星野源 タモリ・養老孟司との対談後にひとつの答えにたどり着いた話

星野源 タモリ・養老孟司との対談後にひとつの答えにたどり着いた話 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年2月14日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でタモリさんとのオールナイトニッポン収録や養老孟司さんとの対談についてトーク。昨年からずっと考え続けてきたことに対するひとつの答えにたどり着いたという話をしていました。

(星野源)あとやっぱりあれですね。極めつけ。もう今日、発表されたんだっけ? タモリさんのタモリのオールナイトニッポンに私、星野源、ゲストで出させていただきます!今度の土曜日のお昼3時ぐらいかな? 55周年の55時間スペシャルという。もうトミーの腕が鳴りに鳴った肝入りの企画ですけれども。とんでもないラインナップになりましたね(笑)。最終発表で伊集院光さんが発表されまして。

実はそれ、ちょっと前から聞いてたんですよ。もう言いたくてしょうがないっていう(笑)。「口から出ちゃうよ!」っていうような。いや、すごいラインナップの中でですね、僕はあのタモリさんのオールナイトニッポンに出させていただくんですけど。実はもう収録をね、してまして。今日、発表されて。写真も発表されたんですけど。ものすっごく面白かったんですよ。

ああ、メールが来ました。「タモリのオールナイトニッポン、どんな音楽談義が繰り広げられたのか。タモリさんが歌詞がすごいと思った源さんの曲はどの曲なんだろう? 最高にワクワクします。初めて聞くタモリさんが熱唱するオールナイトニッポンブルースもめちゃくちゃ楽しみです」という。ああ、これはいいですね。

そうなんですよね。タモリさんがすごく久しぶりに、いわゆるタモリのオールナイトニッポンという名前でやるんですよね。で、僕がゲストで出させていただくっていうことで。どんな話をすればいいんだろう?って思って。特に用意して行かなかったんですよ。なんかあんまりタモリさんで用意していったらよくないかなと。

そしたらなんか、なんとなくディレクターさんの方も作家さんの方も含めて、「音楽の話をちょっとしていただけませんか?」みたいな感じだったんで。「ああ、それは楽しみだな!」なんて臨んだらですね、「タモリさん、こんなお話をするんだ」というようなお話もしてくれて。ゲストで出た僕が言うのもなんですけど、絶対聞いた方がいいと思います! ものすごい、いい回だったんで。僕はもうその場にいれて本当に幸せだったなっていうのと。

あとはそのタモリさんが……これも今日のニュースとかに出てたんですけど。僕の曲についてもちょっと、お話してくださった時があって。僕はそれでもうちょっと、話ながら幸せな気持ちになっちゃって。ポケーッとしちゃって(笑)。なんかね、一生忘れないでいようと思いました。本当に。

タモリとの音楽談義

(星野源)で、僕はタモリさんをちっちゃい頃から見てたんですけど。親が、前から話してますけどジャズが好きで。アマチュアでジャズミュージシャンとして楽器を演奏したり、ジャズボーカルを目指したりしてたんですよ。親が。その中で、テレビでタモリさんの音楽番組とかで、『タモリの音楽は世界だ』とかが流れてるわけですよ。だから僕はタモリさんの最初の認識は「ジャズメン」なんですよ。音楽家として見ていて。「やたら変で面白いジャズメンがいるな」っていうのを幼心に思っていたんですよ。

そしたら、いろんな活動を……当たり前ですけど、コメディアンとしてね、されていて。だからそのどちらかというと『笑っていいとも!』の印象よりも、なんとなくジャズの人ってイメージの方が僕は強かったんで。音楽の話できたのは非常に嬉しかったですし。あとはもう、なんて言えばいいんですかね? いろいろ事前にタモリさんの今までのオールナイトニッポンも聞いてみたいなと思って、ちょっと聞いたんですよね。

でも、どのタモリさんのオールナイトニッポンとも違う、今のタモリさんのオールナイトニッポンだっていう感じがすごくして。それがすごい良かったです。なのでぜひ、聞いてくださいね。今週土曜日。もう55時間スペシャル自体がとんでもないことにきっとなるでしょうけども。ぜひ聞いてくださいね。マジで。

(星野源)で、その(タモリのオールナイトニッポン収録の)次の日なんですよ。その次の日に、養老孟司さんと2人で対談したんすよ。だから、すごい2日間だったんですよ。とんでもない2日間だったんですよ(笑)。

で、昆虫館っていうね、養老さん作った場所で、2人お話させてもらったんですけど。いや、すごかったっすね。なんか、そのタモリさんがおっしゃってることと、養老孟司さんがおっしゃってることの共通する部分を勝手に自分の中で……もうお話した直後だから。「うわっ、繋がってるわ!」みたいに1人で感動したりとか。あとは創作っていうものの秘密、極意みたいなところに会話していてたどり着いたんですね。

