甲本ヒロト 選択と後悔を語る

甲本ヒロト バイクと虫と『タイムボカン』を語る たまむすび

甲本ヒロトさんが2023年1月18日放送のTBSラジオ『たまむすび』にゲスト出演。リスナーからのモヤモヤ質問「自分の選択に自信を持てない」に対して回答をしていました。

(博多大吉)では、リスナーさんのモヤモヤに戻りたいと思います。中野区の30歳男性の方。「赤江さん、大吉さん、甲本さん、こんにちは。いつも聞いております。私がモヤモヤしていることは、自分の選択に自信を持つことができないことです。仕事やプライベートで何かを決めなければならない時に、後から『ああ、この選択でよかったのかな?』と不安に感じることが多々あります」。

(赤江珠緒)あるよねー!(笑)。

(博多大吉)特にあなたはね(笑)。「この前も仕事で経費を優先させるか、業績を優先させるかの選択を迫られ、自信が持てずに悩んでしまいました。皆さんは自分の選択に自信を持つためには、何が必要だと思いますか? ぜひ私のモヤモヤをお焚き上げください」。

(赤江珠緒)これはぜひ、甲本さんにお聞きしたいな。

(甲本ヒロト)いやいや、これは一番難しい問題ですよね。はい。

(赤江珠緒)なんか選択する時って、常に人生の中であるじゃないですか。「どっちか?」みたいなね。で、さっきちょっと私も冒頭で言ったんですけど。悩んでる時はどっちも価値があるから悩むから、その時間はもう悩んで。もう、ギリギリ弓引けるぐらいまで引っ張ったら、どっかでパッと決断できる時が来るから。その時期までは悩んでもいいかなと思ったりしてるんですけど。そうやって、やり過ごす感じなんですけども。

(甲本ヒロト)みんな、真面目なんだね。

(赤江珠緒)甲本さんは?

(甲本ヒロト)僕も、そんな真面目になる時、あるよ。

(赤江珠緒)ありますか?

後悔は受け入れる

(甲本ヒロト)でもね、僕はあのね、後悔はね、受け入れるんです。もう、後悔するのは当たり前ですよ。だって、私などは大したことないもの。なんか絶対失敗するのでもう、「失敗した!」っていうことを、がっかりしないの。「だって俺なんか、失敗するに決まってるじゃん」って思っているから。だから、後悔してても、その後悔したことは「ああ、当たり前だよ。だって、俺だもん」と思って。

(博多大吉)そうやって消化なさっていると。

(甲本ヒロト)俺なんか、大したことないもん。その代わり、反省ができないんだよね。反省すればね、もっとね、立派な人になれるんだよ。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(博多大吉)ああ、そうか。「だって、僕だもん」で終わってるから、反省はしないんですね?(笑)。

(甲本ヒロト)そうそう(笑)。

(博多大吉)それで、反省はしない?

(甲本ヒロト)向上心がない(笑)。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ!

(博多大吉)受け入れるだけ受け入れて、また同じような、似たようなことをやって。

(甲本ヒロト)そうそう(笑)。

(赤江珠緒)そういうデメリットあるわけですね?

(甲本ヒロト)そう。ダメな自分を受け入れながら。だからこの方もですね、自分の選択が間違ったなと思った時は「そりゃ、間違うよ。だって俺だもん」っていう。

(博多大吉)そういう考え方でいくと、気楽になるかもしれないですね。

(赤江珠緒)素敵だな!

「そりゃ、間違うよ。だって俺だもん」

(博多大吉)でも、このね、ミュージシャンの世界に飛び込む時も、やっぱりいろいろな選択がございましたでしょう?

(甲本ヒロト)うん。でもこれはね、選択肢はなかった。もう、やるしかなかった。音楽をやる時は。その代わり、失敗したらそれは受け入れようと思っていたよ。「ああ、お金がないな。食べられないな。しょうがないな」って。で、だんだんフェードアウトしていく。

(博多大吉)それで、いくつまでにダメだったらやめようとか、そういうビジョンとかは?

(甲本ヒロト)ないない。もう、命尽きるまで。自然死(笑)。

(博多大吉)目標は自然死(笑)。

(赤江珠緒)甲本さん、バンドマンの方ってよく「モテたい」っていうことが原動力になってバンド活動を始める方のお話をよく聞くんですけども。

(甲本ヒロト)多いよ。

(赤江珠緒)甲本さんはその始められる前から、学生時代から、おモテになるタイプだったんですか?

(甲本ヒロト)そんなことないよ。モテたいよ。モテたいけど、バンドでモテようとは思わないよ。

(博多大吉)それとこれとは別?

(甲本ヒロト)別、別、別。

(博多大吉)もう、歌いたくて、曲を届けたくて?

(甲本ヒロト)やっぱり目的と手段ってあって。モテたくてバンドをやるっていうのは「モテたい」が目的で、バンドは手段じゃないですか。でも、ロックンロールが目的だもん。そしたら、その先はもう何もないんです。「お金持ちになりたい」じゃない。「ロックンロールがやりたい」だから。そのために、貧乏してもしょうがない。

(赤江珠緒)そうすると、二つ目的みたいになっちゃいますもんね。

ロックンロールをすることが目的

(甲本ヒロト)そうそう。「ロックンロールをやるためだったら、モテなくてもいいや」とか。それが目的じゃないですか。手段を選ばないっていう。

(博多大吉)その結果、モテることはある?

(甲本ヒロト)あるよ。面白い話があって。みんなね、そんなやつをね、見たがるんだよ。

(博多大吉)目的がちゃんとロックンロールな人を?

(甲本ヒロト)そうそう。

(博多大吉)お笑いなら、目的を漫才とかに置いてる人の方が、むしろ……。

(甲本ヒロト)「これができるなら、お金も女もいらねえ! 車もいらねえ!」っていうやつのお笑いが見たいじゃんか。

(赤江珠緒)そういう考えに至られてる甲本さんなんですけど。甲本家、小さい時の、たとえばお家の家訓みたいな。「これだけは」みたいなので、教えられたことってなんですか?

(甲本ヒロト)ええっ? そんなの、ないよ。

(赤江珠緒)何も? ご両親が「これだけは守れよ」みたいな?

(甲本ヒロト)なんだろう? うちの母親は「好き嫌いするな」とかはたまに言ってたけど。僕、食べ物で好き嫌いが多かったから。

(博多大吉)なにか苦手なものって、今もありますか?

(甲本ヒロト)今はね、何でも食べられるけど。子供の頃はやっぱり多かったね。

(博多大吉)じゃあ給食とか、時間かけて食べていたみたいな?

(甲本ヒロト)そう。給食の時間、僕だけ給食が机にあって。みんなはもう片付いてるとか。いろいろあって、そういうこともあったよ。こんな話をしに来たのかな?

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(甲本ヒロト)口からでまかせで、俺……。

(赤江珠緒)いえいえ。掘り下げたくなっちゃう感じがね。

<書き起こしおわり>

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