赤江珠緒『たまむすび』卒業答辞書き起こし

赤江珠緒『たまむすび』卒業答辞書き起こし たまむすび

赤江珠緒さんが2023年3月30日放送のTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』最終回で卒業生として答辞形式で番組の関係者、スタッフ、リスナー、スポンサーなどへの感謝の気持ちを話していました。

(土屋礼央)TBSラジオ『赤江珠緒 たまむすび』、木曜日の3時台はゲストコーナー、面白い大人です。本日のゲストは『たまむすび』メインパーソナリティーの赤江珠緒さんです。お願いします。

(赤江珠緒)こんにちは。よろしくお願いいたします。

(土屋礼央)お久しぶりです。よろしくお願いいたします。どうですか? ゲスト。

(赤江珠緒)ゲストということで。本当にこの枠、ゲストに来てくださる方にいつも本当に面白いお話、興味深いお話、素敵なお話をたくさんしていただいて。で、「最後は赤江さんです」と言われて。作家さんとかがね、「いつも通りゲストの方にやっているようなアンケートをやろうか」とかね、「今、夢中になっていること。今、赤江さんが思ってることをここで話す時間にすればいいんじゃないですか?」みたいなことを言われて。で、考えたんですよ。

(土屋礼央)台本、真っ白だよ?

(赤江珠緒)そうなのよ。

(土屋礼央)今日、金子くんはこのコーナーが最後なのに、仕事がないって言ってたよ?

(赤江珠緒)そうなの。金子くんはいつもね、きっちり台本を仕上げてくれてね。

(土屋礼央)金子くん、俺と同期だから。

(赤江珠緒)それで私も考えたんだけど。今更、赤江が「温泉にハマっています」とか、そんな話をしても……そんなの、さんざんしてきたから(笑)。

(土屋礼央)「おすすめの三つの温泉!」って(笑)。

(赤江珠緒)とかね(笑)。でも、それは違うなと思って。で、考えたら私、やっぱりこの11年間、もう『たまむすび』に夢中だったし。『たまむすび』のことしか考えてないっていうぐらい、明けても暮れてももう番組のことばっかり、考えてたんですよ。で、先週木曜日のレオレオから始まって。まあ、そうだな。もう2週間ぐらい、大竹まことさんぐらいから始まって、もうずっと皆さんから、ストレートな思いをたくさんたくさんいただいてるのに、なんか自分はなるべく……寂しいし。

あんまり「終わり」っていうのを考えないようにしようって。なんか、現実をちょっとぼかして生きてるみたいな感じでいたんだけど。まあ、完全に現実逃避だよね。だったんだけど、おかげさまで火がつきまして。ここはちゃんと、自分の思いを時間の許す限り、伝えたいなと思ったんです。

(土屋礼央)いいね。

(赤江珠緒)で、先週のね、柴田理恵さんにも「でも泣いちゃったらどうしたいんですか?」みたいなね、話をしたじゃないですか。「客観的な自分がいればいいんじゃない?」って柴田さんにも言っていただいたし。それで私、思い出したのよ。ABCのアナウンサーになってすぐの時に、4月、5月、6月はアナウンス研修っていう3ヶ月間あるんだけど。そのアナウンス研修の時のノートが出てきて。答辞の先輩たちとずっと、交換日記みたいに毎日、やったことをやり取りしていくっていうノートがあるんだけれども。

その一番最初に「ABCのアナウンサーたるもの 3カ条」っていうのが貼り出されていて。先輩が貼ってくださっていて。答辞、太田元治さんっていう方が校長先生で、貼ってくれてるんですけど。「1、明るく元気。人の心の痛みのわかるアナウンサーになりましょう。1、人前でみだりに涙を見せない(嬉し涙はその限りにあらず)」って書いてあって。で、じゃあ、もう今日はいいかって思って。これはちょっとね、先輩の……。

(土屋礼央)いや、そうよ。最初は大谷として僕って言ったけど。違うのよ。僕をヌートバーと言ってくださるなら、大谷は赤江さんですよ。

(赤江珠緒)なのでここから私、フル……スロットルで(笑)。

(土屋礼央)今、危なかったよ? そこは噛んじゃいけないところだったよ? 危なかったよ?(笑)。

(赤江珠緒)フルスロットルで行きたいと思います。なので私、卒業生代表といいますか。そんな感じで、答辞としてまとめてきました。ここからちょっと、卒業式風に思いを述べさせていただきたいと思います。じゃあレオレオ、なんか適当に振ってくれる?

