メッセンジャーあいはらさんが2023年1月20日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で東野幸治さんが十数年前に関西のテレビ制作現場で起こした革命について、話していました。
(あいはら)こういうおハガキもいただいております。東京都の方。「あいはらさん、はじめまして。今日は東野さんの代役ということで、よろしくお願いいたします。私は東野さんは自分のラジオのお休みをした回を平気で聞かない人だと思っています。そこで東野さんが聞かないという前提で、あいはらさんから東野さんに関するエピソードや、東野さんに対する思っていることなどあれば、教えていただきたいです。思いっきり話していただけると嬉しいです。きっと聞かないので大丈夫です」ということなんですけども。この予想は、当たってますかね?
(渡辺あつむ)はい。8割、当たってると思います。
(あいはら)一応、東野さんにメールを送って。「不肖ながら私が務めさせていただくことになりました」って言ったら元気よく、「好きなようにしゃべってください」みたいな感じなんですけども。そうですよね。東野さんのラジオですが東野さんが普段、しゃべりはらない東野さんの裏側というか。僕らがちょっと思ってるようなことをしゃべるのは決して悪いことではないかなとは思うんですけれども。
(渡辺あつむ)ぜひ、お願いします。
(あいはら)あなた、東野さんとプライベートでも結構仲いいでしょう? 僕なんか言いますと、それこそ『マルコポロリ!』で十数年、一緒にさせていただいてますけど。そんなにプライベートがめちゃくちゃ近いというわけでもないんですよ。
(渡辺あつむ)ほう。
(あいはら)だから、あなたが思ってる東野さんと僕が思ってる東野さんと言うのは若干、違うのかもしれへんっていうところなんですけどね。西にやってきた時……十数年前かな? 『マルコポロリ!』が最初やったかな? 東野さんがやってこられた時に、「ああ、ついに本当に大きい黒船がやってきたんだな」ということは感じてたんですけども。それまで、大阪の雰囲気の番組の作り方って、あなたは東京に行ってたから、あんまりわからないでしょう?
(渡辺あつむ)うん。
(あいはら)僕が感じている印象ですけど。東野さんが来られるまで、西のテレビの作り方っていうのはなんとなく、ちょっと作り手より、芸人さんとか演者さんの方がちょっと上っていうか。
(渡辺あつむ)ああ、玄人側はわかります。その感じ(笑)。
(あいはら)わかります? 皆さん、言っているか、わかりませんけど。なんか西の方っていうのはちょっと、企画をポンと出されて。「いやいや、もうええねん。俺らが適当にしゃべったら、番組なんかどうとでもなんねん」っていう。それがちょっとセンスとかなにもなかったら「こいつら、センスないな。センスないから俺らのスパイスでなんとかしたんねん」っていうような雰囲気が、すごく西の方ではあったんですよね。
(渡辺あつむ)はい。
「出演者の方が制作者よりも上」という雰囲気
(あいはら)で、俺もその風を浴びてきてたから。基本、テレビ番組中っていうのはそういうもんなんやなっていう風に僕は認知していました。まあ、ワーワー言うことはないですよ。ないですけども、先輩を見ていても、他の売れっ子さんを見ていても、そういうような感じやったから。「ああ、それでええねや」って。ロケ案を出されて、1から10まで否定したりとか(笑)。行ってゴネてみたりとか(笑)。そういう感じで。「ああ、こういう風に続くねんな」と思っていたら、東野さんが来られて。
で、「ちょっとそういうのって、よくないよね」って。あの口調ですからね。あんまり説教がましいことは言いませんよ。なんとなくフワッと番組を始める時に、「ちょっと大阪の芸人さんって、スタッフさんの意見を聞かへんことがかっこみたいな雰囲気もあるし……」みたいな。なんかそんな感じでおっしゃるんですよ。その時に、バリバリに西の感じって僕らぐらいしかおれへんから。「ああ、らのことを言うてるねんな」とか思いながらやっていって。で、じっとその仕事っぷりを見ていると、これ、もうすごいですよね。
一切、ディレクターとか、プロデューサーとか、そういう方には何も注文もつけず。淡々とね。淡々と台本を見て。もう1から10まで、しっかりこなして。しっかり番組を成立させるっていう、この恐ろしい離れ技を十数年前に作り上げたんですよ。
(渡辺あつむ)はい。寄り道もしながらも、ちゃんと戻るっていう。
(あいはら)寄り道しながらも、ちゃんとディレクターがやってほしいところに最後は到達する。で、もちろん作ってるスタッフは気持ちいい。で、ゲストに来られてる人も、ちゃんとインタビュー通りに話が進む。で、番組は成立する。数字は取る。「あれ? こういう風に番組ってなっていくんやな」って思ってから、だいぶ西の雰囲気は変わりましたもんね。
(渡辺あつむ)ああ、そうなんや。東野革命?
