吉田豪 箕輪厚介を語る

吉田豪 箕輪厚介を語る アフター6ジャンクション

(吉田豪)そうなんですよ。それは間違いないんですけども。ただ、その引用の仕方をまた雑っていうか。清志郎の名言集的なやつの表紙に載っている発言の引用で、しかも微妙に間違えてっていう。そういうところがイラッと来るポイントなので。

(宇多丸)ある意味、間違いないと思いますけどもね。それだけ重なるとね。ぶれてねえな、みたいなね。

(吉田豪)そうそう。だから本人も言ったんですね。もっとそっち側に徹してたら、こっちの視界にも入らないというか。別世界の人として全然、それで成立するっていう。

(宇多丸)そうね。逆に「あそこまで行ったら、大したもんだ」みたいなね。

(吉田豪)他の庭で勝手に遊んでる人みたいな感じになるのが、必ずこっち側に……それこそ、あれなんですよ。箕輪さんがテレビのコメンテーターとかやってた時期に、歌手デビューをしてるんですよね。

(宇多丸)ああ、そうだ。俺、見たわ。なんか。

(吉田豪)「箕輪狂介」っていう名義で。それは、自分の好きな曲とかを集めたオムニバスに自分のその曲を入れてたんですけど。その選曲とかもまたね、なんだっけな? ハイロウズとか、GOING STEADYとか、RCサクセションとか。まあ、本当に好きな人が多いものをチョイスしながらそこに自分の曲を入れてくる感じっていうのが的確に何かをいらつかせるっていう(笑)。

(宇多丸)でもやっぱり僕、それで浮かぶのは「天然」っていうワードですね(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。「だってブルーハーツとか、好きですもん」って本人も言ってるんですけど。だから僕、箕輪さんも言ったのは要はヒロトさんの名言というのがあるじゃないですか。「ヒロトさんの名言で『売れているものが良いものなら、世界一美味いラーメンはカップラーメンになっちゃうよ』って言ってたんですけど、箕輪さんはカップラーメンを売る作業をしてる人じゃないですか。カップラーメンをさんざん売りながら『ヒロトが好き』って言われると、ちょっとモヤモヤするんですよ」っていう。

(宇多丸)ああ、なるほどね。面白い。それはわかりやすい話だ。なるほどね。

(吉田豪)でも、だからすごい客観的な人なんで。こうやって、実は今回のインタビューのテーマが、「箕輪さんはなぜ嫌われるのか?」だったんですよ。それを本人に解いてもらうっていう(笑)。そしたらちゃんと本当にクレバーに自分のことを客観視しながら「こういうところがいらつかせるんじゃないか」みたいにきちんとまとめられるっていう。

秋元康っぽい姿勢

(宇多丸)そのお題で受けてくれるところも秋元さんっぽいっちゃ秋元さんっぽいね。俺、そのお題で受けてくれる人って……でも、やっぱりそういう意味では悪い人っていうわけじゃないってことなのかなって、思っちゃいますね。

(吉田豪)しかも、そうやって受けた上に「僕、この雑誌で連載したい」とか言い始めて。で、「ヤバいですよ。そんなこと言ったらこの雑誌は本当にオファーしますよ」って言ったんですけど。あの、連載が決まったみたいです(笑)。

(宇多丸)なるほどね。でもなんか、特に最近の吉田さんのアンテナのかけ方にはすごい合っているんじゃないですか?

(吉田豪)まあ、そうですね。「なぜイラッとするのか?」とか、こっちも理解しておきたいじゃないですか。きちんと。で、2人で話しながらきちんと答え合わせしていく感じが面白かったんですけど。

(宇多丸)あと、なんていうの? 無意識過剰感っていう意味ではそうなんだろうし。きっと。トータルでは無意識っていうかさ。その感じがやっぱり吉田さん素材なんだろうな。やっぱり。あと、「他の人がほっとくなら俺がやる」みたいなのも吉田さんっぽいし。

(吉田豪)まあ、でもたぶん僕はほっておきますよ。この後は(笑)。

(宇多丸)でももう懐いてるんじゃないの? それはだって。

(吉田豪)「懐いている」までは行ってないとは思いますけどね。

(宇多丸)この温度感(笑)。なるほどね。そうかー。熊崎くん、今の話聞いて印象って、変わりました?

(熊崎風斗)箕輪さんのまさにそういう、Twitter上とかので振る舞いとかはまさに……イメージは正直、そんな変わらないかっていうところのまんまではありますけど。なんか箕輪さんって本当にいろんな……音楽とかもそうだし。ラーメン屋さんを出したりとか、いろんなことをやってるから、行動力がすごいなって。

(吉田豪)そうなんですよ。ラーメン屋とかも、家系ラーメンの店かなんかを出したら、家系ラーメンのファンに叩かれたりとか。本当に、本人も言っていたんですけども。「いろんな人が『俺の好きな世界に入ってくるな!』と思ってるんですよ」って。

(宇多丸)だって、さっき見たけどもダルビッシュと仲良しで。ダルと写真を撮っていたり。

(熊崎風斗)Twitterを見たら、ダルビッシュがそのラーメン屋さんに来て。壁にサインを書いていて。それをなんか箕輪さんが写真に上げていて。

(宇多丸)「正直、そんなの羨ましいじゃん?」って話をしてたんですけども。

(熊崎風斗)そこが羨ましいっていう話はしましたけど。

(宇多丸)そこもだから、そういうところも「うまくやりやがって!」ってなっちゃうのかな?

インタビュー中に謎のスイッチが入る

(吉田豪)ただ、インタビューしていて途中で謎のスイッチが入って。「本当、僕のことを嫌うのは、あれなんですよ。おしゃれな書店とか、あるじゃないですか。そういうのをやってるようなやつらが僕のことを嫌っていて……」みたいな感じで。「僕はだから吉田さんとか、そういう人に何か言われるのはいいですけど。そういうのを読んでるだけのやつらには何も言われたくない」って言い出して。急にそういう読者に噛みつき始めて。「ああ、変なスイッチが入っちゃったなー」って思っていたら、その後もTwitterで「吉田豪には箕輪インタビューなんかやってほしくない」って書いてる人に突然リプライとかして。「お前なんかに言われたくねえよ」みたいな感じの(笑)。「ああーっ!」っていう。

(熊崎風斗)ああ、そういうのをやっちゃうんだな。

(吉田豪)そうなんですよ。

(宇多丸)なるほどー。でも、やっぱりその、うまくはないところがいいんじゃない? きっと。うまくはないみたいな。

(吉田豪)だから、よくわかりましたよ。本当に。「こういう人だ」っていうのがまるわかりなインタビューになっています(笑)。

(宇多丸)ということで、これが実話BUNKAタブーにね、載ってるわけですよね?

(吉田豪)載ってます。Kindleで読めます!

(宇多丸)無料読み放題で読めますということですね。

(吉田豪)そうでーす!(笑)。

<書き起こしおわり>

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