(土屋礼央)「適当に」って……はい(笑)。では、『赤江珠緒 たまむすび』。最後は赤江珠緒さんの答辞でございます。

赤江珠緒・答辞

(赤江珠緒)答辞。東京の桜も咲き誇り、心躍る季節となりました。この良き日に『たまむすび』は……幕を下ろすことに、なりました。これまで本当に多くの方が力を貸してくださり、今この日を迎えています。感謝の言葉はいくつあっても到底足りませんが、この場をお借りして、時間の許す限り、述べさせてください。曜日ごとに順不同でまいります。月曜日、ビビる大木くん。ラジオのこと、何もわかっていなかった私を引っ張ってくれて、ありがとう。またプライベートで、歴史談義をたっぷりしましょう。

武井壮さん。百獣の王の肩に文鳥のように軽々と乗せてもらいました。貴重で、さすがな思い出です。小田嶋隆さん。旅立ちが早すぎます。番組内で、あなたほど私を泣かせた人はいません。これからも小田嶋さんの本の中で、たくさん話をさせてください。そして、カンニング竹山さん。実は私は『紅の豚』の主人公を見ると、竹山さんを思い出しています。

心が二枚目。とても真っ直ぐで、ウインナー大好き。マヨネーズ大好き。欲望にも真っすぐで、そして何より真っ直ぐな人のことが大好きな人です。私の本気の失敗の時ほど、深刻な失敗の時ほど、「しゃあない、しゃあない。次よ、次。気にすんな」と寄り添ってくれました。小5から彼女が絶えなかったことも、納得です。経験豊富で、人生のシリアスさにもちゃんと耳を傾けてくれる。相方さんのお子さんとの交流も大事にされている。

いざという時、本当に動いてくれる。正義感と愛の人。あなたは真にかっこいい大人です。火曜日。下川江那さん。『おばあちゃん』と呼びするのがはばかられるぐらい素敵な素敵な、下川江那さん。これからも『この子は、バカなのかい?』と叱ってください。お人柄のにじみ出た、絶品ナレーション。名物コーナーに育てていただき、ありがとうございました。

町山智浩さん。時差をものともせず……いや、時差に負け、眠り込んで連絡が取れない回もありましたね。日本を飛び越えた広い視点で、古今東西の物語の知識を総動員した深い視点で、時に熱く、時に勇気を持って話していただきました。ありがとうございました。

そして、山里亮太さん。全部の球を打ち返してくれて、ありがとう。あなたのおかげで……全く似ていないものまねも、成立しました……。なんでも笑えました。満席の武道館で漫才をするなんて、自分の人生にそんなことが起きるとは、思いもよりませんでした。全て、あなたのおかげです。喜怒哀楽、甘え、嫉妬、全ての感情を面白いものに変えられる。『天才になりたい』……いいえ、あなたは、天才です。

水曜日。ブルボン小林さん。芥川賞、大江健三郎賞、谷崎潤一郎賞、全て受賞の長嶋有先生。私が言うまでもなく、すごすぎます。でも、ボンコバさん。私にとっては、ブルボンさん。また、吐くまで飲みましょう。伊沢拓司さん。赤江調べ、勉強もできて性格もいい、爽やかな青年第1位です。占い師じゃないけど、言いたいです。あなたは間違いなく、出世します。本物の学びを教えてくれて、ありがとう。

アートテラー・とに~さん。アートへの真摯な向き合い方、お仕事への誠実さ、後日伺ったお父様へのレギュラー報告。泣きました。『たまむすび』がとに~さんの初めの第一歩になれたこと、光栄です。どんどんレギュラーを増やしてください。業界の皆様、この方は買いです。

春風亭一之輔さん。師匠の落語の登場人物のような迂闊さが、最初から親近感だらけでした。迂闊に武道館の埋設を頼んで、ごめんなさい。そして、迂闊に受けてくださり、ありがとうございました。博多華丸さん。博多座の座長を務めていらした日、出番直前まで私とマネージャーの博多旅行のアテンドをこれでもかと徹底的にしてくださったこと、忘れません。