なんかそこも含めてですね、今年はいろんな人と会っていろんな話をしたりとか。お客さん……僕のファンの方と会えたりとか。店員さんと会えたりとか。なんか人と会って、どんどん景色がね、明るくなっていくし、楽しくなっていくし、変わっていくし。

僕の次の作品……シングルなのか、アルバムなのか、わかんないすけど。確実に変わっていくだろうなと思ったし。たとえば言葉もね、どういう言葉を紡ぐのか、みたいなところも含めて。

なので、なんか1個、答えが見つかったんすよ。長年考えていることの答えが1個、見つかった瞬間がこの2週間ぐらいあって。で、もう1個ね。お二人と話をした時の前からずっと思っていたようなことのきっかけとして、本を読んだんですよ。『Humankind 希望の歴史』っていう本があって。

僕はその本を年末か年始ぐらいにバーッと読んで。もう確実に、自分の考え方だったりとか、人間の捉え方とか。あと自分も含めた人間っていうものの捉え方とか。それに繋がる自分の歌詞の書き方とか、文章の書き方とか。それがたぶん全く変わっちゃうなと思ったんですよね。どんな本かっていうと、結構ちょっと難しいっていうか、長めの本なので、要約するのは難しいんで。もしよかったら、なにもあんまり情報を得ずに読むとすごく面白いと思うんですけど。

『Humankind 希望の歴史』という本

(星野源)すごいざっくり、超ざっくり説明すると、性善説と性悪説ってあるじゃないですか。人間は生まれながらにして罪を抱えてるみたいな言い方もあったりとか。あと、極限状態に追い込むと人間は悪いことをしてしまうみたいな、そういう学説だったり研究っていっぱいあるんですけど。あとは帯とか説明とかで「性善説を証明する」みたいな書き方をしてる場所とかもあるんですけど。僕、あんまそういう風に受け取らなくて。

どちらかというと、性悪説っていうものがものすごく人間の認識として常識になっているこの世界全体の中で、その思い込みというか……たとえば、過去の実験でひとつの場所に何も知らない人たちを集めて。看守側と罪人側みたいなのに分ける実験みたいなの、あるじゃないですか。よく聞くやつ。なんか映画とかにもなってるやつ。あれで、何もしてないのに自然とものすごいヒエラルキーができちゃって、最終的に結構恐ろしい事件に発展するみたいなの、よく聞くじゃない?

で、その実験がいかに嘘だったかとかっていうところを1個1個、全部証明していくんですよ。「それは違った」っていうことを。だからすごくなんかね、あの性悪説っていうものは……たとえば歌の歌詞でも、この本に歌の歌詞のことは書いてないんだけど。歌の歌詞だったりっていうのでも、そういう歌詞もあるし。自分もそういうところに繋がるような部分の歌詞が……でも、もちろんそれだけじゃないんだけど。

そういうふうな歌詞に風な惹かれたり。たとえばそれがアーティスティックだと思われるような状態ってあると思うんですけど。なんかそういう思い込みだったり、不安だったりっていう、そのかさぶたみたいに固まってた人間とか、あと世の中全体のムードみたいなもの。そのかさぶたをピリピリ剥がしてくみたいな本なんですよ。

新しい皮膚を出して、皮膚呼吸させるみたいな。なんか「ちょっと呼吸するの、楽になったな」みたいな、なんかそういう感触になる本で。人間の捉え方が結構変わって。だからそれが、『希望の歴史』みたいなタイトルだから、なんかすごく「人間はいい人なんですよ」みたいな本かな、みたいな感じになるかもしれないけど、全然そうじゃなくて。

ものすごく突き詰めて、証明をしていくんですよね。実験をしたりとか、その実験結果を綿密に調べて。データをめちゃめちゃ調べて。1個1個、証明していくっていう本で。そういうのもあって、いろいろずっと考え続けた……なんか去年1年間、ずっといろいろ落ち込んだりして考え続けてきたことみたいなものの1個の答えみたいな。

あと「答え」って言っても「真理」というよりかは、「自分の佇まい」ってことなんですけど。それがパンと1個、答え見つかった感じがして。その中にタモリさんの佇まいとか、養老孟司さんの佇まいみたいなもの。それでなぜ、俺はこの2人が好きなんだろう?っていうところでですね、それが1個、パチンッとはまった瞬間があって。めちゃくちゃ面白い1週間だったんですよね。

なので今年はちょっといろいろ楽しみだなと。またいろいろな人に会っていきたいなというのを改めて思った次第です。で、今日はついに佐久間さんがラジオにも。前、イベントに来ていただきましたけど。ラジオにも来てくださるんで、いろんなお話をしていきたいと思います。今日も3時までよろしくお願いします。星野源のオールナイトニッポン。

<書き起こしおわり>

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