後に政府の取材ができなくなったり。いろんなことが起こるだろう。だからこのキャサリンさんはすごく悩むわけですね。どうしたらいいか? お嬢さんで何も知らない人だったんですよ。
(山里亮太)うん。
(町山智浩)しかもワシントンで子供の頃から育っているから、周りは全部政治家ばっかりなんですよ。で、このベトナム戦争自体を引き起こしたマクナマラ国防長官は家にしょっちゅう来る人だったんです。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)完全に癒着しているんですよ。ねえ。総理大臣とかとご飯を食べているような人ですよ。実際に食べているシーンも出てくるんですけども。ところが、トム・ハンクスは「こんなの冗談じゃねえよ。この記事を新聞に載せなかったらどうなるんだ? ベトナム戦争が負けるとわかっているのに。それこそ100万人以上死んでいるんだぞ! これを載せるのは新聞の義務だろう!」ってキャサリンさんを突き上げるわけですね。
(海保知里)はい。
(町山智浩)っていう話なんですよ。
(山里亮太)だから、原題が『The Post』なんだ。
(町山智浩)そうなんですよ。ちなみに大統領とか総理大臣がこういうことに関して圧力をかけてはいけないんですよね。実際は。ところがこの映画の中ではニクソンの実際の電話の録音の音声が使われています。ニクソン大統領が圧力をかけようとしているという証拠が残っているんですよ。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)で、この映画がいちばん驚くのは、スティーブン・スピルバーグ監督はこの映画を作ろうと決めてから、11月末ぐらいに完成するんですけど、それまでにたった9ヶ月なんですよ。
(海保知里)早い!
(町山智浩)作ろうと決めてから完成するまで、たった9ヶ月ですよ。で、これができるのは、まずスピルバーグは異常な早撮りの人なんですよ。
(海保知里)そうなんだ。そういうイメージ、なかったですけど。
(町山智浩)スピルバーグとクリント・イーストウッドはとにかくワンテイクっていって、1回でOKの人なんですよ。全て、ほとんど。で、しかもこのトム・ハンクスとメリル・ストリープには演技指導はしていないと言っています。名優だから放っておけばいいんですよ。だから、そういう天才たち、職人たちだから可能になった9ヶ月で映画1本を作るというやつなんですけども。なぜ、そんなに急いで作らなきゃならなくなったのか?
(山里亮太)はい。
スピルバーグがたった9ヶ月で完成させた理由
(町山智浩)スピルバーグがこの映画を作ろうと決めたのは、ドナルド・トランプが大統領になって。いわゆるフェイクニュースといわれるものをバラ撒きながら、自分のことを攻撃する新聞やCNNなどのテレビを逆に「フェイクだ!」と呼んで。メディアに対する信頼を失わせていくという事態があったので。スピルバーグははっきり言っているんですが、「この『ペンタゴン・ペーパーズ』という映画はフェイクニュースに対する解毒剤である」と。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)「この映画を作ったのは、いまマスコミやマスメディア、新聞社、テレビがやらなければならないことを思い出させるためだ」という風にはっきりと言っていますね。
(山里亮太)はー、なるほど!
(町山智浩)という、やっぱりスピルバーグはすごいんですよ。この人は。もうハッパをかけるために作っているんですよ。「お前ら、見ろ! 昔の新聞社っていうのはやっていただろ?」みたいな。「記事とか書かねえでビビッていたりするんじゃねえぞ!」みたいなことなんですよね。で、このキャサリンさんはすごく名言を残していて。「大事なニュースというのは、それを圧力で潰そうとするものがいるニュースです」って言っているんです。それこそがいちばん大事なニュースだと言っているんですね。
(山里亮太)なるほど。
(町山智浩)で、憲法の修正第一条で認められている、アメリカにおいていちばん大事な憲法の条項というのは「言論・出版・報道の自由」なんですよ。それをもって戦うという話が『ペンタゴン・ペーパーズ』なんですが……。
(山里亮太)はい。
『ザ・シークレットマン』
(町山智浩)実はもう1本の映画、これはこの映画とつながっていて。ワシントン・ポストの話なんですよ。もう1個の映画は『ザ・シークレットマン』というタイトルの映画なんですが、ペンタゴン・ペーパーズの事件の翌年の話なんですね。1972年。で、その時は大統領選で、ニクソン大統領が再選。二期目の選挙だったんですけども、ウォーターゲート事件というのが起こります。ワシントンにあったウォーターゲートビルにあったニクソンのライバル、民主党の選挙対策本部をニクソンが盗聴しようとして、スキャンダルになりました。
(山里亮太)はい。
【??『ザ・シークレットマン』2/24(土)公開】1972年、民主党本部に盗聴装置を仕掛けようとした者たちが逮捕される。後に「ウォーターゲート事件」と呼ばれる政治スキャンダルの始まり。FBI副長官は捜査を進めるが、そこにはホワイトハウスの陰謀があった・・・????今回も頼りになるリアム兄さん?? pic.twitter.com/imi97IoSqO
— ヒューマントラストシネマ渋谷 (@htc_shibuya) 2018年1月24日
(町山智浩)で、結果的にはニクソンはこれで大統領を辞めることになるんですけども。それをすっぱ抜いたのが、ワシントン・ポストなんですよ。で、その時の編集長がさっき言ったベン・ブラッドリーさんです。
(山里亮太)ほう!