ドラマ選びの相性も、ばっちりでしたよね。臨時パートナーでは感性が似すぎていて、もたれ合いになりましたが、『たまむすび』『華結び』、これからもどうかご縁を結ばせてください。錦織一清さん。小学生の自分に、一生自慢できます。「ニッキとお仕事したよ」って。素敵な、そしてちょっと照れ屋でお茶目な音楽解説、本当にワクワクしました。ニッキさん演出の舞台も、かっこいいです。また、見に行きます。

居島一平さん。あの大沢悠里さんも舌を巻く、博識な居島さん。あなたのライブをこっそり見に行ったこと、いい思い出です。吉田豪さん。デュエットしましたね。またいつか、いい私のインタビュー記事を書いてくださいね。岩下尚史さん。綱切丸は元気ですか? これからも初夏の鮎釣りの光景に出会うたびに、清涼な風のように美しく日本語を操るハコちゃんのことを思い出しますね。

ジェーン・スーさん。なぜか成り行きで舞台で共に歌ったクイーン、楽しかったです。老舗番組だらけのTBSで、同年代のスーさんが帯を持たれて、同じように奮闘されているということ。本当に心強かったです。あなたの柔らかな賢さに、憧れます。たくさん助けてくださって、ありがとうございました。

そして、博多大吉さん。冷静な分析、徹底した周りへの心配り、細やかな洞察力、脱帽です。あれはウルトラマンか? いや、大吉大黒様か? いや、もしや、遅れてやってきた真壁俊? とにもかくにも、大吉先生のヒーロー並みの特殊能力で『たまむすび』号の水平軸をコントロールしてもらえなければ、番組を維持することはできなかったでしょう。『たまむすび』に惜しみない情熱を注いでいただき、本当にありがとうございました。

心無い発言? とんでもない。心だらけのお言葉、嬉しかったです。ポッドキャストの年間パス、ありがたく使わせていただきます。木曜日。ピエール瀧さん。いろいろありましたが、おかげさまで金が値上がりしました。ありがとうございます。

(土屋礼央)フフフ(笑)。そこか?

(赤江珠緒)また、実家にもどうぞ、お越しやす。そして、土屋怜央さん。あなたの魅力を言葉にするのは、とても難しいです。あなたの魅力は、一体何なんでしょう? 人を喜ばすことが大好きで、そのためなら労を惜しまないことでしょうか? こだわるポイントがよくわからない、変人ぶりでしょうか? すごいものをすごいと認める好奇心と、品のある素直さでしょうか? その答えは、まだ出ていません。ただ、わかっているのは、あなたがとてもとても魅力的で、愛すべき人であるということです。パートナーになってくれて、本当にありがとう。『こねくと』でもブイブイ言わせてください。土屋家の皆様に、くれぐれもよろしく。

金曜日。ナタリー。番組立ち上げ、本当に試行錯誤の時期、もがいたよね。そんな時期に一緒に懸命にもがいてくれて、戦ってくれて、ありがとう。あなたと踊った『潮騒のメモリー』、忘れません。安東弘樹さん。エロ紳士の安藤さん。アンディーさんと玉さんの玉四つ、素敵な素敵な放送でした。ぶら下がり健康器から見た武道館の景色は、いかがでしたか? 『たまむすび』を誠実に、大切に守ってくださり、ありがとうございました。

外山惠理さん。産休・療養中、本当にたくさんたくさん助けてもらいました。ありがとう。『降板するかも』と伝えたら、『私のラジオの仕事がなくなるじゃん!』とえりちんらしくブチギレられましたが、なくなりませんよ! たくさんのリスナーさんたちが、あなたを待っていますから。『えんがわ』号でも、どうか素晴らしい旅を。

そして、玉袋筋太郎さん。「赤江」に「たま」。こんな奇跡は玉さんとだけですね。玉さんがいてくださらなければ……そもそも『たまむすび』という番組は生まれていません。金曜日を最初から最後まで、守り抜いてくださり、本当にありがとうございました。情に厚くて涙もろい玉さんとは、放送より放送以外の飲み会での思い出ばかりです。

楽しかったな。危なっかしかったな。最高だったな。ねえ、玉さん。この他にも、桐畑トールさん、堀井美香さん、産休中を支えてくださった吉田明世さん、海保知里さん、笹川友里さん、レジェンド毒蝮三太夫さん、伊集院光さん。そして、小田嶋さんの週刊ニッポンの空気を繋いでくださった皆さん。お力添え、本当にありがとうございました。

