吉田豪 箕輪厚介を語る

吉田豪 箕輪厚介を語る アフター6ジャンクション

吉田豪さんが2023年3月13日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんについて話していました。

(宇多丸)ということで、今回は幻冬舎の敏腕編集者・箕輪康介さんについてということですが。まずは箕輪さんのプロフィールの紹介、熊崎くんからお願います。

(熊崎風斗)はい。箕輪康介さんは1985年東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、2010年、双葉社に入社。雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、Amazon総合ランキング1位を獲得。2014年、編集部に異動後は見城徹さんや堀江貴文さんの本を担当されます。そしてその後、幻冬舎に移籍し2017年NewsPicks Bookを立ち上げ、編集長に就任。、創刊1年で100万部を突破。幻冬舎の社員であると同時に、会員数1000名を超えるオンラインサロン箕輪編集室を主宰されたり、テレビのコメンテーターも担当するなど多方面で活躍をされています。

(宇多丸)ということで箕輪さん。あれですよね? 博士とボクシングかなんかを……。

(吉田豪)そうですね。博士と……まあ、博士ともめたわけじゃないんですけどね。博士が幻冬舎と見城さんへの怒りから、手近な相手として箕輪さんとバトルをしてっていう。

(宇多丸)とか、いろんな話題ある人でっていうのはね、あれですけども。

(吉田豪)スキャンダルからなにからね。略歴から抜けてましたけど。

(宇多丸)LINEとかね、あったんだけどね。

(吉田豪)酔っ払っていろんな配信をして、さらに信用を落としたりしたことでおなじみの人で。

(宇多丸)私、その個々のことについて、あんまり詳しくないんで。ちょっと……。

(吉田豪)なんとなく、いけ好かないなぐらいの感じですか?

(宇多丸)いや、いけ好かなくもない。なんというか、その個人レベルの好き嫌いに行くほど知らないっす。

(吉田豪)はいはい。なるほど。僕は、あれなんですよ。ずっと単純に「あまり近寄りたくないな」と思っていて。

(宇多丸)それは何故に?

(吉田豪)元々……何だろうな? 絶妙なんですよね。絶妙に無関係の世界の人じゃないっていうか。多少、こっちの文化に近いものを好きですっていうのを出しながら、ちょっとイラッとくる感じのことをする人で(笑)。

(熊崎風斗)それを紹介するんですね?(笑)。

(吉田豪)しますよ(笑)。っていう人だったんで、近寄るつもりはなかったんですけど。去年、突然イベントを組まれちゃったんですよね。

(宇多丸)突然、吉田さんがブッキングされた?

(吉田豪)ロフトプラスワンで、里咲りさっていう僕の好きなアイドルの人がいるんですけど。ロマン優光が推しの。

(宇多丸)社長。

(吉田豪)彼女、すごいいい歌を歌うし、いい曲を作る人なんですけど、いわゆる意識高い系が大好きで。ホリエモンの本とかに触発されたり。

(宇多丸)それ、意識高いのかな?

(吉田豪)要は、だからそういう系の文化が大好きで。オンラインサロン的な文化っていうか。

(宇多丸)そうなんだ。やっぱり社長なだけに。

(吉田豪)そうなんです。お金のことがとにかく大好きな人なんで。で、その3人……箕輪さんと僕と里咲さんのイベントが組まれて。

(宇多丸)なんだ、その3人(笑)。

(吉田豪)で、一応、僕あれなんですよ。去年の裏テーマは「普段は断るような刺激的なマッチメイクでも引き受ける」みたいな感じでやってたんですよ。

(宇多丸)おお、「誰の挑戦でも受ける」だ。

(吉田豪)なので、ちょっと迷いながらも「まあ、そのテーマだしいいかな」って思って乗っかったら、ちょっと想像以上ですね。僕が今までイベントしてきた中で、こんなにやる前から、「そんなイベント、やるな!」の声がすごい数、来て。「あいつには近寄るな!」みたいなものが、ものすごい数が来て。で、これまたかわいそうなんですけど。「こんなイベントが組まれるということは、これは絶対に里咲りさの趣味のはずだ」という感じで、「里咲、そっちに近づくな!」みたいにすごい叩かれてたんですけど。でも、これってロフトプラスワンが組んだんですよ(笑)。里咲さんのチョイスだったわけではないんですけど。

(宇多丸)ああ、なるほど。箱側が組んだ? これはじゃあ、誰も得をしない……(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ(笑)。3人が3人、気乗りしないイベントっていう(笑)。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ! でも、やったんですか?

