博多大吉さんが2022年12月21日配信のTBS Podcast「博多大吉、『M-1グランプリ 2022』を振り返る」の中で審査員を務めた『M-1グランプリ2022』の自身の全採点を解説。最終決戦でウエストランド、さや香、ロングコートダディの中からさや香を選んだ理由について話していました。
(赤江珠緒)はい。以上が、ファーストラウンドでございましたね。
(博多大吉)で、もう時間もないから、まとめて行きましょうかね。で、決勝ラウンドのネタを見ましたけど。オンエアーで「それぞれに『ちょっとここは……』っていうところがある」と言いまして。で、本当はもう、そんなこと言わなくていいんだけど。審査する以上は、もう無理やりにでも粗を探さなきゃいけないんで。頑張って見つけました。
(赤江珠緒)まあ、それが審査ですね。
(博多大吉)で、ウエストランドに関しては、めちゃめちゃ面白いけど。これは内輪ネタじゃねえかな?って。
(赤江珠緒)ウエストランドさん、あるなしクイズをまたされて。M-1の話とかも出ましたね。
(博多大吉)そう。だから「M-1とR-1の違い。夢がある、ない」でドーン!ってウケるのは、お笑い業界の内輪ネタに僕は思えたんですね。うん。いや、もちろん面白いけど。日本中が注目するM-1グランプリの最高峰の舞台で、ちょっとこれは見てる人……普段、お笑いを見ない人が見た時に「狭い世界だな」って思っちゃうんじゃないかな?っていうのはあったな。ちょっと、この舞台にかけるには内輪ネタだなとは思いました。で、ロングコートダディは、途中まですごいよかったんやけど。やっぱり最後の江戸時代か、去年の日本かっていうので。鳥貴族、ワクチン接種会場って……。
(赤江珠緒)ワクチン接種会場、面白かった!
(博多大吉)それでドンドンッ!って面白かったけど。最後の最後で太秦は……ちょっとストレートすぎて。実際、お客さんもつられてワーッて手を挙げてたけど。やっぱり爆笑ではなかったね。だから、着地に失敗した感じがあって。
(赤江珠緒)そこまでがね。ワクチンがよすぎて。「次、なんだろう?」っていう期待感はたしかにありましたね。
着地に失敗したロングコートダディ
(博多大吉)そう。だからマラソンの時もそうなのよ。どんどんどんどん期待させるから、それをどんどんどんどん自分たちで越えていかなきゃいけないから、ロングコートダディは大変だと思うけど。実際に、ちょっと最後のあれは違うんじゃないかな?っていう感じ。で、さや香は下ネタですよ。
(赤江珠緒)男女の友情が成立するか?っていうね。
(博多大吉)キスをするかしないかっていうのは下ネタ。うん。いろんな世代の方が見てる中で、下ネタはどうかな?っていう。この三つかな? それで選ぼうと思って。で、最初に「ロングコートダディはないかな?」と思った。正直。ちょっと、ウケとかはあんまり言い訳にしたくないけど。やっぱり僕自身、太秦は違うと思ったんで。ごめんね、ロングコートダディ。面白かったけど、どっちかだろうなと思って。
(赤江珠緒)そうかー。原さんはよかったですけどね(笑)。「ああ、HARAっていう名前のタイムマシーンなんだ」っていう。あれは好きでしたけどね。
(博多大吉)そう。だから要所要所が完璧な分、物足りなく感じちゃったんですよね。
(赤江珠緒)なるほど。はい。
(博多大吉)で、ウエストランドかさや香か、どっちかだなと思ったんですけど。うーん。まあ、いろんなとこで言われているから、後出しじゃんけんみたいに言われるのも嫌だなと思って。もう早く言いたかったんですけど。結局、この漫才は何だったんだ?って思うと、ウエストランドは現代に蘇ったツービート。で、さや香は現代に蘇ったやすきよ(横山やすし・西川きよし)なんですよ。
(赤江珠緒)はー! うんうん!
現代のツービート VS やすきよ
(博多大吉)令和4年の年末にその2組が蘇ってきたっていう。で、それぞれがちょっと進化してた。で、この2組で迷った時に、僕が最後の決め手にしたのが今年のM-1のキャッチコピーなんです。知らない?