(あいはら)東野革命ですよ。最初、やりにくかったもん。
(渡辺あつむ)フフフ(笑)。
(あいはら)いや、すごいよ。あの方、文句を言わないでしょう?
(渡辺あつむ)そうですね。よっぽどの時しか言わないですよね。
文句を言わず、制作側の求めることを全てこなす東野幸治
オードリー若林はテレビのキャラクターという鎧を脱がせるのが巧みで、イジリー岡田は自慰の一般名を未だに言えないほど下ネタが苦手、若槻千夏は自身の振る舞いのためにMCの特徴をまとめているなどの新たな面が現れてくるのが面白いんだけど、『あちこちオードリー』東野幸治ゲスト回も凄かった。 pic.twitter.com/NiGBdev9UJ
— Hideki Kubo (@datsuryoku_k) December 28, 2019
(あいはら)僕も十数年、見ててね、「このゲスト、やりにくいな」ってね。芸人さんでも、タレントさんでも、俳優さんでも、思い通り……まあ、あれぐらいの腕がある人だから、運んでいけば何とかなるんですけども。「あれ? インタビューとかちゃんとしてるはずやのに、もうひとつ乗ってけえへんな」とか。で、なんかハネへん感じやけども、それを東野さんは怒るわけでもなく、ずっと回して。ちゃんと1時間の番組のパッケージになる。
で、この前ね、10月のオンエアの時に私と渡辺くんと東野さんとお食事した時に「あんなゲストの時って、腹立てへんのですか?」みたいなことを僕が言うて。東野さんはニヤニヤしながら「いやいや、それはそれは。大丈夫、大丈夫」みたいな(笑)。
(渡辺あつむ)それはもう、西の泥をね、吹きかけるから(笑)。
(あいはら)いや、ちゃう(笑)。だって普通にその人もゲストで呼ばれていて。ちゃんとこう、下準備通りにやればいいけど。なんか見てても、そんな感じじゃないし。わかるやん? パズルがちゃんとはまってない感じとか。
(渡辺あつむ)それで僕、思い出したんですけれども。似たことは聞いたこと、あります。「どんな感じで収録に臨んでるんですか?」って聞いたら東野さんは……これ、だいたいですよ? 東野さんは「全員、おもんない」とするんですって。
(あいはら)ああ、そういうことか!
(渡辺あつむ)そうすると「収録が始まったら全員、面白いことを言うから『ああ、おもろい、おもろい! 楽しい!』ってなる」って。そういう風に言うてたんですよ。で、これを僕にはちゃんと答えてくれたんですけども、なんでパラには答えなかったんでしょうね?
(あいはら)だいぶね……まあ、家で言うたら門ぐらいのところで「帰れ!」みたいな。あの人の中で、家に入れてくれないから(笑)。
(渡辺あつむ)西臭が(笑)。「くさいくさいくさい! 帰れ!」って(笑)。
<書き起こしおわり>