実はロフトプラスワンが大好き

(吉田豪)箕輪さんは実は、ロフトプラスワンとか大好きで。今もイベントとかやってて。僕がやってたようなイベントとかにも来てた人なんですよ。

(宇多丸)ああ、そうなんだ。じゃあ、なんなら豪さんのファンなんだ。

(吉田豪)そうなんですよ。で、もっと言うと元々あの人、『紙のプロレスradical』……僕が元々いた雑誌。あれ読者で、そこに入りたくて送ったりとかしてたような人で。元々、僕と絡みたいっていう電波はTwitterとかで出てたんですよ。でも僕はそれをずっと無視してたんですが。

(宇多丸)そんな、かわいそうに。

(吉田豪)だから箕輪さん的には「吉田さんとようやく絡める」みたいな感じで1人だけ喜んで来たけど。お客さんも他の共演者も、誰も気乗りしてない状態で(笑)。

(宇多丸)まあ、僕からすれば吉田さんと喜んで絡もうとするやつなんて、そんなのてめえが悪いっていう話だけど(笑)。「おめえが悪いだろ? 危機察知能力、なさすぎるだろ?」みたいなね。うん。

(吉田豪)まあ、そういうことなんですけどね(笑)。

(宇多丸)で、いざ行きましたと。

(吉田豪)でも、イベント自体はすごく面白かったんですよ。まあやっぱり、多少問題はあるにせよ、非常にクレバーな人で。本を売る能力とか、そういうビジネス的な話とかは本当に切れ味がすごくて。里咲さんのぼんやりとしたビジネスの話にちゃんと的確なアドバイスしたりとか、すごいちゃんと仕事面では切れ者ぶりを見せるんですけど。

(宇多丸)そりゃそうでしょうね。だって実績は残しているんでしょう?

(吉田豪)ただ、ちょっと嬉しかったのとか、緊張とか、いろんなものが重なっていたとは思うんですけど。どんどん酒を飲んで、もうわかりやすく酔っ払って。前半1時間ぐらいはものすごい好評だったけれども。「意外な切れ者ぶり!」みたいな感じで。

(宇多丸)ああ、アンチもちゃんとね。

(吉田豪)だったのが、ものの見事に1時間でひっくり返るっていうか。泥酔して、ひどい状態になったんですね(笑)。泥酔してわけのわかんないことを言ったりとかだけじゃなくて。僕が長年、一緒にイベントとかをやっている元実話ナックルズ編集長の久田正義さんっていう人がいまして。ちょっとアウトロー系雑誌出身なので、多少やんちゃだったりするんですが、僕らと仲良く一緒に遊んでくれてるような人なんですけど。途中からその人への挑発を始めて。

「なんだよ、久田? お前、文句あるんだったら今すぐ来いよ!」みたいなことを言い出しちゃって。それで久田さんが怒っちゃって。僕とか、その板挟みになって。久田さんが今から来そうな空気になっちゃったから、急遽イベントを終わらせて(笑)。大変だからっていう。

(宇多丸)本当にね、殴り込みをかけられたら、大変なことになっちゃうから。

(吉田豪)そうなんですよ。それでまた、里咲さんっていう人が何も気づいてない人なんで。「来た方が盛り上がる」と思って、わざとイベントを引っ張りだしたりとかして。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ!

(吉田豪)「違うよ! いま、締めなきゃいけないの!」っていう(笑)。で、一応それで終わったんですけど、その流れで僕が連載してる、元々は実話BUNKA超タブーっていうので連載をしていたんですが。今回から実話BUNKAタブーっていう姉妹誌の方に移ったんですけど。そこのインタビュー相手で「箕輪さんもありかな」と思って組んでみたっていう。そんな話ですね。

(宇多丸)ご本人はちなみにロフトプラスワンの後半部分っていうのは、覚えてらっしゃるんですか?

(吉田豪)覚えてはいたんですけどね。ただ、本当にあれを見るとあの人の印象がそのままだなって感じなんですよ。仕事はできるかもしれないけれども、本当に酒飲んでいかに失敗するかっていうのが、よくわかったんですよ。

(宇多丸)ああ、お酒かー。そうかー。

(吉田豪)あの騒動とかも、結構酒が原因な部分も大きいので。「ああ、この人、こういうやらかしのタイプだわ」っていう。

(宇多丸)そりゃダメだね。それはちょっと早急にね。なるほど。

(吉田豪)ただ、今回のインタビューはもちろん昼間からで、シラフだったんで。まあクレバーな部分が出てたんですけど。その取材の前に、下調べするじゃないですか。資料を集めてもらったんですよ。で、面白かったのが絶賛と酷評の真っ二つなんですよ。中間が全くなくて。で、絶賛しているのは比較的、あの人と近い界隈の人たちで。酷評しているのは僕に近い界隈の人たちっていうね。能町みね子さんとか、武田砂鉄さんとかが非常に手厳しく。そうなんですよ。そういうのも含めて、本当に話せば話すほどわかるのが、箕輪さんってサブカルに愛されたいのに、愛されない人っていう。

サブカルに愛されたいのに、愛されない人

(宇多丸)ああ、先ほど、元々紙のプロレスを読んでいて、豪さんのファンでもあって、みたいなね。なのにこっちの界隈からは……ってことだ。えっ、何がそんな問題なんですか?