(赤江珠緒)ごめんなさい。キャッチコピー、ちょっと、ごめんなさい。存じ上げてないです(笑)。
(博多大吉)今年のM-1のキャッチコピーは「漫才を塗り替えろ」だった。じゃあ、どっちが塗り替えたんだ?ってなった時に、やっぱりウエストランドの毒舌ネタ・ぼやきネタはもちろん「突っ込まない」っていう塗り替え方をしたけれども。たけしさんの時代に比べると、やっぱりたけしさんはもっと過激なことを言ってたし。今の時代でできるギリギリの毒舌ネタまで行って、もちろん進化させたけど。それよりも、やすきよ師匠はさや香みたいにあれだけの熱量とテンポでボケとツッコミを入れ替えてたかな?って。いや、本当にやすきよ師匠の全盛期を僕は知らないんで。「お前みたいなもんに何がわかるんだ?」ってファンの方から怒られるかもしれないけど。僕は、ツービートよりもやすきよを塗り替えたさや香が一番チャンピオンにふさわしいかなと思って。それでさや香に入れました。
(赤江珠緒)はい。どうですか、先生? バーッと全員のが開いた時は。
(博多大吉)うーん。もっと割れると思ってたんでね。「ああ、僕だけ?」と思って。一瞬、「えっ、さすがにミスった? 俺、全然違うことしてた?」と思って、頭が真っ白になりかけましたけど。まあ、ここに採点表がありますけど。「いや、違わないよ。僕、ちゃんとつけたもん」って。ということなので、何の悔いもないですし。もうあの日、あの現場でやれることは全部やれたかなと思ってます。
なのでね、漫才が終わって。いろいろね、ああじゃない、こうじゃない。ああでもない、こうでもないって言うのがM-1の楽しみ方だって最初に言ってたんで。何を言われてもいいです。「もっと点差をつけろ」って言われたらね、それまでだけど。それをするためにはね、もうそれこそ、客ウケとかその日の流れとかも加味しなきゃいけなくて。で、言い訳をすると、それをやるんなら時間が足らない。
(赤江珠緒)ああ、それをシンキングする時間が。
(博多大吉)もうちょっと……あと2分、ちょうだいって。だって、たったこれだけの要素でも僕、ギリギリだったから。ここから何点引くとかっていうのは。
(赤江珠緒)そうですね。シンキングタイム、そんなにあるわけじゃないですもんね。たしかにそれもね。
(博多大吉)だからね、点差が少なくて他の審査員の方に迷惑かけたかなと思うんですけど。でも、こういう審査するやつが7人の中に1人いるっていうだけで。皆さん他の基準点でちゃんと審査しているんだから。まあまあ。なんていうのかな? 言葉は難しいんですけど。でも本当、さや香には驚きました。で、ウエストランドもすごかったと思う。だから、開いて「僕1人がさや香か……」と思って。
「チェッ!」とはならなかったよ。そりゃそうだよね。だってウエストランド、面白かったもん。そういう気持ちだったから、本当にウエストランドおめでとうございます。出演者の皆さんもお疲れ様でした。で、さや香はね、たった1票獲得できたのがさ、これが松本さんなら多少、人生は変わるかもしれないけど。なんせ、大吉さんだからさ。
(赤江珠緒)いやいや、なにをおっしゃいますやら。
(博多大吉)でも本当、さや香は5年前とは見違えていて。本当、安っぽい言葉になるからオンエアーでは絶対に言うまいと思ってたんですけど、めっちゃ感動したんですよ。だから、さや香に……。
(赤江珠緒)いいですね。その5年間で、そこまで変えられたっていうのはね。
(博多大吉)だからね、今後さや香が「大吉さんからもらったんだよ」って胸を張れるようにね、私も明日からどころか、もうこの翌日から私、劇場出てますんで。これからも漫才、頑張りますんでね。皆さんもね、もしよかったら劇場まで足を運んでください。
(赤江珠緒)大吉先生に審査員をお願いしてよかったと、古巣ABCを代表して私が申し上げておきます。
(博多大吉)いやいや、あくまでもこれは僕の正義なんで。僕が正解ってわけじゃない。これだけはわかってください。
(赤江珠緒)もうこれは私も今、同期が結構なポジションに来ていますから。押しておきます(笑)。
(博多大吉)いやいや、もう本当に……そっとしておいてください。でも、疲れたけどめちゃめちゃ楽しかったです。貴重な経験をさせていきました。
(赤江珠緒)お疲れ様でした。
大吉さんはさや香に入れてくれそうとは思った。 pic.twitter.com/FPV7tUHgpY
— ドキン (@Dokinchan_54) December 18, 2022
<書き起こしおわり>