(町山智浩)で、このウォーターゲート事件のワシントン・ポスト側の話っていうのがすでに映画になっています。これは1976年に『大統領の陰謀』という映画になっています。これはものすごくヒットをしたので有名なんですけども。ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが若い新聞記者2人組で。まあ、このウォーターゲート事件が何だったのか? を暴いていくっていう話なんですね。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)でも、彼らが決定的にそのウォーターゲート事件を掴んだのは、あるリークがあったからなんですよ。何者かがワシントン・ポストにリークをしまして。ただそれは、この間まで誰が情報を漏らしたのか、わからなかったんですよ。2005年にはじめてわかったんですけども、これはFBIの副長官のマーク・フェルトっていう人だったんですよ。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)つまり、政府側の内部の人。しかも、ウォーターゲート事件はFBIも実際は噛んでいるんですよ。完全にやった側の人、副長官のマーク・フェルトがリークをしていたんですね。で、マーク・フェルトさんは亡くなったんですけど、今回日本で公開される『ザ・シークレットマン』という映画はそのマーク・フェルトがなぜ、リークをしたのか?っていう映画なんですよ。
(山里亮太)あ、へー! なるほど。
(町山智浩)だから『大統領の陰謀』とそっくりのショットが出てくるんですけど。『大統領の陰謀』だと記者側からカメラで撮影しているのを、この『ザ・シークレットマン』だとマーク・フェルト側から撮影していたりするんですよ。全く同じで。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)『大統領の陰謀』の裏側なんですよ。で、もともとFBIっていうのはアメリカの中でも非常に特殊な組織で、大統領が全く手を出すことができない組織だったんですね。FBIっていうと、みんな警察だと思っている人が多いんですけど。まあ、現在は警察なんですがその当時、1972年にフーバー長官が亡くなるまではほとんど政治家のスキャンダルを盗聴しては、政治家を脅迫するだけの組織だったんです。
(山里亮太)ああ、そうだったんですか。
『大統領の陰謀』の裏側を描く
(町山智浩)で、ケネディ大統領も脅迫されていましたし、マーティン・ルーサー・キング牧師は奥さん以外の人とエッチをしているのをテープに録られて、それを奥さんに送りつけるとか、そういうことをFBIにやられているんですね。で、そういうシモ関係を盗聴することによって、週刊文春方式で権力を握っていたのがエドガー・フーバーなんですよ。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)FBIって偉大なものでもなんでもなくて、週刊文春の大きなものだったんですよ。
(海保知里)そういうことなんですね(笑)。
(町山智浩)だから大統領も手が出せなかったんですよ。ところが、72年にそのフーバー長官が死んじゃうんですね。それでニクソンが動き出すんですよ。FBIを完全にコントロールするために、死んだところの長官に自分の手の者を入れちゃうんですね。要するに、自分の部下を入れてしまうんですよ。ところが、マーク・フェルトはそれまでずっとフーバーの下で副長官をやっていたんで、自分が長官になると思い込んでいたわけですよ。
(山里亮太)うん。
(町山智浩)そしたら、上にニクソンが入れた人が乗っかって、身動きが取れなくなるんですね。で、その直後にまた今度、ウォーターゲート事件があって。ウォーターゲート事件は盗聴器を仕掛けようとした人たちが警察に捕まっちゃうんですね。強盗だと思われて。で、調べてみたら……そこでFBIのマーク・フェルトたちが捜査に入るんですよ。で、わかったのは「この盗聴器を仕掛けているやつらはみんな、元FBIと元CIAのスパイたちだよ」と。つまり、彼らは盗聴のプロだと。でもFBIとCIAって普通、合同で行動をしないんですね。絶対に。それができるのは、大統領しかいないんですよ。彼らを動かせるのは。
(海保知里)はー!
(町山智浩)だからこれが「大統領が選挙妨害をするために盗聴をした」ということが、マーク・フェルトにはその場でわかっちゃうんですね。で、どうしよう?って思ったら、そのニクソンの手がかかった長官が、「捜査中止!」って言うんですよ。
(山里亮太)おおっ!
(町山智浩)だけじゃなくて、その捜査でいろいろとわかった資料を全部隠滅します。つまり、ニクソンが盗聴していたことだから、ニクソンの手の者であるFBI長官がFBI内部の資料を隠滅しました。もみ消しをやったんです。だから、マーク・フェルトはワシントン・ポストに行ったんですね。
(山里亮太)なるほど!