(吉田豪)なんだろうな? ただその時、箕輪さんにも言ったんですけど。「同じタイプで一番の大物は秋元康さん」っていう(笑)。

(宇多丸)まあね(笑)。いや、言わんとしてることはわかるけど。

(吉田豪)「愛されたいし、そっちが好きなのになんでそっちの人は俺を嫌うの?」っていうね(笑)。

(宇多丸)まあでも別に痛くも痒くもないからいいんですよ。そんなのはね。

(吉田豪)で、「もっと近いのはダイノジ大谷さん」と思ったんですよ。

(宇多丸)それは失礼なんだよ(笑)。本当に! 本当に人物評が失礼なんですよ(笑)。

(吉田豪)大谷さんもものすごいサブカル大好きでね。

(宇多丸)もちろんね。いや、僕だって仲良くしてますよ。そんなの。

(吉田豪)僕ももちろん仲がいいですよ。仲がいいですけど、大谷さんってサブカルを熱く語りつつ、肝心の個人名とかいろんなものを間違えたりしがちっていうね。

(宇多丸)まあ、でもそんなの、俺も人のこと言えないからなー。

(吉田豪)それに近いものが、すごい箕輪さんにあるんですよ。だからその実話BUNKAタブーで取材に行ったら「僕、読んでますよ、これ!」って言いながらずっと「実話BUBUKAが……」って言い続けたりとか。「わかるけどさ……」っていう(笑)。

(宇多丸)ああー。まあね。なるほどね。

(吉田豪)まあ、間違いやすいんですけどね。「好き、好き」って言いながら、微妙なずれがよく見える人っていう(笑)。

(宇多丸)でもそれってさ、そのお酒の失敗も含めて、ちょっと天然でもあるってことですかね?

(吉田豪)そうですね。その天然が現時点では愛される天然になっていないっていう感じだと思うんですよ。で、ダイノジ大谷さんとかは一回りして、僕とか今、大好きな状態になっているんですけども。だから、もしかしたら箕輪さんは一回りするのかどうか?っていう。

(宇多丸)なるほど。そのインタビューをされて、その一回りの予感はあるんですか?

(吉田豪)これがびっくりしたことに、僕のインタビューって読者が「正直、あの人のことは嫌いだったけど、吉田豪のインタビューを読んだらちょっと好きになってきた」とか「理解ができた」っていうような意見が本当に多いんですよ。ただ、箕輪さんの時はほぼ皆無でしたね(笑)。

(宇多丸)そこはぶれてない(笑)。まあ、ある意味だからその元々のイメージ通りのところが出てきたってことですもんね? それは。

(吉田豪)そうですね。「理解できた」って感じですよね。「この人がどういう考えでこうなってるのか」みたいな。

(宇多丸)なるほど。まあ、でも仕事ができるなら、いいじゃないですか。それはね。

(吉田豪)でもね、客観性とかもすごいちゃんとあるんですよ。出る前にね、最初の一言ですよ。「この雑誌になんか、すごい悪口を言われてた気がするんだけど、大丈夫なんですか?」って言っていて。で、だからそれに怒っているのかと思ったら逆で。「なんか、いいんですか? 読者の人が『箕輪なんか出すなよ』ってならないのかなと思って」っていう。その編集的な心配で。これを言われて、編集がとぼけるんですよ。「ああ、そうでしたっけ?」とか言ってたんですけど。

(宇多丸)どっちが悪いやつか、明白だよ!(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ(笑)。Twitterのアカウントなり、本誌なりで相当悪口を言ってますっていう(笑)。

(宇多丸)明白だよ!(笑)。でも、話を聞いてると全然なんか、僕はほら。元々の知識が薄いところがあるから。そんなに悪い感じ、全然しないですけどね。やっぱりね。

(吉田豪)武田砂鉄さんとかも言ってたのが、そのスキャンダルの時とかにどうやって対応するか、みたいなのがあるじゃないですか。その時に、忌野清志郎の名言とかを引用して。「俺は負けない」的なことをアピールしたりしちゃう。

(宇多丸)ああー、なるほど。

(熊崎風斗)そういう感じだったんだ。対応が。

(吉田豪)そういうのが、だからこういう文化が好きな人からすると「お前、なんでそこで突然、そういう匂いを出すんだ?」ってなるっていう。僕、本人に言ったんですよ。「あなた、そっち側なんだったらこういう時こそホリエモンの名言とかを引用しなきゃいけないんですよ」って。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ!

(吉田豪)「なんで困った時に急にサブカルに頼るんだ?」っていう(笑)。

(宇多丸)まあ、でもそれは本当に好きだからでしょうね。

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