そして、ここまで番組をお引き立ていただいたスポンサーの皆様。本来のビジネスの枠を超えた、温かいお気持ちをたしかに、たしかに頂戴いたしました。心より、感謝申し上げます。そして、一緒に『たまむすび』を作り上げてくれた、スタッフの皆さん。ダメダメな赤江を引っ張り、背中を押し、檄を飛ばし、いたわり、担ぎ上げ、どこへ向かっていいのかわからない私の進むべき道を常に照らし続けてくれました。本当に、ありがとう。

最初から最後まで、チームに恵まれたこと。それが何よりの私の原動力でした。武道館イベントのスタッフも含め、皆さんのプロフェッショナルに感謝いたします。そして何より、『たまむすび』にチャンネルを合わせてくださったリスナーの皆様。感謝の言葉が見つかりません。それぞれの皆さんの生活の中に、我々がお邪魔できたこと。皆さんの生活のお供になれていたのだとしたら、こんなに嬉しいことはありません。

武道館のパンフレットにも書きましたが、私はたくさんたくさん、恥をかいてきました。単純なミスに始まって、まさかのやらかし。どえらい勘違い。言わなくてもいい一言。いや、逆に言うべきだった一言。言葉足らずで伝わらなかった下手なコメント。「もっとこう汲めばよかった」というリスナーさんの思い。生放送で抑えきれなかった、生々しい感情。もう今、まさに抑えきれずに、どんどん無粋になってますけれども……。どれもこれも、恥ずかしいことだらけです。

生きるって、恥ずかしいことだらけだと、この仕事をして改めて思い至りました。それでも、それを受け止めてくださる人がいる。困難なこと、つらいこと、どうしようもないことがあふれていますが、世界は捨てたもんではないと、大げさではなく思えました。たくさんのメール、お便りが番組を作ってくれました。なにより、聞いていただいた思いが番組を育ててくれました。この時間は私の一生の宝物です。私は特に面白い大人ではないです。でも、おそらくこれからも変わらず、どこにいても迂闊に、いろんなことをやらかして生きていくんだと思います。

どこかで見かけたら、また笑ってやってください。そしてぜひ、声をかけてください。帯の番組をやるということは、たくさんの人の手で神輿として担いでもらいます。テレビも含めると、そんな生活を20年やってきました。その神輿のおかげで、自分でも思ってもみない遠い景色を見ることができました。それは、本当に幸せなことでした。でも、ここからは自分の足で立ち、自分の周りにあるものをとことん愛でて、味わって進んでみます。

子育てはもちろんですが、自分自身をも育ててみようと思っています。世界は、人生は、広くて深いとリスナーさんたちが教えてくれました。その過程で本当の面白い大人になれていればいいなと思っています。人生は毎日が冒険ですね。先ほど申し上げた、プロフェッショナルなスタッフたちが、また新しい素敵な番組を作ってくれるはずです。皆様の午後1時が、これからも朗らかで温かいものでありますよう、心からお祈りしております。

11年間の長きにわたり、『たまむすび』を愛していただき、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。2023年3月30日、卒業生『たまむすび』代表、赤江玉緒。ああ、すいまへん……。

(土屋礼央)いやいや、ねえ。

(赤江珠緒)言えました。これでもう、全部言えたかな? うん。本当に、ねえ。でもこれも本当に先週のレオレオのおかげで、ちゃんと心に火がついて、良かったですね。

(土屋礼央)LINEでね、「17分ほどあります」って言っていたけど、本当にその時間ぴったりで。すごいね。

(赤江珠緒)うん。そうね。なんか、ちゃんと現実を逃避せずに伝えたいなと思うと、いっぱいいっぱいあって。なんかね、こんな変な放送で、放送人としてどうなのかとは思いますが。まあ、ABCの先輩たちの「嬉し泣きはその限りにあらず」っていう、その教えを思い出しながらやらせていただきました。

(土屋礼央)こんな素敵な場の真ん中にずっとい続けてくれて、本当にリスナーも含めて、ありがとうございます。

(赤江珠緒)とんでもない。

異様に短いピエール瀧パート

(土屋礼央)ただ、瀧さんのパートがこれ、短くね? そこだけ?

(赤江珠緒)フフフ(笑)。金が上がったよー! びっくりだよ(笑)。

(土屋礼央)アハハハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

赤江珠緒『たまむすび』最後のエンディングトーク書き起こし
2023年3月30日放送のTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』最終回、赤江珠緒さんによる最後のエンディングトーク書き起こしです。
タイトルとURLをコピーしました