(町山智浩)っていう、すごいことがあって。このマーク・フェルトを演じるのがリーアム・ニーソンっていう俳優さんなんですが。この人は『シンドラーのリスト』のシンドラーを演じた人ですね。まあ、説明しますと第二次大戦中にナチ党員であるドイツ人のシンドラーがナチをだまくらかしながら、ユダヤ人をホロコースト(虐殺)から救っていたんですね。実話ですよ。で、彼は熱心なナチ党員だと思われていて、ナチの中にいたんですよ。ところが実際はナチに逆らってユダヤ人を助けていたんですよ。今回と同じですよ。FBIの中にいて、FBIの情報を流していたわけですから。
(海保知里)ええ、ええ。
(町山智浩)しかも、記事が出た後にFBIの長官は「これはFBIの内部から情報が漏れているから、誰が裏切ったか探せ!」ってマーク・フェルトに命じるんですよ。
(山里亮太)ほう!(笑)。
(町山智浩)シンドラー状態になるんですよ。で、それを2005年までずっと黙っていたわけですけども。この1972年からね。で、なぜ彼がFBIの内部情報を流していたか?っていう、非常に個人的な理由があるんですよ。
(山里亮太)ふんふん。
(町山智浩)彼がずーっとフーバーの片棒を担いで、悪い盗聴行為に加担していたわけですけど、それを反省して長官になったらいい組織にしようと思っていたんですね。
(山里亮太)ふーん!
(町山智浩)で、なぜそれを思っていたのか?っていうのは、この映画ではじめて明らかになります。彼がなぜ、いままでやってきたことを反省して、国のため、国民のために情報を漏らそうとしたのか? はこの映画のいちばん最後でわかるんですよ。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)それは、「ああ、そうか!」っていう感じなんですよ。で、いままでアメリカ人もなぜ彼が情報を漏らしたのか、ほとんど知らなかった。彼のその愛国心がどこから出たのかがはじめてわかるのがこの映画なんですけども。で、監督はね、ピーター・ランデズマンという人で、この人はこの前に撮った映画はアメリカン・フットボール、NFLで次々と脳震盪で半身不随になる人が増えているというタブーを暴いた映画を撮った人です。『コンカッション』っていうんですけども。で、大問題になりましたけど、そういう監督なんで、僕はこの間会って話したんですけど。
(海保知里)ああ、そうなんですね。
(町山智浩)で、なぜいま、この映画を……1972年のFBI対大統領の話を作ったか?って言ったら、もうそれは「これは現在の話だから」って言っていました。いまのトランプ大統領がやっていること。つまりロシアとのつながりの疑惑でFBIから調査されている最中に、FBI長官をクビにしたわけですね。トランプ大統領は。これは完全に司法妨害ですね。もし、そうなら。で、現在捜査を受けているわけですけども。ニクソン大統領はこのFBIに対するウォーターゲート事件もみ消しで司法妨害に問われて、結局弾劾されそうになって辞任しているんですよ。
(山里亮太)はい。
ウォーターゲート事件と似た現在の状況
(町山智浩)これ、現在の状況なんですよ。で、とにかく三権分立においては大統領とか総理大臣は司法である警察やFBIや検察や裁判官に対して命令をしたり、圧力をかけては絶対にいけないんですよ。それは、完全に三権分立違反なんですよ。だから絶対にやっちゃいけないことなんですよ。総理大臣や大統領が警察に対して何かを指示してはいけないんですよ。……日本でも、やってますね。だからこれはアメリカのことだけではないんですよ。
(山里亮太)なるほど! 世界中で起きていること。
(海保知里)そうですね。
(町山智浩)世界中で行われていることで。だから彼らがこの映画を作らなきゃならなかったし。いま、見なきゃいけないんだと思います。
(海保知里)はー! 見たい! 2つ続けて。
(町山智浩)はい。2つ続けるとね、映画がちゃんとつながっている感じになるんですけど。先に起こった方が『ペンタゴン・ペーパーズ』で、その後に起こるのが『ザ・シークレットマン』なんですけど。その間のつなぎで『大統領の陰謀』。76年の映画ですけど、それも見ておくとすごく全部が、3つが3Dのようにつながってきますので。そういう風に楽しんでいただけたらと思います。ということで、『ザ・シークレットマン』はもうすぐ、2月24日に日本公開。『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』は3月30日に日本公開です! 全部言えた!
(山里亮太)フハハハハハッ! 駆け抜けましたね、町山さん!
(海保知里)よかった! ということで、『ザ・シークレットマン』と『ペンタゴン・ペーパーズ』を紹介していただきました。そして忘れちゃいけないのが76年の『大統領の陰謀』です。町山さん、ありがとうございました。
(山里亮太)ありがとうございました。
(町山智浩)どもでした!
<書き起こしおわり>